平成28年度 北海道小学校長会地区活性化支援事業【実践事例レポート

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平成28年度
報告地区
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北海道小学校長会地区活性化支援事業【実践事例レポート】
釧路市地区
釧路市立興津小学校
校長 本間 尚行
小学校外国語活動巡回指導の取組
1 はじめに
平成32年度からの新学習指導要領全面実施に向け、平成30年度からは移行措置が開始され
る。それまでの準備として、指導計画の策定や教材整備の在り方について話題とされるようにな
ってきた。そのような折、本校では平成28年度小学校外国語活動巡回指導教員の本務校として
の配置を受けた。この事業の目的は、外国語活動等の指導力と英語力の向上である。本校配置の
巡回指導教員は近隣校を中心に9校を兼務し、本務校を含めて10校の外国語活動に関わってい
る。開始から半年が経過し、試行錯誤を繰り返しながらも徐々に成果が現れてきている。以下に
その取組を紹介する。
2 巡回指導教諭の業務
(1)業務内容
①学級担任とのティーム・ティーチングや模擬授業の実施
②外国語活動に関する研修の実施
③その他、外国語活動等の指導力と英語力の向上に向けた取組の実施
(2)勤務形態
①基本的に1日 1 校の訪問による授業を原則とし、2週間で一巡の訪問とする。5月中旬から
開始されているが、年間で一校あたり16回程度の訪問計画
②訪問日には5、6年生の学級数分の授業を実施
(例:6年生2学級、5年生2学級の場合は4時間の授業を実施)
③訪問日当日の放課後に次回分の授業打ち合わせの実施
3 外国語活動の充実
(1)日常の活動
通常の授業はグリーティング(挨拶・日にち・曜
日・天気等)で始まる。次いでレビュー(前時の復
習)
、課題の提示と続く。その後チャンツ(言葉をリ
ズムよく発する練習)や歌を歌うなどウォーミング
アップして、本時の中心活動となるアクティビティ
を実施する。最後は Can do による振り返りを行って
終了である。
(2)オープンクラス
巡回指導教員による外国語活動の授業を、当該校の全職員
を対象にオープンクラスと称して公開している。通常、巡回
指導教員の訪問時にはティーム・ティーチング(主は担任、
従が巡回指導教員)で行われているが、実際に担任が単独で
授業を行う際の状況をイメージし易くするために行っている
ものである。
(3)研修の実施
兼務する学校の全教職員を対象とした外国語活動の研修を、放課
後や長期休業中の時間を使って実施し、指導力、英語力の向上に資
することが求められている。まとまった時間がとれない場合は、ミ
ニ研修を実施している。内容的には、外国語活動を実施する上での
留意点の指導、アクティビティの紹介やその体験が中心である。
(4)ALT教室の設営
本校は空き教室の有効活用の一つとして、外国語活動専用教室(ALT教室)を準備し、授
業を行っている。
そこには5,
6年生で使用するピクチャーカードがレッスンごとに作成され、
常備されている。背面の掲示板には褒め言葉(Good、Excellent 等)が掲示され、教師のクラ
スルームイングリッシュをサポートできるようにしている。また、Hi-friends!のデジタル版を
利用できるように大型モニターも常設されている。
今後においては絵本教材の充実に努めたい。
(5)
『巡回指導だより』の発行
兼務校勤務が始まって間もない頃、当該校の教員から
「巡回指導教員」の役割や授業の進め方等について疑問
や質問が多く寄せられた。それらに対応すべく取り組ん
だことが『巡回指導だより』の発行である。当該校には
もちろんであるが、内容的に好評であったことから、現
在では他の小学校にも配信している。
(6)
『研究センター講座』での公開
市教委の所管事業である教育センター授業実践力向上講座で5年生の外国語活動を公開した。
授業後の研究協議では、外国語活動巡回教員とティーム・ティーチング、小学校の外国語活動
と中学校・高等学校英語科との接続や連携について討議された。参加者から、指導の実際を初
めて参観し参考になった、中学校の英語科の先生からは、思った以上にレベルの高い実践がな
されていることを学んだ等の意見をいただいた。小学校での指導の実態を小・中学校の連携の
中で交流していくことも重要であると感じた。
4 おわりに
今年度、本校の外国語活動巡回指導教員が取り組んできたことは、あくまで現行の学習指導
要領下での取組である。その中でいかに円滑に活動を展開できるかについては、教師の指導力
の向上が欠かせない要素である。しかし、その実施に向けては、教員の資質だけではなく、教
材の作成、
準備も大きな比重を占めていると実感している。
資質向上と周辺環境の充実に向け、
今後も取り組んでいきたい。