研究成果のご報告 神経性やせ症のケア提供者におけるケア負担感と精神的健康状態 ―その実態と関連要因の検討― 本研究では、神経性やせ症(一般的に拒食症として知られています)の患者さんをケア するご家族のご負担と、精神的な健康状態について調査いたしました。無事に研究が終了 し、論文として発表いたしましたのでご報告させていただきます。ご協力をいただきまし た患者さんとご家族の方、協力施設の方々に心より感謝を申し上げます。 目的 ① 神経性やせ症の患者さんのケアをするご家族の「ケアの負担感」と「精神的な健康状態」 の実態を調査明らかにすること ② 「ケアの負担感」に関連する因子を明らかにすること ③ 「精神的な健康状態」に関連する因子を明らかにすること 方法 神経性やせ症の患者さんのご家族の中で、患者さんを一番メインにケアしている方にア ンケート調査を行いました。 結果と考察 ・ 79 名の患者さんをケアする提供するご家族からご回答をいただきました。 ・ 家族の中で一番たくさん患者さんをケアしている方の患者さんとの続柄は、父親 5 名 (6.3%)、母親 70 名(88.6%)、配偶者 3 名(3.8%)、祖母 1 名(1.3%)と 9 割近く が母親でした。 ・ ケアを提供するご家族は、高いケアの負担感を感じていました。 ・ 精神的な健康状態については、精神健康上の問題を有する可能性の高い方が、60.8%に もぼりました。 ・ 「ケアの負担感」に関連する因子は、「家族から見た患者の症状が重いこと」と「情緒 を優先したストレス対処法を用いること」でした。情緒を優先したストレス対処とは、 ストレスや問題があった時に、泣く、自分を責める、相手を非難するなど感情的な対処 法を取ることです。 ・ 「精神的な健康状態」に関連する因子は、 「情緒を優先したストレス対処を用いること」 「周囲からの心理的な支援が少ないこと」 「患者さんと接する時間が長いこと」でした。 結論 神経性やせ症の患者さんにケアを提供するご家族は、高いケアの負担を感じており、精 神的な健康状態を損ないがちでした。情緒を優先したストレス対処を減らすこと、周囲か らの心理的な支援を増やすこと、そして家族が長時間患者さんのケアをする状態にならな いようなサポートが、ご家族の負担を減らすことに役立つと考えられました。
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