Economic Indicators 定例経済指標レポート

Market Flash
忍び寄るモーゲージ金利上昇
つぶやき介入も要警戒
2016年12月8日(木)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【欧米経済指標他】
・10月米JOLT求人統計によると、求人件数は553.4万件と大幅に上方修正された563.1万件から減少となった。
2016年入り後は概ね横ばい圏内で推移しているが、それでも目下の水準は企業の旺盛な採用意欲を映し出
している。他方、イエレン議長が重視する入職率、自発的離職率はともに上昇が一服。自発的離職率の低
下は、労働者の転職活動が沈静化している兆候と判断され、それは賃金上昇圧力の低下に繋がる。実際、
平均時給と自発的離職率には比較的頑健な連動性が認めらているため、自発的離職率の低下が続いた場合
は賃金上昇シナリオを疑った方が良いかもしれない。
(百万件)
JOLTS求人件数
(%)
6
採用率(入職率)・自発的離職率
4.5
(%)
3
5.5
5
4
4.5
2.6
採用率(入職率)
2.2
4
3.5
3.5
1.8
3
3
2.5
1.4
自発的離職率(右)
2
2.5
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(備考)Thomson Reutersにより作成
1
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(備考)Thomson Reutersにより作成
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株はNYダウ、S&P500がともに最高値更新。特段の材料はなかったものの、米長期金利の上昇
が一服する下で幅広い銘柄に買いが入った。原油価格は大幅に下落したものの、エネルギー株は持ち堪え
た。一方トランプ次期大統領が、薬価が高すぎるとの批判を展開したことから医薬品関連が下落。WTI
原油は49.77㌦(▲1.16㌦)で引け。OPEC減産合意後のラリーが一巡。
・前日のG10 通貨はGBPが最弱でそれにUSDが続いた。過去1ヶ月の急速な米金利上昇・USD高が一服、ここ
数日はUSDが高原状態となっている。USD/JPYは113後半へとやや下落方向で推移。EUR/USDは1.07半ばへと
水準を切り上げ、新興国通貨も堅調だった。
・前日の米10年金利は2.370%(▲4.9bp)で引け。欧州債ラリーに追随し、大統領選後としては最大の低下
幅を記録。欧州債市場(10年)は総じて堅調。ドイツ(0.347%、▲2.6bp)、イタリア(1.887%、▲
5.6bp)、スペイン(1.424%、▲6.8bp)、ポルトガル(3.513%、▲12.3bp)が揃って大幅に金利低下。
ECB理事会を翌日に控え、現行QEが延長されるとの見方がコンセンサスになっており、欧州債市場を
下支えしている。周縁3ヶ国加重平均の対独スプレッドはタイトニング。
【国内株式市場・アジアオセアニア経済指標・注目点】
・日本株は、欧米株高に追随して高寄り後、もみ合い(10:30)。
・実質GDP成長率(2次速報)は前期比年率+1.3%となった。今回発表値はSNA基準改定を伴っている
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1
ため単純比較はできないが、旧基準に基づき算出されていた一次速報値からは0.9%pt下方改定された。も
っとも、内訳をみると個人消費が+0.7%(年率寄与度)と4-6月期(+0.5%)から加速しているほか、
純輸出寄与度が+1.3%(4-6月期:▲0.3%)と強い。在庫を除いた最終需要は+2.4%へと加速した。
設備投資の弱さは相変わらず懸念材料だが、それでも日本経済の底打ちを再確認させる結果であったと言
える。
日 GDP寄与度(年率)
(寄与度、%)
(%)
5
4
3
2
1
0
-1
-2
-3
-4
-5
2010
10
5
0
-5
-10
-15
設備投資
住宅投資
在庫寄与
政府支出
純輸出
個人消費
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
GDP成長率(最終需要)
2011
2012
2013
2014
2015
2016
(備考)Thomson Reutersにより作成 4四半期平均
(備考)Thomson Reutersにより作成
・10月国際収支統計によると経常収支(季節調整値)は1.93兆円となり、リーマンショック後の最高に比肩。
第一次所得収支が頭打ちとなるなか、貿易収支、サービス収支が経常黒字を押し上げる構図が続いている。
サービス収支の内訳に目を向けると旅行収支は1151億円の黒字であった。年初から10月までの円高を受け
た一人あたり消費額の減少を、訪日外客数の増加が相殺することで、受取額は2910億円と3000億の大台回
復が視野に入りつつある。ちなみに10月の訪日外客数は前年比+16.8%と順調に拡大、一人当たり消費額
は前年比▲5.7%と下げ止まりつつある。一人あたり消費額については、目下の円安を踏まえると11月以降
は一段の下落幅縮小ないしはプラス転化が期待される。
経常収支
(兆円)
(万人)
万
3
2.5
3000
2500
(億円)
訪日外客数・旅行収支受取額
3500
旅行収支(受取額)
2
2500
2000
1.5
3000
2000
1500
1
1500
0.5
1000
0
訪日外客数 1000
500
-0.5
0
-1
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
500
0
00
02
04
06
08
10
12
14
16
(備考)訪日外客数は季節調整済み年換算、当社作成 3ヶ月平均
16
(備考)Thomson Reutersにより作成 季節調整値
<#モーゲージ金利上昇 #ローン申請指数急減 >
・目先的な注目点は12月FOMCで示されるドットチャートに集中しているが、それを通過した後は米経済
のマクロファンダメンタルズに注目が移る可能性がある。特にここもとの米金利上昇・USD高の影響が表面
化し易い指標には注意を払いたい。そうした観点からISM製造業景況指数はその注目度の高さゆえ、特
に警戒が必要と考えられる。USD高の悪影響が意識され易く、場合によってはトランプ次期大統領の為替牽
制発言(つぶやき介入)を引き出すかもしれない。
・また、米金利上昇の行方にも注意が必要。既にモーゲージ金利(フレディマック30年固定)は4.27%へと
約3ヶ月前との比較で60bp上昇しているため、その影響が表面化するのは時間の問題と言える。そうした
なか速報性に優れているMBAモーゲージ申請指数は顕著に低下し、目下の水準は年初来の最低となった。
この下落は借り換えの減少によるものだが、モーゲージ金利上昇が消費者の住宅購入意欲を阻害する可能
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
2
性は高く、今後は新規購入の減少も予想される。11月以降の住宅指標で打撃が表面化すると米経済の減速
が意識される可能性がある。
(%)
5
モーゲージ金利
1200
MBA住宅ローン申請指数
1000
4.5
800
600
4
400
3.5
200
0
3
11
12
13
14
15
16
(備考Thomson Reutersにより作成 太線:4週移動平均
13
14
15
16
(備考Thomson Reutersにより作成 フレディマック30年固定
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
3