楽読 (ラクヨミ) 2016年12月6日 Vol. 1,168 イタリア、国民投票で改憲を否決 ~ 金融市場は織り込み済み ~ ユーロ圏3位の経済規模を誇るイタリアは、12月4日の国民投票で、上院の権限を縮小し決定権の大半を 下院に移行する憲法改正案を否決しました。これを受け、政治の安定に向けて改正案の可決を目指してい たレンツィ首相は大統領に辞意を表明、週内に予定されている予算案承認後に辞表を提出する見込みです。 投票終了後に開いた東京市場では、イタリアの政局不透明感などからリスク回避姿勢が強まり、朝方に円 買い・ユーロ売りが進み、1ユーロ=119円台(前週末比約2円の円高)、株式市場は続落して始まりました。 その後は、今回の投票結果をある程度織り込んでいたことや、同日行なわれたオーストリアの大統領選挙 で親EU(欧州連合)派の党首が勝利し、前週末に発表された米国雇用統計の内容もほぼ予想通りの結果 であったことなどから、ユーロは買い戻され、株式市場は下げ渋りました。欧州市場では、アジア市場の流 れを引き継ぎ、主要通貨に対してユーロは買われ、欧州株式もイタリアは値下がりしたものの、全面高となり ました。 今回の結果を受けて懸念されることは、イタリアの政治リスクの高まりが経済改革の停滞につながり、伊 大手銀行の不良債権処理や財務規律違反を巡る欧州委員会との調整などに遅れが生じることです。しかし、 金融市場では議会の解散権を持つ大統領が直ちに解散は行なわないことで総選挙が回避され、実務者で ある暫定首相が指名されるとの見方もあり、レンツィ政権が行なってきた経済改革などに大きな変更はない とみられます。 欧州では、2017年にオランダとフランスで大統領選挙、ドイツで連邦議会選挙など、重要な政治日程を控 えていることもあり、域内の政局動向から目が離せない状況が続くと思われます。 2017年の主な選挙日程 欧州株式とユーロ(対円)の推移 (2016年8月1日~2016年12月5日) 3月15日 オランダ下院選挙 124 4月23日 フランス大統領選挙(初回投票) 350 122 5月7日 フランス大統領選挙(決選投票) 345 120 8月27日 ドイツ議会選挙(10月22日まで) 340 118 335 116 330 114 325 112 下院(630議席) (ポイント) ストックス・ヨーロッパ600指数(左軸) 355 (円) ユーロ(対円)(右軸) 320 110 8/1 8/16 8/31 9/15 (参考)イタリアの上下院の会派別議席数 (2016年11月現在) レンツィ首相は民主党所属 上院(320議席) フォルツァ・イタリア 42 民主党 113 民主党 301 9/30 10/15 10/30 11/14 11/29 (月/日) その他 130 五つ星運動 35 五つ星運動 91 その他 188 フォルツァ・イタリア 50 (外務省および信頼できると判断したデータ、報道などをもとに日興アセットマネジメントが作成) ※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。 ■ 当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資 料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成 時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産に は為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。 投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご 覧ください。 1/1
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