南部杜氏 - 花巻市

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花巻市博物館だより № 50
共同企画展 ぐるっと花巻・再発見!
南 部 杜 氏 ∼酒造りのわざとこころ∼
期間:平成 28 年 12 月 3 日㈯∼平成 29 年1月 29 日㈰
期間中「ぐるっと歩こう!スタンプラリー」を実施
※くわしくは市生涯学習課へ(☎ 0198-24-2111 内 418)
岩手県の中央部に位置する紫波郡紫波町、花巻市
おいて日本最大規模を誇ります。
石鳥谷町は古くから稲作が盛んで、良質なお米が取
また越後杜氏(新潟県)や丹波杜氏(兵庫県)な
れる県内屈指の穀倉地帯です。
どと並び、杜氏の里として全国にその名を知られ、
北上盆地西側に連なる奥羽山系などから湧き出で
蔵人たちが全国各地の酒蔵で、南部流の酒造りによ
る豊かな地下水を水源とし、日本酒造りに適した寒
るすっきりとした芳醇な味わいの酒を醸していま
冷な自然環境とあいまって、藩政時代の昔から酒造
す。
りが盛んとなりました。
日本三大杜氏のひとつとして全国的に有名な南部
杜氏ですが、その発祥発展の基盤となったのは、江
戸時代の初めから、盛岡城下と領内の商業や物流を
先導した、現在の滋賀県を拠点とする近江商人の活
動であるとされています。
盛岡藩の近江商人は、「小野」「村井」等の姓を名
乗り、井筒屋、近江屋など、多くの店を開いて隆盛
を極めました。
こうしたさなか、藩侯の跡目相続に端を発した八
紫波町水田から東根山を望む
戸藩の分立後、紫波地方は「志和通」として八戸藩
の一部となります。
酒造りの現場における最高責任者を「杜氏」とい
近江屋一族の村井権兵衛は、藩より酒造りの営業
いますが、当地方の蔵人たちは総称して「南部杜氏」
権を認められ、上平沢村(現在の紫波郡紫波町上平
とよばれ、現在においても、酒造りに従事する数に
沢地区)において、酒屋を開業しました。