春日部市健康づくり推進条例(案) の趣旨及び考え方 平 成28年12月 春 日 部 1 市 第1 1 目的 この条例は、健康づくりの推進に関し、基本理念を定め、市の責務及び市民の役割等 を明らかにするとともに、市民の健康づくりを推進するために必要な事項を定めること により、市民が生涯にわたり心身ともに健やかで充実して暮らすことができる社会の実 現に寄与することを目的とする。 【趣旨】 この条例を制定する目的を述べています。 【考え方】 ○ この条例は、市民が生涯にわたり心身ともに健やかで充実して暮らすことができる 社会の実現を目指すために、次の事項を明らかにしています。 ①健康づくりの推進に関する基本理念 ②市の責務及び市民、関係団体、事業者の役割 ③市民の健康づくりを推進するために必要な事項 第2 1 定義 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによ る。 (1) 関係団体 市内において保健、医療、福祉その他健康づくりに携わる団体及び自 治会その他の地域を基盤に形成された団体をいう。 (2) 事業者 市内で事業を行う者をいう。 (3) 市民等 市民、市内に通勤し、又は通学する者、関係団体及び事業者をいう。 【趣旨】 この条例の解釈を明確にするために、この条例で使用している用語について定義を定 めています。 【考え方】 ○ 第2-1-(1)は、市内において健康づくりに携わる団体及び自治会その他の地域を 基盤に形成された団体をいいます。 ⇒医師会、歯科医師会、薬剤師会、民生委員・児童委員協議会、助産師会、母子保 健推進員、栄養士会、食生活改善推進員協議会、自治会連合会など ○ 第2-1-(2)は、市内において事業を行っている者をいいます。 ⇒個人、株式会社などの法人、病院・診療所、介護保健施設、高齢者施設、官公庁 2 など 第3 1 基本理念 健康づくりは、次に掲げる基本理念のもとに、推進されなければならない。 (1) 市民一人ひとりの心身の状態等に合わせて、生涯にわたり心身ともに健やかで充 実して暮らすことができるよう継続的に行うこと。 (2) 市民一人ひとりの健康寿命の延伸及び生活の質の向上に不可欠であることを認識 すること。 (3) 市及び市民等がそれぞれの責務等を認識し、相互に協力すること。 【趣旨】 この条例の基本理念について規定しています。 【考え方】 ○ 第3-1-(1)の「心身の状態等」とは、『「こころ」と「からだ」の状態』や『「家 庭」、「地域」及び「職場」などの環境の状態』などを意味しています。 ○ 第3-1-(2)の「健康寿命の延伸」とは、日常的に介護を必要としないで、自立した 生活ができる期間の長さを伸ばすことを意味しています。 3 第4 1 市の責務 市は、基本理念にのっとり、健康づくりの推進に関する基本的かつ総合的な施策 (以下「健康づくりの推進に関する施策」という。)を策定し、及び実施するものと する。 2 市は、健康づくりの推進のために必要な事項の把握に努め、健康づくりの推進に関 する施策に反映させるものとする。 第5 1 市民の役割 市民は、基本理念にのっとり、自ら健康づくりに関する意識を高め、心身の状態等 に合わせた健康づくりに積極的に取り組むよう努めるものとする。 2 市民は、健康づくりの推進に関する活動に参加し、及び市が実施する健康づくりの 推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。 第6 1 関係団体の役割 関係団体は、基本理念にのっとり、健康づくりの推進に関する活動に積極的に取り 組むよう努めるものとする。 2 関係団体は、健康づくりの推進に関する活動及び市が実施する健康づくりの推進に 関する施策に協力するよう努めるものとする。 第7 1 事業者の役割 事業者は、基本理念にのっとり、その事業に従事する者の健康づくりに配慮した職 場環境の整備に取り組むよう努めるものとする。 2 事業者は、健康づくりの推進に関する活動及び市が実施する健康づくりの推進に関 する施策に協力するよう努めるものとする。 【趣旨】 健康づくりを推進するためには、それぞれの役割を認識し、基本理念に基づき相互に 協力することが必要であることから、市の責務、市民の役割、関係団体の役割、事業者 の役割を明確にするために、それぞれ規定しています。 【考え方】 ○ 第4-1の「総合的な施策を策定し、及び実施する」とは、第8-1に掲げる推進計 画を策定し、第8-2に掲げる事項を実施することをいいます。 4 ○ 第4-2の「健康づくりの推進のために必要な事項の把握」とは、市民が必要とする 健康づくりに関するニーズを把握し、第8-2に掲げる事項に反映することをいいま す。 ○ 第6―1の「健康づくりの推進に関する活動」とは、例えば関係団体が実施する広 く市民を対象とした健康に関するイベント、関係団体が行う身体活動・運動などを いいます。 ○ 第7-1の「健康づくりに配慮した職場環境」とは、例えば職場の空気、採光・照 明、衛生など安心して働ける環境、従業員の健康増進に関する取り組み、従業員の ストレスを軽減する取り組みなどを意味しています。 第8 1 推進計画 市長は、健康づくりの推進に関する施策を実施するため、健康づくりの推進に関す る計画(以下「推進計画」という。)を策定するものとする。 2 推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 (1) 妊婦及び子どもの健康に関すること。 (2) 食育に関すること。 (3) 生活習慣病の予防に関すること。 (4) こころの健康に関すること。 (5) がん対策に関すること。 (6) 高齢者の健康に関すること。 (7) 歯科口腔保健に関すること。 (8) 前各号に掲げるもののほか、健康づくりの推進に関する施策を実施するために必 要な事項に関すること。 【趣旨】 推進計画について規定しています。 【考え方】 ○ 第8-2は、本市が取り組むべき主な事項について定めています。 ○各事項を取り巻く主な現状と課題は、次のとおりです。 ●第8-2-(1) 妊婦及び子どもの健康に関すること ⇒・全国的に少子化が問題となっており、合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に生 む子どもの数)は、5年前の平成23年では1.39人でしたが、平成27年では1.46人と 増加しているものの、依然低い状況が続いています。 5 ・一方、本市の出生数は年間あたり、平成23年では1,784人でしたが、平成27年で は1,556人となっており、228人減少しています。 ・健康づくりは、子どもが出生してからではなく、母親の妊娠時から出生後の子育 てまで、切れ目ない支援が必要となっています。 ●第8-2-(2) 食育に関すること ⇒・平成17年に、国では「国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性 をはぐくむことがきるよう、食育に関する施策を総合的かつ計画的に推進する こと」を目的として「食育基本法」を制定しています。 ・偏った栄養を原因とした肥満や生活習慣病が増加しています。 ●第8-2-(3) 生活習慣病の予防に関すること ⇒・生活習慣病は、食生活、運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣を原因として 発症する病気で、増加傾向となっています。 ・県の統計では、メタボリックシンドローム該当者は、県西部よりも県東部で高 くなっている傾向があり、本市でも高い状況となっています。 ●第8-2-(4) こころの健康に関すること ⇒・平成18年に、国では「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し て、自殺対策を総合的に推進して、自殺の防止を図り、あわせて自殺者の親族 等の支援の充実を図ること」を目的として「自殺対策基本法」を制定していま す。 ・全国的に自殺者の増加が問題となっており、平成27年では24,025人で、死因の 第8位となっています。本市の平成27年の自殺者数は、47人となっています。 ●第8-2-(5) がん対策に関すること ⇒・日本人の死因の第1位は、昭和56年から連続して35年間、「がん」となってい ます。 ・国の指針に基づき実施している市のがん検診とその受診率は、胃がん(H27年 度受診率:7.8%)、子宮がん(10.3%)、乳がん(19.4%)、大腸がん (49.8%)、肺がん(54.4%)となっております。 ●第8-2-(6) 高齢者の健康に関すること ⇒・2025年(平成37年)には、団塊の世代が75歳(後期高齢者)を超えることによ り、日本人の5人に1人が75歳以上となる超高齢化社会を迎えます。 ・本市の高齢化率(65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合)は、平成27年 の27.4%から平成37年には31.7%に増加すると推計しています。 6 ●第8-2-(7) 歯科口腔保健に関すること ⇒・平成23年に、国では「歯科疾患の予防等による口腔の健康が保持することがで きるよう、歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進すること」を目的 として「歯科口腔保健の推進に関する法律」を制定しています。 ・「口と歯の健康」は、栄養の摂取に必要なだけでなく、歯周病と糖尿病の関連 が指摘されるなど、全身の健康状態に直接関係します。 ・市が実施している成人歯科健康診査の平成27年度の受診率は、4.2%となってい ます。 第9 1 市民等との協力 市は、健康づくりの推進に関する施策を実施するため、市民等と相互に協力するよ う努めるものとする。 第10 1 情報提供等 市は、市民等に対し、健康づくりに関する情報の提供その他の必要な支援を行うも のとする。 2 市は、市民等に対し、健康づくりの推進のために必要な情報を提供するよう求める ことができる。 【趣旨】 市民等との協力及び情報提供等について規定しています。 【考え方】 ○市民の健康づくりを推進するためには、市民等の認識が必要です。特にそれぞれが健 康づくりに取り組む意識づくりが欠かせません。 ○第9-1の「施策」とは、第8-2に掲げている事項をいいます。 ○ 第10-1の「その他の必要な支援」とは、具体的には健康に関するイベントなどの 共催・後援、また、地域やサークル活動への保健師などの派遣をいいます。 ○ 第10-2の「必要な情報」とは、健康づくりの推進に関する施策に反映させるため に情報を求めることをいいます。 第11 1 委任 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。 【趣旨・考え方】 7 本条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定めることができることを規定してい ます。 8
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