世界農業遺産「静岡の茶草場農法」

(別添) 世界農業遺産「静岡の茶草場農法」情報発信サイトの概要
目的
「静岡の茶草場農法」は、良質な茶生産と多様な動植物の生存が両立していることか
ら、平成25年5月に石川県で開催された国際会議で世界農業遺産に認定されました。
静岡県及び認定地域の4市1町とともに構成する「静岡の茶草場農法」推進協議会で
は、情報発信や同農法により生産されたお茶の販売促進を通じて、地域振興を図ってい
ます。
しかし、世界農業遺産「静岡の茶草場農法」の認知度は低く、その価値や魅力を十分発
揮していません。そこで、世界農業遺産「静岡の茶草場農法の魅力」などをウェブサイ
トを通じてアピールし、世界農業遺産「静岡の茶草場農法」の認知度の向上を図るとと
もに、現地の情報を発信し、交流人口の増加を促し、茶草場農法の茶の販売促進に繋げ
ます。
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世界農業遺産「静岡の茶草場農法」の概要
世界農業遺産「静岡の茶草場農法」とは
茶草場とは、茶園に有機物として投入するササやススキ等の草を刈り取るための半自
然草地のことです。
茶園への草の積極的な利用のために、茶園周辺には茶草場が点在しています。静岡で
は当たり前の風景ですが、他ではほとんど見られない静岡県の特徴的な景色です。そこ
には希少種を含む多くの草地性の植物を身近に見ることが出来ます。
茶草場から刈り取ったススキなどの草を茶園に敷く伝統的な茶草場農法の技術は、よ
り高品質なお茶を生産しようとする農家の方々の努力により今日まで継承されています。
良質なお茶を生産する営みが、結果的に生き物を守ってきたのです。
このように農業と生物多様性が同じ方向を向いて両立していることが世界から評価さ
れ、世界農業遺産に認定されました。
3 世界農業遺産「静岡の茶草場農法」情報発信サイトの概要
(1)内容
・世界農業遺産「静岡の茶草場農法」の紹介
・茶草場農法の各認定地域へのアクセスガイド
・認定地域(4市1町)の現地情報
・認定地域内の美しい茶園の景観や観光スポットの紹介
・茶草場農法の認知度向上に資するコンテンツ
・茶草場農法認定地域の交流人口増加に資するコンテンツ
・茶草場農法で作られた茶の販売促進に資するコンテンツ
(2)ねらい
・ 世界農業遺産「静岡の茶草場農法」の認知度向上。
・ 交流促進による地域の振興。
・ 情報サイトを生かした茶草場農法の茶の販売の促進。
4 取組みの状況
(1)ブランド化の推進
平成25年9月に推進協議会によって同農法に取り組む生産者を認定する制度が創設
されたことから、翌月からは「茶草場農法」の生産を示す認定シールをつけた茶の販
売が始まりました。平成28年11月までに認定を受けた農家は587戸、認定シールは
190.3万枚が販売されました。
認定シールを貼った商品の販売業者数は109業者となり、焼津市、藤枝市、東京都、
神奈川県、埼玉県など認定地域以外にも広がってきています。
認定シールは茶園面積に対する茶草場面積の比率により3分類とし協議会が認
定しています。
認定
区分
三葉
二葉
一葉
茶園面積に対する
茶草場面積の割合
50% 以上
25%~50%
5%~25%
<生物多様性貢献度シール>
(2)生物多様性調査
茶草場には伝統農法により、保全されている多様な動植物が生息しており、掛川市の
植物種の調査したところ、300種類以上の植物が確認されました。また、その中には希少
な動植物も多く、地域によっては絶滅危惧種に指定されているものもあり、昔から人々
に親しまれている「秋の7草」等、絶滅の恐れのある代表的な植物も確認されています。
現在、菊川市、島田市でも調査を進めています。
(3)グリーンツーリズムの推進について
静岡の茶草場農法認定地域では静岡の茶草場農法のストーリー性や美しい景観を利用
したグリーンツーリズムを展開している。
(事例)
・掛川市では地域住民が経営している(株)茶文字の里 東山が地域
のガイドツアー等を開催しています。また茶草場農法の農作業の
ボランティア体験や茶草場ガイドツアーなども行っています。
ガイドツアー
・(株)掛川タクシーでは世界農業遺産のスポットを巡る「茶草場タク
シー」を運行。観光ツアーでは茶草場の景観の体感や希少な植物を
紹介しています。
・菊川市のNPO法人せんがまち棚田倶楽部では、棚田とその美しい環境を後世に残していく
ために設立され、棚田の畝やその周辺の草は茶草場農法の茶草場として活用されていま
す。棚田ではオーナー制度を行っており、契約者には無農薬米と茶草場農法のお茶が届
けられ、日帰りでの管理も可能なため、契約者には首都圏の顧客も
多くいます。また多くのイベントも開催され、6月には「あぜみちア
ート」という千三百本のロウソクをアゼに並べ、幻想的な雰囲気を
楽しみながら、オカリナ等の演奏会が開催され交流人口の増加に寄
与しています
(4)応援作業ボランティア
平成27年度に掛川市のエコポリス工業団地内の企業に対し趣旨を説明し作業応援ボラ
ンティアの募集をしたところ、企業5社から申し出があり、茶草場の草刈体験などをお
こないました。
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参考
世界農業遺産とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり形づくられてきた農
業上の土地利用、伝統的な農業と、それに関わって育まれた文化、ランドスケープ、生
物多様性などが一体となった世界的に重要な農業システムを国連食糧農業機関が認定す
る仕組みです。
他地域の認定状況
認定地域所在県
新潟県
石川県
熊本県
大分県
岐阜県
和歌山県
宮崎県
遺産名
トキと共生する佐渡の里山
能登の里山里海
阿蘇の草原の維持と持続的農業
クヌギ林とため池がつなぐ農林水産循環
清流長良川の鮎
みなべ・田辺の梅システム
高千穂郷・椎葉山の山間地農林業複合システム