10 牛ウイルス性下痢ウイルス持続感染牛 摘発農場における流行状況調査

10 牛ウイルス性下痢ウイルス持続感染牛
摘発農場における流行状況調査
○磯田加奈子 寺島陽子 寺崎敏明
要 約
平成 26 年に都内 1 酪農場で摘発した 2 頭の牛ウイルス性下痢ウイルス (BVDV) 持続感染牛 (PI 牛 ) に
ついて、ウイルス侵入経路および農場内流行状況を血清学的検査および遺伝子解析結果から考察した。
平成 24 年 5 月時点を pre 血清とし、平成 26 年 6 月時点を post 血清とした中和抗体検査では、血清
型 1a および 2a の標準株ならびに分離株の全てに対しての抗体価は、ワクチン接種歴のあるグループで
は下降傾向、未接種および接種歴不明のグループでは上昇傾向が認められた。最初に摘発された PI 牛
①の母牛は接種歴のない自家育成牛で、抗体価は pre 血清では低く、PI 牛①を分娩してから約 1 年後
の post 血清では大幅に上昇していた。次に摘発された PI 牛②の母牛はワクチン接種歴のある預託帰還
牛で、下牧直後の pre 血清では分離株に対する抗体価が特に高く、PI 牛②を分娩してから約 2 年後の
post 血清では下降した。このことから、母牛が預託牧場で妊娠初期に感染して下牧後に酪農場で PI 牛
②を分娩し、農場内のワクチン未接種牛群で BVDV がまん延し、その結果自家育成牛から PI 牛①が出生
したとする疫学的考察と一致した。遺伝子解析の結果、今回の分離株 2 株と平成 21 ~ 23 年の摘発牛か
らの分離株 3 株の PCR 産物の塩基配列の相同性は高かった。
東京都では、牛ウイルス性下痢・粘膜病(以下
及び表 2 に示した。
BVD-MD)対策の一環として、ヨーネ病法定検査の
摘発した 2 頭の PI 牛については、剖検後、ホ
余剰血清等を用いて検査を希望する全戸について
ルマリン固定した主要臓器について定法により病
牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)持続感染牛(PI
理組織学的検査に供した。
牛)摘発のためのウイルス検査を行う事業を毎
PI 牛2頭(PI 牛①、PI 牛②)及び PI 牛それ
年実施している。都内では平成 23 年度に PI 牛 2
ぞれの母牛のウイルス学的検査は、次の方法によ
頭の摘発後、新たな PI 牛摘発はなかったが、平
り実施した。なお、PI 牛2頭及びそれぞれの母
成 26 年度、1 酪農場において 2 頭の PI 牛を 3 年
牛の概要は表3のとおりであった。
ぶりに摘発した。本症例の発生状況及び疫学的考
ウイルス分離および血清中ウイルス力価の測定:
察については寺島らの報告 1) のとおりであるが、
MDBK-SY 細胞を用いた同時接種法により実施し
本報告では分離ウイルスの遺伝子解析と同居牛の
た。2) ウイルス分離は、PI 牛① は 3 週間間隔、
血清学的検査結果からウイルス侵入経路及び農場
PI 牛②は 2 週間間隔で2回実施した。
内流行状況について考察を加えた。
PCR:5' 末端非翻訳領域を増幅する Vilcek
3)
ら
のプライマーにより実施した。
材料および方法
分離ウイルスの遺伝子解析:PCR 増幅産物のダイ
発生農場の概要及び PI 牛摘発の経緯は、表 1
レクトシークエンスにより実施し、MEGA4
4)
によ
平成26年度東京都家畜保健衛生業績発表会集録(2016)
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表1 発生農場概要
表3 PI牛および母牛の概要
飼養形態: 対尻式つなぎ飼い
飼養規模: 乳用牛28頭 (経産牛19頭、未経産牛9頭)
預託(育成牛): 実施(他県)
導入(初任牛): 実施(他県)
※経産牛15頭/19頭 は、預託または導入歴あり
診断歴: BVD-MD発生及びPI牛摘発例なし
ワクチン接種状況:
自家育成牛=未接種
預託牛=5種混合生ワクチン
導入牛=不明
PI牛①
PI牛②
生年月日
H25.4.5
H24.7.15
摘発年月日
H26.6.23
H26.9.30
摘発時月齢
15
26
履
表2 摘発の経緯
自家育成
預託
ワクチン歴
歴
無
有(上牧時)
母牛の履歴
自家育成
母牛のワクチン歴
なし
預託
有(上牧時)
表4 中和抗体検査 採材時期
6月 2日
牛のヨーネ病定期検査(21頭) → 飼養者希望により
ウイルス分離検査開始
6月20日 自家育成牛(15ヶ月齢)1頭でBVDV分離(+),PCR(+)
6月23日 再採血→PCR(+),抗原ELISA(+),BVDV分離(+)
PI牛①と診断
7月17日 PI牛①の病性鑑定殺
9月16日 下牧した預託帰還牛(26ヶ月齢)より採血
→PCR(+), 抗原ELISA(+), BVDV分離(+)
9月30日 再採血 →PCR(+), 抗原ELISA(+), BVDV分離(+)
PI牛②と診断
10月27日 PI牛②の病性鑑定殺
る解析と系統樹作成を行った。
採血区分
Pre血清
採血日
H24定期検査 H24.5.8
Post血清 H26定期検査
1)
H26.6.2
頭数
20
2)
21
2)
1) PI牛②の母牛のみH24.6.18採血
2) PI牛の母牛2頭を含む。
抗体価の推移を比較した(表 5)
。
中和抗体検査:MDBK-SY 細胞を用いた同時接種法
結 果
に よ り、Nose 株 (1a)、 KZ91-cp 株 (2a) 及 び PI
牛①からの分離株 BVDV/Chofu/23/14(TKO-23) に
剖検および病理組織学的検査:PI 牛①は体格が
対する中和抗体価を測定した。
やや小さかったが、肉眼所見及び病理所見に著変
PI 牛の母牛を含む同居牛については、定期検
はなかった。 PI 牛②についても外貌、肉眼所見
査時残血清を利用し、pre 血清(平成 24 年 5 月、
及び病理所見に著変はなかった。
20 検体)と post 血清(平成 26 年 6 月、21 検体)
ウイルス分離検査及び PCR:PI 牛①は 3 週間間隔、
について実施した ( 表 4)。ペア血清のうち、同
PI 牛②は 2 週間間隔でウイルス分離検査及び PCR
一個体での比較が可能であったのは 12 頭で、こ
をそれぞれ 2 回実施し、陽性であることを確認し
の中には PI 牛①及び②の母牛も含まれていた。
て PI 牛と決定した。同様の間隔で検査を行った
採材日と発生の時系列については図 1 に示した。
それぞれの母牛は、いずれの検査結果も陰性であ
同居牛のワクチン接種状況については三通りに
り、PI 牛ではないと判断した ( 表 6)
。
分けられ、上牧する牛には預託牧場の規定により
PI 牛の血清中ウイルス力価:PI 牛①及び②の
BVDV1 型生ワクチンを含む5種混合ワクチンを接
血清中のウイルス力価を測定したところ、PI 牛
種し、自家育成牛には接種せず、導入牛について
①は 5.6 × 104 TCID50/mℓ、PI 牛②は 3.2 × 104
は不明であった。ワクチン接種牛をグループA、
TCID50/mℓであった ( 表 7)
。
未接種牛および不明の牛をグループBとして中和
分離ウイルスの遺伝子解析:PCR 産物の遺伝子配
平成26年度東京都家畜保健衛生業績発表会集録(2016)
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表6 ウイルス分離検査およびPCR
Pre血清
(H24)
(月)
(H25)
5 6 7 8 9
②の母
下牧
第1回目採血
Post血清
(H26)
4 5 6 7 8 9 10
①出生
②上牧
ウイルス
分離
(+)
①摘発
②下牧
→摘発
PI牛①母
図1 採材日と発生の時系列
図1 採材日と発生の時系列
(+)
(+)
(-)
(-)
(-)
(-)
PI牛②
(+)
(+)
(+)
(+)
PI牛②母
(-)
(-)
NT
NT
PI牛①
* PI牛①は3週間、PI牛②は2週間後に採血
表5 同居牛のワクチン接種状況
区分
接種状況
Pre
(H24)
5
自家育成 未接種
3
7
12
7
20
21
(PI①母牛含む)
導入
ワクチン歴不明
計
7
NT:実施せず
表7 血清中ウイルス力価
血清中ウイルス力価
(TCID 50/㎖)
Post
うち
(H26) 同一個体
呼吸器感染症予防
預託帰還 用5種 混合ワクチン
(PI②母牛含む) (BVDV1型生ワクチ
ン含む)
PCR
ウイルス
分離
(+)
5 6 7 8 9
②
出生
PCR
第2回目採血
5
グループA
2
PI牛①
5.6 x 104
PI牛②
3.2 x 104
5
グループB
12
*病性鑑定殺時
列から作成した分子系統樹を図 2 に示した。PI
倍と上昇し、特に TKO-23 株に対する上昇が大き
牛①及び PI 牛②からの分離株 TKO-23 及び BVDV/
かった(表 10)
。PI 牛②の母牛は、pre 血清では
Chofu/24/14(TKO-24) は、東京都における 23 及
各株に対し 1,024 倍、256 倍及び 4,096 倍以上と
び 24 頭目からの分離例にあたる。両者の PCR 産
高い抗体価を有していたが post 血清では 16 倍、
物の塩基配列は完全に一致し、遺伝子型は 1b 型
8 倍及び 1,024 倍と低下した。TKO-23 株 に対し
であった。なお、平成 20 年度に分離した BVDV/
ては、Post 血清でも 1,000 倍以上と高い抗体価
Hachioji/20/09(TKO-20)、平 成 22 年 度 に 分 離
であった(表 11)
。
し た BVDV/Hachioji/21/11(TKO-21) 及 び BVDV/
農場の同居牛平均値では、Nose 株では 97 倍
Hachioji/22/11(TKO-22) も同じく 1b 型であっ
か ら 224 倍、KZ91-cp 株 で は 20 倍 か ら 46 倍 へ
た。TKO-23 及び TKO-24 と TKO-20 ~ 22 の PCR 産
と、両者とも 2 倍程度の上昇を示したのに対し、
物の相同性は、97.6% ~ 97.9% であった(表 8)
。
TKO-23 株では 82 倍から 464 倍へと 5 倍以上に
1b 型の標準株である ks86-1-NCP 株 との相同性
上昇した(表 12)
。同居牛のうち同一個体のペア
は 92.0% であった。
血清が存在した 12 頭についてワクチン接種歴に
血清中和抗体価:PI 牛 2 頭の血清中和抗体価は、
よって2つのグループに分類し、グループAをワ
Nose 株、KZ91-cp 株及び TKO-23 株に対し、全て
クチン接種群 5 頭(PI 牛②の母牛含む)
、グルー
2 倍以下であった ( 表 9)
。PI 牛①の母牛は、pre
プBをワクチン未接種群 2 頭
(PI 牛①の母牛含む)
血清では各株に対し 4 倍、2 倍以下及び 4 倍以下
とワクチン歴不明 5 頭の計 7 頭として、両群の抗
であったが、
post 血清では 128 倍、
64 倍及び 1,024
体価の動向を比較した。グループAは、pre 血清
平成26年度東京都家畜保健衛生業績発表会集録(2016)
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TKO-11
表9 中和抗体価(PI牛)
TKO-17
TKO-18
TKO-16
TKO-13
TKO-12
ウイルス株
1a
TKO-7
TKO-2
BVDV/12-43
Nose(AB019670.1)245
TKO-4
TKO-10
TKO-19
TKO-14
TKO-15
KS86-1-NCP(AB042713.1)247
TKO-3
PI牛①
TKO-23
1b
PI牛②
TKO-24
TKO-5
TKO-20
TKO-22
TKO-21
H21~H23
に摘発
<2
<2
<2
<2
<2
<2
1c
TKO-6
TKO-8
表10 中和抗体価(PI牛①の母牛)
2a
KZ-91-CP(AB003619)288
0.02
ウイルス株
図2 分子系統樹
Nose株
(1a)
KZ91-cp株
(2a)
分離株
(PI牛①)
表8 ウイルスの相同性
TKO20
TKO21
TKO22
TKO23
TKO24
分離
年度
遺伝
子型
TKO-20
-
99.7
99.7
97.6
97.6
H20
1b
TKO-21
99.7
-
100
97.9
97.9
H22
1b
TKO-22
99.7
100
-
97.9
97.9
H22
1b
TKO-23(PI①)
97.6
97.9
97.9
-
100
H26
1b
TKO-24(PI②)
97.6
97.9
97.9
100
-
H26
1b
Nose株
92.0
92.3
92.3
93.4
93.4
-
1a
Ks86-1-NCP株
90.9
91.3
91.3
92.0
92.0
-
1b
Kz91-cp株
76.6
76.6
76.2
76.2
76.1
-
2a
ウイルス株名
PI牛②
Nose株
(1a)
KZ91-cp株
(2a)
分離株
(PI牛①)
TKO-1
TKO-9
PI牛①
Pre
(H24)
Post
(H26)
4
128
<2
64
4
1,024
不活化 2 価ワクチンを含む 6 種混合ワクチンを接
種している都内の農場からの導入牛であった。こ
のことから、この間に農場内に BVDV が侵入し、
では Nose 株で 512 ~ 1,024 倍、KZ91-cp 株で 64
ワクチン接種歴のある牛の多くが感染を免れたの
~ 512 倍、TKO-23 株で 256 ~ 4,096 倍以上と高
に対して未接種牛の多くが感染したことが推察さ
い抗体価を示し、post 血清では 5 頭中 4 頭が低
れる。
下または変化なしであった。残る 1 頭は Nose 株
PI 牛①の母牛は、自家育成牛でワクチン未接
と TKO-23 株に対し 1 管分(2 倍)の上昇を示し
種でありグループBに分類された。分娩 11 ヵ月
た(図 3)
。グループBでは、1 頭の導入牛(個体
前の pre 血清では 3 株全てに対し 2 倍以下~ 4 倍
№ 12)を除く 6 頭が、どの株に対しても抗体価
と低かったが、post 血清では大きく上昇を示し、
の上昇を示した ( 図 4)
。
中でも TKO-23 株に対しては上昇が顕著であった。
PI 牛②の母牛は、預託帰還牛であるためワク
考 察
チン接種を受けておりグループAに分類された。
同居牛の血清中和抗体は、農場全体の幾何平均
BVDV1 型生ワクチンを含む混合ワクチンの接種を
値では 3 株とも pre 血清から post 血清に向けて
受けた後、平成 23 年 5 月に上牧し平成 24 年 5 月
上昇傾向であったが、個体をワクチン接種歴で 2
に下牧して 7 月に PI 牛②を分娩した。pre 血清
(下
つのグループに分けて比較すると、
グループA
(ワ
牧後 21 日目)では全ての株に高い抗体価を有し
クチン接種歴有り)においては下降傾向にあり、
たが post 血清では大幅に下降を示した。しかし、
グループB(ワクチン未接種または不明)におい
その時点でも TKO-23 株の抗体価はまだ高い値を
ては上昇傾向にあった。なお、グループBの中で
示していた。
pre 血清の段階で既に高い抗体価を有していた個
これらの結果は、
「預託農場で妊娠初期に BVDV
体(№ 12)は、接種歴は不明であったが、BVDV
に一過性感染した PI 牛②の母牛が、下牧後 PI
平成26年度東京都家畜保健衛生業績発表会集録(2016)
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Nose株(1a)
KZ91-cp株(2a)
TKO-23(1b)
14
表11 中和抗体価(PI牛②の母牛)
ウイルス株
Pre
(H24)
Post
(H26)
Nose株
(1a)
1,024
16
12
10
256
8
分離株
(PI牛①)
>4,096
1,024
10
8
8
10
11
13
6
14
19
4
(2x)
血
清
希
釈
倍
数
11
13
6
14
5
4
3
13
14
6
19
(2x)
2
№19:都内産
№19:都内産
0
H24
11
4
1
0
10
8
19
2
2
H24.6.18 定期検査採血
H24.7.18PI牛②分娩(H23.10.12 AI)
血
清
希
釈
倍
数
10
7
(2x)
H24.5.28下牧(N農場)
H24.5.31 当該農場へ転入
10
9
血
清
希
釈
倍
数
KZ91-cp株
(2a)
12
H24
H26
0
H26
H24
H26
№19:都内産
図3 中和抗体価(グループA)
Nose株(1a)
表12 中和抗体価 農場平均値
Pre (H24)
ウイルス
株
Nose株
(1a)
KZ91-cp株
(2a)
分離株
(PI牛①)
検査
頭数
幾何
平均値
20
97.0
Post (H26)
検査
頭数
21
12
10
幾何
平均値
10
8
血
清
希
釈
倍
数
224.3
20.4
21
3
5
6
9
15
16
4
46.0
8
12
血
清
希
釈
倍
数
21
(2x)
20
TKO-23(1b)
KZ91-cp株(2a)
12
(2x)
2
12
7
3
6
5
5
9
15
4
21
2
3
5
6
9
15
16
4
16
3
12
8
血
清
希
釈
倍
数
21
(2x)
2
1
20
81.6
21
0
463.7
H24.5-6月
H26.6月
0
H24.5-6月
0
H26.6月
*№16と21が自家育成牛、他は導入牛、
H24.5-6月
H26.6月
№21:PI牛①の母牛
図4 中和抗体価(グループB)
牛を分娩することで当該酪農場に BVDV が侵入し、
ワクチン未接種牛群を中心にウイルスが水平伝
る。預託先牧場との今後の協力体制及び検査体制
播し妊娠初期であった PI 牛①の母牛も一過性感
の改善を検討中である。
染した」と結論づけた寺島らの疫学的調査結果
1)
引用文献
を裏付けるものであった。PI 牛②の母牛は、何
らかの原因によりワクチン抗体価の上昇が不十分
1) 寺島陽子、磯田加奈子、寺崎敏明、鈴木博:
となり、預託先での感染を防げなかったものと考
牛ウイルス性下痢ウイルス持続感染牛の摘
えられる。
発と今後の防疫対策のあり方、平成 26 年度
都内農場における最近の BVDV-PI 牛の摘発例
東京都家畜保健衛生業績発表会集録、35-38
としては、平成 21 年に 1 頭、平成 23 年に 2 頭
(2016)
(親子)がある。これらは今回と同じ県の預託牧
2) 齋藤俊哉、山口修、深井克彦:牛腎由来株化
場で母牛が感染し下牧後に分娩した PI 牛及びそ
細胞を用いた牛ウイルス性下痢ウイルスのウ
5)
の PI 牛の子である 。今回摘発した 2 頭を加え
イルス分離法および抗体検査法、日獣会誌、
た計 5 頭について遺伝子解析を行った結果、5 株
56、717 ~ 721(2003)
間の PCR 産物の塩基配列の相同性が 97.6%以上
3) Vilcek S, Herring AJ, Herring JA, et al :
と高かったことから、預託先の 2 農場に、近縁の
Pestiviruses isolated from pigs, cattle sheep
血清型 1b のウイルスが存在していたことが示唆
can be allocated into at least three genegroups
された。この 5 頭の PI 牛のうち 3 頭は預託牧場
using polymerase chain reaction and restriction
からの下牧後に摘発されており、残念ながら預託
endonuclease analysis. Arch Virol、 136、
牧場の汚染源ともなってしまったことが推察され
309-323 (1994)
平成26年度東京都家畜保健衛生業績発表会集録(2016)
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4) Tamura,K., Dudley,J., Nei,M., Kumar,S. :
MEGA4: Molecular Evolutionary Genetics
Analysis (MEGA) software version 4.0.
Molecular Biology and Evolution 24, 1596-1599
(2007)
5) 磯田加奈子、綾部文香: 牛ウイルス性下痢
ウイルス持続感染牛の摘発及び追跡調査、平
成 24 年度東京都家畜保健衛生業績発表会集
録、36-40 (2014)
平成26年度東京都家畜保健衛生業績発表会集録(2016)
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