Economic Indicators 定例経済指標レポート 発表日:2016年12月7日(水) テーマ:景気動向指数(2016年10月) ~基調判断が「改善」に上方修正。景気持ち直しの動きを確認~ 第一生命経済研究所 経済調査部 担当 主席エコノミスト 新家 義貴 TEL:03-5221-4528 ○ CI一致指数に持ち直しの動き 内閣府から公表された 2016 年 10 月の景気動向指数 では、CI一致指数が前月差+1.4 ポイントとなった。 (2010年=100) 9月の+0.8 ポイントに続いて2ヶ月連続の上昇であ り、上昇幅も比較的大きい。10 月の内訳では、耐久 消費財出荷指数や生産財出荷指数、投資財出荷指数な ど、出荷関連指標が好調でCIの押し上げ要因になっ ている。 また、10 月のCI先行指数も前月差+1.0 ポイント と上昇している。先行CIは昨年夏以降、大幅に低下 していたが、16 年2~3月を底として、足元では緩 やかに持ち直しつつある。CI一致指数、先行指数と も持ち直しの動きとなっていることは、景気にとって 明るい材料といえるだろう。10 月の内訳では、消費 者態度指数がマイナス寄与になる一方、最終需要財在 庫率指数や日経商品指数、中小企業売上見通しDIな CIの推移 118 116 114 112 110 108 106 104 102 100 98 96 94 CI一致指数 CI先行指数 12 13 14 15 16 (出所)内閣府「景気動向指数」 どが押し上げ、CI先行指数全体としては改善する形になっている。 ○ 基調判断が上方修正。15 年4月以来の「改善」が実現 内閣府によるCI一致指数の基調判断は「改善を示している」となり、これまでの「足踏みを示している」 から上方修正された。CI一致指数の3ヶ月後方移動平均前月差が8月に+0.46、9月に+0.14、10 月に+ 0.63 となり、上方修正の基準である「原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が上昇」かつ 「当月の前月差がプラス」を満たしたためである。 「足踏み」判断は 2015 年5月以降、17 ヶ月にわたって続いていたが、ようやく上方修正された。「足踏 み」の定義は「景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す」、「改善」の定義は 「景気拡張の可能性が高いことを示す」であるため、景気が長らく続いた踊り場から脱却し、持ち直し軌道 に乗っていることが、CI一致指数からも確認されたことになる。 先行きについても、強い生産予測指数から判断して 10-12 月期も生産の回復が見込めること、CI先行指 数が持ち直していること、17 年には経済対策効果の顕在化が期待できること、などの好材料がある。景気は 先行き緩やかな回復傾向で推移する可能性が高いと予想する。 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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