発行:岩手県国民健康保険団体連合会 発行代表者:海 沼 茂 CONTENTS 02 地域の保健活動を研究発表 地域住民とさらなる取り組みを推進 07 地区担当者で求償事務の対応を協議 取り組み強化に向け意見交換 05 毎年3400億円の確実な財政措置を 10項目の大会決議を採択 08 地域一体で健康づくりを推進 第56回保健活動研究会 国保制度改善強化全国大会 国保盛岡地区協議会 第三者行為求償事務共助 平成28年度「達者の里いさわ健康フェスティバル」 06 介護サービスの質の確保と向上目指し 相談・苦情の実態と対応を学ぶ 平成28年度市町村等介護保険相談・苦情処理業務担当職員研修会 07 医療費適正化に効果あり 実務に即したレセプト点検を研修 国保盛岡地区協議会 診療報酬明細書点検事務研修会 今月の表紙 」 「干し柿のカーテン 滝沢市 冷たい風が吹く中、好天に恵まれた11月23日、 滝沢市の民家を取材。同地域の家々では、軒先 に冬の風物詩「干し柿」をカーテンのようにつ るしていました。 小さな女の子は、渋さの残る柿を食べるしぐ さをし、完成を楽しみにしていました。 の質の確保を図る取り組みが一層求め られている」と述べ、 「本日はデータヘ ルス計画策定に関する取り組み紹介の ほか、保 健 活 動 の 成 果 や 課 題 を 発 表 し ていただ く。 本 研 究 会 は 昭 和 年 か ら 毎年開催 し て お り、 皆 さ ん の 活 動 の 一 助となることを祈念する」とあいさつ した。 次に、 来 賓 あ い さ つ し た 岩 手 県 健 康 国保課の 藤 原 寿 之 総 括 課 長 は「 年 度 からの国 保 制 度 改 革 に 向 け、 保 険 者 に よる保健 事 業 に つ い て は、 被 保 険 者 の 疾病予防や健康づくりに向けた自助努 力への支援が努力義務として位置づけ ら れ た。 こ れ を 受 け、 厚 生 労 働 省 で は 本年5月 に 健 康 に 無 関 心 な 層 に、 よ り 健康づく り に 参 加 し、 継 続 し や す い 環 第56回保健活動研究会 昨年度データヘルス計画を策定した 陸前高田市からは、 「データヘルス計画 策定に関する陸前高田市の取り組みに ついて―健康増進計画等との連携を軸 に ―」 と 題 し、 事 務 担 当 者 と 保 健 師 そ れぞれの立場から計画策定に関する取 り組みが紹介された。 活 躍 さ れ て い る 皆 さ ん に は、 住 民 の 健 康 づ く り の 取 り 組 み 推 進 に、 よ り 一 層 の お 力 添 え を お 願 い し、 本 研 究 会 で 多 くの成果が得られることを祈念する」 と述べた。 県内の市町村保健師など約50人が出席した保健活動研究会 同 市 保 健 課 の 尾 形 良 一 課 長 補 佐 は、 データヘルス計画等の策定を外部委託 に決定するまでの経緯や委託業者の選 定、 役 割 分 担、 具 体 的 な 進 め 方 な ど を 説明した。 (以下、要旨) 土台は保健福祉未来図会議 陸前高田市保健課長補佐 尾形 良一 副主幹 菅野 わか 迷いから立ち戻れる計画を目指し 境 を 作 る こ と を 目 的 に、個 人の 予防 や 健康づくりに向けたインセンティブを 提供する取り組みに係るガイドライン を 取 り ま と め た。 県民 が生 涯に わた り 健 康 な 生 活 を 営 む た め に は、県 民一 人 一 人 が 健 康 づ く り の 重 要 性 を 認 識 し、 主 体 的 に 取 り 組 め る よ う、 関係 機関 や 団 体 な ど が 相 互 に 連 携 を 図 り、 健康 づ くりを支援する体制づくりに取り組む こ と が 必 要 で あ る。常 日頃 から 地域 で 50 2 No.1628 国保連 情報 地域の保健活動を研究発表 地域住民とさらなる取り組みを推進 56 冒頭、本会の鈴木敬之保健介護課長 は、日頃からの保健活動の推進に敬意 を表した上で「昨年5月の国保制度の 改正により、地域住民の健康づくり等 は住民にとって身近で、きめ細やかな 対応ができる市町村が担うこととされ た。 ま た、 昨 年 7 月 に は、 経 済 界、 自 治 体、 医 療 関 係 団 体 等 に よ り、 健 康 寿 命の延伸とともに、医療費適正化を図 ることを目的に、自治体や企業の先進 的な予防・職場づくり宣言2020が 採択され、市町村にも健康づくりの推 進 が 求 め ら れ て い る。 こ の よ う に、 地 域における保健事業の取り組みは、こ れまで以上に大きな期待が寄せられて おり、地域住民の健康保持増進と生活 30 活動紹介 35 来賓あいさつする岩手県健康国保課 藤原寿之 総括課長 あいさつする国保連合会 鈴木敬之 保健介護課長 本会は 月2日、第 回保健活動研究会を国保会館で開催し、県内の市町村保健師など約 人が出席した。研究会では、保健活動紹 介として陸前高田市がデータヘルス計画策定に関する取り組みを紹介した。また、県内3地区(盛岡、岩手中部、胆江・一関)を代表 する発表者が、日頃取り組む市町村保健活動事例を研究発表し、出席者は6つのグループに分かれグループワークを行い、質疑・応答 を通して発表者との意見交換が行われた。 11 データヘルス計画等の策定については、 やむを得ず業者委託を選択してしまっ たことを前提に話をさせてほしい。 市民の生活に関わる関係者 当市では、 が集まり、 震災から復興に向け長期的な 展望を議論し、 地域全体にとって望まし い体制づくりを目的とする「保健福祉 未来図会議」を重要な取り組みとして 行ってきた。震災直後から未来図会議 では「今はこうだけど」 「将来はこうし ていきたい」と話し合ってきた。 こ の よ う な 中、震 災 の 影 響 で 着 手 で きずにいた健康増進計画や食育推進基 本計画等、 5つの計画を策定する必要が あった。整合性を考慮し、 それぞれの計 画 の 関 係 性 を 可 視 化 し た 結 果、全 て の 計画が健康づくりにつながることがわ かった。 の取り組みをまとめており、 これを計画 づくりに活用したいと考えた。しかし、 震災対応関連業務等で人的、 時間的にも 困 難 だ っ た こ と か ら、計 画 策 定 の ア イ ディアやイメージの共有は未来図会議 と行政が行い、 計画書やデータ分析等は 業者委託とした。 業者にはKDBや岩手県のデータ提 供を行ったほか、 保健師面談で方向性の 確認を行い、 日々の業務に迷いがあると きに立ち戻れる計画を目指した。 計画策定は データヘルス計画を含め、 「方向性を共有するための手段」だった。 当市では、 データヘルス計画を策定する こ と で 行 政( 保 健 師、 栄 養 士 等 ) が 目 指すべき方向性が共有できた。 委 託 業 者 と は 距 離 的 な 問 題 が あ り、 データ分析の擦り合わせに時間を費や したが、 未来図会議が計画策定の土台と なった。 保健活動が意識できる計画に 同市保健課の菅野わか副主幹 続けて、 は、 震災から計画策定までの取り組みの 様子を紹介した。 (以下、 要旨) 計画策定に携わった保健師は 人の うち8人 が 震 災 後 の 採 用 だ っ た。 震 災 後は通常業務を軌道に乗せることで精 一杯の状況であり、 新任保健師への教育 も不十分なまま、 担当地区と業務を担っ てもらい、 実践が学びとなるような状態 で保健活動を進めてきた。 基に地域診断を行い、 保健推進員と連携 して地域の現状把握に努めた。また、 作 成 し た 地 域 診 断 結 果 を 町 ご と に「我 が 町の健康課題」として各地区の健康教 室や保健推進員会議、 民生委員会議など で発表し、課題の共有を図った。 計画策定は業者委託と このような中、 なったが、 国保被保険者の健康課題は市 民の健康課題と捉え、 データ分析や住民 との面談などに取り組んだ結果、 大幅な 時間を割くことになった。 苦労は伴ったが、 結果として自分たち で策定した計画という意識が根付いた ほか、 日々の業務に迷ったときに立ち戻 れる計画となり、 実施している保健活動 が計画のどこに当たるのか認識できる ようになった。 事例研究発表は、岩手医科大学衛生学公衆衛生学講座の佐々木亮平助教を助言者に迎 え、山田町健康福祉課の佐々木裕子主任保健師と、本会保健介護課の鳥居奈津子保健事 業専門員が司会進行した。(各発表者の発言要旨は以下のとおり) 24 地域包括ケアシステムの土台へ 岩手町健康福祉課 畠山茜 主任保健師 岩手町健康福祉課主任保健師 畠山 茜 宅を訪問した際に一声掛けるなど、孤立 防止につなげている。また、「生活支援」 で は、 高齢者が生活する上で困難となるごみ 出しや雪かき、 買い物支援などを行ってい る。 5地区から始まった安心生活あいネッ トは、 現在 地区での活動となっており、 取り組みの拡大と高齢者支援のきっかけ づくりとして、 自治振興会間で情報交換会 を開催している。高齢者の情報を地域全 体で共有し、 ニーズを把握することで各地 区ではさまざまな支援が提供されている。 地域の実情に 安心生活あいネットには、 応じた支援方法の発掘と、 地域づくりの2 つの効果があったことから、 今後も活動の 普及拡大と、 地域包括ケアシステムの構築 に向けた土台づくりにつなげていきたい。 24 発表Ⅰ 「岩手町安心生活 岩手町では、 年度に 支援ネットワーク事業」(以下、 安心生活あ いネット) を立ち上げ、 いつまでも住み慣 れた地域で安心して暮らすことができる よう、 行政、 民間事業所、 地域の助け合いに より、町全体で高齢者を支える仕組みを 作った。 安心生活あいネットは、①緊急情報カー ドの管理②支援事業所による見守り③ 「見 守り支援」 と 「生活支援」 による地域活動― の3つを柱に活動している。 では、 高齢者の自 中でも、「見守り支援」 No.1628 国保連 情報 3 10 年 度 に な る と、全 保 健 師 で K D B データや被災者健診の統計分析などを 26 未来図会議では、現状の把握と今後 保健活動紹介を行った陸前高田市保健課の尾形良一課長補佐(右)と菅野わか副主幹(左) 当町で 年度に体操を教える3級指導 者の資格を取得したのは 人。 このうち 歳以上の町民指導者は 人となってお り、 体操で地域住民が元気に過ごせる町 を目指して指導している。 定例会は毎月1日に行い、 旧町村単位 で開催している。 年5月から9月まで の活動実績は、 指導回数 回、 参加者数は 27 28 22 26 絵本や育児書、 育児雑誌をそろえた。 この ほか、ブックスタートを経験したお父さ んたちが中心になり、 お父さんによる読み 聞かせの活動団体もできた。 子ど 今後は見える形での事業評価や、 もの発達に不安を感じている親への早 期介入のほか、 親子が絵本を通して楽し い時間を過ごせる体験を増やしていき たい。 延べ418人となっている。 町民指導者が 行政による活動支援は、 困難に感じたことを話し合う場の提供に 心掛けた。 今後の課題は①指導方法の統 一化②地域の声に応じられるような指導 内容の検討③事業評価④今後の「シルリ ハの会」 の在り方を検討―の4項目と考 えている。 助言者の佐々木助教は 「岩手町の取り 組みは地域の元気な人も巻き込んでお り、 地域包括ケアシステムの構築を意識 しているところが素晴らしい。 西和賀町 は新規の取り組みへの覚悟と決断が評価 できる。 悩みは次のステップへの原動力 になる。 ニーズと要望のほか、 強みを整理 すると新たに見えてくるものがあると思 う。 平泉町はさまざまなところを巻き込 むことでさらに良くなる。 本を手段に親 子、 関係機関、 地域とつながっており、 高齢 者とのつながりにも期待したい」 と助言 した。 今後の保健活動について 「今は個 また、 人や自分で精一杯になりがちだが、 地域 の将来がどうなるのかという部分に目を 向けるようにしてほしい。 疾患があって も住み慣れた地域で暮らしていけるよう な社会を構築するためには、 地域住民を 巻き込んだ取り組みが重要になる。 これ からも一緒に考え、 行動し続けよう」 と呼 び掛けた。 地域の将来像を見据えて 60 出席者は 3題の事例研究発表を受け、 6つの班でグループワークを行った。 各班からは事業の財源、 自治振興会と のつながり、 事業の評価方法、 事業立ち上 げまでの経過など、 質疑が出され、 発表者 と意見交換が行われた。 岩手医科大学衛生学公衆衛生学講座 佐々木亮平 助教 4 No.1628 国保連 情報 住民主体となった介護予防を実践 ダンベルなどの道具を使わずにどのよう な姿勢でもできる。 項目から成る体操 は、 それぞれの体操が何のために、 どの筋 肉を使い、 どの関節をどのように動かせ ばよいか明確である。 シルバーリハビリ体操は、 住民に教え る資格を取得した元気な高齢者が主役に なって実施し、 各地域の高齢者に体操を 教えることから、 町で力を入れたい介護 予防が住民主体の取り組みにつながって いる。 平泉保健センター主査保健師 菅原 優香 18 24 西和賀町健康福祉課保健師 小原 晶子 年度にシルバーリハビリ体操指導者 養成事業が県のモデル事業として行われ ることになり、 西和賀町で取り組みが始 まった。 ま ひ 脳卒中による麻痺がある この体操は、 人のために考案された体操で、 ボールや 92 保 健 セ ン タ ー で は、「 親 子 の コ ミ ュ ニ ケーションを深めるきっかけを作る」 「親 子のスキンシップの時間を増やす」など、 5つの目的を設定し、 月1回の9か月児相 談の中にブックスタート事業を取り入れ、 乳児教室であるピヨピヨ広場と同時開催 にした。 9か月児相談は対象者が毎月約5 組、 ピヨピヨ広場の参加は毎月約 組、 合 わせて 組程度の親子が訪れている。 9か月児相談の参 事業を続けていく中、 加率が上がり、 ピヨピヨ広場の参加者も増 加した。 また、 図書館を訪れる親子が増え たことから、 図書館では赤ちゃんが過ごし やすい環境に整えたほか、 赤ちゃん向けの 15 平泉町保健センター 菅原優香 主査保健師 助言 西和賀町健康福祉課 小原晶子 保健師 親子の絆深める「ブックスタート」 19 0歳児健診などの機 ブックスタートは、 会に 「絵本」 と 「赤ちゃんと絵本を楽しむ体 験」 を提供する活動で、 平泉町では平成 年から始めた。 既に県内では 市町村がブックスター ト事業に取り組んでおり、 実施している市 町村などに運営方法など問い合わせ、 関係 団体と協議した結果、 保健センター主体で 実施することとなった。 10 発表Ⅱ 27 発表Ⅲ 29 陳情書を受け取る藤原崇議員(左)と五枚橋九戸村長(右) 5 情報 国保連 No.1628 国保制度改善強化全国大会決議 一、医療保険制度の一本化を早期に実現すること。 一、平成二十九年度からの毎年三千四百億円の公費投入は遅 滞なく確実に実施するとともに、引き続き財政基盤の強化に 向けた策を講じること。 一、平成三十年度からの新たな財政運営の仕組みに円滑に移 行できるよう、標準保険料率等の設定に向けた支援や保険料 の激変緩和のための措置を講じること。 一、子どもの医療費助成等の地方単独事業実施に係る国庫負 担金・調整交付金の減額措置を直ちに廃止すること。 一、災害発生時においても医療サービスの提供や診療報酬等 の支払が迅速かつ適切に行われるよう、財政支援をはじめ必 口英司議員は「国保財政の改善に向け、 引き続き取り組んでいきたい」と意気 込みを語った。 陳情書を受け取る木戸口英司議員(中央)と藤原和彦専務理事(左)、五枚橋九戸村長(右) りたい」と約束し、黄川田徹議員は「被 災地復興と併せ、国保運営の安定に努 力したい」と決意を述べたほか、木戸 「国保運営の安定に努力したい」と黄川田徹議員(中央) 10 項目の大会決議を採択 17 毎年3400億円の確実な財政措置を 11 国保制度改善強化全 国 大 会 目の大会決議(下表参照)を満場一致 国保制度改善強化全国大会は 月 で採択した。 日、 東 京 都「 明 治 神 宮 会 館 」 で 開 催 さ 大会終了後は決議の実現に向け、本 れ、本会理事の五枚橋久夫九戸村長を 県選出国会議員に対する実行運動が行 は じ め、 水 上 信 宏 洋 野 町 長、 鈴 木 重 男 われ、五枚橋九戸村長を班長とする本 葛巻町長、石原弘田野畑村長など 人 県 陳 情 班 が、 衆 議 院 議 員 7 人、 参 議 院 を含む国保関係者約1500人が参加 議員2人を訪問し、国保に対する財政 した。 措置として 年度から毎年3400億 大会は岡﨑誠也大会会長(国保中央 会会長・高知市長)のあいさつに続き、 円の確実な投入などを強く訴えた。 大 会 宣 言、 来 賓 あ い さ つ が 行 わ れ、 議 陳情書を受け取った藤原崇議員は 事では医療保険制度の一本化など 項 「 国 保 の 諸 課 題 に 向 け、 し っ か り 頑 張 10項目の大会決議を採択した国保制度改善強化全国大会 12 10 要な措置を講じること。 一、保険者及び国保連合会が行う国保データベース(KDB) システム等を活用したデータヘルス事業について、所要の人 材確保や財政措置を講じること。 一、医師・看護師等の確保や地域偏在等の解消を推進し、併せ て介護人材の確保・育成を図るとともに、十分な財政措置を 講じること。 一、医療等分野における番号制度の円滑な運用のため、国の責 任において必要な財政措置を講じること。 一、平成三十年度からの新たな国保制度を円滑に運営するた め、保険者が共同して設立した国保連合会の積極的な活用 を図ること。 一、国民健康保険組合の健全な運営を確保すること。 31 概況説明した国保連合会 金澤克浩 保健介護課長補佐 30 55 55 28 苦情・相談の対応を臨床心理学の立場で学ぶ研修会の出席者 6 No.1628 国保連 情報 ストレスはリラックス法で対処 岩手大学人文社会科学部の山口浩教 授 は「 窓 口 で 苦 情 処 理 を な さ っ て い る 方々のために―臨床心理学の立場から ―」と題し講演した。 山口教授は「苦情・相談窓口には頻回 訪れる人もおり、中には人間関係のこ じれを窓口に持ち込む人もいる。人間 関係のこじれに巻き込まれないために は、交流分析によるエゴグラムに基づ いた自己理解と他者理解がポイントと なる」と述べ、対人関係の4つの構え を説明した。 こ の 中 で 、 山 口 教 授 は「 悩 み や 人 間 関係のトラブルは、自分の中にある① 親②大人③子ども―の3つの自我のバ ランスが崩れたとき、自己をコント ロールする手段を備えていないことが 原因」と話し、自我状態を把握するこ との重要性を訴えた。 ま た 、苦 情 処 理 に 係 る ス ト レ ス へ の 抵 抗 力 と 回 復 力 の 重 要 性 に つ い て「 リ ラックス法を身に付け実践すること で、ストレスへの抵抗力が増強し、反応 の ピ ー ク が 弱 く な る ほ か 、ス ト レ ス 後 の回復も早くなる」と述べ、漸進的筋弛 緩法を紹介し、出席者全員で実践した。 講演した岩手大学人文社会科学部 山口浩 教授 介護サービスの質の確保と向上目指し 相談・苦情の実態と対応を学ぶ で全体の半数以上を占め、法施行当初 から一貫した傾向」と解説した。 ま た、 相 談・ 苦 情 の 想 定 原 因 別 で は 「 説 明・ 情 報 の 不 足、 管 理 者 等 の 対 応、 従業者の態度の3項目で大半を占めて いる。市町村等との情報共有や今後の 平成 年度市町村等介護保険相談・苦情処理業務担当職員研修会 対応の参考としても、できる限り本会 に相談・苦情の報告をしてほしい」と 本会は 月 日、国保会館で平成 年度市町村等介護保険相談・苦情処理業務担 当職員研修会を開催した。市町村や広域行政事務組合などの関係機関から約 人が 呼び掛けた。 出席した研修会では、 年度の相談・苦情業務実績報告と受付事例が説明されたほ 次に、本会の細田重憲苦情処理代表 か、窓口での苦情処理業務を臨床心理学の立場から学ぶ講演も行われ、出席者は相 委 員 は「 介 護 保 険 相 談・ 苦 情 の 事 例 は 談・苦情処理対応に研さんを積んだ。 本会設置の苦情処理委員会で検討して 施している。介護保険制度は 年目を いるほか、岩手県長寿社会課と連絡会 冒頭、あいさつした本会の鈴木敬之 迎え、国民生活に欠くことのできない 保健介護課長は「本研修会は介護サー 議を毎月開催し、対応の協議や情報交 ものとなっており、本会では介護保険 ビスに係る相談・苦情処理担当職員の 換を行っている」と話し、 年度の相 法に基づき、市町村に次ぐ介護サービ 資質向上と対応技術のスキルアップを 談・苦情受付事例を紹介した。 スの苦情処理機関として事業者に対す 目的に、岩手県と共催で 年度から実 この中で、 年度の事例の特徴につ る確実な調査及び的確な指導と助言を い て「 相 談・ 苦 情 の 発 生 要 因 に 大 き な 行うことで、介護サービスの質の確保 変化はないが、住宅型有料老人ホーム と向上につなげていきたい」と述べた。 やサービス付き高齢者向け住宅などで の問題が苦情に発展しており、対応す 事例の蓄積が今後の鍵 べき相談窓口の検討が課題」と指摘し 具体的事例を解説したほか、 「介護サー ビスの質の確保と向上には多くの事例 の 蓄 積 が 重 要 に な る 」 と 述 べ、 相 談・ 苦情の報告に係る協力を出席者に依頼 した。 40 17 本会保健介護課の金澤克浩課長補佐 は、 年 度 介 護 保 険 相 談・ 苦 情 の 概 況 を 説 明 し、 相 談・ 苦 情 の 受 付 件 数 が 本 会 件、市町村等9件の計 件となっ た こ と を 示 し た 上 で、「 相 談 内 容 は 介 護サービスに関する案件が 件中 件 受付事例を説明した国保連合会 細田重憲 介護サービス苦情処理代表委員 27 46 27 13 28 10 27 27 実務に即したレセプト点検を研修 国保盛岡地区協議会 診療報酬明細書点検事務研修会 国保盛岡地区協議会は10月28日、盛岡市庁舎別館で 平成28年度診療報酬明細書(レセプト)点検事務研修会を 開催した。管内6市町から担当者8人が出席した研修会 では、本会担当者が社保・国保審査委員会審査連絡会議 での申し合わせ事項のほか、高点数レセプトや再審査の 査定事例を解説した。 研修会の開催に当たり、盛岡市健康 保険課の髙橋邦夫課長は「近年では高 額の薬剤が認可され始め、一人当たり 医療費の伸び率を懸念している。国で は医療費適正化を推進しており、レセ プト点検業務は重要な要素であること から、本日は点検の知識とノウハウを 吸収し日々の業務に生かすことができ るよう、充実した研修会となることを 祈念する」とあいさつした。 次に、本会審査課の荒屋敷紀子第1 係 長 は、 社 保・ 国 保 審 査 委 員 会 審 査 連 絡会議での申し合わせ事項を説明した ほか、内服薬や注射薬投与の適応外と 過剰、算定要件を満たさない特定保険 医療材料など、本会に請求のあった高 27 45 全72題の事例が紹介された国保盛岡地区のレセプト点検事務研修会 点 数 レ セ プ ト 題 の 査 定 事 例 を 示 し、 診療報酬審査委員会の審査結果や留意 事項、療養担当規則などを解説した。 また、本会審査管理課の小林靖子再 審査係長は、本会に提出された 題の 再 審 査 事 例 を 基 に、 投 薬 の 禁 忌、 実 施 検査の算定要件、各種加算点数などの 注意事項を説明した。 本会では今後も診療報酬審査委員会 の指導のもと、審査支払機関の責務を 遂行しながら、各国保地区協議会の要 請に応じ、実務に即したレセプト点検 のポイントを紹介していく。 地区担当者で求償事務の対応を協議 取り組み強化に向け意見交換 国保盛岡地区協議会 第三者行為求償事務共助 国保盛岡地区協議会は 月 日、国保会館で第三者行為求償事務共助を開催した。 管内8市町から9人が出席した会議では、第三者行為求償事務の取り組み強化や事 務処理方法、加害者への直接請求について協議した。 の負担軽減につながっている」などの 意見が出された。 本会では引き続き、国保地区協議会 単位での第三者行為求償事務共助の開 催を基本としながら、保険者からの要 望に応じ随時対応する方針だ。 取り組み強化などの意見交換が行われた国保盛岡地区の第三者行為求償事務共助 10 27 会議では、事務局が第三者行為求償 事務の取り組み強化について、①レセ プ ト 特 記 事 項 に「 ・ 第 三 」 の 記 載 が 無く、第三者行為の疑いのあるレセプ トの抽出条件②レセプト特記事項への 「 ・第三」記載に係る医療機関との 連携③市町村における消防機関との連 携による発見④ 年度からの受託範囲 拡大⑤第三者行為求償事務標準マニュ アルのホームページ掲載⑥加害者への 直接請求―などを説明し、適切な対応 を依頼した。 また、本会の菅沼章求償事務専門員 は、事案管理などの事務処理方法や加 害者への直接請求について説明したほ か、出席者から事前に提出されていた 質問事項に対し過去の弁護士相談事例 などに基づいて回答した。 このほか、 年度から市町村と損害 保険6団体により締結した傷病届の作 成等の援助に関する覚書の効果につい て意見交換が行われ、出席者からは「傷 病届の提出件数が増加し、中には把握 していなかった事案もあるため、事務 No.1628 国保連 情報 7 10 29 28 医療費適正化に効果あり 10 「人生のしまい方」と題して講演する八鍬誠副院長 認知症座談会では参加者が認知症予防体操を体験 ハピルスくんはかわいい子どもさんと1枚 イベントではマグロの解体ショーを実演 10 お年寄りが人 の手を借りずに 自分でメークす る「 化 粧 療 法 」 が介護現場で広がりを見せて い ま す。 気 持 ち が 前 向 き に な る ほ か、口 紅 や フ ァ ン デ ー ションをつける一連の動作が 脳 の 働 き を 活 発 に し、認 知 症 の悪化を防ぐ効果もあるよう で す ▼ 参 加 し た 人 か ら は「 鏡 を見るためにまっすぐ座れる よ う に な り、食 事 も 一 人 で と れるようになった」 「体を支え る 力 が つ き、一 人 で ト イ レ に 行くことができた」など、変化 を 喜 ぶ 声 が 多 く あ り、気 持 ち の 変 化 に 加 え、脳 や 体 へ の 刺 激、顔 へ の マ ッ サ ー ジ 効 果 で 唾液分泌などの口腔ケアにも 効果が期待できます。この「化 粧療法」、今後は介護予防事業 として自治体での導入検討も 期 待 で き そ う で す ▼ さ て、情 報国保連は今回号が本年最後 と な り ま す。 担 当 と し て 反 省 点 も 山 の よ う に あ り ま す が、 さ ま ざ ま な 情 報 提 供 を 通 し、 市町村支援が行えるよう頑張 り ま す の で、来 年 も よ ろ し く お願いいたします。 (熊谷) 8 No.1628 国保連 情報 地域一体で健康づくりを推進 講話する奥州市国保まごころ病院の及川雄悦院長 ま た、 会 場 に は 運 動 体 験 や 減 塩 料 理 の 試 食 コ ー ナ ー が 設 け ら れ、 隣 接 す る 高 齢 者 総 合 福 祉 施 設「 ぬ く も り の 家 」 で は、 太 鼓 や 管 楽 器 の 演 奏、 マ グ ロ 解 体 の 実 演 など多彩な催しも行われた。 この日参加した国保イメージキャラク タ ー「 ハ ピ ル ス 」 く ん は、 国 保 税 期 限 内 納 付 を 呼 び 掛 け る チ ラ シ や、 岩 手 県 保 険者協議会が作成した特定健診受診勧奨 リ ー フ レ ッ ト を 来 場 者 に 配 布 し、 積 極 的 に ア ピ ー ル。 こ の ほ か、 会 場 に は「 介 護 保 険 相 談 コ ー ナ ー」 が 設 置 さ れ、 本 会 保 健 介 護 課 で は 介 護 サ ー ビ ス に 係 る 相 談・ 苦情を受け付けた。 保険者へのレセプト公開日は12月6日です 15 in 本会保健介護課では「介護保険相談コーナー」を開設 院 の 八 鍬 誠 副 院 長 が「 人 生 の し ま い 方 」 と 題 し て 健 康 講 演 会 を 開 催 し た ほ か、 午 後 に は「 認 知 症 座 談 会 」 が 開 か れ、 及 川 雄悦院長が認知症に関する講話を行った。 ま た、 座 談 会 で は、 奥 州 市 キ ャ ラ バ ン メ イ ト「 ス マ イ ル 2」 に よ る 認 知 症 を テ ー マ に し た 寸 劇 が 上 演 さ れ、 参 加 者 は 演 者 が 見 せ る 迫 真 の 演 技 に 引 き 込 ま れ、 認 知 症について深く考えていた。 6日 在宅保健活動者連絡協議会「役員会」 (国保会館) 8日 第4回保健事業支援・評価委員会 (国保会館) 14日 交通事故弁護士相談 (国保会館) 15日 再審査部会 (国保会館) 柔整審査会 (国保会館) 16日 審査委員会(~20日) (国保会館) 19日 保険料 (税) 算定マニュアル研修会 (国保会館) 20日 保険料 (税) 算定マニュアル研修会 (国保会館) 21日 保険料 (税) 算定マニュアル研修会 (国保会館) 市町村医師養成協議会運営委員会 (国保会館) 22日 第1回市町村医師養成協議会 (国保会館) 平成 年度「達者の里いさわ健康フェスティバル」 医 療 環 境 や 福 祉 サ ー ビ ス、 健 康 づ く り な ど を 考 え る「 達 者 の 里 い さ わ 健 康 フ ェ ス テ ィ バ ル 」 は 月 日、 奥 州 市 胆 沢 区 の健康増進プラザ悠悠館などで開催され た。 「みんなで健康づくり いさわ」をメイ ン テ ー マ に、 「やっぱり今年もどんと来 い! 認 知 症 」 を サ ブ テ ー マ と し て 行 わ れ た イ ベ ン ト で は、 奥 州 市 国 保 ま ご こ ろ 病 12月の行事予定 28
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