そうだったのか

そうだったのか
高次脳機能障害
図 2 高次脳機能障害の原因疾患・年齢と福祉サービス
高 次 脳 機 能 障 害の人の支 援では、 支 える 制 度 が「 障 害 福 祉
サービス 」と「 介護保険サービス 」の二つの制度にまたがってい
るのが分かりにくいところです。ここからは主に、障害福祉系
のサービスを紹介します。
介護保険だけでなく
障害福祉サービスを忘れずに
押さえておきたい制度と資源
脳血管疾患
介護保険と障害福祉にまたがる
病気と年齢で制度が違うのはなぜ?
療育手帳
障害支援区分認定
的障害と比べて、リハビリ医療も福祉制度も、充実したのは
65 歳以上
※併用する場合
要介護認定
最近のことなのです。
障害者総合支援法に基づくサービス
例えば、さまざまな経済的な支援が受けられる障害者手
介護保険サービス
帳。高次脳機能障害が精神障害者保健福祉手帳の対象
となることは、意外と知られていません( 図 1 )
。
国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター資料を改変
ただし高次脳機能障害の中でも、身体にまひがある場合
と失語症の場合だけは、身体障害者福祉手帳の対象にな
ります。失語症はまわりからも分かりやすいため、リハビリ医
2000 年には介護保険が制度化されたことで、65 歳以上
療の歴史も古く、身体障害者手帳の対象として認められて
と、40 歳~64 歳で脳血管性疾患による高次脳機能障害の
きた経緯がありました。しかし失語もなく、身体障害を伴わ
人は介護保険の対象となりました。すると、それ以外の若
ない人の場合は、長らく手帳制度の対象外だったのです。
い人たちが狭間に残され、支援をどうするかがクローズアッ
手帳がないと福祉サービスを受けられない時代が長くあり、
プされました。
2001 年、国は高次脳機能障害に特化した、支援モデル
こうした中、1995 年に精神障害者保健福祉手帳が制度
事業をスタート。2006年にはモデル事業を引き継ぐ形で、高
化。高次脳機能障害は「 器質性精神障害 」の一つという
次脳機能障害支援普及事業が始まり、全国に支援拠点機
形で、精神障害の対象となりました( 実際には、精神障害
関の設置と支援コーディネーターが設置されます。
図 1 障害者手帳制度と高次脳機能障害
精神障害者保健福祉手帳
65 歳未満
※原則介護保険優先だが、併用も可能
ここ10 数年で注目されるようになった新しい障害。身体・知
というくくりに、抵抗を感じる人は少なくないようです )
。
身体障害者手帳
40 歳以上
高次脳機能障害は、医療の発展と脳科学の進歩により、
高次脳機能障害は、制度の狭間の問題になっていました。
手帳の種別
40 歳未満
外傷性脳損傷、低酸素脳症、脳炎など
高次脳機能障害者が対象となる場合
身体のまひや失語症( 言語機能障害 )
、視野の障害等がある場合など
手帳の等級
1〜6級
記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害、失行症、失認症等
がある場合など
1〜3級
18 歳未満の発症・受傷により、知的障害がある場合など
1〜4級
ビスの適用となります。もちろん40 歳未満の人も同様です。
介護保険優先でも
就労系の障害サービスは併用 O K
40 代で脳卒中を発症。後遺症として記憶障害、注意障
害などの高次脳機能障害が残りました。介護保険の対象
一方、障害福祉サービスは、2012 年障害者自立支援法
なので、退院時にケアマネジャーが呼ばれ、とりあえず、社
から障害者総合支援法へ。近年、就労系や相談系の事
会参加目的でデイサービスへ。しばらくすると、本人が「80
業所が増加し、高次脳機能障害の人を受け入れるところも
代や90代の人が多いデイサービスに行きたくない」と拒否。
増えてきています。
あちこちの通所を試してみるも、なかなか合わない。
こうした経緯から現在、高次脳機能障害をめぐる制度
そんなときは、障害者福祉サービスを選択肢にするのも
は、原因疾患と年齢によって制度が異なるややこしい仕組
一つの手です。介護保険優先じゃないの?と思われがち
みとなっているわけです( 図 2 )
。65 歳以上の人は介護保
ですが、それはホームヘルプやショートステイなど類似サー
険の対象です。
ビスの場合。介護保険にない自立訓練、就労支援のサー
老化が原因の病気であることが給付を受ける条件のた
ビスは、障害者総合支援法のサービスを併用してもいいこと
め、40 歳~64 歳の第 2 号被保険者では、脳血管疾患の場
になっています(自治体によっては、上乗せで障害福祉サー
合のみが介護保険の対象。特定疾病以外の脳外傷や、低
ビスを併用できるところもあります )
。次のページでは、その
酸素脳症などの場合は対象外です。例えば、40 代で交通
うち代表的なサービスを紹介します。
事故に遭い高次脳機能障害になった人は、障害福祉サー
22
月刊ケアマネジメント 2016.12
月刊ケアマネジメント 2016.12
23