平成28年度 北 海 道 小 学 校 長 会 地 区 活 性 化 支 援 事 業 【 実 践 事 例 レ ポ ー ト 】 1 報 告 地 区 :後 志 地 区 2 事例報告学校名 :共和町立西陵小学校 3 報告者 :校長 氏 家 裕 子 4 キ ー ワ ー ド :学 力 向 上 に 向 け た 取 組 1 はじめに 本校は児童数84名の小さな学校です。少人数を生かし,学校経営方針の中に「つながり」と「ぬく もり」を基本理念のキーワードとして掲げています。学力向上においても,「児童と向き合ってつ ながり課題を的確に把握すること」「教職員相互がつながり足並みをそろえること」「家庭とつな がり理解と協力を得ること」を意識し,取組を行ってきました。27年度からは全国学力・学習状 況調査においても全教科で全国平均を上回る結果となっています。その中でも,学力・学習調査や 標準学力調査等データを分析した結果,本校児童の課題は「読む力」「考える力」にあると捉え, 今年度はその解決のため,特に読書活動に重点をおいた取組を行っています。 2 学校教育プランでの目的と取組の共有 今の児童にどんな力を身に付けさせ,そのためにどんな具体 策をいつするのか,全教職員で共有し組織的な取組をすること が大切です。そこで年度の始めに学校経営方針に基づき学力向 上に特化した「学校教育プラン」を作成しています。後志で統 一した形式を使用していますが,本校では学力を支えるものと 教育プラン(一部) して体力づくりや学校評価,学校職員評価等を関連付けて記載 しています。またこの中で示した具体的な方策や目標については,見やすく分かりやすい形に作り 直し,授業参観後の全体会などで保護者に説明し,家庭との連携を図っています。 図書委員の読み聞かせ 3 学力向上に関する主な取組 (1)「読む力」「考える力」を育む読書活動の充実 本校児童の課題である「読む力」「考える力」の育成に加え, 豊かな心や,全教科の土台となって生涯生きて働く力を身に付 けさせるために,学校全体で読書活動の充実に取り組んでいま す。まず,全図書をデータ化し,見やすくワクワクする図書室 に整備し学校図書館としてリニューアルしました。その上で, 町の図書室,道立図書館と連携し,下のような様々な読書活動 を行っています。また,調べ学習や並行読書等,読書と学習が つながる授業づくりについて研修を深めています。 作った POP の交流 ≪今年度の読書推進活動≫ ①朝読書 ②高学年の低学年への読み聞かせ ③図書委員の昼の読み聞かせ会 ④読書発表会 ⑤スイミーを作ろう(カードで読んだ本の紹介) ⑥町図書特別展示 ⑦道立図書館員の POP 作り指導 ⑧図書ボランティアのお話し会(人形劇) ⑨図書委員会図書クイズ ⑩図書館 NDC ビンゴ ⑪児童・家庭向け図書便り発行 ⑫全教職員によるシャッフル読み聞かせ ⑬児童読書アンケート 取組の結果,図書への関心や貸出数は大幅に増加,現在家読の定着を目指しているところです。 (2)つながりを意識した授業改善 学力向上において授業改善は不可欠です。本校では課題解決的な学習の流れを押さえた授業 を行うことに加え,次の3つの「つながり」を意識した授業改善に努めています。 ①学習内容のつながり…学習内容を既習事項に結び付けたり,違いに着目したり,発展的に活 用しようとする。 ②他者とのつながり…「考えを持つ→伝え合う→聞き深める」の学習過程を通して自分の考えを広げ, 深めようとする。 ③生活とのつながり…生活に生きていることの気付きや有用感をもち,生活に活用していこうとする。 (3)挨拶,返事,言葉遣い,正しい姿勢の習慣化 「共和町学びのルール」を受けて本校でも全校統一した学習規律を作成し,各教室に掲示して 定着を図っています。とともに,学習の土台である,挨拶,返事,言葉遣い,正しい姿勢(立腰) の習慣化を目指しています。児童会でも挨拶運動や正しい姿勢の呼び掛け,ポスター作りなどの 取組を行っています。 (4)家庭学習の定着にむけた家庭との連携 学力向上のためには家庭学習の定着が重要なポイントであり, そのためには学年が下がるほど家庭の協力が必要です。本校では 学年の発達段階を考慮した「学習の手引き」を発行し,家庭学習 の必要性,進め方,時間のめやす,保護者の役割などを説明して いますし,特に中学年以下では音読カードや家庭学習チェックカ ード等を使って家庭との連携を図っています。更なる協力を得る ためには学習内容への理解も大切であると考え,学校だよりで は授業の基本的な流れや担任の工夫などを取り上げ,実際の板 書や授業の写真などを使って説明。担任は学級通信で現在行っ ている学習内容や家庭の助けが必要な部分などを具体的に書く 学級 通信での 学習のお知 らせ ようにし,保護者の学習への関心と協力を促す努力をしています。 書画カメラは日常的に使用 (5)ICT機器を活用した授業と個に応じた指導 学級1台ずつ配置されている書画カメラやタブレット端末等 ICT 機 器を日常的に,様々な授業で,効果的に活用することによって, 学習課題への興味・関心を高めたり,学習内容を分かりやすく 説明したり,深まりのある交流や発表につながったりするなど 子どもたちの学びを助ける効果をあげています。 支援員が入り個に応じた授業 また,学習に「困り感」をもっている児童もいるという実情 を踏まえ,町教委による予算付けで支援員が2名配属されています。配属された支援員は,教 務により算数や国語など「困り感」の大きな授業の時間割に計画的・効果的に組み込むとともに, 授業前後に担任との打合せをもち,指導の在り方や個々の児童の課題を共有することにより,き め細かな個に応じた指導がより効果的に行われるよう工夫しています。 4 おわりに 本校で行っているのは画期的なことや新しいことではありませんし,多くの学校で行われている 取組です。大切なのはあたりまえのことをあたりまえに行うこと,目的を共有し組織的に行うこと, 全教職員の指導の足並みがそろうことだと考えています。教職員の協働意識の醸成が重要であり, その意味で「学校教育プラン」は一つのつなぎの役割をもつと感じます。今後も教職員個々としっ かりとつながり,向き合いながら共働の意識を高めていきたいと思います。
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