進み始めるHDR対応 その現状と将来を考える

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特別レポ
朗・本誌
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瀬
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レポート
津貴信
写真:川
ート
開催レポ
進み始めるHDR対応
その現状と将来を考える
「ここまで続くとは」と振り返る呼びかけ人
デジタルハリウッド大学学長の杉山知之氏とデジタルAV評論家
で日本画質学会副会長の麻倉怜士氏が呼びかけるイベント「4K
olympAc」が10月22日に開催された。6回目を迎えて、会場をこ
れまでのデジタルハリウッド大学「駿河台ホール」から東京・大
田区にあるアストロデザイン本社で開催した。新しく登場した
HDR対応4Kテレビの比較はもちろん、HDR規格の各方式の違
いや特徴に踏み込んだパネルディスカッションなど、最先端の
4K事情を探るにふさわしい内容となった。
デジタルハリウッド大学の
杉山知之学長
第 1部
スプレイに4K画質の美しい風景映像を配信する
広がりを見せる
4Kビジネスの世界
デジタルAV評論家の
麻倉怜士氏
実際、映像は高い完成度を誇っており、冒頭の
という新たなビジネスモデルだ。目指すものは
朝日が昇るシーン、また海が日光に照らし出され
「風景の流通」で、風景映像を持つ人間と風景
るシーンの何層にもわたるグラデーションなど
を求める人間をつなぐサービスを目指すという。
は、HDRそしてUHD BDのポテンシャルを最大
当面の対象はB to Bモデルで、オフィスや病
限に引き出した素晴らしい映像だった。
「最近の4K動向」と題して展開された第1部
院、会合施設など心休まる映像をほしがる場所
「正直、フルハイビジョンでの映像表現に限界
では、4K映像を用いた新たなビジネスの可能性
がメインとなるが、例えばレストランで料理に合
を感じていた中で、作り手として夢をいただいた」
が示された。
わせた風景を提供するなど、利用場所やシーン
(西浦氏)。データ数値で見ても、コンテンツ最
2016年6月に立ち上げたというランドスキッ
とかみ合った展開も考えているという。
大輝度992nit、平均輝度も400 nit。4K60p、し
プ代表取締役社長の下村一樹氏が提唱する「風
その先に見据えるのは、家庭用4Kテレビへの配
かもハイレゾ音源で展開される本編60分+映像
景の動画配信サービス」は、天井や壁面のディ
信だ。「テレビを旅行先の窓に変える」
(下村氏)
と
特典14分の映像世界は一見の価値あり。当日、
会場で特別上映したUHD BD +ハイレゾの『宮古
島 癒しのビーチ』で改めて実感する最高画質と最
高音質の 癒し 効果
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1 -2017
いう発想は興味深い。テレビの電源がつけっ放しに
急遽4K/HDR映像とハイレゾの視聴ができる上
なることや、連続使用に伴うバックライトの寿命な
映セットをソニー PCLが持ち込んでくれた。参加
ど気掛かりな点もあるが、臨場感のある高画質映
者は4K/HDRとハイレゾの最高品質を触れること
像時代のサービスとして期待できるのではないか。
ができたのも貴重な機会となった。
第1部後半は、ソニー PCLとビコムが共同で
第1部 の 最 後 は 杉 山 学 長 から の 報 告 。
制作した4K/HDR +ハイレゾのUltra HD Blu-ray
伊 勢 丹 新宿本店メンズ館を中心に展開された
(UHD BD)
『宮古島 癒しのビーチ』に関する報
4K映像の活用事例だ。報告は、店舗に設置し
告。完成度の高いヒーリング映像ソフトとして話
た98インチの大型ディスプレイにイタリア・フ
題を集める本作の制作意図や狙いが語られた。
ィレンツェで撮影したファッションショーの映像
演出を担当したビコム制作部長の西浦浩資氏
やデザイナーインタビューなどを上映するという
は、「世界最高水準を目指した」と胸を張った。
もの。特に注目を集めたのは、ディスプレイの