健翔会だより59号が発行されました。

いつまでも健康な体でどこまでも
けん しょう かい
健翔会だより
59
発
行
所
香川県坂出市川津町
号
(〒762-0025)3329-14
医療法人社団 健翔会
堀
2016・12 月 1 日
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口 医 院
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今月も皆で
勉強しましょう。
堀口 裕 先生
意識の集中が酸素不足をまねく
私たちは日常生活の中で、何かに意識を集中させていることがとて
も多いです。例えば熱心に勉強しているとき、趣味の編み物や工作
をしているとき、複雑な事務作業をしているとき、手書きで図面や
絵を描くとき、そしてハラハラドキドキのテレビや映画を、固唾(か
たず)を呑んで見ているときなど、本当に多くの場面で意識を集中し
ています。実はこのとき、無意識に息をこらえてしまっています。
つまり酸素を吸うことを忘れているのです。同時に二酸化炭素を吐
き出していないのです。このような事態は身体の新陳代謝を悪く
し、さまざまな病気へとつながっていきます。
悪化サイクルは冬に最大となる
酸素欠乏状態が病気を起こす
そもそも酸素を吸わないと、身体は酸素欠乏状態になります。人の
身体は、どの部位もすべて細胞でできていて、酸素が不足すると細
胞の働きが低下し、ときに死滅するかも知れません。例えば脳神経
細胞は、細胞の中で糖分からエネルギーを作り出し、活発に活動し
ています。でも幾ら糖分が沢山あっても酸素が無いなら、細胞でエ
ネルギーを作ることができません。その結果、思考が止まってしま
い、すぐさま意識を失うこともあります。また長期間かけて認知症
へと発展するかも知れません。一方、身体中の細胞が酸素不足にな
れば糖分の利用が悪くなりますので、血液中は糖で溢れ、糖尿病に
なるかも知れません。さらに多くの癌患者さんにおいて、末梢の低
酸素症が認められていますが、癌の発症そのものが酸素欠乏状態の
環境で起こります。そのためか癌細胞は、たとえ酸素が無くても生
これが冬期ともなれば、この悪化サイクルは最高のレベルに達し
ます。冬は何といっても寒いです。気温が下がることによって身
体が冷え、それだけで血行障害になります。もう一つの現象は空
気の乾燥による静電気帯電です。静電気は自律神経を緊張させ、
血管を収縮させます。そのため容易に血行障害に陥ります。これ
ら2つの理由から、重篤な病気は冬に起こりやすく、持病は冬に
悪化し易くなるのです。
きられる細胞に変化しているのです。
酸素欠乏の悪化サイクルとは?
たかが意識の集中による酸素不足で、何故それほどまでに病気に発
展するのでしょうか。それには酸素欠乏を増幅する悪化サイクルが
あるのです。意識の集中と言えば聞こえは良いが、大体において精
神の緊張を伴うことが多い。つまり自律神経系の緊張が起こってい
るのです。この自律神経の緊張は、末梢血管を収縮させしまうので、
全身の血行障害が起こり、そのことがすでに酸欠状態を招いている
のです。結局、日常の多くの場面で、無意識な息こらえと自律神経
系の緊張により、酸素欠乏状態が繰り返され、細胞の新陳代謝が悪
くなっているのです。しかし、酸素欠乏の原因はそれだけではあり
ません。最初の酸素欠乏状態が筋肉に起こると、筋肉細胞内に乳酸
経の緊張緩和につながります。それによって末梢の血管が拡
張し、全身の血行を促します。それが酸素欠乏の改善につな
がります。いろいろな呼吸法がありますが、7分目程度でゆ
っくり鼻から吸って、ゆっくり口から吐き出す。それを2~
3回繰り返す。それを1セットとして、1日4回(朝、昼、夕、
寝る前)ほど行って下さい。
② ゆっくりと散歩をすること
激しい運動は、自律神経を緊張させます。反対にゆっくりし
た散歩は、自律神経の緊張を緩和します。1日20分から3
0分ほど、日課として行って下さい。そうすれば少しずつ血
行の良い状態が定着していきます。
③ やや温めのお風呂に肩まで浸かること
が蓄積します。乳酸が溜まった筋肉は、いわゆる凝りの状態です。
筋肉の凝りは、末梢血管を圧迫しますので、さらに血行障害がひど
くなります。ひどい血行障害はますます酸素欠乏状態をつくり、細
胞の新陳代謝は極度に悪化します。これが酸素欠乏を増幅する悪化
サイクルです(図1)。
酸素欠乏の改善法
① ゆっくりとした深呼吸をすること
病院に来られて血圧が高いと、看護師さんは、
「一度深呼吸を
してください。」と言います。そうやってから血圧を測ると、
随分と下がっていることがあります。深呼吸は酸素を取り入
れ、同時に二酸化炭素を吐き出す動作ですが、これは自律神
40℃から41℃のややぬるめのお風呂に浸かる方が、自律
神経の緊張が和らぎ、血行が良くなり易いです。湯舟に浸か
る時間は数分でも構いません。
体調が悪くならないように、1~2分浴槽に浸かったり、出
たりの繰り返しでも良いです。
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④ 冬場には、寒さと静電気帯電を防ぐこと
寒さを防ぐには、日中に使い捨てカイロを足裏、腰、背中など
に衣類の上から貼って下さい。尚、夜間の睡眠中は低温やけど
〈1〉不必要な間食は控える
間食の大半はお菓子やフルーツなど、食物繊維が少な
く、消化の早い単純糖質の食品です。間食のエネルギー
量は3度の食事に比べれば少ないのですが、血糖が急速
に上昇し元のレベルに戻るまで時間がかかります。
スポーツや労働で必要になる補食は別ですが、そうでな
ければ、不必要な低繊維・高糖質の間食はなるべく控え
ましょう。
の原因になりますので、貼らないで下さい。静電気対策は、室
内にタオルなど厚手の生地の洗濯物を干したり、加湿器を利用
して下さい。50%ほどの湿度が良いでしょう。
⑤ 還元電子治療を実践すること
還元電子治療の最大の特徴は、自律神経バランスを改善するこ
とです。また筋肉の凝りを解消するのに有用です。可能な方は
1回20分間、1日4回の実施が望ましいです。ところで、こ
の治療は身体に電子を与える治療法ですが、身体に溜まった静
電気を消去するのにも、大活躍します。
⑥ スクアレンの可能性
食品成分の中にスクアレンというものがあります。これは深海
サメの肝臓に多くありますが、もちろん人の身体の中にもあり
ます。腰痛や膝関節痛などで、比較的軽微な慢性炎症を抑える
〈2〉食物繊維を毎食、先に食べる
のに役立ちます。その他末梢組織において、酸素量を増やす効
果も期待されています。
⑦ その他、リラクゼーションや筋肉の凝りの解消につながること
を実践してください。音楽を聴いたり、コンサートやカラオケ
に出かける。お友達とお茶を飲みながら会話を楽しむ。ちょっ
とした山登りをする。あるいはマッサージや鍼治療、ヨーガや
体操、郭林気功などいろいろとチャレンジしてみて下さい。
〈3〉遅い時間に夕食はとらない
いろいろ豆知識
糖尿病を食い止める食習慣
近年の研究により、たとえ糖尿病を発症していない予備
群であっても、食後高血糖があると動脈硬化の進行が加速
することがわかってきました。
空腹時には血糖値が正常レベルまで下がるので、一見、
問題がないように思える食後高血糖ですが、食後の血糖値
の上昇幅(血糖の変動幅)が大きいほど、血管へのダメー
ジが増大すると考えられ、動脈硬化の独立した危険因子に
なります。
空腹時血糖値が100mg/dl を超えているなら、糖尿病
予備群または初期の糖尿病を疑い食後の血糖値を調べるこ
とをおすすめします。最近では、自宅で簡単に血糖値を確
認できる尿糖試験紙があり、薬局で手軽に購入できます。
食習慣で気をつけたい3つのポイント
糖尿病の原因である、インスリンの分泌異常とインスリ
ンの抵抗性は、いずれも、生活習慣の影響を大きく受けま
す。このため、薬物治療の有無にかかわらず、食事内容や
運動不足などを改善しなければ血糖値の良好なコントロー
ルは期待できません。
食後高血糖があるのに「空腹時血糖値はまだ正常値内だ
から」
「薬物治療をしていないし、通院は半年に1回程度
だから」などと油断して生活習慣を見直さないでいると、
動脈硬化が進み、気づかないうちに中等度や重症の糖尿病
へ進行していきます。
特に食後血糖に直接関わる食習慣は注意が必要です。次
の3つのポイントを参考に、1日3回バランスのよい食事
を心がけましょう。
野菜や海藻、キノコ、玄米など表皮がついた穀類や豆
類に多く含まれる食物繊維は、糖質の消化・吸収速度を
穏やかにするので毎食必ずとるようにしましょう。先に
食物繊維を多く含む食品をよく噛んで食べてから、主食
の炭水化物を食べるようにすると食後高血糖を改善でき
ます。食物繊維が少なく炭水化物中心の食事は、食後高
血糖を招き肥満にもつながります。麺類やおにぎり、パ
ンだけといった食事メニューは避けましょう。
遅い時間に量の多い夕食や夜食をとる習慣は、脂肪肝
や肥満の大きな原因になります。また寝る前に食事をす
ると翌朝の血糖値を上げたり、胃もたれのために朝食を
抜いたりする原因になります。仕事の都合などで、どう
しても遅い夕食をとる場合は、炭水化物を控えめにした
メニューを心がけましょう。
また、1食分を2回に分けて夕方早い時間に炭水化物、
帰宅後の遅い時間にタンパク質などのおかずをとる方法
もあります。軽い空腹感で寝ることに慣れるようにしま
しょう。
食後の軽い運動が食後高血糖改善のコツ
運動にはいくつもの効果がありますが、食後に体を動
かすと食後血糖値が改善されます。筋肉を動かすとその
刺激で、インスリンの作用に関係なく、実際に動かした
筋肉の細胞へ血液中のブドウ糖が取り込まれる(運動依
存性の糖の取り込み)ので血糖値が下がるのです。食後
高血糖の改善のためには、血糖値が上がりやすい食後
30分くらいから運動をするとよいでしょう。ウォーキ
ング以外にも立って行う家事(台所仕事や掃除、洗濯物
干しなど)のような軽い動作でも効果があるので、毎食
後の活動をすこしずつ増やすところから始めてみましょ
う。
日頃から自分の血糖値の変化に注意し、異常があれば
ちょっとした生活習慣を変えることで、血糖値はずいぶ
ん改善されます。糖尿病や糖尿病予備群と初めて診断さ
れたら、まだ初期だからと油断せず、食事や運動で生活
習慣を改善し、必要であれば薬の助けを借りて血糖値を
コントロールしていくことが大切です。
出典:こまどNo49
株式会社こまど
2016年9月発行