263.0 ln

半導体⼯学
学籍番号
4回⽬
⽒名
1. シリコンのpn接合に関する以下の問題に答えなさい。ただし、T=300[K]、n層中のドナー濃
度をND=5×1017[cm-3]⼀定、p層中のアクセプタ濃度NA=1×1017[cm-3]⼀定とし、室温にお
ける⾃由電⼦濃度および⾃由正孔濃度は不純物濃度にほぼ⼀致している飽和領域であると仮定
して計算しなさい。ただし、n層・p層の各伝導帯の下端および価電⼦帯の上端のエネルギーを
それぞれEcn、 EcpおよびEvn、Evpとする。また、必要に応じて以下の物性値を⽤いて良いとす
る。
伝導帯実効状態密度NC[cm-3]
2.86×1019
価電⼦帯実効状態密度NV[cm-3]
2.66×1019
バンドギャップエネルギーEg[eV]
1.12
真性キャリア密度ni[cm-3]
9.65×109
Siの⽐誘電率εr
11.9
真空の誘電率ε0 [F/m]
8.85×10-12
n層およびp層のフェルミエネルギーEfnおよびEfpを計算しなさい。
(1)の結果を基にバンド図をできるだけ正確に記載しなさい。
拡散電位VD[V]を求めなさい。
Siのpn接合ダイオードの拡散電位VDを⼩さくするためには、どのような⼯夫をすれば良いか
を述べなさい。またその理由を簡単に記載しなさい。
(5) 印加電圧を0[V]および-10[V]としたとき、それぞれの場合の空乏層幅xDを求めなさい。
(6) 印加電圧を0[V]、-10[V]としたとき、それぞれの場合の単位⾯積あたりの接合容量C[F/m2]
を求めなさい。
(1)
(2)
(3)
(4)
(1) 問題⽂に記載されているようにSiは室温で飽和領域であることからn~ND, p~NAより
N 
E fn  ECn  k BT  ln D   ECn  0.105[eV ]
 NC 
N 
E fp  EVp  k BT  ln A   EVp  0.263[eV ]
 NV 
(2)バンド図は以下の通り。縦軸をeVで書けば下記、Jにする場合は数値をJに直すこと
電⼦のエネルギー [eV]
n層
拡散電位 VD
ECn
Efn
EVn
0.105
p層
ECp
1.12
0.144
Efp
EVp
(3)
拡散電位はVD=1.12-0.144-0.105=0.871 [V]
(別解) VD 
1017  5 1017 
k BT  N D  N A 

 ln


0
.
0259
ln
 0.878[V ]

2
9 2


q
(
9
.
65
10
)
n


i


(4) 拡散電位を⼩さくするためにはEC-EfnおよびEfpーEVの⼤きさを⼤きくす
れば良い。これらは、以下の式で表される。
N 
E fn  ECn  k BT  ln D 
 NC 
N 
E fp  EVp  k BT  ln A 
 NV 
したがって、NDおよびNAを少なくする、すなわちn層およびp層のドナーおよ
びアクセプタ不純物の濃度を下げれば拡散電位VDすなわちダイオードの⽴ち上
がり電圧は⼩さくなる。
(5)
xD 
2
q
 1
1 
VD  V 


 N A ND 
V=0[V]のとき、xD=0.117 [μm]
V=-10[V]のとき、xD=0.414 [μm]
(6)
C

1
q N A N D

2 N A  N D VD  V xD
V=0[V]のとき
C=0.899[mF/m2]
V=-10 [V]のとき C=0.254[mF/m2]
半導体⼯学
学籍番号
4回⽬
⽒名
2. pn接合ダイオードについて考える。
① ND=1018cm-3のn型シリコンとNA=1015cm-3のp型シリコンによるpn接合型ダイオードにお
いて、空乏層幅は、どちらの⽅が、どれだけ⻑いか。
② 下のバンドダイヤグラムにおいて、順⽅向電圧V および逆⽅向電圧-Vを加えたとき、バン
ドダイヤグラムがどうなるか、概略を描きなさい。
①p型層およびn型層に拡がる空乏層幅をxpお
よびxnとすると
p型
ND×xn=NA×xp より
エネルギー[J]
エネルギー
EECCp
ECn
p層側の⽅が、1,000倍⻑い。
n型
Efp
EF
Efn
EEVVp
|q×VD|
EVn
x=-xn
(別解)
n層側に拡がる空乏層幅
xn 
NA
2
VD
qN D N D  N A
p層側に拡がる空乏層幅
xp 
ND
2
VD
qN A N A  N D
x=xp
を⽤いて解く。
拡散電位VDを求める。
N 
E fn  ECn  k BT  ln D   ECn  0.0867[eV ]
 NC 
N 
E fp  EVp  k BT  ln A   EVp  0.144[eV ]
 NV 
拡散電位はVD=1.12-0.0867-0.144=0.889 [V]
NA
2
VD  1.08[nm]
qN D N D  N A
xn 
2
ND
xp 
VD  1.08[ m]
qN A N A  N D
となりp層側の⽅が、1,000倍⻑い。
②順⽅向電圧、逆⽅向電圧-Vをかけた時のバンドダイアグラムは以下の通りである。
EC
EC
n型
q×V
x=-xn
EF
EV
q×(VD-V)
x=xp
順⽅向電圧Vをかけた時
エネルギー[J]
エネルギー
エネルギー[J]
エネルギー
p型
n型
q×|V|
p型
EF
EV
q×(VD+V)
x=-xn
x=xp
逆⽅向電圧-Vをかけた時
半導体⼯学
学籍番号
4回⽬
⽒名
3.pn接合のバンド図が以下の通りであるとする。 この時の電界分布および電位分布を記載しなさ
い。ただし、電位はn層を基準電位とすること。
電⼦のエネルギー [J]
p層
ECp
n層
拡散電位 qVD
Eg
ECn
Efn
Efp
EVp
EVn
-xp
x
xn
n層・p層のドナー・アクセプタ濃度をND・NAとすると
電界
p層
-xp
-xp<x<0 (p型)
E ( x)  
qN A

x
qN A

xn
n層
x
0<x<xn (n型)
xp
E ( x) 
電位
-xp
xn
qN D

x
qN D

xn
x
拡散電位 VD
-xp<x<0 (p型)
 
1 qN A 2 qN A
qN D 2
x 
xp  x 
xn
2 

2
0<x<xn (n型)

qN D 2
1 qN D 2 qN D
x 
xn  x 
xn
2 

2
半導体⼯学
学籍番号
4回⽬
⽒名
4. pn接合ダイオードについて考える
① 熱平衡状態(0バイアス時)、逆バイアス時、順バイアス時のエネルギーバンド図を書きなさい。
ただしn型半導体、p型半導体の伝導帯の底をそれぞれECn 、ECp、価電⼦帯の頂をそれぞれ
EVn 、Evp、フェルミ準位をEFとして記載しなさい
② ①で書いた図⾯を⽤い、pn接合ダイオードに整流性が現れる理由を説明しなさい
① q:電⼦の素電荷、VD拡散電位とする。
電子のエネルギー
電子のエネルギー
n型
p型
qVD
ECn
Efn
ECp
ECn
Efn
qV
Efp
EVp
EVn
EVn
ECp
q(VD-V)
p型
Efp
EVp
n型
順バイアス時のバンド図
(かけた電圧がVとする)
熱平衡状態のバンド図
ECp
電子のエネルギー
q(VD+V)
Efp
EVp
p型
n型
ECn
Efn
EVn
逆バイアス時のバンド図
(かけた電圧が-Vとする)
② pn接合に熱平衡状態・順バイアス・逆バイアス時のバンド図は①で⽰した通りである。pn接
合の拡散電位により⽣じるエネルギー障壁 qVDを超える電⼦が n 形半導体から p 形半導体へ拡散
電流として移動するが、p形半導体中にも少数キャリアとして電⼦が存在し、p形半導体から n形
半導体へドリフト電流として移動する。これらの逆⽅向に移動する電⼦の数が等しい。同様に正
孔のことがおき、結果としてゼロバイアス状態では電流は流れない。
次に順バイアス時は、電圧によりp 形半導体のエネルギーが減少し、n 形半導体のエネルギーが
増加する。この結果、n 形半導体とp 形半導体の障壁の⾼さはq(VD-V) に減少する。このため、n
形半導体からp 形半導体へ移動できる電⼦の量が増加し、全体としてn 形半導体中からp 形半導体
へ電⼦が移動する。正孔に対して同様に,p 形半導体中からn 形半導体へ電⼦が移動する。
逆バイアス電圧V を加えたとき、p 形半導体のエネルギーが増加し。n 形半導体のエネルギーは
減少する。この結果、n 形半導体とp 形半導体の障壁の⾼さはq(VD+V)に増加するため、キャリ
アの移動が減少する。これにより、逆バイアス電圧印加時はほとんど電流が流れず、pn 接合が整
流特性を⽰すことになる。