自動薄切装置に適切なパラフィンブロックの作製条件

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自動薄切装置に適切なパラフィンブロックの作製条件
◎川口 阿珠沙 1)、石川 裕子 1)、奥田 育己 1)、大鹿 均 1)、牛丸 一樹 1)
株式会社 東海細胞研究所 1)
【はじめに】
ブロック作製条件の不具合として、包埋組
近年、がん患者の増加や様々な分子標的薬
織の余白が 4㎜以下の大きな組織は切片が完全
の登場により、病理検査数の増加、また治療
に広がらない場合があった。また、組織が斜
薬の適応を判断するための免疫染色や遺伝子
めに包埋されたブロックやパラフィンのバリ
検査を行うことが増え、標本作製枚数も増加
取りが不十分な場合、薄切面が斜めになり全
している。
体が薄切出来ない状況となった。
病理標本作製はこれまで自動化が困難であ
用手法では薄切ムラになりやすい筋腫など
り、マンパワーに頼らざるを得ない状況であ
の硬組織でも比較的綺麗な切片を作製できる
ったが、自動薄切装置により人的労力を軽減
が、ペッツや毛髪、糸など組織以外の物質を
できると考えられる。
含んだブロックや、固定・脱脂・脱灰・パラ
このような状況を踏まえて、当施設では
フィン浸透の不十分なブロック、亀裂や気泡
2015 年 9 月にサクラファインテックジャパン
の入ったブロックは割れ、メクレなどが生じ
社製 全自動薄切装置 スマートセクション
適切な切片は得られなかった。
を導入した。今回、これまでの使用経験より
【考察】
得たスマートセクションに適切なパラフィン
用手法での薄切では、検体やブロックの作
ブロック作製条件について報告する。
製状況に応じて条件を変えて薄切を行うこと
【検討方法】
が出来るが、スマートセクションは常に一定
2015 年 10 月から 2016 年 6 月まで、スマー
条件のもとに行われるため、良好な薄切結果
トセクションを用いて薄切したブロックの中
を得るためには固定から包埋までのブロック
で、良好な薄切結果が得られたものをもとに
作製の各工程を適切に行うことが必要である
最適なブロック作製条件を検討した。
と思われる。
【結果】
我々は、薄切の荒削り時に自動薄切装置に
組織の切り出しからブロック作製までの検
適切なブロックであるかの評価をしている。
討では、システムカセットⅡ‐G (アジア器材)
【結語】
を使用し、組織は 3㎜程度の厚さで 18×28㎜以
基本的なブロック作製を適切に行い、その
下の大きさに切り出しを行った後、ティシュ
上で、検討結果より得られた条件を満たすブ
ープロセッサ PELORIS II(ライカマイクロシ
ロックを作製することにより、スマートセク
ステムズ)にて固定・脱脂工程を含み 18 時間
ションにて多くのブロックを安定的に薄切す
処理をした。使用パラフィンは、ヒストプレ
ることが可能となる。
ップ 580(和光純薬:融点 58℃)を用いた。包
埋皿(アジア器材:50C 号)の中央に組織を配
置して、上下の余白を 4㎜以上あけて包埋した
ブロックにおいて、良好な薄切結果が得られ
株式会社 東海細胞研究所
た。
電話番号(058)273-4399