104 自動薄切装置に適切なパラフィンブロックの作製条件 ◎川口 阿珠沙 1)、石川 裕子 1)、奥田 育己 1)、大鹿 均 1)、牛丸 一樹 1) 株式会社 東海細胞研究所 1) 【はじめに】 ブロック作製条件の不具合として、包埋組 近年、がん患者の増加や様々な分子標的薬 織の余白が 4㎜以下の大きな組織は切片が完全 の登場により、病理検査数の増加、また治療 に広がらない場合があった。また、組織が斜 薬の適応を判断するための免疫染色や遺伝子 めに包埋されたブロックやパラフィンのバリ 検査を行うことが増え、標本作製枚数も増加 取りが不十分な場合、薄切面が斜めになり全 している。 体が薄切出来ない状況となった。 病理標本作製はこれまで自動化が困難であ 用手法では薄切ムラになりやすい筋腫など り、マンパワーに頼らざるを得ない状況であ の硬組織でも比較的綺麗な切片を作製できる ったが、自動薄切装置により人的労力を軽減 が、ペッツや毛髪、糸など組織以外の物質を できると考えられる。 含んだブロックや、固定・脱脂・脱灰・パラ このような状況を踏まえて、当施設では フィン浸透の不十分なブロック、亀裂や気泡 2015 年 9 月にサクラファインテックジャパン の入ったブロックは割れ、メクレなどが生じ 社製 全自動薄切装置 スマートセクション 適切な切片は得られなかった。 を導入した。今回、これまでの使用経験より 【考察】 得たスマートセクションに適切なパラフィン 用手法での薄切では、検体やブロックの作 ブロック作製条件について報告する。 製状況に応じて条件を変えて薄切を行うこと 【検討方法】 が出来るが、スマートセクションは常に一定 2015 年 10 月から 2016 年 6 月まで、スマー 条件のもとに行われるため、良好な薄切結果 トセクションを用いて薄切したブロックの中 を得るためには固定から包埋までのブロック で、良好な薄切結果が得られたものをもとに 作製の各工程を適切に行うことが必要である 最適なブロック作製条件を検討した。 と思われる。 【結果】 我々は、薄切の荒削り時に自動薄切装置に 組織の切り出しからブロック作製までの検 適切なブロックであるかの評価をしている。 討では、システムカセットⅡ‐G (アジア器材) 【結語】 を使用し、組織は 3㎜程度の厚さで 18×28㎜以 基本的なブロック作製を適切に行い、その 下の大きさに切り出しを行った後、ティシュ 上で、検討結果より得られた条件を満たすブ ープロセッサ PELORIS II(ライカマイクロシ ロックを作製することにより、スマートセク ステムズ)にて固定・脱脂工程を含み 18 時間 ションにて多くのブロックを安定的に薄切す 処理をした。使用パラフィンは、ヒストプレ ることが可能となる。 ップ 580(和光純薬:融点 58℃)を用いた。包 埋皿(アジア器材:50C 号)の中央に組織を配 置して、上下の余白を 4㎜以上あけて包埋した ブロックにおいて、良好な薄切結果が得られ 株式会社 東海細胞研究所 た。 電話番号(058)273-4399
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