82 当院における臨床検査技師の病棟業務に関する試み 病棟糖尿病カンファレンスについて ◎小倉 敦子 1)、飯島 有加 1)、平野 佳代子 1)、滝野 豊 1)、唐木 崇成 1)、澤本 剛志 1) 公立松任石川中央病院 1) 【はじめに】 カルテ閲覧) 2000 年頃より各種学会による専門の認定検査 心臓リハビリ:月~金(13:30~17:00)エ 技師が誕生し、その先駆者は細胞検査士であ ルゴメーター、トッレドミルのモニタ った。当検査室に於いても歴代病院長の教育 ー管理、検査データー解析。 的指導のもと、検査技師が糖尿病療養指導士、 検査室就職2年目には、自己の意見を尊重し 細胞検査士、輸血認定技師などの資格獲得を ながらも、糖尿病もしくは NST どちらかに 積極的行う土壌があった。また、その頃から 加わるよう指導している。また、生理機能技 糖尿病教室に医師、栄養士と共に、検査技師、 師には、心リハに、細菌室技師には ICT に参 看護師、調理師が参加し指導するというチー 加し資格獲得を促している。 ム医療の概念が根付き質の高い医療を目指し 【実際の運用】 てきた。 事前に糖尿病カンファレンス時に使用する個 【病院概要】 人記録用紙に合併症に関するデーター(生化 開設者:白山石川医療企業団(近隣 2 市 1 町) 学検査、筋電図検査、血管脈派、CVR-R 診療科:31 診療科 の結果)を入力する。各職種が記入した個人 病床数:305 床(一般 275 床、精神 30 床) 記録用紙を中心に、看護師による患者の入院 外来患者数:757.3(平成 27 年度平均) 動機、病歴、家族、生活環境の説明があり、 【検査室概要】 医師が病状説明、治療方針をする。薬剤師よ 検査技師数:23 名(常勤 21 名、非常勤 2 名) りインスリン手技、服薬指導時の患者の反応 日本糖尿病療養指導士7名、栄養サポートチ の報告。管理栄養士より食生活の改善点、患 ーム(NST)専門検査技師 5 名、心臓リハビリ 者の嗜好の報告。理学療法士より患者の体調 テーション指導士 3名、超音波検査士1名、 に合わせた運動方針の報告。検査技師よりデ 細胞検査士 2 名、認定輸血検査技師 1 名の資 ーターに基づく病態助言、ライフコーダー解 格獲得者と、今年度も老若男女多数の技師が 析と勧誘を行う。また、カンファレンス内容 幅広い分野での資格獲得に挑戦している。 に基づき病棟指導を行う。 【実践している取組み】 SMBG や病棟指導時に医師には言えない本音 糖尿病:病棟糖尿病指導、病棟糖尿病カンフ や、自己主張を聞き取り、カンファレンスし ァレンス(医師、看護師、薬剤師、理 治療方針の再確認となる場合もある。 学療法士、管理栄養士、検査技師)糖 【実践後の課題】 尿病バイキング参加。院内簡易血糖測 特に検体検査技師にとって病棟糖尿病患者と 定器のメンテナンスと管理。 の接触の機会が少ないので、検査結果だけで NST:身体計測、必要エネルギー量の算出、病 棟回診参加。 感染対策チーム:ICT 回診(院内環境ラウンド、 抗生剤の適正使用、耐性菌分離状況の はなくカンファレンス前には技師間での患者 情報収集が必要となる。また病棟糖尿病指導 は、対象が複数なので、患者個人の生活環境 にまで踏み込めない現状がある。
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