当院における臨床検査技師の病棟業務に関する試み

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当院における臨床検査技師の病棟業務に関する試み
病棟糖尿病カンファレンスについて
◎小倉 敦子 1)、飯島 有加 1)、平野 佳代子 1)、滝野 豊 1)、唐木 崇成 1)、澤本 剛志 1)
公立松任石川中央病院 1)
【はじめに】
カルテ閲覧)
2000 年頃より各種学会による専門の認定検査
心臓リハビリ:月~金(13:30~17:00)エ
技師が誕生し、その先駆者は細胞検査士であ
ルゴメーター、トッレドミルのモニタ
った。当検査室に於いても歴代病院長の教育
ー管理、検査データー解析。
的指導のもと、検査技師が糖尿病療養指導士、
検査室就職2年目には、自己の意見を尊重し
細胞検査士、輸血認定技師などの資格獲得を
ながらも、糖尿病もしくは NST どちらかに
積極的行う土壌があった。また、その頃から
加わるよう指導している。また、生理機能技
糖尿病教室に医師、栄養士と共に、検査技師、
師には、心リハに、細菌室技師には ICT に参
看護師、調理師が参加し指導するというチー
加し資格獲得を促している。
ム医療の概念が根付き質の高い医療を目指し
【実際の運用】
てきた。
事前に糖尿病カンファレンス時に使用する個
【病院概要】
人記録用紙に合併症に関するデーター(生化
開設者:白山石川医療企業団(近隣 2 市 1 町)
学検査、筋電図検査、血管脈派、CVR-R
診療科:31 診療科
の結果)を入力する。各職種が記入した個人
病床数:305 床(一般 275 床、精神 30 床)
記録用紙を中心に、看護師による患者の入院
外来患者数:757.3(平成 27 年度平均)
動機、病歴、家族、生活環境の説明があり、
【検査室概要】
医師が病状説明、治療方針をする。薬剤師よ
検査技師数:23 名(常勤 21 名、非常勤 2 名) りインスリン手技、服薬指導時の患者の反応
日本糖尿病療養指導士7名、栄養サポートチ
の報告。管理栄養士より食生活の改善点、患
ーム(NST)専門検査技師 5 名、心臓リハビリ
者の嗜好の報告。理学療法士より患者の体調
テーション指導士 3名、超音波検査士1名、
に合わせた運動方針の報告。検査技師よりデ
細胞検査士 2 名、認定輸血検査技師 1 名の資
ーターに基づく病態助言、ライフコーダー解
格獲得者と、今年度も老若男女多数の技師が
析と勧誘を行う。また、カンファレンス内容
幅広い分野での資格獲得に挑戦している。
に基づき病棟指導を行う。
【実践している取組み】
SMBG や病棟指導時に医師には言えない本音
糖尿病:病棟糖尿病指導、病棟糖尿病カンフ
や、自己主張を聞き取り、カンファレンスし
ァレンス(医師、看護師、薬剤師、理
治療方針の再確認となる場合もある。
学療法士、管理栄養士、検査技師)糖
【実践後の課題】
尿病バイキング参加。院内簡易血糖測
特に検体検査技師にとって病棟糖尿病患者と
定器のメンテナンスと管理。
の接触の機会が少ないので、検査結果だけで
NST:身体計測、必要エネルギー量の算出、病
棟回診参加。
感染対策チーム:ICT 回診(院内環境ラウンド、
抗生剤の適正使用、耐性菌分離状況の
はなくカンファレンス前には技師間での患者
情報収集が必要となる。また病棟糖尿病指導
は、対象が複数なので、患者個人の生活環境
にまで踏み込めない現状がある。