RBC 出庫後輸血実施までの所要時間調査と改善への取り組み

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RBC 出庫後輸血実施までの所要時間調査と改善への取り組み
◎山本 富夫 1)、田近 洋介 1)
富山県済生会 富山病院 1)
【はじめに】輸血療法の安全性と適正化を図
P=0.0006)。また、引継ぎ間の管理上の問題も
るために、輸血療法委員会が中心となり取り
生じる可能性があり、輸血実施者が血液製剤
組みがなされている。しかし、RBC 出庫後に
を受け取りに来る事が理想的と考える。
搬送用クーラーボックスに入れたまま放置さ
連絡先 076-437-11443
れた事例や輸血実施までに 3 時間を要した事
例もあり、出庫後の管理が十分と言えない状
態であった。今回、出庫後 RBC 輸血実施まで
の所要時間、受取者と実施者の関わり合いに
おける所要時間も調査し、改善に向けての取
り組みを報告する。
【調査期間と RBC パック数】平成 26 年 9 月
より平成 28 年 5 月まで調査をした。尚、所要
時間調査は病棟における実施 2553 単位
1290 パックの内、1 パック目実施の 662 パッ
クを対象とした。
【結果 1】調査開始 3 ヶ月 所要時間 30 分以
内:50 パック(61.7%)、~60 分:15 パック
(18.5%)、~90 分:4 パック(4.9%)、~120 分:
7 パック(8.7%)、120 分以上:5 パック(6.2%)で
あり、平均 42.9 分であった。
【改善策】調査開始 3 ヶ月の結果を輸血療法
委員会、運営会議に報告し、院内メールにて
注意勧告を行い、平成 28 年 10 月からは個別
に指導した。
【結果 2】改善後平成 28 年 3 月~5 月 所要
時間 30 分以内:87 パック(88.8%)、~60 分:
11 パック(11.2%)であり、平均 16.6 分であっ
た。
【考察】個別的な指導により、RBC 出庫後
30 分以内の輸血実施が意識付けられたと考え
る。今後も継続的に調査を行い、適切な輸血
実施に向けて支援していくことが必要である。
受取者と実施者が異なる場合には、明らかに
所要時間が長くなる(Mann-Whitney の U 検定
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当院における輸血後感染症検査実施率向上への取り組み
◎小出 明奈 1)、山本 喜之 1)、松原 優 1)、大岩 啓三 1)
厚生連 知多厚生病院 1)
【はじめに】
(1)輸血後感染症検査の説明が十分に行われて
輸血前後における感染症検査は、平成 17 年に
おらず、患者自身も検査の必要性を理解でき
厚生労働省より通知された「輸血療法の実施
ていない可能性があった、(2)輸血依頼医では
に関する指針(改訂版)」および「血液製剤
なく依頼科医師宛の付箋の注意喚起は、依頼
等に係る遡及調査ガイドライン」に則し、輸
科医師および依頼科外来の看護師の注意をひ
血療法の安全性を確保するために実施されて
きつけることに成功した、また保険適用期限
いる。しかし、当院における輸血後感染症検
の入力によって重要性の周知が行われた、
査の実施率は 30~40%と低く伸び悩んでいた。
(3)専従検査技師による輸血後感染症検査のフ
今回、当院における輸血後感染症検査実施率
ォロー体制が確立された、(4)時差を設けた
目標を 50%と設定し、実施率向上に向けて取
「輸血後感染症検査のお知らせ」の郵送は輸
り組みを行ったので報告する。
血を受けられた患者本人のみならず家族への
【方法】
注意喚起となった、(5)診療側が輸血療法の安
(1)輸血実施に伴い、電子カルテより同意書取
全性について再考する契機となり、実施率向
得時に「輸血後感染症検査の案内書」の出力、
上へとつながった。
(2)輸血の依頼があった依頼科の医師宛に電子
【今後の課題】
カルテの付箋機能にて保険適用期限も含めた
輸血後感染症検査の未実施者は外来通院患者
「輸血後感染症検査のお知らせ」を入力、
が 9 割を占める。そのため対策の焦点を外来
(3)約 3 ヶ月後の外来受診日に合わせて検査科
通院患者においた対応策の立案がさらなる実
輸血部門専従検査技師による「輸血後感染症
施率向上の糸口になると考える。当院では地
検査の依頼代行入力」の実施、(4)当院での最
域住民を対象とした住民公開講座を行ってい
後の輸血から約 2 ヶ月後に患者さん宅へ「輸
るため、輸血療法委員会を中心に輸血後感染
血後感染症検査のお知らせ」を郵送、(5)「輸
症検査への関心を高めるため公開講座の開催
血後感染症検査」診察予約枠の設置
を検討したい。
【結果】
また、同意書取得時等の新たな取り組みとし
平成 26 年 9 月~平成 28 年 2 月までの 18 ヶ月
て、医師等の業務軽減および診療支援を目的
間で輸血実施者数 149 人(但し、頻回輸血の
に臨床検査技師による輸血後感染症検査の検
者を除く)、輸血後感染症検査実施者数
査説明の導入を検討したい。
116 人、この期間における輸血後感染症検査実
【まとめ】
施率は 81%であった。また、月々の実施率は
輸血後感染症検査実施率を向上させるために
50%以上まで上昇し、設定目標は達成した。
は、輸血療法に携わるすべてのスタッフの意
なお、今回の輸血実施者数は生存者・死亡者
識向上と協力が必要不可欠である。今後も輸
(輸血後 3 ヶ月以内の死亡)の区別は行っていな
血療法委員会を中心に病院全体で継続して実
い。
施率向上に努めたい。
【考察】
連絡先:0569-82-0395(内線 2713)
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検査通知システム導入による輸血後感染症検査実施状況の変化
◎佐久間 恵美 1)、村上 和代 1)、遠藤 美紀子 1)、楢本 和美 1)、二村 亜子 1)、芝口 好美 1)、
加藤 秀樹 1)、湯浅 典博 1)
名古屋第一赤十字病院 1)
【はじめに】血液製剤は献血者の血液を原料
患者が輸血後 3 カ月以内に転院または死亡し
としているため、輸血による感染症発生を完
た症例を除いた 1202 件を対象とし、前期:通
全には回避することはできない。厚生労働省
知システム導入前(2014 年 9 月~2015 年 8 月:
「輸血療法の実施に関する指針」には、輸血
12 ヶ月)、後期:通知システム導入後(2015 年
療法を受けた患者は輸血後 3 カ月をめどに
9 月~2016 年 1 月:5 ヶ月)の両期間で輸血後
“HBV(NAT)、HCV コア抗原、HIV 抗体”検
感染症検査の実施率を調査した。統計学的検
査を行う必要があると記載されている。しか
討はカイ二乗検定で行った。
し輸血後感染症検査の依頼や実施は医師や患
【結果】輸血後感染症検査実施率は、前期:
者に委ねられる部分が多く、輸血患者全員に
575/843(68.2%)、後期:299/353(84.7%)であっ
実施することは難しい。当院ではこれまで輸
た。「輸血後感染症検査通知システム」導入
血後感染症検査実施率を向上させるため、
後、検査実施率は約 16%増加した(p<
①輸血後感染症検査セットの作成、②輸血実
0.0001)。システム導入後も検査オーダーがさ
施時に文書でスタッフと患者へ輸血実施日と
れない症例は、終診、患者が来院しない、終
輸血後感染症実施期間を通知、③電子カルテ
末期患者や小児で採血困難だと医師が判断し
上での付箋を用いて医師へ輸血実施日と輸血
た場合などが原因と考えられた。輸血後感染
後感染症実施期間を通知するなどの取り組み
症検査が実施された患者に HBV・HCV・HIV の
を行ってきた。今回 2016 年 1 月の電子カルテ
感染は前期、後期とも 1 例も認めなかった。
システム更新に伴い、電子カルテを用いた
【考察】「輸血後感染症検査通知システム」
「輸血後感染症検査通知システム」を導入し
の導入後、輸血後感染症検査の実施率は有意
たので、その効果と今後の課題を明らかにす
に上昇した。一方で、医師が輸血後感染症検
る。
査は不要であると判断した患者のメッセージ
【輸血後感染症通知システムの概要】輸血か
表示はどうすれば停止できるのか、外来や入
ら約 2 カ月後の輸血後感染症検査オーダーの
院、診療科により電子カルテを閲覧する頻度
有無をコンピュータでチェックし、オーダー
やタイミングが異なるため、表示期間を変更
がない場合は、担当医が患者カルテを閲覧し
してほしいなど、本システムに対する輸血部
た時に輸血実施日と輸血後感染症実施期間を
門への問い合わせや要望がよせられている。
示すメッセージを画面中央に表示するように
【結論】「輸血後感染症検査通知システム」
した。メッセージ画面より直接、検査オーダ
の導入後、輸血後感染症検査の実施率は上昇
ー画面を開くことができる。メッセージの表
した。診療科によって異なる要望に対し、柔
示期間は輸血の 2 カ月から 5 カ月後までとし
軟に対応できるシステムの構築が今後の課題
た。
である。
【対象と方法】2014 年 9 月から 2016 年 1 月ま
でに当院で行われた同種血輸血のうち、輸血
から 3 カ月以内に再び輸血を行っている症例、
名古屋第一赤十字病院 輸血部
052-481-5111(内線 23572)