124 検査通知システム導入による輸血後感染症検査実施状況の変化 ◎佐久間 恵美 1)、村上 和代 1)、遠藤 美紀子 1)、楢本 和美 1)、二村 亜子 1)、芝口 好美 1)、 加藤 秀樹 1)、湯浅 典博 1) 名古屋第一赤十字病院 1) 【はじめに】血液製剤は献血者の血液を原料 患者が輸血後 3 カ月以内に転院または死亡し としているため、輸血による感染症発生を完 た症例を除いた 1202 件を対象とし、前期:通 全には回避することはできない。厚生労働省 知システム導入前(2014 年 9 月~2015 年 8 月: 「輸血療法の実施に関する指針」には、輸血 12 ヶ月)、後期:通知システム導入後(2015 年 療法を受けた患者は輸血後 3 カ月をめどに 9 月~2016 年 1 月:5 ヶ月)の両期間で輸血後 “HBV(NAT)、HCV コア抗原、HIV 抗体”検 感染症検査の実施率を調査した。統計学的検 査を行う必要があると記載されている。しか 討はカイ二乗検定で行った。 し輸血後感染症検査の依頼や実施は医師や患 【結果】輸血後感染症検査実施率は、前期: 者に委ねられる部分が多く、輸血患者全員に 575/843(68.2%)、後期:299/353(84.7%)であっ 実施することは難しい。当院ではこれまで輸 た。「輸血後感染症検査通知システム」導入 血後感染症検査実施率を向上させるため、 後、検査実施率は約 16%増加した(p< ①輸血後感染症検査セットの作成、②輸血実 0.0001)。システム導入後も検査オーダーがさ 施時に文書でスタッフと患者へ輸血実施日と れない症例は、終診、患者が来院しない、終 輸血後感染症実施期間を通知、③電子カルテ 末期患者や小児で採血困難だと医師が判断し 上での付箋を用いて医師へ輸血実施日と輸血 た場合などが原因と考えられた。輸血後感染 後感染症実施期間を通知するなどの取り組み 症検査が実施された患者に HBV・HCV・HIV の を行ってきた。今回 2016 年 1 月の電子カルテ 感染は前期、後期とも 1 例も認めなかった。 システム更新に伴い、電子カルテを用いた 【考察】「輸血後感染症検査通知システム」 「輸血後感染症検査通知システム」を導入し の導入後、輸血後感染症検査の実施率は有意 たので、その効果と今後の課題を明らかにす に上昇した。一方で、医師が輸血後感染症検 る。 査は不要であると判断した患者のメッセージ 【輸血後感染症通知システムの概要】輸血か 表示はどうすれば停止できるのか、外来や入 ら約 2 カ月後の輸血後感染症検査オーダーの 院、診療科により電子カルテを閲覧する頻度 有無をコンピュータでチェックし、オーダー やタイミングが異なるため、表示期間を変更 がない場合は、担当医が患者カルテを閲覧し してほしいなど、本システムに対する輸血部 た時に輸血実施日と輸血後感染症実施期間を 門への問い合わせや要望がよせられている。 示すメッセージを画面中央に表示するように 【結論】「輸血後感染症検査通知システム」 した。メッセージ画面より直接、検査オーダ の導入後、輸血後感染症検査の実施率は上昇 ー画面を開くことができる。メッセージの表 した。診療科によって異なる要望に対し、柔 示期間は輸血の 2 カ月から 5 カ月後までとし 軟に対応できるシステムの構築が今後の課題 た。 である。 【対象と方法】2014 年 9 月から 2016 年 1 月ま でに当院で行われた同種血輸血のうち、輸血 から 3 カ月以内に再び輸血を行っている症例、 名古屋第一赤十字病院 輸血部 052-481-5111(内線 23572)
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