NEDO 省エネルギー技術フォーラム 2016 戦略的省エネルギー技術革新プログラム フェーズ名:インキュベーション研究開発、実用化開発 <スピントロニクス新型HDD 磁気再生ヘッド素子の研究開発> 事業実施法人名:(株) 東芝 研究開発センター 研究開発期間:平成24年8月~平成28年2月 背景 2 クラウドサービス、IoTの進展で生成データ量が爆発的に増加 データセンターでの消費電力増加が懸念 記録密度増大で1台当たりのHDDを大容量化 => 消費電力の増大が無く、大容量を実現 これまでのHDD高密度化開発 3 NEDO Green IT pj(~2012/3)で高密度化要素技術を開発 記録ヘッド: エネルギーアシスト記録 ディスク: ビットパターンド媒体(BPM) recording head DSA-BPM data area servo area 4 5 6 7 8 9 10 >10 絶縁層 3 シールド 2 フリー層 1 ハード膜 フリー層 記録密度(Tb/in2) アシスト記録 シールド 各技術の想定投入記録密度 再生ギャップ長 磁性NC (Nanocontact) 再生ヘッド: Tri-layer素子 媒体 ビットパターンド媒体 再生ヘッド 極薄3層 スピントロニクス(本Pj) 本事業のターゲット: 再生ヘッドの次々世代技術 課題、目的、目標 4 <従来の課題> センサー素子の薄膜化に物理限界 => ~小さなビットが読めない、高密度化に壁 <目的、目標> 新原理(スピン蓄積)素子を利用 => 再生ギャップ<15nmの実現 ~15nmが限界 従来素子 (拡散)スピン流を利用 媒体近傍にスピンが蓄積 スピン蓄積素子 研究開発内容 技術開発項目 (1) 高出力材料の開発 (H25~26) 低ノイズと高出力の両立 (2) 高SN比素子の開発 (H25~26) 5 目標 達成手法 低ノイズの材料性能目標 ● ヒステリシス磁界<10Oe ● 低磁気歪<10ppm 出力の材料性能目標 ● 1mV以上の出力 ホイスラー系合金をベースに、非 磁性層との界面を最適化して、出力 の増大・低ノイズを目指す。 ● ヘッド応用可能な SN比>25dB以上 ● シミュレーションによる高出力の 素子構造設計 ● (1)で開発した高出力材料を用い た微細素子のプロセス技術確立 ● 従来素子と同等ノイズを評価 ● ヘッド応用可能なSN比 >25dB以上 ● ヘッドベンダーと連携して作製可 能なヘッド構造を見出す 50nm以下の微細素子での 高SN比 (3) 擬似ヘッド素子の開発 (H27) 研究開発体制 6 研究開発責任者 株式会社 東芝 ・高出力材料の開発 ・高SN比素子の開発 ・擬似ヘッド素子の開発 共同研究先 独立行政法人 物質・材料研究機構 ・高出力材料の開発 スピン蓄積素子のための新規材料開発 7 ■独自プロセスで低温でも規則化する多結晶CoFeMnSiを見出す Tan = 290˚C 1nm径スポット極微TEM回折 Tan = 400˚C B2 B2 L21 B2規則相 L21 規則相を確認 ヒステリシスHc (Oe) ■Ta/Cu下地により磁歪<10ppm、ヒステリシス<10 Oeを達成 Hc<6Oe 微細加工技術により、高出力ポテンシャルを確認 ■ナノインプリントを活用した独自プロセスを開発し50nm級素子試作に成功 ■素子微細化効果を世界で初めて理論実証。出力>1mV確認 実験結果とモデル計算によりスピン拡散長の劣化もないことがわかる FM1, FM2: CoFeMnSi, NM: Cu 40nm×50nm素子の断面TEM像 8 シミュレーションによる出力評価と新規素子構造 9 ■解析式に基づく3次元スピン流シミュレータを開発 ■独自の磁性三端子構造で出力が3.7倍になることを確認 SN比~26.5dB 4 3.5 相対出力 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 従来スピン蓄積 磁性3端子(Apin=Afree) スピンロス Pin Pin NM NM NM Pin 磁性3端子(Apin= Afree x9) Pin Free V Free V Pin Free V 実用的な素子構造を考案 10 ■実際のヘッド製造プロセスを考慮し、出力低下のない新規素子構造を考案 ■シミュレーションで出力劣化がない条件を見出す 従来構造 従来素子出力 Pin2層のRA: ワイド下ピン構造 0.1→0.2Ωμm2 素子サイズ (nm) ・界面分離形成によるスピン分極劣化を回避 ・プロセス難点は上部free/pin分離エッチングのみ ホイスラー合金 省エネ効果 仮定:本技術を2020年に投入 密度トレンド5%/年への鈍化を回避して15%/年を維持 指標A : 単位あたりの省エネルギー効果量 3.5インチHDDのアイドリング時消費電力:12.8L/年(52.6kWh/年) 2021年:密度比1.1倍→5%の省エネ:0.64L/年 2030年:密度比2.5倍→63%の省エネ:8.0L/年 指標B : 市場規模(導入量) 生産量:0.56億台で一定 (WWの1/10を仮定) 2021年:技術シェア30%→0.17億台 2030年:技術シェア90%→0.5億台 省エネ効果量 : A X B = 1.1万kL/年(2021年) かつ省エネ効果量 : A X B = 40万kL/年(2030年) 11 12 原油換算省エネ効果 2021年時点: 1.1万kL/年(累計: 1.1万kL ) 2030年時点: 40万kL/年(累計:170万kL ) (WWでは400万kL/年) *原油削減量(kL/年) = 消費エネルギーkWh/年 9,630kJ/kL (受電端電力熱量換算率) 13 実績 主要学会発表 Intermag 国際学会 (2014年5月) MMM 国際学会 (2014年11月) Intermag 国際学会 招待講演 (2015年5月) MMM/Intermag Joint国際学会 (2016年1月、2件) 論文: Appl. Phys. Express 8 (2015) 023103 Appl. Phys. Express 8 (2015) 123003 特許出願 7 件
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