平成28年10月18日実施分

労働衛生コンサルタント試験
(労
働
衛 生
工 学)
労働衛生工学
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注:試験問題は全部で4問です。問1又は問2から1問、問3又は問4から1問、合計2問を選択して解答用紙
に解答を記入してください。なお、各問の解答は、それぞれ専用の解答用紙を使用してください。
問
1 化学物質等の有害性のリスクアセスメントに関する以下の設問に答えよ。
(1)労働者が化学物質等にさらされる程度(ばく露の程度)と当該化学物質等の有害性の程度を考慮するリス
ク見積りの三つの方法について簡潔に説明し、それぞれの利点と欠点を一つずつ述べよ。
(2)化学物質 A と化学物質 B を取り扱うある作業場で個人ばく露測定を行い、ばく露評価を行うこととし
た。
① 測定した化学物質 A と化学物質 B の個人ばく露濃度が CA と C B であった。化学物質 A と化学物質 B
の許容濃度を TA と TB とし、生体影響の相加性が成り立つ場合と成り立たない場合について、それぞれ
ばく露の程度を評価する式を示し、評価の方法を述べよ。
② この場合の相加性とは何か説明せよ。
(3)ある事業場において水性塗料 P を用いて屋内で吹付け塗装作業を実施した。GHS(化学品の分類および
表示に関する世界調和システム)分類を基にした有害性のレベルの例示を表1に、水性塗料 P の成分名、
含有率、ばく露限界値及び主な有害性クラスと有害性区分を表2に示す。希釈に使用するシンナーの有害
性は考慮しないものとする。
これに関し、次の問に答えよ。
① 表1の有害性のレベル S の有害性クラスと有害性区分の欄に該当するものをそれぞれ一つ挙げよ。
② エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(EGBE)とプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル(PGME)の有害性のレベルは表1のどれに分類されるか。
③ 水性塗料 P の有害性のレベルは表1のどれに分類されるか。
④ TLV − TWA とは何の略か。また、その意味を述べよ。
⑤ STEL とは何の略か。また、その意味を述べよ。
⑥ この作業において呼吸用保護具を使用する場合、適切なものは何か。その理由も述べよ。
労働衛生工学
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表1 GHS 分類を基にした有害性のレベルの例示
有害性のレベル
A
B
C
D
E
有害性クラス
有害性区分
皮膚腐食性/刺激性
区分2、3
眼に対する重篤な損傷/眼刺激性
区分2
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
区分2
皮膚腐食性/刺激性
区分1
眼に対する重篤な損傷/眼刺激性
区分1
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
区分1
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
区分2
発がん性
区分2
生殖毒性
区分1、2
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
区分1
発がん性
区分1
S
表2
水性塗料 P の成分名、含有率、ばく露限界値及び主な有害性クラスと有害性区分
成分名
含有率
ばく露
(重量%)
限界値
有害性クラス
有害性区分
エチレングリコールモ
TL V − TWA
皮膚腐食性/ 刺激性
区分2
ノノルマルブチルエー
25 ppm
眼に対する重篤な損傷/眼刺激性
区分2A
生殖毒性
区分2
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
区分1
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
区分2
TL V − TWA
皮膚腐食性/ 刺激性
区分3
50 ppm
眼に対する重篤な損傷/眼刺激性
区分2B
日本産業
眼に対する重篤な損傷/ 眼刺激性
区分2B
衛生学会
発がん性
区分2
テル
8
(EGBE) *1
プロピレングリコール
モノメチルエーテル
2
(PGME) *2
STEL
100 ppm
二酸化チタン
5
許容濃度
総粉じん
4 mg/m3
樹脂 *3
10
-
-
-
水 *3
75
-
-
-
*1
別名 2 − ブトキシエタノール、ブチルセロソルブ
*2
別名 1− メトキシ − 2 − プロパノール
*3
樹脂と水については有害性を考慮しないこととする。
労働衛生工学
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問
騒音の測定、評価及び対策に関する以下の設問に答えよ。必要に応じて、log1 0 2 = 0.3、log1 0 3 = 0.5 を用
2
いよ。
(1)騒音の測定における基本的な測定量は、周波数重み付け特性 A(以下「A 特性荷重」という。)で重み付
けをした音圧レベル(以下「A 特性音圧レベル」という。)である。A 特性荷重及び A 特性音圧レベルに
関する次の問に答えよ。なお、以下では、周波数重み付けをしない音圧レベルを Z 特性音圧レベルと呼
び A 特性音圧レベルと区別する。
① A 特性荷重は、下の図(イ)~(ハ)のいずれか、正しいものの記号を答えよ。
② 騒音による影響の評価量には A 特性音圧レベルの瞬時値ではなく、等価騒音レベルが使用される。そ
の理由を簡潔に答えよ。
③ 次の表は、日本産業衛生学会による「騒音の許容基準」(等価騒音レベルを用いる場合)からの抜粋で
ある。これは、「この基準以下であれば、1日8時間以内のばく露が常習的に 10 年以上続いた場合にも、
騒音性永久いき値移動(NIPTS)を1 kHz 以下の周波数で 10 dB 以下、2 kHz 以下で 15 dB 以下、3 kHz
以上の周波数で 20 dB 以下にとどめることが期待できる。」(この説明文中の dB は Z 特性音圧レベルを
表す。)というものである。この基準では、許容騒音レベルが3 dB 大きくなると許容される作業時間が
1/2 になっている。その理由を簡潔に答えよ。
労働衛生工学
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1日のばく露時間
許容騒音レベル
(dB)
16 時間
82
8時間
85
4時間
88
2時間
91
1時間
94
30 分
97
15 分
100
(2)作業者の騒音ばく露量を低減するために、騒音発生源の機械と作業者の間に遮音壁を設けることがある。
遮音壁に関する次の問に答えよ。なお、この問における音圧レベルは、Z 特性音圧レベルを示す。
① 均質な材料で作られた遮音壁による透過損失(騒音低減量)TL(dB)は、一般には、おおむね
TL = 20 × log10(f × m)- 48
と表すことができる。ここで、f (Hz)は周波数、m (kg/m2)は入射方向から見た遮音材料の面密度で
ある。
他の要因による影響を無視でき、この透過損失の式が成り立つとした場合、同一周波数の音について
遮音壁の厚さを2倍にすると、透過損失はどれだけ変化するか。遮音壁に対して音が垂直に入射する場
合のみを考え、上記の式を用いて計算して答えよ。
② 遮音壁の厚さを増せば、遮音効果は高くなる(透過損失が大きくなる)。しかし、実際の現場では、遮
音材料を同じ量だけ使用するのであれば、遮音壁の厚さを2倍にするのではなく、元の厚さの遮音壁2
枚の間に適切な厚さの空気層を設けた3層構造(遮音壁、空気、遮音壁の3層)の二重壁を使用すること
が多い。上記①の結果を踏まえて、その理由を簡潔に答えよ。
③ 上記②のような空気層を中間層とした二重壁を設計する際の注意点について、簡潔に答えよ。
④ 二重壁では、空気層の代わりに適切な多孔質吸音材料を中間層とすることで、遮音効果を高めること
ができる。多孔質吸音材料は、どのようなメカニズムで音を吸収するのか、簡潔に答えよ。また、多孔
質吸音材料の例を一つ挙げよ。
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問
3
図に示すようなプッシュプル型換気装置において、作業者が内部に入った後に引き戸を閉じて有機溶剤作
業を行う場合について、以下の設問に答えよ。ただし、空気密度は 1.20 kg/m 3 とし、計算は有効数字3桁
で行い、解答は3桁目を四捨五入して有効数字2桁で答えよ。
(1)プッシュプル型換気装置の捕捉面について説明せよ。また、図のプッシュプル型換気装置が具備すべき
捕捉面における性能要件を三つ、数字を挙げて簡潔に説明せよ。
(2) 捕捉面における平均風速を、必要とする最低平均風速の 1.5 倍に設定したときの必要排風量(m 3/min)
を求めよ。また、その計算過程も示せ。
(3) 床面に図のように六つの吸引スリットを置き、吸引する構造とした。吸引スリットの開口断面は
1.0 m × 0.04 m で、各吸引スリットの通過流速はすべて同じとする。吸引スリット部の速度圧(Pa)と圧
力損失(Pa)を求めよ。なお、吸引スリットの圧損係数は 1.78 とする。また、その計算過程も示せ。
(4)角形ダクトを用いる設計の場合は、円形ダクトの相当直径を求めて計算する必要がある。相当直径 De
は、断面の一辺の長さ a と他の一辺の長さ b から次の式で計算される。相当直径を用いる理由を簡潔に述
べよ。
8
De = 1.3 × √(a × b)5 / (a + b)2
(5)図の角形ダクト(a = 0.6 m、b = 0.2 m)の相当直径を(4)に示す式で求めよ。また、(2)で求めた必要
排風量を用いて、角形ダクト1 m 当たりの圧力損失(Pa / m )を求めよ。なお、このダクトの摩擦係数は
0.020 とする。また、その計算過程も示せ。
8
√は電卓の√を3回押すことで求められる。
図中の長さの単位は m、ブースとダクトはその内部の長さとし、壁の厚み、
く
引き戸の段差などは考えなくてよい。吸引スリットは六つとも同一の矩形の
形状とする。
図 プッシュプル型換気装置の構造
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6/7
問
4
粉じん作業が行われている作業場に設置する局所排気装置(図1)について、以下の設問に答えよ。ただし、
囲い式フードから排気口までを主ダクト系列、スロット型外付け式フードから主ダクト系列との合流部まで
を枝ダクト系列とする。
12
0
排気口
屋外
11
8 9
3
屋内
4
5
7
6
10
ファン
合流ダクト
拡大ダクト
2
1
空気清浄装置
0
囲い式フード スロット型外付け式フード
図1
局所排気装置の系統線図(図中の数字は番地を示す。)
L
X
図2
囲い式フード
図3 スロット型外付け式フード
(1)①~⑦に示した設計条件及び主ダクト系列の局所排気装置計算書に記載された数値を基に計算を行い、
解答用紙の主ダクト系列の局所排気装置計算書の空欄にその計算結果を記入せよ。計算は、有効数字3桁
(1.00 未満の有効数字3桁とは、例えば 0.0300 の場合、下線部が有効数字3桁となる。)で行い、解答欄
(空欄)には有効数字3桁で解答を記入せよ。なお、ダクトは円形のダクトとし、空気密度は 1.20 kg/m3
とする。
① 床上に設置する囲い式フード(図2)の排風量は、粉じん作業の制御風速 0.70 m /s と平均風速が等し
いものとして計算する。ただし、囲い式フードの開口面の面積は 0.715m2 とする。
② 枝ダクト系列の作業台上に設置するスロット型外付け式フード(図3)の排風量は、スロットの長さ
(L)は 1.00 m、スロット開口部からの距離(X)は 0.120 m、制御風速(Vc)は 1.00 m /s として計算する。
なお、排風量の計算式は、表の自由空間に設置されたスロット型外付け式フードの排風量の計算式Ⅰ
を参考に、Ⅱ又はⅢのうちから適切なものを選択する。
労働衛生工学
7/7
表
スロット型外付け式フードの排風量の計算式
Ⅰ
Q ( m3 / min ) =60 × 5.0 × Vc ( m / s ) × X ( m ) × L ( m )
Ⅱ
Q ( m3 / min ) = 60 × 4.1 × Vc ( m / s ) × X ( m ) × L ( m )
Ⅲ
Q ( m3 / min ) = 60 × 2.8 × Vc ( m / s ) × X ( m ) × L ( m )
③ 直線ダクトの圧力損失係数の計算には、次式を用いる。
直線ダクトの圧力損失係数 = 0.02 ×ダクト長 L(m)/ダクト直径 D(m)
④ 合流部(図1の4-5番地)の主ダクト系列側の圧力損失は、主ダクト系列側の合流前の速度圧に比例
するものとする。
⑤ 拡大ダクト(図1の5-6番地)の圧力損失は、拡大前後の速度圧の差に比例するものとする。
⑥ 空気清浄装置の圧力損失は、速度圧に比例するものとする。また、その性能値は、排風量 40 m3/min
のとき、圧力損失 100 Pa とする。
⑦ 排気口はルーバ型排気口(開口比(a /A)は 0.7)で、その圧力損失は、排気口のルーバ間の気流の速度圧
に比例するものとする。ただし、a はルーバ間の隙間の総面積、A は排気口面積(拡大後のダクト断面積
に等しい。)である。なお、主ダクト系列の局所排気装置計算書の搬送速度と速度圧の欄はルーバ間の気
流の速度と速度圧を記入する。
主ダクト系列の局所排気装置計算書
番地
名称
ダクト
ダクト
直径
断面積
2
(m)
(m )
排風量
搬送
速度圧
速度
3
(m /min)
(m/s)
ダクト
圧損
形状
係数
(Pa)
0-1
囲い式フード
0.200
0.0314
1-2
直線ダクト
同上
同上
同上
同上
同上
L =3.0 m
2-3
90 °ベンド
同上
同上
同上
同上
同上
r / D = 1.25
3-4
直線ダクト
同上
同上
同上
同上
同上
L = 15.0 m
同上
同上
同上
同上
同上
4-5
合流前
θ= 60 °
合流ダクト
5-6
合流後
0.230
0.0415
拡大前
同上
同上
同上
同上
0.250
0.0490
同上
θ= 45 °
0.20
θ= 30 °
0.58
同上
同上
同上
同上
同上
-
-
7-8
90 °ベンド
同上
同上
同上
同上
同上
r / D = 1.25
0.55
8-9
直線ダクト
同上
同上
同上
同上
同上
L =1.0 m
-
-
-
-
-
-
-
10-11
直線ダクト
同上
同上
同上
同上
同上
L = 10.0 m
11-12
90 °ベンド
同上
同上
同上
同上
同上
r / D = 1.25
0.55
同上
同上
同上
a / A = 0.7
1.50
排気口
累計
(Pa)
-
-
-
0.55
空気清浄装置
12-0
部分
0.08
6-7
9-10 ファン
静圧
同上
拡大ダクト
拡大後
圧力損失(Pa)
(2)主ダクト系列の局所排気装置計算書の計算結果に基づいて、次の問に答えよ。計算過程を示し、計算は
有効数字3桁で行い、解答は、有効数字3桁目を四捨五入して有効数字2桁で答えよ。
① 局所排気装置計算書より求めたファン前後の静圧の値から、ファン前後の静圧差(ファン後の静圧-フ
ァン前の静圧)を求めよ。
② この局所排気装置の2つのフードを気密性の高い屋内の作業場内(図1の点線内)に設置して稼動させ
た結果、作業場内の静圧が-90Pa となったときのファン前後の静圧差を求めよ。なお、主ダクト系列と
枝ダクト系列の合流部での静圧バランスがとられているものとする。