さよならのゆくえ ID:103873

さよならのゆくえ
ニケヒデ
︻注意事項︼
このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP
DF化したものです。
小説の作者、
﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作
品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁
じます。
︻あらすじ︼
大好きないろはすと八幡のラブコメです。
ストーリーの流れは大好きな曲、瀧川ありささんの﹁さよならのゆ
くえ﹂の歌詞をテーマに作って行きたいと思ってます。
基本的に原作準拠でいろはす視点です。
※SS投稿まとめサイトとピクシブにも投稿しています。
※二話の感想にあった指摘を訂正したため、二話の評価が消えてし
まいました。せっかく評価してくださったのに申し訳ございません
⋮
さよならのゆくえ:前編1 ││││││││││││││││
目 次 さよならのゆくえ前編:2 ││││││││││││││││
1
さよならのゆくえ後編:1 ││││││││││││││││
さよならのゆくえ前編:3 ││││││││││││││││
7
21
29
さよならのゆくえ:前編1
[運命の一言]
今日の会合は中止です。そう先輩に伝えるために奉仕部の部室の
︶
ドアをノックしようとすると、部室内から先輩の声が聞こえてきた。
︵⋮せんぱい⋮
その声は酷くかすれていて、小さな辛そうな声。今まで冷めてる人
だ思ってた。時折見せるあの優しさもあくまで奉仕部の仕事の一貫
だと思っていた。何かをするためには犠牲はつきものだ。感情なん
て い い。結 果 さ え 良 け れ ば い い。そ ん な 人 だ と 思 っ て い た。そ れ は
どこかわたしみたいで、どこかで共感していた。
でも違った。あの人はわたしなんかとは全然違った。たったそれ
だけの一言でそれを悟った⋮
﹃⋮本物が欲しい⋮﹄
今までのわたしをすべて壊してしまうような、お前は間違っている
んだとそう告げられたような気がして、わたしはそれ以来自問自答す
るようになった。
︵わたしにとっての本物って何なのかな⋮︶
││││││
[変化]
そ れ か ら の わ た し は ど こ か 心 こ こ に あ ら ず と 言 っ た 感 じ だ っ た。
クリスマスイベントは雪ノ下先輩と由比ヶ浜先輩も参加してくれて
人手も増えたから嬉しいはずなのに、先輩が二人を連れて来た時は何
故か動揺してしまった。その後講習室に入ってからもいつもの席を
雪ノ下先輩に譲る事になり、副会長の横で3人の様子ばかりいつに間
1
?
にか見ていて、気づけば会議は終わっていた。
家に帰りご飯を食べ、お風呂に入りまたいつもの自問自答をする。
︵いったい本物って何なのかな⋮友情⋮もういまさらそんなものに興
そも
やっぱり
嬉しくて涙流し
好きってなんだろ
味はないし、偽物も本物もない。じゃあ後は1つだ。恋愛。わたしの
葉山先輩を好きな気持ちは本物なのかな
﹁誰呼ぶ気だ⋮⋮
﹂
間外れな気がして、むっとなったがその時いいことを思いついた。
く行くとか行かないとか揉めているのを見るとちょっと自分だけ仲
パスポートを持っていてチケットは余っていたし、なんか3人が仲良
輩方はディスティニーランドに行く事になった。雪ノ下先輩は年間
平塚先生のこの一言と出してきたチケットでわたしと奉仕部の先
﹁君たちはクリスマスの何たるかをわかっていないようだな﹂
[決断]
││││││││
知りたい⋮⋮な︶
くれるかな♪
悲しくて泣くのかな。どうなんだろ⋮⋮⋮⋮フラレたら先輩慰めて
たりするんだろうか。逆にフラレたらどうなるんだろう
そもわたしは告白してOKされたら嬉しいのかな
?
れ、ある人物を呼ぶ事にした。その時のわたしは心の中で確かめたい
と思っていたのだろう。最高のムードで告白すればおのずと気持ち
はわかるはずだと。
││││││
2
?
?
?
家に帰宅し、明日の事を考える。わたしはこの話を平塚先生からさ
﹁ヒ・ミ・ツです﹂
?
[告白]
翌日の土曜日、奉仕部の3人、わたし、葉山先輩、何故か三浦先輩、
戸部先輩、海老名先輩とディスティニーランドに来ていた。様々なア
トラクションを楽しんでいるとあっという間に時間は過ぎて行き、夜
が近づいていた。
辺りもすっかり暗くなり、もうじき花火が上がる時間。そこで戸部
先輩にお願いして二人っきりにしてもらい、その人と向かい合ってい
た。
﹁いろは話って﹂
﹁⋮葉山先輩⋮好きです。付き合ってください。﹂
うん。言えた。後は返事だ。
﹂
﹁⋮すまない。いろはとは付き合えない。﹂
﹁⋮理由聞いてもいいですか
フラレたのに意外と冷静に質問している自分がそこにはいた。
﹁⋮俺はいろはの事を後輩としか思えない。それに⋮⋮﹂
﹂
︵そうだよね。わかってました。好きな人いるんですよね⋮︶
︶
﹁⋮⋮それがいろはの本当の気持ちかい
︵えっ
?
山先輩の前にいるわけにも行かず夢中で走って離れていた。
﹄
その後、帰り道いろんな人に慰められたが心は落ち着かない。
﹃⋮それがいろはの本当の気持ちかい
︵本当の⋮気持ち⋮
︶
先輩にフラレた事よりそれが、その言葉が不思議と一番辛かった。
その言葉がわたしの心を貫いた。心が刺されたような感覚。葉山
?
[本当の恋]
│││││
何故かその時ある人の顔が一瞬浮かんだ。
?
3
?
わたしの心がドクンとはねた。そして何故か涙が溢れてきた。葉
?
帰り電車にはわたしと先輩だけだった。正確にはもっともな理由
をつけ、先輩に話を聞いて貰いたくて引き留めた。
︵先輩に甘えたかったのかな⋮︶
こうゆうとき先輩は親身に話を聞いてくれる。
﹁はー⋮⋮。駄目でしたねー⋮⋮﹂
﹁⋮⋮いや、お前、今行っても駄目なことくらいわかってたろ﹂
そりゃそうだ。わたしも十中八九フラレるとわかっていた。
﹁⋮⋮だって、しょうがないじゃないですか。盛り上がっちゃたんだ
から﹂
﹁意外だな、お前はそういう場の雰囲気とかに振り回されない奴だと
思ってたぞ﹂
︵⋮意外に先輩わたしのこと見てるんだな⋮︶ ﹁わたしも意外です。もっと冷めてるんだと思ってました﹂
﹁⋮⋮ああ、お前、恋愛脳に見せかけて、結構クレバーっていうか﹂
﹂
4
﹁わたしじゃなくて⋮⋮先輩の話です﹂
﹁は
た。告白するときもドキドキも緊張もそんなにしなかった。フラレ
輩に会いたいなんて感情は全然無かったし、奉仕部に行く方が多かっ
もなんか違和感があった。最近はサッカー部に行きたいとか葉山先
本物を知りたくて、わたしの好きな人は葉山先輩なのかなって。で
﹁だから、今日踏み出そうって思ったんです﹂
わたしは真っ直ぐに先輩を見て言った。
﹁忘れませんよ⋮⋮忘れられません﹂
﹁⋮⋮忘れてくれ﹂
﹁声普通に漏れてましたよ﹂
﹁聞いてたのかよ﹂
﹁⋮⋮わたしも本物が欲しくなったんです﹂
﹁何が﹂
﹁あんなの見せられたら心動いちゃいますよ﹂
自分で話している事に後で気づいた。
その時わたしはいつも先輩に話しかける時のあざとさはなく、素の
?
た時もあまりショックじゃなかった。1つだけショックなのはまだ
﹄
わたしの答えが出ていないということ。そして一瞬浮かんだあの⋮
﹃⋮それがいろはの本当の気持ちかい
じゃあわたしは⋮
ないですかー
﹂
効な攻め方です。みんなわたしに同情するし、周囲も遠慮するんじゃ
﹁ていうか、まだ終わってませんし。むしろ、これこそ葉山先輩への有
﹁ちげぇよ⋮⋮﹂
ちょっと無理です﹂
﹁なんですか傷心につけこんで口説いてるんですかごめんなさいまだ
少し鼓動がはやくなっていた。動揺したわたしは早口で捲し立てる。
気にも止めないくせに、ふとした時に優しさを見せる。その優しさに
それは不器用にわたしを気づかう言葉。普段はわたしの事なんて
︵ドキっ︶
﹁その、なに。あれだな、気にすんなよ。お前が悪い訳じゃないし﹂
か⋮
葉山先輩、それってわたしの本当の気持ちは違うってことなんです
?
可哀想だって思うじゃない
?
﹁先輩のせいですからね、わたしがこうなったの﹂
もわたしも受け入れてくれる。温かい優しさ。
どこか冷たい優しさ。でもこの人は違う。あざとくても、わがままで
そ れ は こ の 人 が 優 し い か ら。葉 山 先 輩 も 優 し い け ど あ れ は 違 う。
﹁すごいな、おまえ﹂
ないわたし。みっともないわたしもこの人の前では見せてしまう。
気づけば先輩の前で泣いていた。葉山先輩にも誰にも知られたく
す。次を有利に進めるための⋮⋮だから、その、⋮⋮がんばんないと﹂
ですか申し訳なく思うのが普通です。⋮⋮だから、この敗北は布石で
振った相手のことって気にしますよね
ないこともあるんです。︵そうか⋮そうだったんだ⋮︶あとあれです。
﹁そういうもんです。それに振られるとわかってても行かなきゃいけ
﹁⋮⋮お、おう。そういうもんか。﹂
︵あぁそうか⋮︶
?
5
?
わたしが本物を欲しがったのも、この人のせいだ。わたしが気づい
てしまって辛くなったのもこの人のせいだ。この人には大切な人が
いる。その辛さは不思議と悲しくもなく心がとてもあたたかくドキ
ドキしていた。
﹁⋮⋮いや、会長の件はそうだけど他のは﹂
だってわたしはその時本当の恋をしている事に気づけたから。
いつかこの人の大切な人になりたいから。
いつかこの人の本物になりたいから。
やっと答えを見つけた。
ずっと欲しかった﹃本物﹄の答えを
﹁責任、とってくださいね﹂
この先輩に﹃本物の恋﹄をしているということを⋮
ー終ー
6
さよならのゆくえ前編:2
[ 余韻]
│わたしは先輩に恋をしている。目は腐っているし、猫背だし、行
動も正直変だ。でも、時折見せる包み込むような優しさや、冷めてる
ようで実は熱いところもあったり、なにより本当のわたしを知っても
それでも先輩は受け入れてくれた。
そんな先輩の横にいると安心できるし、心から楽しいと笑ってる自
分がいた。
無理矢理かこつけたデートも待ち合わせから待ったとか言われる
し、どこ行くかは人任せだし、映画見るのも別々に見るとか言うし⋮
とにかく初デートは今までわたしがしてきたデートでは最悪だった
と思う。
7
でも卓球をあんな真剣にやった事もなかったし、ラーメン屋さんに
も入ったのは初めてで美味しかったし、一緒に撮った写真も顔が近く
てすごくドキドキした。今までで最高に楽しいデートだったかもし
れない。
︵好きな人といるとなんでも楽しいし、ちょっとしたことでドキドキ
するんだなー⋮︶
帰りの電車で窓に映る、幸せそうな顔をするわたしがそこにはい
た。
│││││
[編入生]
季節巡って春。先輩の妹ちゃんも見事にこの総武高校に入学し、先
輩がとても喜んでいた。
︵先輩ってほんとシスコン⋮︶
﹂
そんな事を考えているとやたらクラスの男子達がどよめいている。
このクラスに編入生だってよ
!
﹁おい。聞いたか
?
﹁へー珍しいね﹂
﹂
﹁し か も め ち ゃ く ち ゃ 可 愛 い 女 の 子 ら し い ぞ
言ってた
﹁まじか
﹂
﹂
隣のクラスのやつが
ながらプルプルしてるし⋮ いや、気持ちはわかるけどさ。わたしか
満面の笑みで答える四扇さん。先生も何故か自分の左手をつねり
﹁は、はい
だ。あいつは生徒会長だから色々教えてもらえ。﹂
﹁あー。お前ら気を確かに持てー。えーと四扇。お前の席は一色の隣
てるし。
クラスの男子達は一発KO。しかもズキュンとか口で言っちゃっ
﹁﹁﹁⋮⋮⋮⋮ズキュン﹂﹂﹂
少し顔を赤くしながら最後に笑顔をふりまいたその子に
栞︵しおう しおり︶です。皆さんこれからよろしくお願いします﹂
﹁は、はい。⋮えーと、京都の方から親の都合で編入して来ました四扇
﹁じゃあ四扇自己紹介を頼む﹂
麗。学園一の美少女を体現しているかのような子だった。
くらいで出ているところは出ているし、足はめちゃくちゃ細くて綺
はパッチリ二重だし優しそうな感じの瞳をしている。背は結衣先輩
は少しウェーブがかかっていてそれもまたとても似合っている。目
た。さらさらの綺麗な黒髪ロングヘアー。耳の前両サイドにある髪
先生に言われて入ってきた女の子はわたしから見ても可愛いかっ
│ガラガラ
トを紹介する。入れ﹂
﹁よーし。揃っているな。突然だが今日はお前らの新しいクラスメイ
﹁おーし。お前ら席つけー﹂
│ガラガラ
♪︶
︵ふ ー ん 編 入 生 か ー ⋮ ど ん だ け 可 愛 い か わ た し が 見 て や り ま し ょ う
!
ら見ても超絶美少女だし、女子もなんか顔赤くなってるし、男子は半
分失神してるし。
8
!? !
!
﹁えっと⋮一色さんこれからよろしくね
︶
!?
﹂
あといろはでいいよ
﹂
!
︵うっ⋮何この子可愛いすぎでしょ
よろしくね
!
じゃあわたしも栞って呼んで
!
﹁う⋮うん
ありがとう
!
!
を見せてくる。
﹃いろはちゃん
わたし人見知りだからいろはちゃんしかいないの⋮お願い
るかな
!
﹄
!
﹃ありがとう
﹄
栞ちゃんはこちらを見ると目をうるうるさせながら超笑顔。
﹃もちろんいいよ
︵先輩に会いに行きたいけどまぁ仕方ないか⋮︶
と書いてあった。ってか字も可愛いな
﹄
します
お願いがあるんだけど⋮放課後に校内案内してくれ
科書を見せてあげていた。すると隣から栞ちゃんが1枚のメモ用紙
それから授業が始まり、まだ教科書がない栞ちゃんにはわたしが教
ふ⋮﹂とか言って机に突っ伏していた。
嬉しいのか無邪気に喜んでいる栞ちゃん。後ろの男子達は﹁おっ
﹁ほんと
﹂
緊張しているのか頬を少し染めて、挨拶をしてくる四扇さん。
?
!
?
﹂
!
た。猫背で頭にはあほ毛。
なんて内心で思っていると少し先に見覚えのある後ろ姿を見つけ
︵はぁー⋮︶
は先輩に会いたくてしょうがなかったけど、受けたものは仕方ない。
栞ちゃんは物珍しそうに周りをキョロキョロと見ている。わたし
﹁うわー。すごい広いねー
していた。歩く度にこちらへの視線が多くなっている気がする。
│休み時間。隣には先⋮じゃなかった、栞ちゃんがいて校内を案内
[二人の関係]
│││││
隣の男子がまた一人、﹁おっふ⋮﹂していた。
!
9
!?
!
︵あ
先輩だ♪︶
!
の出来事が。
﹁あ
比企谷先輩
︵え
?
﹁先ほどはありがとうございました
﹂
無事職員室に着けました
で⋮えっと⋮ひ、比企谷先輩は部活ですか⋮
︶
﹂
比企谷先輩はなんの部活に入ってるんですか
なんで栞ちゃんが先輩を⋮
﹁あ、あぁ。部活だよ﹂
︵⋮え
﹁そうなんですね
﹁先輩は奉仕部って部活に入ってるんですよねー
?
ごめんなさい
それ
﹂
!
先輩にセク
案内してもらってたのに⋮﹂
二人で話してつまらないからつい口を挟んでしまった。
あぁ一色か﹂
﹁ん
いろはちゃん
﹁あ
﹂
?
!
それより先輩とはどういう関係
警察呼ぶ
﹁ううん。大丈夫だよ
ハラされたの
?
!
﹂
先輩は今日校内で迷ってるところを助けて
!
先輩優しいですね♪﹂
くれたの
﹁違うよ∼いろはちゃん
弁してください。ガチで疑われるんで﹂
﹁なんで俺がなんかした前提なんだよ。ってか警察呼ぶのはマジで勘
?
!
?
?
?
?
!
隣にいた栞ちゃんが先輩に声をかけ、ダッシュで近づいていった。
あ、さっきの子か。﹂
︶
﹁ん
﹂
にやけてしまった顔を整え、先輩に声をかけようとした瞬間まさか
!
?
!
︵何先輩鼻伸ばしちゃってるんですか
あ、目は元からだった。︶
あと目腐らせてるんですか
!
﹂
!
天使の微笑みをこちらに向けて栞ちゃんが言っている。戸塚さん
﹁いろはちゃんと比企谷先輩って仲いいね
﹁伸ばしてねぇし。ってかいろはす辛辣すぎだろ﹂
キモいんですもん﹂
﹁だって先輩栞ちゃんに話しかけられて、鼻伸ばしてるし、ぶっちゃけ
!
﹁いや、たまたまだし、ってかお前笑顔なのに目が笑ってない。恐い﹂
﹁へー
!
10
!
!
?
!
並に可愛い
﹁いや、ちげ﹁うん
すっごい仲いいよ
﹂から﹂
!
としてみた
﹁あざとい﹂
﹂
﹁えーあざといってなんですかー
よ
﹁はいはい可愛い可愛い﹂
﹂
もー
そこは可愛いでいいんです
わたしの事なんだと思って
!
﹁ふぇ
﹂
﹂
﹁あ、一色。今日は生徒会の仕事あんのか
あんなら手伝うぞ。﹂
思ったら少し歩いたところでこちらを振り返り
そ う 言 っ て 先 輩 は 膨 れ て る わ た し を 無 視 し て 部 室 へ 向 か う。と
﹁あ、比企谷先輩部頑張ってくださーい
﹁じゃあ俺もう行くわ。﹂
﹁むー。﹂
﹁あざとい後輩﹂
るんですかね
﹁うわっ、少してきとー過ぎませんかね
!
そう言いながら栞ちゃんに対抗して小悪魔笑顔で先輩ににこぱー
!
!!
?
だったら早く行って終わらして帰りたい。どうせ
?
│││││
あまりの不意討ちに顔が真っ赤になるわたしだった。
﹁⋮は、ひゃい⋮//﹂
きなり誘ってくるって⋮
照れながら言う先輩がどうしようもなく愛しく感じる。しかもい
来いよ。雪ノ下と由比ヶ浜待ってるし﹂
﹁そうか。じゃあ、まぁ⋮その⋮なんだ⋮遊びに来るんだったら早く
﹁きょ、今日はないです⋮﹂
︵まったく。この先輩は⋮︶
俺に拒否権ないし﹂
言ってくんだろ
﹁なんだそのあざとい返事⋮。お前どうせ後で奉仕部来て手伝えとか
?
11
?
?
!
?
[彼女の恋]
﹂
先輩が去っていった後校内案内の続きをする。突然栞ちゃんがこ
﹂
カッコいいね
ちらを見て話しかけてくる。
どこが
﹁比企谷先輩ってさ
﹁え
!
﹂
?
﹂
?
何か探してるのか
﹂って声掛
?
際は言わないけど。ってか﹁おっふ﹂ってなに
﹂
わかってくれて良かったなー⋮⋮//﹂
﹁あーなるほど。先輩優しいからね
﹁うん
[日常]
│││││
時電車に映ったわたしの顔と同じような顔をしていることに。
その時気づいてしまった。先輩の事を話している栞ちゃんが、あの
?
ちゃんの笑顔を向けられた男子みたいに﹁おっふ﹂ってなる。まぁ実
だ か ら 優 し く さ れ る と マ ジ で ヤ バ イ。普 段 の ギ ャ ッ プ も あ っ て 栞
あ ー 確 か に 優 し い 顔 を し て い る 先 輩 の 目 は 腐 っ て な い か ら な ー。
けてくれて、その時の優しい顔がカッコよく見えちゃって﹂
キョロキョロしてる私に﹁大丈夫か
﹁わ た し 人 見 知 り だ か ら 不 安 で 泣 き そ う だ っ た ん だ け ど、お ろ お ろ
﹁うん﹂
たじゃない
﹁うーん何て言うのかなー。さっき迷ってたら助けてくれたって言っ
はないけどさ﹂
﹁だって目はあれだし、猫背だしまぁそれ以外のパーツは確かに悪く
﹁えーカッコいいよー
対面の人は絶対にそうは思わないはずだ。ソースはわたし。
しもう大好きまであるけど、それは先輩を知ってるからであって、初
まぁわたしからしたらめちゃくちゃカッコいいし優しいし可愛い
?
!
?
!
12
?
︵あ⋮︶
!
一通り校内案内をしたあと教室で栞ちゃんと別れたわたしは奉仕
部へと一目散に向かった。
部室前に着き、髪を整え一呼吸置いてノックする。
│コンコン
﹁どうぞ﹂
やっはろー♪﹂
ほぼノックと同時に雪ノ下先輩の声が聞こえ、中へ入る。
﹁失礼しまーす。﹂
﹁あ、いろはちゃんだー
﹁あ、結衣先輩やっはろーです♪﹂
ぱぁぁという擬音が似合いそうな感じでこちらへ挨拶してくる結
﹂
衣先輩。やっはろーって挨拶なのかな
﹁こんにちは。一色さん﹂
﹁雪ノ下先輩こんにちはです
?
輩。
お前
?
修行した
﹁ねぇ、今ノックとほぼ同時に﹁どうぞ﹂って言わなかった
﹂
エスパーなの
サイヤ下さんなの
﹂
超美人さんがまた一人
気とか感じられるの
の
﹁わぉ
?
﹂
と先輩の横にいることからして
﹁先輩の妹さんですかー
お噂は兄からかねがね
﹁あぁ妹の小町だ。よろし﹁生徒会長さんですよねー
﹂﹂
早速ですがご
! !?
?
兄の妹の比企谷小町ですー
連絡先聞いても
!
わたしあの愚
だろう。そして一番気になったのがあのアホ毛。恐らくあのアホ毛
魅力を際立たせている。背は小さいがスタイルも良く、かなりモテる
八重歯がまたいたずらっ子な雰囲気を醸し出していてそれも彼女の
う。見た目は、目はパッチリで肌も綺麗だし、笑顔がキュートで光る
女の子は初々しく、中学生の垢抜けない感じからして新一年生だろ
を言っている先輩と見た事のない可愛いらしい女の子が一人。その
ふと声をした方を見るとそこには目を腐らせて、訳のわからない事
!
?
何
飲んでいた紅茶を机に置き、こちらへ優雅に挨拶してくる雪ノ下先
!
?
?
13
!
?
!
?
︵う、この子ぐいぐい来るなー。なんかわたしみたい⋮︶
あといろはでいいよ
あと連絡先もいいよ
﹁おい、小町まだ﹁お兄ちゃんうるさーい。今小町が喋ってる途中で
しょうがー。﹂﹂
﹁小町ちゃんよろしくね
﹂
!
﹂
?
﹂
︵あ、先輩。わたしの事仲間に入れてくれてるんだ。えへへ//︶
ら来るかどうか誘ってみたんだ﹂
﹁まぁそのなんだ⋮一色ももうこの部活の部員みたいなところあるか
⋮﹂とため息をついて
ちらっと先輩の方見る。先輩は一瞬動揺して観念したのか﹁はぁ
﹁あ、いえ⋮特に用事は無かったんですが⋮﹂
﹁それで一色さん。今日は何か用
︵なんか所々わざとらしく間違えてた気が⋮︶
でもない、相談があればいつでも連絡くださいね♪﹂
間違えた。いろは先輩♪もしお兄ちゃんの愚痴⋮じゃない⋮悪口⋮
﹁ありがとうございますー♪よろしくおねがいしますいろはお義姉⋮
!
あ、は、ひゃい//﹂
﹁そうなの
﹁えぁ
?
︶
なんか小町ちゃんがわたしと先輩を見てニヤニヤしてる。
︵まさか気づかれた
﹂
!
ってか言い方がわたしのセリフだ
!?
し、それにお前あのグループで帰り絶対喋ってるから﹂
﹁どうしようもなくないし
かしいからやめてよー⋮//﹂
!
机に頭を抱えて恥ずかしがる結衣先輩。
恥ず
﹁いや、それはお前あれだ。待ってもどうしようもない人は待たない
てもくれないし。﹂
﹁でもさ、ヒッキーが誰かを誘うなんて珍しいね。わたしなんか待っ
﹁あ、はい
﹁まぁそういうことなら。今紅茶を入れるからそこに座ってて。﹂
!?
ん
ニヤニヤ
︵やっばー。噛んじゃった︶
?
?
14
!
︵なんかあったのかな
一色
︶
ねっ
﹂
いきなり何を
﹁いや、違うから
﹁﹁﹁ふーん﹂﹂﹂
﹁おい
﹂
てたんですよ∼。しかもその子すっごい可愛くて∼﹂
﹁ところで聞いてくださいよ∼。先輩が今日わたしの友達をナンパし
?
!?
﹂
﹁何が違うのかしら
﹁ヒッキィ∼∼
軟派谷くん
﹂
?
﹂
﹂
﹂
わたしわかりません♪﹂
せ、説明してくれ
﹂
なんの事ですか∼
﹁い、一色
﹁え∼
﹁い、一色∼
ぎゃ、ギャ∼∼∼
﹁比企谷くん遺言はあるかしら
﹁え、
達が複数人できた。それも恐らく葉山先輩や他の男子ともう遊ばな
外にも友達ができたみたいだし、わたしも栞ちゃん経由で仲のいい友
あれから少し経って、栞ちゃんもこの学校に慣れてきた。わたし以
[絆]
│││││
まぁもちろん冗談ですが♪
その後先輩を見た者はいなかったという⋮
!
?
!
︵動揺してる先輩も可愛いな∼♪︶
﹁いや、だから話せばわかる⋮か、ら﹂
かないわ∼﹂
﹁お兄ちゃんないわ∼。みんないるのにそれでも飽きたらずナンパと
!
?
︵ふふふ♪さっき栞ちゃんと仲良く喋ってた罰です♪︶
?
!?
!!
?
!!
15
!
!?
?
?
くなったからだろう。
栞ちゃんといえばこの学校の可愛い女の子ランキング︵この前初め
て知った︶が変動したらしい。男子達がこっそりランキング表を持っ
ているのを見た。どうやらこのランキング、男子だけに極秘に回って
おり、この学校の全男子生徒によって投票されているらしい。ってか
主催者誰だ。
そのランキングは5位まであり、
5位:比企谷 小町
4位:一色 いろは
3位:由比ヶ浜 結衣
2位:雪ノ下 雪乃
1位:四扇 栞
と書いてあった。
︵むぅ∼⋮わたしは4位⋮︶
︵わたしももう馴染んだな∼⋮︶
あの先輩の﹁この部の部員みたいなところあるからな﹂発言からわ
16
まぁ今更他の男子が誰に入れようと関係ないので別に順位なん
かどうでもいいんですが。それよりも先輩が入れたのは誰なんだろ
う
│放課後
│コンコン
﹁どうぞ﹂
﹁失礼しまーす。﹂
﹁一色さんこんにちは﹂
﹁雪ノ下先輩こんにちはです♪﹂
﹁とりあえず紅茶で良かったかしら
?
そう言って雪ノ下先輩は自然に紅茶を入れてくれる。
﹁あ、はい♪大丈夫です♪﹂
﹂
三年生のしかもあの二人を抑えて一位だもん⋮。自信なくすな∼⋮
でもやっぱり栞ちゃん凄いな∼⋮まだ編入してきて間もないのに
?
たしはこの部活の部員みたいになっているらしい。雪ノ下先輩はこ
﹄ってメールくれるし、先輩
うやって普通に紅茶入れてくれるし、結衣先輩も生徒会で忙しくて行
けないときに﹃今日は来れそうにない
も⋮
﹁うっす﹂
﹁先輩おっそーい∼﹂
﹁いや、ってかお前なんでいんだよ﹂
違いました。この人はそういう人でした。自分から言っといてこ
?
今日由比ヶ浜さんは
﹂
﹂
うです。ほんと上げてから落とす捻デレさんです。
﹁あら
今から来るんじゃねぇの
その数分後、
﹁あ
?
ゆきのん、いろはちゃん♪﹂
!
﹂
!
遅れて
│コンコン
﹁どうぞ﹂
やっはろー♪﹂
﹁こんにちは∼♪﹂
﹁小町ちゃんだ
﹁結衣さんやっはろーです♪﹂
いろはさん
!
﹁小町さんこんにちは﹂
雪乃さん
!!
﹁こんにちは小町ちゃん﹂
﹁こんにちはです
﹂
と言いながら雪ノ下先輩にくっつく百合先輩⋮結衣先輩でした。
﹁うん♪えへへ∼﹂
﹁由比ヶ浜さんこんにちは﹂
﹁結衣先輩やっはろーです
結衣先輩が入ってきました。ほんとうらやまけしからんんです。
勢 い 良 く 開 け ら れ た ド ア か ら 元 気 の い い お っ ぱ ⋮ げ ふ ん げ ふ ん。
﹁やっはろー
?
?
た。ちなみにその時はわたしはもう一度会長に立候補する事になっ
部員らしい。次の生徒会選挙では副会長に立候補するとも言ってい
と小町ちゃんが入ってきた。小町ちゃんは一年限定のこの部活の
!
!
17
?
ている。
お兄ちゃんあれ渡した
﹂
﹂
?
﹁今紅茶入れるわね﹂
﹁あ、雪乃さんちょっと待ってください
﹁うっ⋮忘れてた﹂
と先輩はおもむろにカバンから袋を取り出す。
﹁はいよ﹂
いろはさん
もしかして⋮︶
中から箱を二つ取りだし、机の上に置く。
﹁あ、マグカップじゃん﹂
箱を見た結衣先輩が言った。
︵マグカップかー。でも二つって
﹂
﹁ひとつは小町ので∼♪もうひとつは∼⋮はい
﹁⋮え
!
!
た。
と小町ちゃんが可愛いイルカのデザインのマグカップを渡してき
!
?
﹂
お兄ちゃんが帰りに﹃一色にもマグカップ買ってやらなくちゃ
﹁ふふふ♪それ、昨日お兄ちゃんと一緒に選んで買ってきたんですよ
∼
﹂
先輩が⋮
な﹄って言って
﹁⋮えっ
?
﹁まぁ⋮そのなんだ。小町のも必要だったし、そのついでって言うか、
⋮いつまでも紙コップっていうのも経済的じゃないしな⋮﹂
﹂
と先輩は照れくさそうに頭を掻いている。
︵⋮ほんとにこの先輩は⋮︶
﹁ヒッキー言い訳がゆきのんと一緒だよ
り考えてたよね∼♪小町のは早かったのに♪﹂
﹁って言うけどお兄ちゃんいろはさんのマグカップのデザインしっか
﹁あら、わたしはそんなに目が腐ってはいないわ﹂
?
﹂
﹁ばっかお前それは小町のなんて愛してるからぴったりのがすぐにわ
かっただけだし
︵⋮ほんとにこの人は⋮︶
﹁あ、お兄ちゃんが照れてる∼♪﹂
!
18
?
と先輩の方を見ると
?
!
?
一色違うから⋮って一色
﹂
﹂
﹁照れてねぇし
﹁いろはさん
﹁いろはちゃん
ど⋮どうしたんだろ⋮
しは大粒の涙を流していた。
﹁あ⋮れ⋮
なんか急に涙が⋮﹂
﹂
な、なんでかな⋮すいません⋮
先輩を見ていたら急に先輩がボヤけて見えてきて、気づいたらわた
?
女の子泣かすとか
﹂
﹂
ヒッキーがいろはちゃん泣かしたー
﹁お兄ちゃん最低だよ
!
﹁あー
をわたしは心のどこかで認めて貰えていないと思っていた。
り、雪ノ下先輩を。結衣先輩を。そして先輩を知った、そんなわたし
入生で三人を良く知っている関係なら出来ても、途中から奉仕部を知
好きな人の本物になりたいから。でも、それは小町ちゃんのような新
そ の 中 に わ た し も 入 っ て み た い。わ た し も 本 物 が 知 り た い か ら。
に近い物がそこにはあった。
も傷ついてても絆はあって、どんな事があっても壊れない絆が、本物
思っていた事。この三人の関係はあれからもどこか傷ついていて、で
それはわたしを認めてくれた証。あの言葉を聞いた時からずっと
?
ても器が紙コップだと思っていた。そして口では部員みたいなもの
一色さんあの男に何かされたの
警察呼ぶ
﹂
と言ってくれていたが、でもどこかで信じられなかった。
﹁大丈夫
?
?
もう泣きやめ
⋮な
﹂ ?
だった。
﹁い、一色
﹁お兄ちゃん
女の子を泣かしたら優しくハグだよ
!
いつからこんなに臆病になっていたのだろう⋮
?
﹂
じれなかったわたしがこの中に入るのを怖がりためらっていただけ
でも違った。わたしはいつの間にか認めてもらえていて、それを信
ださい。マジで。﹂
﹁おいなんで俺がなんかやった前提なんだよ。ってか警察はやめてく
?
﹁いや、それは⋮さすがに⋮﹂
!
?
19
!
!?
!?
?
その証拠が先輩のいつもの﹃なんでいるの
﹄と紅茶は出してくれ
!
?
!
!
そうだ
い、嫌だけど⋮今回は許す
ヒッキー慰めてあげて
いつからこんなに絆を大事にするようになったのだろう⋮
﹁うん
﹂
!
!
﹂
?
?
どうしようもなく暖かくて、だから
⋮なっ
?
だから、こんなにも先輩の腕の中は暖かくて心地いいんだろう。
それで⋮どうしようもなくこの人が好きなんだろう。
でもそれがどうしようもなく心地よかった⋮
わ た し は そ れ に 甘 え て し ま っ て こ ん な に も 弱 く な っ て し ま っ た。
﹁ほ、ほらっ⋮一色、泣きやめ
﹂
なに優しくて、その優しくされたみんなもわたしに優しくて、それが
全部この人のせいだ。この人がわたしにあまりにも優しくて、みん
﹁くっ⋮仕方ないか⋮﹂
﹁早くしなさい。通報するわよ
いつからこんなに泣き虫になったのだろう⋮
!
│終│
20
!
さよならのゆくえ前編:3
[微笑ましい光景]
先輩の胸で泣いたあと、わたしはお化粧直しをしていた。無論そこ
は恋する乙女、以前に女子高生だ。ちゃんとTPOはわきまえてい
る。少し曇った鏡に泣きはらした目をした女の子がいた。いやわた
しだった⋮
︵はぁー⋮いっぱい泣いちゃったなー⋮しかもまた先輩達の前で⋮︶
だって嬉しかったから。あんなに人との関わり合いを軽薄なもの
だと思っていたわたしが奉仕部の仲間だと心から認めて貰えている
ことがどうしようもなく嬉しかった。
︵それにしても⋮先輩にハグしてもらえたぁ∼⋮えへへ///なんか
いい匂いしたなぁ⋮︶
そう。小町ちゃんの提案とはいえ、あの先輩が女の子を、ましてや
﹂
比企谷小町さん
﹂
?
?
﹂
21
わたしを抱きしめてくれるとは思わなかった。しかもなんとなでな
で付き。
︵頭撫でてもくれた⋮なんというかすっごい心地よかったなぁ⋮︶
が悪いのだから。﹂
ってか名字を忘れるって
?
ことは小町のも忘れてるってことになるんだけど
ほんとに忘れたのそれ
⋮くん
先ほどまで泣いていたわたしも、嬉しい事がいっぱいでいつの間に
か頬が緩みっぱなしになっていた。
大丈夫
︵そろそろ戻らなきゃ心配かけちゃう⋮︶
│ガラガラ
﹁あ、いろはちゃん
ご迷惑をおかけしました
と深々と頭を下げる。
﹁もう大丈夫です
?
﹁いいのよ。一色さん。元はといえばそこの⋮ひき⋮ひきた
!
!
わたしが可愛い後輩の名字を忘れるわけない
?
﹁ねぇ雪ノ下さん
?
!
?
?
﹁何 を 言 っ て い る の
ニカー﹂
じゃない。ねぇ
﹁はい
!
何
小町と俺は家族じゃないの
それあるんじゃ⋮﹂
﹁⋮やっと笑ったな⋮﹂
﹂
血つながってないの
!
を出してくれる。
﹂
﹂
使ってやってくれ⋮﹂
﹁ありがとうございます。⋮先輩もありがとうございました
切にしますね
えへへ///﹂
﹁おう。まぁ⋮その⋮なんだ
﹁はい
ど、どんな顔ですか///
!?
︵まさか⋮勘づかれてないよね⋮
︶
つい口から出ちゃったみたいな顔をしてる結衣先輩
はー⋮﹂
﹁い、い や な ん か ⋮ 見 た こ と な い 顔 だ っ た な ー ⋮ っ て 思 っ て。あ は
﹁え
結衣先輩がこちらを向いて目をパチクリさせている。
﹁いろはちゃんってそんな顔もするんだ⋮
?
?
これ大
と、先ほど座っていた場所に雪ノ下先輩はマグカップに入った紅茶
﹁はい。一色さん紅茶のおかわり﹂
いで♪︶
︵ふふっこのやり取り大好きです♪先輩とわたしだけのやり取りみた
⋮﹂
﹁はいはい⋮それ言えればもう大丈夫だなってかまたふられんのかよ
さい﹂
じゃないかとか少し考えが甘いので出直してきてくださいごめんな
﹁なんですか。ちょっとわたしが微笑んだからって俺のこと好きなん
なーこの人達︶
︵あ、な る ほ ど。先 輩 達 気 つ か っ て く れ て た ん だ。や っ ぱ 好 き だ
?
﹁おい。小町ちゃんもそんないい笑顔で元気よく返事しなくていいか
らね
﹁ふふふっ﹂
﹁ある訳ないでしょ。ごみぃちゃん﹂
⋮⋮って待てよ
?
そんな微笑ましい光景を見てつい笑ってしまっていた。
?
!
!
?
22
?
?
!?
﹁あ、そ、そういえばさ
知ってる
﹂
﹂
なんか男子の間で極秘でやってる
小町も見ました
校内可愛い子ランキングって
﹁あ、小町知ってます
﹂
何なのかしら。それは﹂
﹁校内⋮ランキング
校内で可愛い
ランキングは五位まで
私もたまたま拾ったんだけどさ
﹁これだよゆきのん
と思う子を学校中の男子全員で投票するの
しかないんだけど﹂
﹁だ、だよねー
でもさちょっと気になるよね
﹂
?
﹂
﹁お兄ちゃん
誰に入れたの
小町に教えて
﹂
!
﹂
?
﹂
?
﹁ごみぃちゃんだ﹂
﹁うんヒッキーだし⋮﹂
﹁まぁ先輩ですもんね⋮﹂
﹁な、なんだよ﹂
一斉にため息をつく私たち
﹁﹁﹁﹁⋮はぁー⋮﹂﹂﹂﹂
﹁ぐっ⋮⋮まぁもちろん小町だ。それ以外に入れる訳がない﹂
それを聞いて顔をひきつらせる先輩
﹁そうね。丁度合っているわ﹂
﹁でもここ男子全員分の投票数になってるよ
﹁いや、バカ。ぼっちにそんなもん来るわけないだろ﹂
⋮
きゃぴるん♪とする小町ちゃん。ほんとわたしを見ているみたい
?
わたしがそれを言った瞬間全員の視線が先輩に向かう
﹁は
ちょっと爆弾を投下してみました︵笑︶
﹁先輩は∼誰に入れたんですか∼
︵あらあら雪ノ下先輩も素直じゃないな∼︶
﹁そうかしら。わたしは特に⋮﹂
!
﹁⋮下らない⋮人を外見だけの優劣だけで順位を決めるだなんて﹂
!
﹁わたしも見ました
?
︵そういえばマグカップの事で忘れてた⋮︶
!
!
!
!
?
?
23
!
!
!
?
﹁シスコンも大概ね⋮﹂
﹁う、うるせっ﹂
﹂
この一位の四扇 栞って子どんな子なんだろうね
そうなの
どんな子どんな子
﹂
一年生
!
ふて腐れたように読んでいた小説に目を落とす先輩。
﹁でもさ
でゆきのんより上って事は相当美人ってことだよね
﹁え
!?
いです﹂
﹁いろはちゃんがそこまで言うって相当だね⋮
﹂
﹁えっと、一言で言うと超絶美人です。わたしから見てもあれはやば
ない⋮︶
︵う⋮そうぐいぐい近づかれると結衣先輩のおっぱいの圧力が半端
?
﹁あ、その子わたしの同じクラスの友達なんですよ∼﹂
!!
!
﹂
︶
テヘッ☆︶
寒い⋮間違って冷房でも入ったかな
﹁ち、違うんだ⋮い、一色ぃ∼
?
お、お前ぇ∼
︵あ、寒さの原因はここでしたか
﹁比企谷君﹂﹁ヒッキー﹂
︵あれ
その瞬間そんな音が聞こえるくらい空気が凍った。気がした。
│ピシッ
たのってその子なんですよ∼﹂
﹁そうなんですよ∼。あ、ていうか∼この前話した先輩がナンパして
!
!
24
!
その後先輩を見た者はいなかったという⋮
!!
!
?
あれ
デジャブ
│││││
﹁ごめん。なんだろ
﹁﹁﹁まったね∼﹂﹂﹂
︵笑︶
行ってくるね
じゃあまたね
﹂
!
ある。
﹁何か言ったかね﹂
﹁い、いえ⋮﹂
︵こ、こわっ⋮心読めるの
!?
座っていた。
﹁何か飲むかね
﹂
生徒指導室に連れて行かれ、わたしと平塚先生は向かい合わせに
︶
うか、とても言動とかカッコイイんだけど、それのせいか未だ独身で
美人だし、スタイルも抜群だ。ただ、なんというか⋮性格が残念とい
近くにいた平塚先生から声がかかる。この先生は見た目はとても
﹁来たか。こちらへついて来たまえ﹂
まぁあまりいい思い出もないので。
ここには何度も来ているがこの独特の雰囲気はいまだに慣れない。
﹁失礼します﹂
職員室へ向かう。
みんなとお別れし、生徒会長たるもの廊下は走れないので早歩きで
!
わたしにも関係の深い先生から呼び出しをされた。
﹃生徒会一色いろは職員室まで来たまえ﹄
放課後。最近出来た友達と駄弁りながら廊下を歩いていると、
[最初で最後の依頼]
?
?
﹁い、いえ﹂
﹁そうか。なら話を始めよう。突然呼び出してすまなかったな。﹂
﹁い、いえ。お構いなく﹂
?
25
?
﹁ふむ。⋮何か懐かしいものがあるなこの感じは﹂
﹂
と言いながら平塚先生はぷっと噴き出していた。
﹁へっ
﹁いや、すまない。つい一年前の事を思い出してしまってな。丁度こ
﹂
のくらいの時期だったんだよ。彼を奉仕部へ入れたのは⋮少し話し
てもいいかね
﹁⋮課題
﹂
た課題だ。﹂
﹁ありがとう⋮きっかけはなんだったかな。確か⋮そう。授業で出し
﹁はい⋮﹂
︵彼⋮奉仕部⋮というと先輩のことだ。︶
?
な﹂
﹁雪ノ下先輩ですね
﹂
﹁あ ぁ。そ れ で 奉 仕 部 へ 連 れ て 行 っ た。丁 度 も う 一 人 問 題 児 が い て
ほんとに先輩らしい。今でも言いそう︵笑︶
﹁ぷっ、先輩らしいですね﹂
だのとな﹂
かった。青春を謳歌していないものの方が正義だの、リア充爆発しろ
﹁あ ぁ。﹃高 校 生 活 を 振 り 返 っ て﹄と い う テ ー マ の な。そ れ は も う 酷
?
つくづく思うよ。﹂
のだと思う。あの子たちは変わった。今のあの子たちを見ていると
﹁だから今の奉仕部を見ているとあの時の選択は間違えていなかった
高い雪ノ下先輩ならそうなるだろう。
確かにあのなんでも出来そうなはるさん先輩が姉なら、プライドの
りにかまける余裕がなかったのだろう﹂
﹁雪ノ下は孤独だったからな。なまじ姉の背中を追いかけるが故に周
ほんとに怖いときは怖い⋮マジ氷の女王って感じ
﹁雪ノ下先輩はキツイ時ありますもんね﹂
な⋮﹂
﹁あぁ。彼女は比企谷と違い、素行、学業は優秀だったが、その性格が
なんとなく想像はつく
?
26
?
感慨深そうに話す平塚先生。
﹁いや、根本的な部分は何も変わっていないのだろうな。変わったの
は関係性と他人に対する考え方だな﹂
︵関係性と他人に対する考え方⋮︶
﹁人を傷つけるという怖さ。自分を傷つけるという怖さ。自分を傷つ
けることで他人が傷つく怖さ、とかな。恐らくこれは比企谷が一番学
んだことなんだと思う。だから彼は人を変える。雪ノ下も由比ヶ浜
も恐らくクラスの連中も。葉山あたりは特にその傾向が強い。﹂
︵確かに。この一年で葉山先輩は大きく変わった気がする。あれも恐
らく先輩の影響なんだろう。特にマラソンの時なんかは二人で話し
ていたらしいし⋮︶
﹁そして一色。君もな⋮﹂
平塚先生はこちらを向き、とても優しい目をしてわたしに告げた。
﹁⋮はい﹂
﹁いい返事だ。自覚していたようだな。まぁここ最近の君の行動を見
ていると特にそう思うよ。クラスにも友達ができたそうじゃないか﹂
﹁はい。おかげさまで﹂
普通のことなのに、人に話すと少し照れくさい感じがした。
﹁良かったな。大事にするといい。友人は一生ものだからな。﹂
﹁はい﹂
﹁それと⋮君にとっても奉仕部は今や大事なものの一つなんだろうな
と思う。﹂
﹁⋮わかりますか﹂
﹁あ ぁ ⋮ 正 直 部 活 動 を ほ っ ぽ り 出 し て ま で 行 く の は 関 心 し な い が、
まぁそれは私の知ったことではないからな。管轄外だ。﹂
﹁⋮すいません﹂
﹁ふふ⋮そんな嬉しそうな反省はいらないよ﹂
﹁それで⋮ここからが本題だ。﹂
真剣な目に変わる平塚先生。
27
﹁いつかは終わらせなければいけない。今年で彼らはもう三年生だ。
時期を見て文芸部員だろうと部活は引退してもらう。﹂
﹁⋮はい﹂
﹁⋮驚かないんだな。⋮まぁ君のことだ。わたしがここへ呼んでこん
な話をした時から薄々気づいていたんだろう。﹂
今年で先輩達は三年生。何かと受験で忙しいし、部活動に気を取ら
れていては学業に支障が出る。総武高校は進学校だしなおさらだ。
﹁彼らが引退するということは自動的に奉仕部は廃部になるだろう⋮
元々あの二人の更生の場だったんだ。その二人が引退すれば必然的
に奉仕部は必要がなくなる。﹂
﹁はい﹂
﹁正直私も奉仕部を廃部にするのは辛い。まさかあの場が君たちの大
切な場所になるとは思っていなかったからな⋮﹂
恐らく平塚先生に取っても奉仕部は特別なのだろう⋮
﹁今はまだいい。ただ覚悟はしておいてくれ。厳しい事を言うが、い
つまでも先輩達に甘えてばかりでは先輩達も安心して卒業できない。
卒業式の日、君が今年も会長を務めるかは分からないが、送辞で彼ら
を安心させて送り出してあげてくれ。それが⋮﹂
﹁君への、奉仕部の新たな一員への、最初で最後の依頼だ﹂
ー終ー
28
さよならのゆくえ後編:1
[覚悟]
﹁失礼しました﹂
外はうっすらオレンジ色に染まっていて運動部の声がグラウンド
の方から聞こえてくる。平塚先生との話を終え、今は奉仕部へ向かう
途中。
﹁先輩達、まだいるかな⋮﹂
特別棟へ向かい馴染みのあるドアの前に立つ。中から声は聞こえ
ないが、いつものように小説のページが擦れる音やティーカップを机
に置く音が聞こえてくる。
│コンコン
﹁どうぞ﹂
﹂
いつものように雪ノ下先輩の綺麗な声が聞こえた。
﹂
﹂
ありがとうございます
﹁紅茶で良かったかしら
﹁あ、はい
﹂
!
?
こんにちは♪﹂
用のイルカのデザインのマグカップに。
﹁先輩も
一瞬ビクッとして小説にしおりを挟みこちらを向く。
﹁おう。今日もあざといな﹂
﹂
﹁なんですかその言い方∼。そこはあざといじゃなくて可愛いじゃな
いんですかね∼
﹁むぅ∼⋮﹂
﹁はいはい。可愛い可愛い﹂
?
29
﹁こんにちは∼
﹁あ、いろはちゃんやっはろー
﹁こんにちは一色さん﹂
﹂
!
といつもの用意された席へ二人へ挨拶をしながら座る。
﹁結衣先輩、雪ノ下先輩こんにちはー
!
!
雪ノ下先輩はいつも紅茶を入れてくれる。しかも今日はわたし専
!
小説に目を落とし集中している先輩にニコッとして声をかけると、
!
ぷくーと頬を膨らませて先輩を睨む。
﹁それよりお前今日サッカー部行かなくていいのか
インだろ﹂
﹁はぁ
﹂
﹂
﹁⋮わたしもう葉山先輩のこと好きじゃありません﹂
一応あっちがメ
認めてくれた平塚先生、結衣先輩、雪ノ下先輩、そして先輩に失礼だ。
が好きと嘘をつくのはもうやめにしよう⋮それは奉仕部の仲間だと
ごせる時間は限られてる。先輩のことが好きなのに葉山先輩のこと
こんなことをいつまでも続けたくない⋮もうこうして先輩達と過
﹁⋮そのことなんですけど∼﹂
つも心がズキッとする⋮︶
︵うっ⋮また葉山先輩の話⋮先輩から葉山先輩の名前を出されるとい
﹁⋮はぁ。葉山はどうしたんだよ⋮﹂
きゃぴるん♪
﹁気のせいです♪﹂
てないか
﹁ですか∼って言われても知らんし。ってかお前年中そんなこと言っ
じゃないですか∼﹂
﹁あ ∼ ⋮ ま ぁ な ん て い う か そ の、こ の 時 期 っ て 風 強 く て 土 煙 ひ ど い
?
︵やっぱ気付かれてたか⋮︶
﹁いやぁ実はぶっちゃけ言うとあのフラれた日から﹃あ、違うな﹄って
思ってたんですよ﹂
﹁⋮﹂
先輩は驚いた様子でこちらをずっと見ている。
﹁わたし、恋愛って顔がかっこよくて、誰からも愛されるような人とす
るもんだって思ってたんですよ。そんな人と付き合えたら嬉しいん
だろうなって思ってたんですよ﹂
結衣先輩も雪ノ下先輩も真剣にこちらの話を聞いていた。
﹁でもそれって自分が存在しないじゃないですか。自分がこの人とい
30
?
先輩は当然の様に驚いた。でも二人には特に驚く様子はなかった。
﹁﹁⋮﹂﹂
!?
ると楽しいとか、この人といると安心するとかそうゆう気持ちって感
じたこと一回もないんです。葉山先輩とは﹂
葉山先輩はかっこいい。それに性格もいいんだと思う。勉強だっ
てできる。だからモテる。でもそれだけ。誰にでも優しい葉山先輩。
誰にでも愛される葉山先輩。でもそれは葉山先輩の外見しか見てい
ない。
だって見えないから。葉山先輩は本当の自分を一切見せない。理
由はわからないけどそんなの偽物だって今なら思える。偽物を振り
かざしてできた友達は上っ面だけの友達だろうし、恋人もそれと同
じ。自 分 の 本 物 を 見 せ な い で 相 手 の 本 物 な ん て 見 れ る わ け が な い。
だからわたしはちゃんとこの三人には言わなきゃいけない。多分二
人は気づいてるだろうけど、それでもわたしの口から。
﹁だからもう⋮葉山先輩の事は好きじゃありません﹂
先輩の目を見て真剣にわたしは言った。
じゃなくてだな﹂
わたしだってちゃんといろんな事考え
女の子はいっぱい悩みとかあるんだよ
デリカ
あたふたとする先輩。ほんとそんな狼狽えなくてもいいのに。
﹂
﹁ヒ ッ キ ー 最 低 ∼
シー無さすぎ
!
!?
﹂
!
﹁あ、⋮ごめん⋮﹂
ねぇ⋮
﹁おいこらお前が一番デリカシーないだろが
謝ったの
?
そして由比ヶ浜は何に
﹁そもそも人と接する機会が無かったんだもの﹂
そう言って雪ノ下先輩は結衣先輩の肩に手を置いて、首を振る。
⋮﹂
﹁由 比 ヶ 浜 さ ん。そ の 男 に デ リ カ シ ー が 無 い な ん て あ ま り に も 酷 よ
!
﹁何を言ってるのかしら。デリカシーという言葉の意味を知ってるの
?
31
﹁⋮ そ う か。で も 驚 い た。⋮ お 前 っ て ち ゃ ん と い ろ い ろ 考 え て ん だ
な﹂
﹂
﹁む∼⋮なんですか∼それ∼
てます
!
﹁い、いや、すまん。別にお前がなんも考えてない奴とか思ってた訳
!
比企谷菌﹂
﹃人間関係﹄を良好にするために必要な感情や気遣いなどの繊細さ
の事を言うのよ
︵比企谷菌なにそれウケる︵笑︶でもちょっと欲しいかも⋮︵笑︶な
ってかいちいち説明が細かいな。ユキペ
んか折本さんみたいだな⋮︶
﹂
﹁おいこらまたそのネタか
ディアさんなの
!
人の名前と言ったじゃない。どこが棚に上げてるの
こちらに疑問を投げかけてくる。
﹂
﹁でも、じゃあ俺ってなんでお前にデートとか連れ出されたの
﹁ふぇ
﹂
///︶
でも実際はもうあのクリスマスの時には好きじゃないって言っ
てたし﹂
︵せ、先輩が核心を⋮この人いっつも鈍感な癖にぃ∼
とかそんなのある訳にゃい
な、なんですかひょっとして俺の事好き
⋮⋮あ
﹂
えと、、あと、考えが甘いので出直し
!
来てくださいごめんなさい///
じゃないですか///
だからデートに連れ出されたのかな
!
しかも今取ってつけたようにフラれたけど俺何回フラれんだよ⋮﹂
﹁いやお前噛みすぎだから。なんでそんな顔真っ赤にして焦ってんの
!
!
?
まってるじゃないでしゅか
﹁そ、、しょんなの暇つぶしに先輩に付き合ってあげただけにき、決
!
ん
﹁だってさ、お前葉山とのデートのための練習だ∼とか言ってたじゃ
?
?
なんてことを考えていると今まで落ち込んでいた先輩が顔をあげ、
負けず嫌いだな∼。
は勝ったと言わんばかりに超満足気な顔をしていた。この人ほんと
そう言ってガックシと肩を落とす先輩。それに反して雪ノ下先輩
?
上げすぎだ。﹂
﹁え
﹂
﹁ずいぶん懐かしいシリーズ出してくるな⋮あとお前は自分の事棚に
﹁あら。人の名前をバカにするのは最低な行為よ。ヒキガエルくん﹂
?
﹁⋮はぁもういいです⋮﹂
?
?
︵はぁはぁ⋮顔あっつ⋮ってかこんな有様でも気づきもしないとか
32
?
?
?
ほんとバカ
ボケナス
八幡
!
︶
!
映っているモブキャラよね⋮﹂
﹁なんで俺急に罵倒されてるの
なんでため息つかれてるの
みんな疲れてるの
である。モブは誰にも干渉されないからな
だるげ∼﹂
なに
﹁﹁﹁⋮はぁ∼⋮﹂﹂﹂
﹁え
﹂
帰る
?
﹂
わたしが先輩とデートしたのは∼⋮先輩とデートした
かったからですよ♪
この日をきっかけにわたしは覚悟を決めた。﹃本物﹄を手に入れる
きゃ。胸を張っていつか先輩の隣に立ちたいから。
と一緒にいたいから。そして平塚先生からの依頼もちゃんとやらな
ればならない。先輩ともずっと一緒にいたいけど、この二人ともずっ
当の気持ちを知っておいてほしい。そして二人の気持ちも知らなけ
気づいているかもしれないが二人には先輩に伝える前にわたしの本
終 わ り が 来 る 前 に わ た し は や ら な く ち ゃ い け な い こ と が 山 程 あ る。
でいられる心地のいい場所。でもそれもあと何ヶ月あるだろうか⋮
こんな日常が楽しくてしょうがない。奉仕部は自分が自分のまま
﹁む∼⋮先輩雑過ぎませんかね∼⋮﹂
﹁はいはいあざといあざとい﹂
?
﹁と に か く
︵ほんとこの人はぶれないなー︶
ているのに誰もツッコまない感じな。って誰がゾンビだ﹂
﹁そうそう。女の子たちは普通に生活してるけど、窓がめっちゃ割れ
と勘違いされるじゃない﹂
﹁あなたみたいな目が腐ってる男が後ろに映っていたらホラーアニメ
?
!
?
﹁なんで帰るってとこ嬉しそうだし⋮﹂
?
比企谷くんはいつも気
あと、俺はむしろモブになりたいま
どちらかというと主人公と誰かが教室で喋ってるシーンで後ろに
﹁ほんとどこのラノベの主人公かしら⋮あ、ごめんなさい。あなたは
﹁ヒッキーって鈍感すぎだと思う⋮﹂
!
?
!
33
?
ための覚悟を。
│││││
[ライン] 新入生もようやく学校に慣れ、小町ちゃんもたくさんの友人に恵ま
れ た ら し い。ま ぁ 小 町 ち ゃ ん の コ ミ ュ 力 は 結 衣 先 輩 以 上 だ か ら そ
りゃそうだって感じだけど。そうそう、わたしは小町ちゃんと度々ラ
インのやり取りをしている。小町ちゃんにはもう先輩を好きなこと
がバレていたので相談に乗ってもらっているという形だ。学校はと
そりゃ先輩と遊びた
言えばゴールデンウイークも過ぎじわりじわりと暑くなってきて、着
ゴールデンウィークは何してたかって
ている上着を脱ぎたくなってくる季節。
え
か
昨日浴衣写メ、メールしたのになんで返してくれないんです
︵゜Д゜︶ノ﹄
﹃先輩
│││││以下、メールのやり取り
てきた。
ても帰ってこなかったからもう一回メールしたらこんな返事が返っ
衣姿の写メを撮ってメールに付けて送ってやった♪⋮でも一日経っ
訳にもいかず、先輩には一度も会っていない⋮腹いせに旅館先での浴
かった⋮でもうちの家族が久しぶりの旅行だっていうから行かない
?
見てそのままだったわ﹄
﹃先輩⋮殺す﹄
﹃すいませんでした。冗談です。浴衣姿とても可愛くて綺麗でした﹄
﹄
﹃許してあげましょう♪その代わりに今度旅行一緒に行きましょうね
♪
﹃行かん﹄
行きましょう
﹄
﹃小町ちゃんに先輩から浴衣姿の写メを要求されたって言います♪﹄
﹃よし
﹃約束ですからね♪﹄
!
!
34
?
!
﹃あ、わりぃ。どっかの有害サイトからの添付付きメールかと思って
!
?
﹃はぁ⋮了解﹄
とまぁこんな感じでゴールデンウィークは先輩成分が補給出来な
そんな感じで過ごしてきて今日はもう週末。今週ももう
かった⋮もちろんゴールデンウィーク明けは奉仕部に行きまくりま
したけど
﹃いろはさんこんにちは∼
﹄
﹄
﹃あ、小町ちゃんこんにちは
特に予定はないよ∼
﹄
﹃明日、土曜日って何してますか
﹃ん
行く
﹄
﹃あ、はい
﹃は∼い♪﹄
﹃その後小町の家で勉強教えてくれると助かります
ちなみにですが♪︵笑︶﹄
!
しょうがないからいいよ
﹄
?
兄ちゃんもいます
﹃勉強は人に教えるのも勉強だからね
あ、ちなみにお
じゃあ明日10時千葉駅集合でお願いします♪﹄
﹃うーん⋮わかんないけどわたしも勉強しなきゃだし、一緒に買いに
ど、なんかいい参考書ないかな∼って﹄
﹃なら良かったです∼♪小町中間テストに向けて勉強したいんですけ
?
!
!
!
﹄
│││││以下、ラインのやりとり
町ちゃんからラインが届いた。
終わりかー⋮先輩に会えないの寂しいな∼⋮なんて思っていると小
!
!
週末って
!!
やらかした⋮だって嬉しかったんだもん
!
﹃きゅ∼///﹄と言いながら意識を失うという漫画みたいなことを
月がモチーフのハートネックレスで貰った時あまりにも嬉しすぎて
今は千葉駅の前で小町ちゃんを待っている。このネックレスは三日
服と今年先輩からもらった誕生日プレゼントのネックレスを付けて、
時刻は土曜日の午前9時半。先輩の家に行くからとお気に入りの
[ナンパ]
│││││
素晴らしいなぁ♪
なんと神からのラインだった。あぁ神様仏様小町様∼
﹃はいはい∼♪しょうがなくお願いしますぅ∼♪︵笑︶ではでは∼♪﹄
!
!
35
?
?
それ以来わたしはこれが宝物で付けても先輩とのデートの時くら
いにして、付けないときは付属の箱に厳重にしまっておいてある。
﹃でも、これって普通彼女とかにプレゼントするやつだよね⋮結構高
いし⋮こんなの貰っていいのかな⋮﹄
そこの彼女
俺らとデートしない
﹂
とそんなことを考えながらネックレスのトップを触っていると
﹁ねぇ
?
しいから女の子と行きたかったんだけどさ
﹂
﹁そんな時駅前にめっちゃ可愛い子いたから声かけた訳よ
﹂
!
!
だ
!
と言いたかったが
!
こうよ∼﹂
﹁そうそう
﹂
﹁こんな可愛い彼女を待たせるようなそんなヘボイ彼氏ほっといて行
まぁ嘘だけど大抵こう言えば諦めるはず。
﹁すいません∼、わたし今彼氏待ってるので∼﹂
逆ギレされても困るので
いたいあんたらみたいな男と行く訳ないでしょ
前で一人でいるんだから誰かを待ってるに決まっているでしょ
と、戸部三人衆は言う。だからの意味がまったく分からないし、駅
﹁だから行こうよ∼
﹂
﹁俺らさ∼今から三人で遊びに行くんだけど∼男三人とか超むさくる
三人いた。見た目は戸部先輩。
急に声をかけられて振り向くとそこには見るからにチャラい男が
!
!
それなら俺らがもっといいのプレゼントしてやるよ∼。ど
﹁あ∼ん
﹂
!!
ついたのか
とっさにネックレスを隠し、怒号をあげたわたし。男はそれにむか
﹁触らないで
と言って戸部Aがネックレスに触ろうとしてきた。
﹂
んなやつ
?
彼氏じゃないけどこれを見せれば諦めるだろう。
れるくらいなんですから∼。最高の彼氏なんです∼﹂
﹁いえ∼わたしその彼氏大好きなので∼。こんな可愛いネックレスく
と思ったけど意外にしつこい⋮
!
?
36
?
﹁あん
﹂
お前可愛いからって調子乗んなよ
﹂
言ってんだよ
﹁キャッ
︵⋮怖い⋮誰か、、誰か助けて
︶
くて声が出ない⋮足も震えてきた。
いいからついて来いって
力づくでこうされたらどうしようもできない⋮助けを呼ぼうにも怖
男 は わ た し の 腕 を 無 理 や り 引 っ 張 っ て き た。わ た し も 女 の 子 だ。
?
﹁あん
てめぇなんだ
﹂
駅前だ
誰かがわたしの腕を掴んだ手をはじき男とわたしの間に立った。
﹁おい。その手を離せよ。﹂
く。もうダメかと思ったその時
通りすがる人たちも関わるまいと目を伏せ、そのまま通り過ぎてい
!
交番もすぐそこにあるんだからな。だいたい周りを見てみろよ。
﹁こいつの彼氏だよ。それよりここどこだか分かってんのか
ぞ
?
?
﹂
⋮おら行くぞお前ら
﹂
たことによって、気になったのか立ち止まりこちらを見ている。
﹁うぐっ⋮くそっ
!
︵えっ
﹂
今の声って⋮︶
と今助けてくれた男の人が知るはずのないわたしの名前を呼んだ。
﹁一色大丈夫か⋮
ニック状態だった。
も当のわたしはまだ怖くて上を向けないし、声もよく聞こえない。パ
と男たちも周りを見て観念したのかどこかへ行ってしまった。で
!
?
﹂
?
ようやく顔を上げることができた。そこにはわたしの大好きな人
﹁せ⋮ん、ぱい⋮
たちまちわたしのパニック状態が解けていく。
その声はわたしが大好きな声。大好きな人の声。その声を聞いて、
?
37
!!
!!
!?
?
こんな往来で女の子に暴力ふるってたらどうなるかわかってるよな
?
といつの間にか今まで通り過ぎていた人たちもこの男の人が現れ
?
がいた。
﹁おう﹂
﹁⋮な、んで⋮
﹂
﹁なんでってメール見てなかったのか
こは人目につく。ほら行くぞ﹂
まったくお前は⋮それよりこ
と先輩はわたしの手を引いて、歩いていく。どこへ向かうのかは分
からなかったが、こんなに安心する手は初めてだった。
少し歩き先輩はお店へ入り、一緒にわたしも連れていかれる。
﹁よし。ここならいいだろ﹂
どうやらカラオケ店のようだ。先輩は受付を済ませ一緒に部屋へ
入る。
﹁一色着いたぞ。とりあえずここでならもう大丈夫だ﹂
﹂
先輩はわたしを隣に座らせて恐る恐るといった感じにわたしの頭
に手を置いた。
﹁⋮怖かったか
置いたその手で優しく頭を撫でてくれた。
﹂
﹁⋮せん、ぱい﹂
﹁ん
﹁ん﹂
﹁誰も助けてくれなくて⋮でもしぇん⋮グスっ⋮ばいが⋮﹂
も う ダ メ だ っ た。も う 我 慢 の 限 界 だ っ た。あ ん な に 怖 い こ と は
なかった。あんなに人を怖いと感じたことはなかった。
でも、あんなに嬉しいことはなかった。あんなに安心できたことは
なかった。それらが全部重なって、わたしはもう我慢ができず、先輩
の胸であの時のようにまた泣いていた。
﹁│おう。頑張ったな﹂
先輩はわたしの頭をぽんぽんと叩きそこからは優しく撫でてくれ
ていた。ずっとずっとわたしが泣き止むまで。
38
?
?
?
﹁⋮怖かったです⋮すごい⋮怖かった⋮﹂
?
││││││
[ある男の1ページ]
Side:八幡
今日は土曜日。世間の社畜様は土曜日、はたまた中には日曜日も仕
事をして上司が∼とか新人が∼とかノルマが∼とか愚痴をこぼしま
社会って。誰か平塚先生貰ってやれよ⋮いやマジで⋮
くっている事だろう。何それ。仕事したくねぇなぁ∼⋮愚痴しかな
いの
まぁ世間の社畜様はさておき、学生の土曜日は基本休日である。休
日 は 俺 に と っ て こ れ 以 上 の ご 褒 美 は な い と 言 っ て も 過 言 で は な い。
﹂
今日も食う寝る遊ぶの三連コンボ♪って感じだ。遊ばねえけど。俺
の場合見る読む寝るか。
そう出来ると思っていた。 そう出来ると思い込んでいた。
明日小町の代わりに参考書買ってきて
昨日までは。
﹁お兄ちゃん
!
嫌だよなんでだよ﹂
﹁なんだあいつ。って予定
なんで予定
後で買ってきてほし
⋮ま、いっか﹂
?
らメールが届いた。
!
千葉駅前に10時集合ね☆
お兄ちゃん
!
﹃明日数学と科学の参考書買ってきて
行くことになってるから
!
あと、一緒にいろはさんも
小町が友達の家に行ったあと、しばらく漫画を読んでいると小町か
?
!
あと、今日友達の家に泊まるか
そんな訳で一緒に行けないからお願いね
﹂
い参考書と予定をメールで送るから
らご飯適当に食べてね
!
さ
﹁いやぁ、それがさ小町明日ちょっとやることあって⋮あれがあれで
妹にお願いされたら断れないのが千葉のお兄ちゃんなんです⋮
﹁うぐっ⋮じゃあ一緒に行くぞ﹂
﹁小町書店とかそんな詳しくないし、お兄ちゃんおねが∼い﹂
﹁は
町ちゃん。
部屋に入るなり、そんな事を言ってくる我が干妹⋮じゃない愛妹小
!
とまるで嵐のように部屋を出ていった。
!
39
?
?
!
﹂
の服はもうリビングに用意済みだからそれ着ていくように
﹄
おやすみ
なんで
一色
?
じゃあ
!
﹄とか遊戯の神様に
!
あ、今の小町的にポイント
!!
れ。商品は小町でいいのん
︶
︵どこの雑誌のセールスだよ⋮ってかそのポイントで商品交換してく
高い♪﹄
﹃これを着ればお兄ちゃんもイケメンに
り服が置いてあった。小町の置手紙と一緒に。
一階に降りて顔を洗い、歯を磨いてリビングへ行くと小町の言う通
﹁行くか⋮﹂
開けると知らない天井⋮な訳もなく、よく見知った天井だった。
時刻は8時半。もうそろそろ起きて行かなければならない。目を
﹁はぁ⋮寝ていたい⋮﹂
│翌朝。
自体が間違えたまである。そもそもチェス出来ねぇし⋮︶
言われて異世界転生してねぇかな⋮⋮ねぇか。むしろ生まれたこと
︵目が覚めたら﹃君は生まれる世界を間違えた☆
そうして俺は飯も食わず、今日は寝る事にしたのだった。
⋮﹂
﹁は ぁ ⋮ 俺 の 休 日 が ⋮ ま ぁ 俺 も 受 験 勉 強 が て ら 参 考 書 買 っ て く る か
だ。行かなかったら後で小町に何言われるかわからないし⋮
メールを送っても返って来ないし、明日は大人しく行くしかないよう
な ぜ 一 色 が い る の か わ か ら な い。た だ な ん で 一 色 が い る ん だ と
﹁は
!
Side:いろは
[買い物]
││││││
たのだった。
と心の中で小町にツッコみながら服をきて俺は千葉駅へと向かっ
?
40
?
?
﹁ん⋮﹂
気がつくとわたしの目の前にはテーブルと思しき物が見えた。思
しきというのは視界がどうやら横だったからである。テーブルに置
︶
いてあるグラスも横、カラオケ用のテレビとデッキも横。
﹂
﹁ようやく起きたか﹂
﹁ふぇ
︵頭の横から先輩の声が聞こえる⋮⋮横
﹂
ある事に気づいてバッと頭を上げて、起き上がる。
﹁うぉ
突然起き上がったわたしにびっくりする先輩。その先輩は今わた
﹂
ていうか膝枕
﹂
しが寝ていた丁度枕にあたる場所にいた。つまりわたしは先輩に膝
枕をされていたのだ。
﹁しぇ、しぇんぱい///
﹁お、おう﹂
﹁にゃ、にゃんでしぇんぱいがここに///
!?
!?
﹂
からナンパされるのはしゃあない⋮あっ﹂
﹁ふぇ///
あざとすぎ⋮///
︶
﹁い、いや、な、なんでもない。気にすんな///﹂
︵またこの人は⋮///
!
んは
﹂
﹁ん、んん///⋮でもなんで本当に先輩が来たんですか
!
﹂
﹁はぁ⋮ほんとにお前メール見てないんだな⋮﹂
﹁メール
小町ちゃ
﹁⋮まぁなんだ。その⋮お前可愛いし、今日の服とかめっちゃ可愛い
す⋮﹂
﹁す、すいません⋮///それと⋮助けてくれてありがとうございま
先輩が助けてくれたんだ⋮それで⋮︶
︵思い出した⋮わたしナンパされて無理やり連れてかれそうになって
﹁あっ⋮﹂
﹁あ、悪かったな⋮///でもお前が泣きつかれて寝ちまったから﹂
!?
?
?
先輩に言われてスマホを開く。すると小町ちゃんからラインが届
?
41
!?
?
!
?
いていた。9時半に。
﹃おはようございます
いろはさん
急ですが小町行けなくなったん
あ、昼くらいに家に来てくれれば
﹄
!
︶﹂
新しい女
﹂
︵それより小町ちゃんー
小町ちゃんたらー///
の恋のキューピッド小町より☆
ヴェァァァ
﹂
嬉しいけども
!!!!!
それからの勉強は大丈夫ですのでよろしくお願いします♪ あなた
でお兄ちゃん代わりに行かせます
!
!
!
誰ですかそれ
ココアさん
﹁ヴッ
﹁え
﹁ココアさん
嬉しいけど
!!
!!!!!
﹃ありがとうございます﹄
ただの感謝でした⋮︵笑︶
行きましょう
﹂
そろそろ参考書買って帰りたい﹂
?
もう大丈夫です
!
﹁それより一色もういいか
﹁あ、はい
!
ンする。
この気持ちを小町ちゃんに伝えたくて大急ぎで小町ちゃんにライ
?
?
﹁ん
﹂
?
ら ら ぽ ー と だ よ。書 店 で 大 き い の 知 っ て ん の あ そ こ く ら い だ
﹁先輩どこ行くんですか
それからカラオケを出て、先輩に連れられモノレールへと乗った。
!
﹂
﹂
﹁ひ、人多いからな。それに⋮お前まだちょっと怖がってるみたいだ
﹁ふぇ
と先輩が手を出してくる。
﹁ん﹂
﹁はい
﹁⋮一色﹂
乗り換えなどをしてようやくららぽーとに着き、少し歩いていると
﹁あ、なるほど﹂
し。参考書もいろんなのあるだろ﹂
?
42
?
!!
?
!
?
!
?
?
し⋮﹂
ちょっとトラウマになったのだろうか⋮自分でも知らないうちに
男の人が横を通るとちょっとビクッとしてしまっていたらしい。先
輩はそんなことまでちゃんと見てくれている。
︵先輩⋮///あざとすぎます⋮///もうわたし先輩のこと好きす
ぎてどうすればいいかわかりません⋮///︶
﹁⋮ありがとうございます⋮///﹂
そっと先輩の手を握る。もう顔真っ赤で先輩の顔が見れない⋮
﹁お、おう///﹂
先輩も顔真っ赤にしながら握り返してきた。
︵自分も恥ずかしいのに手を出してくれるなんてほんと先輩って⋮︶
﹂
﹁よし。行くぞ﹂
﹁はい
︵あざとカッコイイなぁ∼⋮︶
││││││
[]
﹂
書店で小町ちゃんと先輩、あとわたしそれぞれの参考書を買って、
現在比企谷家前。
﹂
先輩小町ちゃんからのメール見てないんですか
﹁で、なんでいんの
﹁え
﹁なら入りましょう♪﹂
﹁⋮はぁ⋮わかったよ⋮﹂
先輩は玄関のドアを開け、
﹁ほら入れ﹂
﹁はい♪﹂
わたしが先に中に入り先輩も後から続く。
﹁おじゃましま∼す♪﹂
﹁ただいま∼﹂
?
?
43
!
﹁はぁ⋮見たよ。見たけど一応な﹂
?
お兄ちゃんもおかえり
﹂
﹂
えっと、それでは早速ですが時
!
挨拶をするとパタパタと小町ちゃんがやってきた。
﹁あ、いろはさんいらっしゃ∼い
﹁おう﹂
﹂
こんにちはですいろはさん
﹁小町ちゃんこんにちは
﹁はい
!
の服をギュッと掴む。
﹁お兄ちゃんどこ行くの﹂
﹁いや、だから自分の部屋⋮﹂
﹂
﹁お兄ちゃんがいなくなったら誰が勉強教えるの
﹁はい
﹂
﹁小町と∼いろはさんはお兄ちゃんより年下だし∼
ね
こ
いろはさん
?
先輩
教えてくださいよ∼
﹂
それから三人で勉強をして、時刻は夜6時。
なんで同じうめき声あげてんの
?
﹁う∼う∼﹂
お前ら双子なの
?
﹁う∼う∼﹂
﹁なに
﹂
ようやく観念した先輩と、ハイタッチする私たちであった。
﹁﹁いえ∼い♪﹂﹂
﹁はぁ⋮わぁったよ⋮数学以外だけだぞ⋮﹂
p;年下妹パワーを先輩に浴びせているのだから。
﹁おねが∼い﹂と言いながら小町ちゃんと二人であざとパワー&am
それもそのはず。
振り返った先輩はこちらをみて唖然とする。
!
︵あ♪なるほど♪︶
﹁そうですよ
!
﹁いや、だから⋮⋮﹂
!
こちらを見た小町ちゃんがわたしにアイコンタクトをしてくる。
!
?
うゆうときは∼頼れる先輩に教えてほしいのです
﹂
後輩だし∼
と先輩は二階へ行こうとする。しかし、すかさず小町ちゃんが先輩
﹁じゃああとは頑張ってな。俺は自分の部屋でもうひと眠りするわ﹂
間ももう3時ですし、勉強始めましょう
!
!
?
?
44
!
!
?
!
!
﹁﹁だってわかんないん︵だもん
﹁あ、はい
﹁そ う だ
﹂
﹂
﹂
別に﹂
︶ですもん
そろそろご飯にしよう
﹁え、でもいいの
﹁もちろんです♪﹂
恐る恐る先輩を見る。
﹁まぁいいんじゃねぇか
︵やった♪︶
﹁じゃあいただきます♪﹂
﹁あ、でもなんか手伝うよ
悪いし
﹂
﹁あ、じゃあお願いします∼♪︵いろはさん
!
の好きな味付けとか教えちゃいますね♪︶﹂
こっそりとわたしに言ってくる。
﹂﹂
﹂
いろはさん
お兄ちゃん
いろはさんも食べてくださいね
﹁はぁ∼⋮あ、もうこんな時間か。一息入れるか
!
わざとらしく喜ぶ小町ちゃん。ほんとあざといなー。
﹁やったー♪﹂
?
!
﹁あ///うん︵お願いします///︶﹂
!
!
座っていた先輩に出す。
﹁お、今日は肉じゃがかー
﹁ちょっ///
旨そうだな﹂
小町ちゃん///
!!
﹁ほぅ⋮♪﹂
となにやら一人で納得している。
︶
!
あ、うん
うん
え、いいの
!?
︵なんか絶対変な事考えてる
小町だよ∼
わかった∼♪
照れくさそうにする先輩。と小町ちゃんはそれを見て
﹁お、おう///﹂
﹂
﹁そうだよー♪しかもいろはさんの愛情たっぷりのね♪﹂
!
︵まったくこの子は∼///︶
!!
!
!
!
と思っっていたら小町ちゃんの携帯が鳴る。
﹁もしもし
!
45
!
!
!
それから小町ちゃんと二人で一緒に肉じゃがを作り、テーブルに
!
?
?
!
外出る
︶
今外出るね♪﹂
︵え
?
﹂﹂
﹂
!
﹁ちょっ
小町ちゃん
﹂
!?
﹁は
﹂
﹁じゃあ行ってくるね∼
│バタム。
﹁⋮⋮⋮﹂
!
﹂
遠慮しなくていいぞ
﹁あ、あの先輩⋮﹂
﹁おうなんだ
れるしな﹂
?
あと明日泊まっていってください
!
││││これは昨日ラインをした時の続きである。
﹃あ、いろはさん
﹄
!
ですし♪﹄
﹃明日明後日ってうちの親いないですし、いっぱい勉強教えてほしい
﹃え
﹄
先輩に昨日小町ちゃんとしてラインのやりとりを伝える。
﹁い、いえ。実は⋮﹂
送らなかったら後々小町に怒ら
︵送ってくれるとか超嬉しいけど⋮どうしよう⋮超言いづらい⋮︶
先輩は椅子から立ちあがり、外に出る準備をしている。
﹁⋮はぁ⋮一色もう外暗いし家まで送るわ﹂
あまりの突然の二人っきりにお互いに言葉を無くす先輩とわたし。
﹁⋮⋮⋮﹂
!
ばいば∼い♪﹂
泊まるから帰ってこれないって
﹁あ、あとお兄ちゃん。今日明日ってお母さん達残業でそのまま会社
!
トを持って玄関へ向かう。
か用意してあった服を着て、これまた何故か用意していたお泊りセッ
先輩とわたしが事態についていけていない間に、小町ちゃんは何故
﹁﹁え
に来てるから小町もう行くね∼。ごめんなさい二人共
た∼。しかも友達のお母さんが車出してくれてもう家の前まで迎え
小町これから友達の家泊まりに行くことになっちゃっ
﹁ごっめ∼ん
!
?
46
?
!?
!?
?
﹃でも先輩が迷惑なんじゃ⋮﹄
﹄
﹃大丈夫です♪兄は小町がごり押しすれば許してくれますし、いろは
じゃあお泊りセット持ってくね
さんは小町のお友達として来るんですから♪﹄
﹃わ、わかったよ
﹃お願いします♪ではでは☆﹄
﹁せんぱい⋮﹂
ぎゅっと先輩はわたしの腕を掴む。
それこそ小町に怒られる﹂
﹁ばっかお前。今日あんな怖い目にあってる奴を一人にできっかよ。
荷物を持ってわたしは外へ出ようとする。
りますね⋮じゃあ⋮﹂
﹁だって先輩嫌そうですし⋮やっぱりわたしどこか探して適当に泊ま
﹁いや、そんな落ち込むなよ⋮﹂
﹁⋮﹂
し﹂
﹁だよなぁ⋮まぁしゃあないか。外もどうやら雨降ってきたみたいだ
﹁そもそも友達の家どこかわかりません⋮﹂
友達の家になんて泊まれないだろうしなぁ⋮﹂
﹁いや、別にお前が悪い訳じゃないから気にすんな。今からだと他の
︵先輩嫌そう⋮︶
﹁はい。すいません⋮﹂
﹁⋮はぁ∼⋮そっかぁ⋮﹂
泊まると思ってたから鍵も置いてきちゃったんです⋮﹂
﹁そういう事なんで、実はうちの親も今日家にいなくて⋮しかも今日
!
と思っただけだ﹂
﹁それに別に嫌ではない。ただお前も女の子だし、俺は男だ。だから
お前が嫌かな
ろ嬉しいまであります///﹂
﹂
47
!
﹁い、いえ⋮///わたしは先輩が良ければ全然いいです///むし
?
﹁そ、そうか///まぁ小さい家だがそれでもいいなら泊まっていけ﹂
﹁はい
!
そうして先輩の家で初めてのお泊りをすることになったのだった。
48