カーボンナノチューブ発光材料~分子で光の波長を

<記者用説明文>
カーボンナノチューブ発光材料~分子で光の波長をチューニングできる新手法~
九州大学大学院工学研究院・九州大学 WPI-I2CNER
学会発表番号
白木智丈、中嶋直敏
1PC18
<研究成果のポイント>
●カーボンナノチューブが放つ光の波長を結合させる分子の形によって変化できる
●光デバイスやバイオ・センサー分野の新しい材料として期待
<研究成果の概要>
カーボンナノチューブは、炭素の原子で作られたチューブの形をしたナノ(10 億分の 1
mのスケール)物質です。このナノチューブは光を当てると発光するという興味深い性
質がありますが、今回そのチューブに二つの点で結合できる分子を化学的に連結したと
ころ元の発光とは異なる波長の光が得られました。さらに、その波長は結合する分子の
長さを変えることで変化できることがわかりました。本材料は、生体への透過性が高い 図1 本研究で新しく開発
近赤外光を出すことできるためバイオセンサーなどに応用でき、我々の生活に貢献する した分子を結合したカーボ
ンナノチューブの模式図
ナノ素材になると期待されます。
<研究成果解説文>
カーボンナノチューブの発光を分子でデザインする方法を開拓
第 25 回ポリマー材料フォーラム
予稿集
P77
著者名: 白木智丈 1,2*、白石智也 1、中嶋直敏 1,2
著者所属
1. 九州大学大学院工学研究院
2. 九州大学 WPI-I2CNER
* E-mail: [email protected]
ナノ炭素材料の一つである単層カーボンナノチューブ
機色素とは異なり、炭素のみから成り高い光安定性を示
(SWNT)の化学修飾に用いる分子の構造設計を行うこ
す SWNT はそれらに取って代わりうる材料となります。
とにより、近赤外領域の新たな発光が生み出せることを
特に、本材料では近赤外領域において様々な発光波長の
明らかにしました。SWNT は近赤外発光を示すという興
創出が見込めるため、多岐に渡る先端応用技術への貢献
味深い性質がありますが、発光効率が低く、発光波長も
が期待されます。
SWNT の構造自体に依存するため近赤外発光材料とし
ての利用において新たな高機能化手法の開発が望まれて
いました。本研究成果では、2 点での連結ができる分子
を新たに設計・合成し SWNT 上に化学修飾させることに
より、大幅に発光波長を変換できることを見出しました。
さらに、その 2 点修飾分子の長さを変えることで、発光
波長を変化させることができました。近赤外光は、生体
に対する透過性が高いことから生体深部の可視化や診断
を可能にするバイオ・医療技術などへの応用が期待され
ています。従来の近赤外発光材料である無機化合物や有