2016 年 11 ⽉ 9 ⽇版 情報提供⽤資料 HouseView 特別版 ⽶国⼤統領選挙でトランプ候補当選確実 トランプ候補の勝利は、不確実な時代の始まりを宣⾔したものと考える。 リスク資産の価格は、少なくとも不透明感の改善が⾒られるまでは厳しい状況となる。 特に新興国市場に対するマイナスの影響が⼤きいと思われる。 FRB は利上げに慎重になると思われ、⽶ドルに対する影響があるだろう。 財政⾚字の⼤幅な拡⼤が予想されることから、⻑期⾦利は上昇すると思われる。 当初の市場の反応は、株式市場などのリスク資産の下落に加え、⽶ドルやメキシコ・ペソの下落と⾦価格の上昇。 不確実な時代が始まり、リスク資産には試練の時 策、⾦融政策、国際貿易、移⺠そして⽶国とイランの関係に⾒られるよ トランプ⽒が⽶国の次期⼤統領に選ばれ、「世論調査」が正しくないこと うな外交政策で⼤きな位置を占めることになります。新⼤統領の就任は が再び⽰されたことになります。 来年の 1 ⽉ 20 ⽇になるため、当社ではこの不確実性がしばらく続き、リ スク資産価格の重⽯になると考えます。就任後であっても、トランプ⽒が 市場の当初の反応として、株式市場などのリスク資産の下落に加え、メ 選挙期間中の公約の⼀部を撤回して実務的になるか、それともポピュリ キシコ・ペソや⽶ドルが売られました。当社のチーフ・ストラテジストであるバ スト的な政策をそのまま推進するかが明らかになるまで、市場の不確実 レンタイン・ファン・ニューウェンハウゼンは、トランプ⽒が今後もポピュリストで 性は残ったままになると思われます。 あり続けるのか、実務的な⼤統領になるのかが焦点になるとみています。 新興国市場は、特にメキシコと中国で⼤きな値動きが予想される トランプ⽒の当選は明らかに「現状の否定」につながるため、⾦融市場に ⽶国の新興国からの輸⼊に深刻な影響を与える保護主義が強まること とって不確実な時代への始まりを意味します。この不確実性は、財政政 を投資家は懸念しており、新興国市場やそれに関連した資産の値動き www.nnip.com HouseView は特に⼤きくなると考えられます。最も影響が⼤きいのは⽶国に対する輸 よる財政状況とインフレ圧⼒を背景に債券利回りは反転し、特に FRB 出の⼤きな国で、顕著な例は輸出の 82%が⽶国向けであるメキシコで がインフレ期待を抑制しようとしてタカ派的な⾏動に出た場合、その動き す。メキシコの輸出産業は雇⽤を⽣み出す主要な産業であると同時に、 が強まると思われます。実際、貿易障壁が⾼まり、移⺠を制限すれば、 輸⼊とのバランスを取るために輸出の拡⼤が必要になっています。また、 物価の上昇と賃⾦の増加につながると予想されます。こうした動きに債券 ⽶国の貿易政策の転換は中国にも影響すると思われます。中国の輸出 や株式などの⾦融市場がどのように反応するかは予想が難しくなっていま の 18%が⽶国向けであり、中国の内需の成⻑⾒通しがそれほど明るくな す。ただし、こうした⾦融状況は新興国債券市場と新興国通貨にとって い現時点で、経済成⻑の⼤幅な減速を避けるためには輸出の拡⼤が中 はかなり⼤きな影響があると思われます。また、⾦利情勢に敏感に反応 国にとって必要な状況であるため、⽶国の貿易政策の転換の影響が⼤ する貴⾦属価格の重⽯にもなると思われます。 きくなると思われます。 政策に柔軟性が⾒えれば下値が限定的になる可能性 FRB の利上げに対する慎重姿勢は⽶ドルにマイナス もちろん「実際はそうでもなかった」ということも考えられます。トランプ⽒が ⽶国の⾦融政策と⻑期⾦利に関しては⼆つの側⾯があります。トランプ 選挙期間中に掲げていた政策をマイルドなものに修正すれば、それほど悪 ⽒当選の直後の市場の反応は「リスク回避」になり、⻑期⾦利は低下す いことにはならないと思われます。⾼⽔準のインフラ投資、法⼈減税そして ると思われます。同時に、⽶連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに ⼀層の規制緩和などは、株式市場にとって悪い話ではなりません。特に 対して慎重になると思われます。これは、⽶国に対する輸出よりも海外か 保護主義の考え⽅をやめれば、買い戻しの動きが広がり、債券よりも株 らの資⾦流⼊の影響が⼤きな新興国にとってはポジティブな側⾯となりま 式を選好する動きにつながるとみられます。また、例えば、選挙期間中に すが、全体的には、トランプ⽒の保護主義的な⾊彩を考慮すればマイナ ⾔及していた「海外で保有している現⾦を⽶国に送⾦する際の税率を ス⾯の⽅が⼤きいと考えられます。⽶ドルは、FRB の利上げ姿勢が慎重 10%とする特別減税措置」(タックスホリデー)が実現すれば、⽶国企 になることと保護主義的な政策に対する警戒感から、弱含むと予想され 業にとっては幸運な出来事であり、株式市場や社債市場のプラス要因に ます。 なると思われます。最後に、選挙期間中に⾮難していた外交政策や貿 易政策の⼤幅な変更が難しいと分かり、政策を 180 度転換する可能 財政⾚字が拡⼤し、インフレが⾦利上昇につながる 性もあります。従って、思ったほど悪くないという可能性も残されているので クリントン⽒の計画よりも「少なくとも 2 倍」としていたインフラ投資計画に す。 よる財政⽀出や減税を考慮すると、トランプ⽒の政策が実⾏されると中 期的に財政⾚字が⼤幅に拡⼤することになります。従って、政策実⾏に 上記はNNインベストメント・パートナーズの Houseview の内容に基づいていますが、英⽂の内容が当資料の内容よりも優先いたします。当資料 は各執筆者の作成時の⾒解・⾒通しであり、予告なしに変更されます。また、NNインベストメント・パートナーズの全ての運⽤者の⾒解・⾒通しを反 映しているものではありません。 <免責条項> 本資料は、NNインベストメント・パートナーズ(注)の作成した資料であり、NNインベストメント・パートナーズ株式会社が情報提供のみを⽬的として提供するものです。本資料は、いかなる有価 証券等の売買の勧誘を⽬的としたものではありません。また、⼀般的あるいは特定の投資助⾔を⾏うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から⼊⼿した情報・データ等をも とに作成しておりますが、これらの情報・データ等また資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資 料に掲載されたデータ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、NNインベストメント・パートナーズにより作成されたものです。本資料に掲載された⾒解や予測は、本資料作成時の ものであり予告なしに変更されます。運⽤⽅針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。 (注)NNインベストメント・パートナーズはユーロネクスト・アムステルダムに上場しているNNグループの資産運⽤部⾨で、NNグループはオランダ・ハーグに本社を置いています。NNインベストメント・ パートナーズはヨーロッパ、アジア、⽶国に拠点を構え、グローバルに資産運⽤業務を展開しています。 金融商品取引業者 登録番号 関東財務局長(金商)第 300 号 加入協会: 一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 日本証券業協会 2
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