資料1 大学の教員養成に期待すること(平本校長ヒアリング資料)

資料1
国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校
の改革に関する有識者会議(第3回)
H28.11.8
大学の教員養成に期待すること
横浜市立浦島小学校
校長 平本 正則
学校現場や教育委員会が採用時に期
待する教員の資質能力とは ・・・
1 教職の素養
自己研鑽・探究力
情熱・教育的愛情
使命感・責任感
人間性・社会性
コミュニケーション力
2 教職の専門性と実践力
児童生徒理解・指導力
授業力 (実態把握と目標の明確化・指導と評価・省察改善・研究推進等)
マネジメント力(学級経営・人材育成・資源活用・危機管理等)
連携・協働力(チームの一員としての自覚・保護者や地域等との連携協働)
1
学校現場の現状
1 教員の大量退職・大量採用
経験が浅い教員の増加
産休・育休に伴う臨任・非常勤職員の増加
2 山積する教育課題
学力・体力低下の懸念、 いじめ、不登校、
特別な支援を必要とする子どもの増加
グローバル人材の育成 など
3 保護者・地域の多様なニーズへの対応
社会人として、使命感・責任感、問題行動対応
2
3年目教員意識調査から
~これまで経験した困難・課題 編~
平成25年度実施
3
授業全体を組み立てて、展開すること
250
3年目
200
150
100
50
0
1
あてはまらない
2
あまり
3
どちらとも
4
やや
あてはまらない
いえない
あてはまる
5
あてはまる
4
子ども一人ひとりの気持ちを理解すること
300
3年目
250
200
150
100
50
0
1
あてはまらない
あまり
2
どちらとも
3
やや
4
あてはまらない
いえない
あてはまる
あてはまる
5
5
保護者との信頼関係を築くこと
200
180
3年目
160
140
120
100
80
60
40
20
0
1
あてはまらない
2
あまり
3
どちらとも
あてはまらない
いえない
4
やや
あてはまる
5
あてはまる
6
教職員と人間関係を築くこと
180
160
3年目
140
120
100
80
60
40
20
0
1
あてはまらない
2
あまり
3
どちらとも
あてはまらない
いえない
4
やや
あてはまる
5
あてはまる
7
3年目教員の意識調査から
~初任時代を振り返って 編~
平成25年度実施
8
採用される以前に想像したよりも仕事が多かった
300
3年目
250
200
150
100
50
0
1
あてはまらない
2
あまり
3
どちらとも
あてはまらない
いえない
4
やや
あてはまる
5
あてはまる
9
自分が大切にしたいと思った
指導・支援ができないと感じた
250
3年目
200
150
100
50
0
1
あてはまらない
2
あまり
3
どちらとも
あてはまらない
いえない
4
やや
あてはまる
5
あてはまる
10
想像していた教員像と現実には違いがあった
180
160
3年目
140
120
100
80
60
40
20
0
1
あてはまらない
あまり
2
どちらとも
3
やや
4
あてはまらない
いえない
あてはまる
あてはまる
5
11
経験の浅い教員
・学校を取り巻く環境の難しさ
・実践力の不足
・コミュニケーション力の不足
課題や困難を感じている教員が多い
12
学校を取り巻く環境の難しさ
ニーズの多様化
変化のスピード
全ての教員にとっての課題・困難
大学と教育委員会との連携・協働
13
初任教員への意識調査より
○疲弊感(バーンアウト状態)
小学校
20名(7.6%)
中・高等学校
21名(10.3%)
調査
全体では
離職に
つながる
特別支援学校
3名(2.1%)
元気
しかし
支援の必要な
初任者が存在
14
初任教員への意識調査より
○孤独感
小学校
43名(16.3%)
特別支援学校
7名(10.7%)
中・高等学校
53名(25.8%)
調査
コミュニケーションのあるところに
学びあり
コミュニケーションのないところに
課題あり
15
教員養成の課題と改善案
学校現場の現状 ・経験が浅い教員の意識調査
アイ・カレッジ「教師塾」調査等の結果から
「教師塾」を設置する理由
・ 採用時から経験者と同様に子どもと向き合う
・ 山積する教育課題を抱える学校現場の現状
・ 大量退職・大量採用に伴い人材確保が必要
・ 実践的な指導力や学び続ける意識をもった
人材の育成が重要課題
17
全国の教師塾の共通点
1 学校で実地体験をとおして「実践力」を磨く
演習を重視
スクールサポーター、教育ボランティア等
2 主体的・協働的に学ぶ場を設定
授業スタイルや自主活動の工夫等
3 学び続ける教師の素養を培う
平成26年度 教師塾「アイ・カレッジ」調査研究より
18
実践力を重視する大学の取組
例1) A大学
・ 教育実習を1年次から設定
・ 年次ごとに内容を発展
例2) B大学
・ 教育実習を延べ100日程度実施
・ スクールサポーターを週1回~2回
しかし、現段階では学校現場等のニーズを踏まえ、
実践力を培う取組を重視する大学は限られている
平成26年度 教師塾「アイ・カレッジ」調査研究より
19
教員の指導にのぞむこと
1
2
3
4
5
6
7
教育への責任感・使命感
問題行動への適切な対応
社会人としての一般常識
公正・適正な評価・評定
授業力や教科などの専門知識
子どもや保護者との信頼関係
子どもの生活指導
(68.5%)
(57.9%)
(50.7%)
(49.8%)
(49.2%)
(41.3%)
(31.3%)
平成23年度 横浜市教育意識調査から
20
授業力向上に関する課題
1 学習指導案を組み立てることができず
に「わかる授業」?
2 小学校は全教科が対象だが・・・
基礎的な知識、指導法と評価の理解は?
3 大学の授業と学校現場の相違点
大学における教員養成の基礎基本とは?
優れた指導力が必要な「アクティブ・ラーニング」
21
児童生徒理解・指導に関する課題
1 コミュニケーションの対象は・・・
子ども、保護者、地域、関係機関、教員等
2 コミュニケーションの取り方
学校は子どもと直接向き合う場
3 理論だけでは ・・・
コミュニケーション力を磨けない。演習等の
学びを増やし再構築が必要
22
教員としての適性に関する課題
子どもがいない大学や教師塾等の授業場面で
評価することには限界がある
1 教育実習・インターンシップ等の場面をとおし
て教員としての資質能力について適正評価
2 教育実習は母校以外の学校で実施
3 育成協議会等を中心に「教育実習の手引き」
を作成し、実習内容や評価等の基準を策定
23
教員養成組織の課題
1 学校現場の現状や課題等について組織的に共
有し、具体的な対応策の検討が必要
2 研究活動と学校現場の実績は教員養成の両輪。
研究者と実務家教員との組織的な位置づけは?
3 教職センター等、教員養成中核組織の機能向
上、リーダーシップに期待
24
教員養成カリキュラムの課題
1 教科学習の指導と評価方法の充実
・ 教育実習前に指導案を組み立てられる
・ 適正な評価を行うことができる(観察・作問等)
2 子どもの安心・安全
~ 「初任者研修」以前に必要 ~
例1) 体育(水泳・器械体操 等)
例2) 理科(実験 等)
25
教員養成カリキュラムの改善
・ 学校現場の現状と予想される社会の変化
・ 育成協議会の協議
人材育成指標策定
接続 ( 大学・教育委員会関係者等による作業部会)
・ 教員養成カリキュラムの再編に期待
26
附属学校の改善案
・
附属校での先進的な研究開発は重要
1 設置区域内の教育研究の中核として、地域
の課題などを踏まえた研究活動と発信を期待
2 学校経営は、学校現場に精通し、経営者と
しても実績のある公立学校管理職経験者等を
登用し、学校運営協議会と協働して取り組む。
27
教員養成システム改善案
1 背景
(1) 教育課題の広範化・高度化、ニーズの多様化
が進み、実践力が求められている学校現場の現
状から、4年間の教員養成では限界。
(2) 学びに余裕をもち、人間性等の向上を図る
2 改善案
6年間で教員養成を行い、国家試験等で免許取得
4年間は教職の基礎知識・技能等を修得
2年間は学校現場での演習・インターンシップ等
28
教職大学院の改善案
1 目 的
学校現場(管理職)や教育行政(教育委員会の
指導主事等)、大学教員等として指導力を期待
できる人材の育成
2 対象者
学校現場の教育実践者として一定の実績があり、
教育委員会等から推薦がある候補者等
3 学びの形態
教育課題と直接向き合う拠点校方式が効果的
29
教員養成組織の課題
1 学校現場の現状と課題等について組織的に共
有し、具体的な対応策を検討?
2 「大学の研究」と「学校現場の実績」は両輪
研究者と実務家教員の対等な位置づけが必要
3 教職センターなど教員養成中核組織の機能を
向上を図り、リーダーシップが期待できる組織に
30
大学の教員養成実績とは
教員採用試験実績=教員養成実績?
例) 面接試験対応がパターン化等
1 大学経営の一環として、採用試験に組織的に取り
組み、実績を上げている大学
2 基本的に採用試験は学生本人に任せている大学
学校現場は、教員としてしっかりと資質能力が備
わった人材が子どもたちの前に立つことを期待。
31
教員養成課程の質保証
課程認定後の質保証は、公教育の質を
維持・発展させるための重要ポイント
評価機構等により、定期的に検証
教員養成課程の質保証の評価を受けている
大学からの教員採用を基本とする
32
育成協議会設置と大学間連携
教員の養成・育成に関する大学と教育委員会
との連携・協働組織「育成協議会」の設置
1 大学と教育委員会との連携・協働の推進
2 国大を中心に大学間連携の機能にも期待
( カリキュラム改善等の相互支援・人事交流等 )
33
教員養成の今後の方向性
•
一人の教員が子どもに与える影響は非常
に大きく、最大の教育環境でもある。
大学と学校・教育委員会等が相互の強みを
生かし、一体となって教員養成に取り組むこと
が重要と考える。
具体的な取組の例として・・・学生や大学教員が大学設置
区域内で広く学べる時間を確保し、授業を学校現場で行う
など
34