炎は焔となりて復讐に燃える ID:103141

炎は焔となりて復讐に燃える
眠着鋼厨
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︻あらすじ︼
ある神様が男を転生させた。その男はある女の子を巻き込んで殺
してしまった。女の子は復讐のために生きる話。
今は誰も知らない話 │││││││││││││││││││
目 次 出会った日 │││││││││││││││││││││││
1
生まれた日 │││││││││││││││││││││││
4
13
今は誰も知らない話
あるところに、女の子がいました。
その女の子は、親に厳しくされながらも慎ましく普通に生きていま
した。
女の子は本の虫で学校の休み時間は話しかけられない限りは本を
読んで、話しかけられたなら普通に和気藹々と返す何処にでもいる子
でした。
高校生の時、彼女は不幸にも死んでしまいました。死因は車に轢か
れて肋骨を骨折、心臓に突き刺さったことによる出血過多でした。
轢いた運転手は、轢いたことによりスリップ。そして電柱に激突⋮
圧死しました。
これは、偶然ではありません。神様が行なった、娯楽なのです。
とある神様はその死んだ男の欲望を叶えました。あるところに願
い通りに転生させてその果を見ることが神様の娯楽です。
また他のとある神様は、女の子がいつか幸せになるはずを壊された
ことに憤慨し、女の子に幸せになる来世を贈ろうとしました。
女の子は断りました。殺されたも同然の者が欲望通りに生きるな
ど許せなかったのです。
他のとある神様は聞きました。何が望みかと⋮⋮
女の子は言いました。
1
﹁しあわせなんて、いらない⋮⋮
私を親不孝にさせたあの男を、後悔させたい⋮⋮﹂
他のとある神様は驚きましたが、望みを叶えることにしました。神
様に運命を歪められたことよりも親にを思い、その親を悲しませた者
を許せないと⋮
なんと親思いか⋮
そう思った他のとある神様は彼女の希望を叶え得る運命と、親を思
う子に幸せになれるように⋮コレは口には出さずになれるようにし
て彼女を男が行ったとあるところに転生させましたとさ。
⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮
赤い月が昇った、禍々しい満月の夜に一人の赤子が産まれた。
赤というよりもオレンジ。オレンジというよりも朱色の、先端は黒
い髪の女の子だった。瞳は深い翠。
2
!
母の身体を燃やすかの如く黒と朱の炎を身に纏い産まれた。しか
しながらその赤子の母親は平気そうに抱き上げた。
﹁ふ、ふふ⋮ずいぶんと、元気な子が産まれたわ。だけど元気過ぎよ⋮
このえくれは
此方で生きる貴女はこの力は今一度、封印させてもらうわ。
クレフィア、妾の可愛い愛娘。
﹂
クレフィア・アモン。日本人としての名前は近衛紅葉⋮⋮どうかし
ら
燃 え 盛 る 赤 子 に ひ た い に 触 れ て 魔 方 陣 を 出 現 さ せ る と 炎 封 じ た。
そして飛び級愛おしそうに撫でると近くにいた黒髪の武骨そうな男
に話しかけた。
﹁わるく、ない。私の名である紅蓮から肖るとはな⋮⋮﹂
男は近衛紅蓮。産まれた赤子の父親であり、その赤子の母親の夫
だ。恥ずかしそうに顔を背けて賞賛するのを妻である人物は見てカ
ラカラと笑った。
くれは
この産まれた赤子こそ、あの死んでしまった女の子である。
その女の子は新しく紅葉と名付けられて新たな親を見つめていた
⋮
どのような親なのかということを見ていた。見ている限りはいい
親で安心して、先の長い復讐に想いを馳せて微睡んだのだった。
3
?
出会った日
朱色に近い橙に先端は黒い髪を揺らしながら、何処か人間離れした
美貌の女は歩いていた。
探したのよ
⋮全く貴女も本の虫なんだから⋮⋮﹂
やがて、ある扉を開けると探していたものを見つけて顔を輝かせ
た。
﹁クレハ
お父さんを待たせて大丈夫
﹂
﹁じゃあ、お母さんが今度面白いことを教えてあげるわ。それよりも
クレハの母親は微笑み、そうね⋮と頭を撫でる。
﹁お母さん⋮。これ面白いから⋮⋮﹂
クレハは本から顔を上げてしおりをして本を閉じた。
女こそクレハ。
と無く豪華な椅子と机の一つに小さな子供が腰掛けていた。この少
その部屋には埋もれるほどの本があり、その部屋に置いてある何処
?
⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮
母親は優しい顔をして見送った。
﹁ふ、ふふ⋮まだまだ子供ねぇ。﹂
で父親の約束の時間だと分かると慌てて部屋を出た。
母親の言葉に目を輝かせたが、言われて少女は時計を見ると後少し
?
4
!
走り出して出て行った少女はクレフィア⋮または紅葉と書いてク
レハという。少女は部屋でジャージと特別な木刀を持って庭先に向
かって走る。
少女は、かつて自分を殺した男を殺すために生きている。
復讐に意味はないのは当たり前。それでもすることを決めている
のだ。
生まれ変わり前の紅葉の母さんと父さんは、子供が先に死ぬのを一
番嫌がっていた。
かつての兄が死んだ時も⋮口ではいつもいつもその兄を家族とし
て認めれないと言ってたにも関わらず、亡くなった時には泣いて泣い
と懇願してきたほどに。
5
てお前はいなくなるな
おぞましいほどに後悔させたいと思うほどまでに。
て憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて、
て憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎く
て憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎く
憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎く
また親が泣いているとしたら、まだまだ憎くて、
あの男によって。唯一の約束を守れなかったから、あの男が憎い。
ていたにも関わらず守れずして死んだ。
勝手にさせてくれたのに、それだけは守ってくれと紅葉は約束をし
!
﹂
だが、やり返すには知識だけでは無く、物理的な力も必要。
だったら、今の内に⋮と考えていた。
ごめん、本を読みふけっていたよ⋮
そんなことをクレハは顔を出さずに言う。
﹁お父さん
どんな夫婦かよ
﹁それにー﹂
﹁油断は禁物⋮ッ
と思うが喧嘩だけで大変。結局仲直りは早い。
そしてある時、父と母は殺り合ってから気が合い、結婚。
た。
尤も、母は元当主で弟に位を譲って様々な知識を得るために旅に出
アモン。この世界では悪魔の名前は苗字だ。
そう、クレハは半分悪魔なのだ。母親が悪魔でも有名な炎の悪魔、
朝一夕ではない。﹂
﹁だが、それとこれは別だ。半分悪魔のお前とはいえ鍛えるのには一
だと。
父親は笑って許してくれる。お前は、母さんやご先祖様にそっくり
!
けてもらうこと。
﹂
クレハと父である紅蓮との約束⋮⋮それはクレハ自身に鍛錬をつ
いで受け流す。
一瞬のうちに持っていた木刀を横薙ぎに一閃。紅葉は間一髪で防
!?
!
6
!
悪魔の君主の中では最も強靭と言われる身体だからこそ、母は許し
た。父は元々は皇族に使える近衛の一族の養子。
養子入りの理由は剣が立つこと。その上遠縁の親族であるから。
手加減し、相手をしているが常人を超えたスピードや力を使いこな
し鍛えるのだ。
クレハは悪魔に宿る魔力を一族特化の炎に変化させずに単純に木
刀を強靭に強化させて攻め、防ぎ⋮⋮野山に混じり、物陰から奇襲し
たり、単純に剣技を鍛えたり⋮⋮様々なレパートリーで戦う。
まだ日が高い昼過ぎから暮れて遅くまで鍛えるのだ。
偶に疲れて夕食を食べずに寝てしまうこともあるが、耐えきれた日
には食べて寝るの繰り返し。
これは4歳の時から続けている日課。現在は5歳で⋮⋮後もう少
したら6歳になるが。
小学校に行くまでは鍛えてほしいとお願いしていたのだった。
母からは暇な時に魔法や魔力の使い方を教えてもらい⋮様々な知
識を吸収している。
父が暇なのは、母が株で稼いでいるからだ。偶に鈍るのが嫌で異種
族の賞金稼ぎをして稼いでいるが僅かで貯金されている。尤も、その
一度に稼ぐ金額は破格なのだが。
﹁考えごとは⋮⋮﹂
7
﹁し て い る。頭 を 使 わ な け れ ば ⋮⋮ お 父 さ ん に は か な わ な い か ら な
﹂
クレハは魔法で土の壁を作り出して挟む。
もちろん⋮⋮
﹁︻木 気 は 水 気 を 食 ら う。食 い し と こ ろ に 気 は あ り。そ の 気 を 纏 わ
ん︼﹂
⋮父も父で同様に術で防ぐ。近衛とは皇族に仕える一族。もちろ
ん異能の対処もできる。何方かと言えば神道系、仏教系、陰陽道系の
ザ・日本。かつては現代のサムライと裏では囁かれたほどに。
最も、シャレにならない位に強いのは身にしみてわかるのだ。
﹁⋮⋮
﹂
!
﹁⋮甘い。﹂
﹂
ガゴン⋮
﹁がぁ⋮
!
彼は見るまでもなく⋮⋮
に一矢報いるべく突きを放つ。
そんなことを考えながらも土壁を水を纏った木刀で切り倒した父
⋮⋮隙あり
!
一重に避けてクレハに重い一撃を与えて沈ませた。
!
8
!
⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮
あったかい⋮⋮
ク レ ハ に は 確 か な 暖 か み と 共 に 目 の 前 に 映 っ た の は 大 き な 背 中。
おんぶかなと思った。
か つ て ク レ フ ィ ア こ と ク レ ハ に な る 前 に お ん ぶ さ れ た の は 幼 い
⋮⋮⋮まだ私と言っていた時だ。
男の子の様にわんぱくで本よりも外で遊んだり、RPGみたいな
ゲームや漫画が好きだった〇〇。もちろん、ゲームや漫画もまだ好き
だが。
自分のかつての名前は忘れたがコレだけは覚えているのだ。
9
ある日、身体が怠いのに兄に遊んで欲しくてついていったのだ。
公園で怠いのが酷くなり、お兄ちゃん、お兄ちゃんと涙を流しなが
らかぼそい声で呼ぶと来てくれた兄。
動けない〇〇を労っておんぶして連れて帰ってくれた。
何年経っても、クレハになった今でも覚えている⋮⋮
なら、これ位は任せとけ
﹁オレは、唯一の血の繋がった妹のためなら助けに行くよ。だってさ、
兄って大黒柱になるんだろ
!
ま、⋮⋮オレはまだまだ小さいから〇〇は重いけど。﹂
?
〇〇の兄は死ぬ前に親の愛や思いやりを理解できずに、家でまるで
居候のような暮らしで、働いて極力〇〇以外に会わないようにしなが
ら親と険悪な関係でいた。
板挟みの〇〇は何もできなかったが、兄は事あるごとに言ってい
た。
﹂
﹁オレは、結局のところは血の繋がった他人だ。それでも、〇〇⋮お前
だけは何かあった時は言えよ
﹁ん
玄関に着くと、クレハは父から降りて靴を脱いで靴を揃えた。
クレハは、父におぶられたままで家に着いた。
兄にしたように顔を背中に埋めた。
そうか⋮そう言われてもクレハはあの記憶を忘れたくなくて昔に
﹁うん、あった、かい⋮⋮﹂
そう感じながらもクレハは父親に対して言う。
ああ、やっぱり兄はいない⋮
起きたか、クレハ⋮⋮﹂
兄だった。
兄は、出来損ないと自負していたけれども〇〇には、妹には優しい
?
クレハはふと、気がついた。そこにはいつもと違う、自分と同じ位
10
?
の大きさの靴があったことに。首を傾げながらいつものように手洗
いうがいをして、リビングに入りただいまと告げた。
やはり、いつもと違って視線と交わったのは、一人の自分とと同じ
﹂
ぐらいの子。どことなく痩せている印象の少年だった。
﹁⋮キミは、だれ
と心で思った。
クレハはその銀髪の少年に問われた。クレハはこの少年を知って
いる⋮⋮
初めて見たはずだ。だのに何故⋮
クレハ
﹁ボク、は⋮
﹂
紅葉、クレフィア・アモン。
君は
けてもらった、と。
クレハは察した。ここは、ハイスクールD
Dの世界だということ
ヴァーリは、クレハの母の知り合いの曽孫で家庭の事情でここに預
前⋮その名前は北欧系だと感じさせた。
少年はヴァーリ⋮北欧神話に出てくるオーディンの息子と同じ名
人の言ってた奴か。﹂
﹁オレは、ヴァーリ。ヴァーリ・ルシファー⋮アンタがオレを預かった
?
に。基本的なことは忘れていたが、悪魔や天使、堕天使などの神話の
×
11
?
その少年は納得して、名乗った。
?
キャラが出てくることと、メインキャラは朧げながら覚えていた。
そのキーマンの一人であるヴァーリ・ルシファー。銀髪だったなー
と思い出した。
﹁世話にはなるが、面倒にはならない。﹂
維持を張るが如く、ヴァーリは腕を組みそっぽを向いた。横柄な態
いいよ、別にお母さんが連れて来た人だからな。
度だが、彼はこうではならないと感じた。
﹁っ、ハハ
ボクはボクで君の世話をするさ
我等が魔王の末よ、ボクは貴方に仕えるべく⋮⋮その言葉に従お
う。﹂
神話におけるルシファーとアモンの関係とは、アモンが義勇軍を率
いてルシファーの神に対する反逆を手伝った。
クレハはそれだけではなくて、彼が面白いと感じて、かつての先祖
にあやかって言った。
そして、彼に近付いて片膝を立てて跪いて彼の手を取り、忠誠の口
づけを。
ちなみに、ファーストキスとはノーカンにしている。というか、今
までキスをしたこと自体無いが。
ヴァーリは、この誓いの意味を理解しておらず、きょとんとしてい
たのだった。
12
!
!
生まれた日
ヴァーリがクレハの家に来て、三ヶ月。秋という秋は無くなり、冬
が訪れた。
山の中とはいえ、太平洋側にあるために雪は滅多に降らないものの
冷える。
最近の多くの子供は、引きこもってゲームなどをするが、ヴァーリ
とクレハは違っていた。
﹂
﹁この程度か、クレフィア
オレは負けないぞ
﹁なんの、これしき
物。
ディバイング・ディバイド
器 を使いこなして追いついて来た。
器 というのは、神様が人間の血を引く者に宿る奇跡の象徴。
ヴ ァ ー リ は と 白 龍 皇 の 翼 い う 触 れ た 者 の 力 を 半 減、吸 収 さ せ る
神
セイクリッド・ギア
た修行で魔力や魔法それに 神
セイクリッド・ギア
ヴァーリは戦闘に関しては天才だった。クレハよりも後から始め
いかけて木刀で切りかかる。
負けていられるわけがないクレハは、黒い悪魔の翼を2対広げて追
﹂ クレハの木刀での攻撃をいなした。
ヴァーリは白と青の鎧のようななフォルムの翼を広げて飛び回り、
!
クレハにも宿っているが、現れたことはない。きっかけさえあれば
出るが、出ていないのだ。
13
?
!
毎日戦い、メキメキと実力を上げてくるヴァーリ。
毎日挑んでくるから怖いが、クレハだって先に始めたために負ける
わけにはいかない。
三ヶ月前は痩せて、これで動けるのかというほど心配だったが、毎
日食べていると年相応な見た目の美少年になった。
単調だぞ
﹂
クソイケメンと言いたくなるほどに⋮⋮
﹁何を考えている
ながら、戦闘に関しては実はお粗末だ。
﹁うるさい。ボクが単調なのは、知れた事
!
︻Divite
︼
目で判断して言ってしまうし、正直に思ったことを言ってしまう。
正直者が好かれるのは子供の間だけ。それ故にクレハは人を見た
そう、自分を偽るのは得意なのに対してクレハは馬鹿正直なのだ。
﹂
クレハは、頭の回転のみは良いからか平行して考えられる。しかし
!
10秒経ち、クレハの体力を半減させたのだ。
﹂
急に力が無くなったクレハは、体勢を崩した。その隙にヴァーリは
拳を振るう。
﹁油断対て﹂﹁それはヴァーリが、だ。﹂﹁がっ
もちろん体重がヴァーリの方が重いために幾ら強靭といっても身
レハは手を引っ張り、落ちる速度をやや弱める。
もちろん、ヴァーリは痛みのあまり地面に真っ逆さまに落ちるがク
頭に左手で拳骨をした。
腹に入りそうだった拳をクレハは飛び上がって避けてヴァーリの
!
14
?
先程、単調と言った時にヴァーリはクレハに触れたのだ。それから
!
体はまだまだ子供。
地面に落ちたヴァーリに腹這いに座って木刀を突き付けて宣言し
た。
﹁ふー⋮⋮今日もボクの勝ちだ。﹂
﹁くっ、﹂
ギリギリ今日も勝てたのだ。ヴァーリは武器を使わずに戦うから
﹂
こそ、目が鍛えられて一瞬で予測して戦っている。頭の回転と動体視
力に頼った戦いで単調ではあるが。
まだ負けないからな
﹁次は負けないぞ、クレフィア。﹂
﹁昨日も言ってたよな
山の中腹ほどにある家。この山自体に結界が張ってあるからこそ、
んとしているヴァーリの手を引いて立たせて家に向かって走る。
ヴァーリの頭を撫で、ほらもう暗いから行こうよ⋮と言って、ぽか
⋮⋮⋮﹂
﹁君は、いつか強くなる⋮⋮それまではボクが君より強いから、守るよ
それでも、紅葉には分かっていた。
ヴァーリは、くっ⋮と悔しそうにして機嫌を悪くした。
!
クレハの母が認めた人以外は基本的に入らない。
15
?
いつものように家に帰りリビングに入った時、
パァァン
!
とクラッカーが鳴った。クレハは驚いて固まっていると母が話し
かけた。
﹁ふふ、クレハ⋮貴女は誕生日を忘れてたわね⋮
おめでとう、クレハ。﹂
ニコニコしながら頭を撫でて、リビングの席に座らせた。
はっきり言って今日が誕生日なのを忘れていたのだ。
﹁クレフィアは忘れていたからよかったものの、お前を連れ出したの
は準備の時間稼ぎだ。﹂
バトルジャンキーなヴァーリとは思えない発言。
は絶対違う
と思ったのはクレハだけではない。
くそんなことを言われると産毛なのだ。
には家族以外は中学以降は業務的な話しかしていなかったために凄
赤面したクレハは実を言うと、〇〇だった頃は基本的に男という男
!
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⋮⋮以外と優しいのだ、ヴァーリは。
様々な料理が並び、クレハとヴァーリは沢山食べた。最後に出てき
たケーキも一緒に食べて、笑ってクレハとヴァーリは楽しみ、クレハ
﹂
の両親は微笑んで見ていた。クレハとヴァーリは母に揶揄われて
﹂﹁毎日戦うなら⋮﹂
﹁クレハはヴァーリのお嫁さんになるのね
﹁は
そんなこと⋮⋮
?
赤面としたクレハ。一方でズレたことを言ったヴァーリに対して
!
!?
あらあら、妾達が孫を見るのはまだ先ね∼と呟いたのにはクレハは
無視してケーキを頬張ったのだった。
その後、クレハは母に呼ばれて⋮⋮⋮ある、ものを受け継いだ。
驚きながらもクレハは受け取った。
あの時に悲しいような顔をしていたのは、あの未来を予見していた
からかもしれない⋮⋮と後にクレハは思ったのだった。
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