物体が滑り出す直前の静止摩擦力

第7講
摩擦力
教科書P.56~58
 静止摩擦力について理解する。
 最大摩擦力と静止摩擦係数について
知り,最大摩擦力の式を使えるように
する。
 動摩擦力と静止摩擦力の違いを理解
する。
 摩擦力の原因について知る。
1
【A 静止摩擦力】
(問題)
図のように,床の上にレンガを置き,ばねばかりで左
に引っ張る。レンガが動いたときばねばかりが指す値
はいくらか。
レンガ(質量1.2kg)
①1.2kgより大きい
③約1.2kgくらい
②1.2kgより小さい
④その他
【A 静止摩擦力】
レンガは鉛直方向には動かない
力はつり合っている
水平方向の力のつり合いを考えればよい
重力(重さ)は直接は関係ない
静止している場合...
F ƒŒƒ“ƒK© °
垂直抗力N=12N
抗力(実際に床から受けている)
F ƒŒƒ“ƒK© Ž…
張力T=5.0N
静止摩擦力
重力W=12N
F ƒŒƒ“ƒK© ’n ‹…
実際は,この図では
ちょっとおかしいよね
【A 静止摩擦力】
静止摩擦力:滑ってないときに面から受ける力
①引っ張る力なし
①
静止
静止摩擦力の大きさ 0
②引っ張る力 F
静止摩擦力の大きさ F
③引っ張る力 2F
静止摩擦力の大きさ 2F
②引っ張る力 3F
②
静止
③
静止摩擦力の大きさ 3F ④
最大値
F
F
静止
2F
2F
動き出す直前
3F
3F
摩
擦
力
の
大
き
さ
が
変
化
す
る
【A 静止摩擦力】
 静止摩擦力の大きさは変化する
⇒物体は静止しているので,物体が受ける力に
常に等しい
 静止摩擦力には最大値がある
⇒最大摩擦力
【B 最大摩擦力】
 物体が滑り出す直前の静止摩擦力
最大摩擦力より大きな力を受けると物体は動き出す
(運動を引き起こす外力の閾値)
 物体が受ける垂直抗力にほぼ比例する
 物体と面との接触面積にほとんど関係ない
垂直抗力
9.8N
垂直抗力
9.8N
質量1kg
重力9.8N
垂直抗力が同じなので,最大摩擦力は同じ
重力9.8N
【B 最大摩擦力】
 物体が滑り出す直前の静止摩擦力
最大摩擦力より大きな力を受けると物体は動き出す
(運動を引き起こす外力の閾値)
 物体が受ける垂直抗力にほぼ比例する
 物体と面との接触面積にほとんど関係ない
加重 F
Nx W
W
垂直抗力
WO F
W
荷重をかけると垂直抗力が増加するため,最大摩擦力も増加
最大摩擦力は,面同士の密着度が大きく影響
【B 最大摩擦力】
 物体が滑り出す直前の静止摩擦力
最大摩擦力より大きな力を受けると物体は動き出す
(運動を引き起こす外力の閾値)
 物体が受ける垂直抗力にほぼ比例する
 物体と面との接触面積にほとんど関係ない
「ミュー」と読む
¹
最大摩擦力: f 0x ¹ N
:静止摩擦係数 (単位はなし 無次元量)
静止摩擦係数は,2物体間の面の状態(乾燥
している,濡れている,ザラザラ,ツルツル等)
できまる定数
一般に ¹ t
1 の場合が多い
f 0[N ]
¹ = N[N ]
[N]を[N]で割る
ので単位なし
【C 動摩擦力】
滑っていなければ静止
摩擦力
 物体が滑り出した後の摩擦力
面と面が滑っているときに受ける摩擦力
 物体が受ける垂直抗力にほぼ比例する
 物体と面との接触面積にほとんど関係ない
 物体の運動速度にほとんど関係ない
動摩擦力: f ´ x ¹ ´ N
¹ ´ :動摩擦係数
(単位はなし 無次元量)
動摩擦係数は,2物体間の面の状態(乾燥している,濡れて
いる,ザラザラ,ツルツル等)できまる定数
【C 動摩擦力】
一般に静止摩擦係数より動摩擦係数の方が小さい
滑り出すと摩擦力は(小さくなる)
¹ ´t ¹
垂直抗力に比例f 0x ¹ N
静止状態
最大摩擦力
摩擦力 f
垂直抗力に比例f ´ x ¹ ´ N
動摩擦力
静止摩擦力と外
力は等しい
0
運動状態
外力 F
【※種々の物質間の摩擦係数 】
物質1
物質2
静止摩擦係数
動摩擦係数
鋼鉄
鋼鉄
0.78
0.42
木
木
0.62
0.48
木
ぬれた木
0.40
0.16
ゴム
木
0.68
0.48
ガラス
ガラス
0.94
0.48
鋼
ガラス
0.68
0.53
鋼鉄
テフロン
0.04
0.04
【D 摩擦角】
斜面で静止している物体について,斜面の角度を徐々に
大きくしていったとき,滑り出す直前を考える。
垂直抗力
重力の斜面に
平行方向の分力
最大摩擦力
重力の斜面に
垂直方向の分力
µ0
重力