内部統制整備構築の必要性 ◆ Outlook by Minoru Ota 展 望 JAの進むべき道 内部統制整備構築の必要性 今般の農協法改正により、貯金量 計された数値が間違っている可能性 200億円以上のJAは、平成31年 9 が高いとの心証を持ち、支店まで出 月までに、会計監査人(公認会計士 向いて、伝票を 1 枚ずつ確認する作 または監査法人)を置かなければな 業を行う必要に迫られよう。この結 らないこととされた。 果、監査時間が増加し、監査費用が いずれの公認会計士または監査法 増大することとなる。 人を選択するも、JAの独自の判断 であるが、監査費用を圧縮するため 太田 実 (JA全中常務理事) に、言い換えれば、監査工数を極力 また、 「法令等の遵守を達成する ためのプロセス」も財務報告の信頼 性と同様である。役職員ひとりひと 削減するために、JAの内部統制の整備・運 りにコンプライアンスの意識が醸成されてお 用状況が大きな鍵を握っている。 り、不正を防ぐための仕組みが業務に組み込 内部統制とは、 「業務の有効性及び効率性、 まれ、職員がその手続きどおりに業務を行う 財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等 ことが徹底されていることである。 の遵守並びに資産の保全の 4 つの目的が達成 両方のプロセスに共通することは、システ されているとの合理的な保証を得るために、 ム整備、あるいは、複数の目によるダブル 業務に組み込まれ、組織内のすべての者に チェックということであるが、これには一定 よって遂行されるプロセス」と定義されてい のコストがかかることは言うまでもない。内 る。 部統制の構築に多大なコストと時間がかかる 「財務報告の信頼性の達成のために業務に組 と言われるゆえんである。 み込まれたプロセス」を分かりやすく言えば、 しかし、このコストをかけない場合、どう 決算書の数値が正しく集計されるために、会 いうことが起きるであろうか。監査費用が増 計システムが整備され、事務手続きが整備さ 大しかねないということは、前に述べたとお れ、職員がその手続きを熟知し、手続きどお りであるが、不祥事が発生した場合の、マス りに業務を行っていること、さらにその状況 コミ対応から再発防止策の策定等に大きな負 が第三者にも確認できることである。 担が生じるであろうことは想像に難くない。 もし、この仕組み(=内部統制)が欠如し それ故、今こそあらためて「内部統制の十 ていればどうなるだろう。会計監査人は、集 分な構築」が求められている。 2016/11 月刊 JA 15
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