「ロジスティクス大賞」連続受賞 ドライバーの長時間

共通プラットフォーム
第 36
回
史上初「ロジスティクス大賞」連続受賞
ドライバーの長時間労働削減に寄与
大塚倉庫が日本ロジスティクスシステム協会主催
2016年度「ロジスティクス大賞(*)」を受賞した。15
年度に続く2年連続の大賞受賞は史上初。ドライバー
の長時間労働削減に寄与する「ネット予約」や「e伝票」の仕組みを、
納品先の卸企業も巻き込み実現
したことが評価された。 (進行役:本誌編集部)
*ロジスティクス推進に向けて優れた実績を挙げた企業を顕彰する表彰制度。
ロジスティクスの社会的浸透と、ロジスティクス部門関係者の意識高揚を
図ることを目的に1984年に創設された。
物流の“当たり前”を疑う
──大塚倉庫が「物流のアタリマエを壊す『e
─
伝 票 』 の仕 組み〜 写 真とネット予 約で労 働 時
間を変える〜」と題した論文で、昨年度に続
き2016年度の「ロジスティクス大賞」を授
過 不 足や瑕 疵を後からでも確 認できるように
賞しました。
大塚倉庫 濵長一彦 社長「物流の〝当たり
前〟を壊そうという、当社のいわば〝非常識〟
しました。 これもまた、『 出 荷する時に検 品
しているのになぜ納 品する時に改めて検 品す
る必要があるのか』と、これまでの常識を疑っ
てみたことで大幅な改善が実現しました」
は今回が初めてです。主催者側では、この結
── 同じ会 社が2 年 連 続で大 賞を受 賞するの
ました。これは『ID運輸』と名付けた当社
日 本ロジスティクスシステム協 会( J I L S )
橋爪茂久 専務理事「連続受賞は相当に高い
ハードルだと思いますが、 学 識 経 験 者をはじ
めとする専 門 家によっ て組 織したノミネート
委員会と選考委員会が、あらかじめ定められ
た基 準に従って厳 正に評 価した結 果ですから、
大塚倉庫が最優秀であったことは間違いあり
ません。賞の選考にわれわれJILS自身が
いモノ順 〟、 トラックがセンター に到 着した順
環境改善という業界全体の課題の解決を強調
も大 塚 倉 庫が論 文を通してドライバー の労 働
介入する余地は全くないのですが、個人的に
というのが慣 習になっているからです。 そこ
供 給が何にも増して重 要な使 命です。 ただし、
同 時に大 塚グループの物 流 部ですから、 安 定
大 塚 倉 庫・ 濵 長「 当 社は物 流 会 社であると
されていたことに感銘を受けました」
子化し、納品した商品の写真も撮って数量の
した。 スマホを使って納 品 伝 票と受 領 印を電
の仕 組みを構 築して入 庫 時の検 品を廃 止しま
にメスを入れました。これと並行して
『e ─伝票』
街中にもあふれ返っています。荷卸しは〝早
ているトラックが、 物 流センター はもちろん
た。荷卸しの時間調整のために長時間待機し
「その手段の一つが入荷トラックの『ネット
予約制』です。荷卸し待ちの解消を狙いまし
改善に取り組みました」
運 輸を活 用して、 ドライバーの長 時 間 労 働の
向上を支援するものでした。今回はこのID
動 態を可 視 化し、 配 送パートナーの配 送 効 率
果をどう評価されていますか?
解 消する仕 組み 』 と題した論 文で大 賞を頂き
進 化 〜 2 回 転 配 送を実 現してトラック不 足を
年度大会で当社は、『共通プラットフォームの
たことを大変光栄に感じています。前回の
な仕 組みが社 会 性の高いものとして認められ
大塚倉庫 濵長一彦
代表取締役社長
独 自の自 動 配 車システムを使 っ てトラックの
15
企 画 広 告
在、ドライバー不足で大変な苦境に立たされ、
パートナーに委ねている。そのパートナーが現
当 社 自 身ではトラックを所 有せず配 送 業 務は
うとするアプローチが目立ってきました」
作 業 員の人 手 不 足を荷 主サイドから改 善しよ
クス大 賞の応 募 論 文にも、 ドライバー や庫 内
『大塚だけ別扱いはできない』と。『 年早い』
『言っていることは分かるが、紙の伝票は要る』
した当 初の反 応はまさに〝 総スカン 〟 でした。
とも言われました。しかし、とても 年など待っ
がどんどん身 近になってきていることも大き
場にいるから、 まだ卸にも話を聞いてもらえ
ていられません。 それに当 社はメーカー の立
「それを可能にするテクノロジー
大塚倉庫・濵長
ライバー にしわ寄せされています。 それに対
B
命であることは今も昔も変わりません。 それ
JILS・橋爪「安定供給が物流の最大の使
かという問題を常に考えてきました」
日もエレクトロニクスメーカー がスマホを使っ
手を組んで宅 配ロッカー を普 及させたり、 先
は動きが鈍い。 ネット通 販 会 社と宅 配 会 社が
われがメーカー としての役 割を果たすべきと
手にはしてもらえないでしょう。 そこはわれ
を早く帰してほしい 』 と言ってもまともに相
ますが、一般の運送会社が納品先に
『ドライバー
ズナブルというのは、 単に運 賃を安くするこ
速に進んでいます。しかし、B
業 界の枠を超えたサービスや技 術の開 発が急
「そこでまずは当社が %近い物量シェアを
持つ医 薬 品 物 流にターゲットを絞り、 かつ最
ころだと思います」
て遠 隔 操 作で自 宅の鍵を開けて荷 物を受け取
とではありません。 支 払うべきところにはき
らの改善活動には熱心でも、物流の構造自体
Bは昔なが
ちんと支 払う。 その上で生 産 性を上げていく。
を変えるような革新があまり見られない」
大の物 量を取り扱っている卸 企 業さんにお願
いして、 念のためe ─伝 票だけでなく紙の伝
ざるを得ません。
『 運 送 会 社に選ばれる荷 主
れるケースまで出てきていますから、 意 識せ
んが、 運 送 需 給がひっ迫して、 運ぶのを断ら
JILS・橋爪「まだまだ十分とは言えませ
──荷主の意識は変わってきましたか。
す。そのキーワードとしてJILSでは最近『連
産 性を上げる方 向に進んでいくことが大 事で
ンを一気通貫で見渡し、全体最適によって生
うところから一歩踏み込んで、サプライチェー
現するには、単価の低減や積載率の改善とい
J I L S・ 橋 爪「 ロジスティクスの革 新を実
取引先を巻き込み全体最適化
でなく一 部の飲 料 卸との取 引にも同じ仕 組み
た先 行 事 例を作ったことで今では医 薬 品だけ
放されたと高く評 価いただきました。 そうし
ようになり、伝票処理や保管の手間からも開
納 品 情 報のトレースがいつでも簡 単にできる
されました。卸側でも伝票を電子化したことで、
たドライバーの平 均 滞 留 時 間が約
した。 その結 果、 それまで約
票も並 行して届けることで協 力を取り付けま
になるために、何をすればいいのか 』と考え
携』という言葉を意識して使っています。こ
が広がっています」
分に短 縮
分かかってい
る人が増えてきたと感じています。ロジスティ
の大塚倉庫の取り組みも、納品先である卸ま
うというのがJILSの立場です」
そのためにロジスティクスを高 度 化していこ
Cの物流では
をいかにリーズナブルに実 現するかを、 われ
Cと比べB
いと思います。ただし、B
サプライチェーン上の矛盾が最終的に現場のド
10
してわれわれはメーカー として何ができるの
10
る仕組みを開発したりと、B
to
われは常に問われてきました。 ただし、 リー
to
JILS・橋爪「昨今のドライバー不足を受け、
to
50
to
で巻き込んで新しい仕 組みを構 築したところ
日本ロジスティクスシステム協会
橋爪茂久 専務理事
ンターに展 開していったのですが、 卸に提 案
間に導 入して成 果を立 証した上で、 川 下のセ
いずれも大 塚グループの工 場と物 流センター
大 塚 倉 庫・ 濵 長「 ネット予 約 制とe ─伝 票は
が大きな評価ポイントだったと思います」
らに後押しされることを願っています」
組みが、ロジスティクス大賞の授賞によってさ
大 塚 倉 庫が発 表したような社 会 性の高い取り
の問題に注目するようになっています。今回、
行政サイドもトラックの待機時間や荷卸し作業
15
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