ユーロ圏(ドイツ,フランス)

13
欧 州
I.ユーロ圏(ドイツ, フランス)
の 物 価 安 定 の 定 義 で あ る「HICP総 合 前 年 比 が 中 期 的 に
1.ユーロ圏
2%未満でその近辺」から大きく乖離している。
失業率は,2015年通年では10.9%と,前年(11.6%)か
ら改善した。依然として高水準ながらも低下を継続してい
⑴ 最近の経済情勢
る 。 各 国 別 で み る と , ギ リ シ ャ は 24.9 %, ス ペ イ ン は
22.1%,ポルトガルは12.6%,キプロスは15.1%と周縁国で
① 2015年のユーロ圏経済
高水準となった。一方,ルクセンブルクでは6.4%,ドイ
ユーロ圏の2015年実質GDP成長率は,前年比1.7%(前
ツでは4.6%と低い水準となっており,引き続きユーロ圏
年:同0.9%)と2年連続でプラスとなった。ユーロ圏経
内においてバラツキが見られる。また,若年層(25歳未
済の成長率が前年から加速した要因としては,第一に原油
満)における失業率は,ユーロ圏全体では22.4%,国別で
価格の下落,第二に通貨安,第三にユーロ圏の財政・金融
みるとギリシャは49.7%,スペインは48.3%といずれも依
政策の3点が考えられる。
原油価格の下落は,ユーロ圏家計の実質可処分所得の増
然として高止まりしている。
② 2016年第1四半期のユーロ圏経済
加を通じた購買力の増加に加え,企業利益や投資にもプラ
2016 年 第 1 四 半 期 の 実 質 GDP 成 長 率 は 前 期 比 0.6 % 増
スの効果をもたらした。また,昨年から続くユーロの対ド
(年率2.2%増)と,ペースが加速した。需要項目別内訳に
ルレートの減価は,ユーロ圏内の輸出企業の業績を後押し
ついて,個人消費(寄与度0.3%)が成長をけん引し,内
した。さらに,金融政策では,欧州中央銀行(ECB)の量
需の寄与度は0.7%となった。一方,外需については,輸
的緩和策は,資金調達コストを低下させたことにより,個
入の伸びが輸出の伸びを上回った結果,寄与度は▲0.1%
人消費等を刺激した。財政政策においても,ユーロ圏各国
に流入する難民関連の政府支出の増加が,ユーロ圏経済を
下支えしている。
となった。
③ 今後のユーロ圏経済見通し(欧州委員会「2016年5月
春季経済見通し(抜粋・仮訳)」)
しかしながら,これらの景気の下支え要因があるにも関
2015年のユーロ圏経済成長率は1.7%と,2010年より後で
わらず,世界経済の悪化がこの効果を相殺しており,ユー
最大の伸びとなった。財政金融政策の下支えや原油価格の
ロ圏経済の成長を緩やかなものに留めている。さらに,原
低迷といった例外的な要因により,ユーロ圏GDPは2015年
油価格下落の長期化が,物価回復の遅れに拍車をかけてい
前半には金融危機以前の水準を上回った。2016年,2017年
る。
においては,ユーロ圏経済は概ね2015年と同程度拡大を続
実質GDP成長率の需要項目別内訳については,個人消費
けると見込まれる。原油価格低迷や低い資金調達コスト,
が前年比1.7%(前年:同0.8%),総固定資本形成が同2.7%
わずかに拡大した財政スタンス,そして構造改革が経済活
(前年:同1.3%)と,いずれも前年から加速し,欧州債務
動を下支えするものの,それほど力強さは見られないと考
危機の影響が薄れ,成長のペースは緩やかながらも個人消
えられる。同じく,緩やかな世界経済の成長,弱い世界貿
費や固定資本形成を中心に回復していることが示された。
易,不確実性の増加が想定よりも,景気を下押しするよう
この結果,内需は1.7%のプラス寄与(前年:0.9%)となっ
である。
た。外需については,輸出が前年比5.1%(前年:同4.1%),
結果として,見通しを超えるような経済成長の推進力
輸入が同5.9%(前年:同4.5%)と,いずれも前年の伸び
は,内需がもたらすと考えられる。個人消費は,消費者物
から加速したものの,輸入の伸びが上回ったことから,
価の低迷による実質可処分所得の増加及び労働市場の改善
▲0.1%のマイナス寄与(前年:0.0%)となった(図表1)。
から恩恵を受けている。設備投資の状況は,最近改善して
消費者物価上昇率(HICP ; Harmonized Index of Consumer
おり,融資基準が緩和し,設備稼働率が平均を上回る状況
Prices)総合は,エネルギー価格の下落等を背景とし低い
が続いている。政府消費は,引き続き経済成長に寄与する
水準で概ね横ばいに推移した。現在のインフレ率は,ECB
と思われるが,ユーロ圏に流入する難民の数次第である。
14
【図表1】ユーロ圏の実質GDP(需要項目別内訳)
(前期比,( )は寄与度:%)
2013
実
質
G
D
2014
▲ 0.3
P
2015
2015
0.9
Ⅱ
1.7
個
人
消
費
政
府
支
出
Ⅲ
0.4
▲ 0.6
0.8
(▲0.3)
(0.5)
0.2
0.8
(0.0)
(0.2)
▲ 2.5
総固定資本形成
1.7
1.3
1.3
2.7
(0.3)
0.5
(0.1)
0.1
0.6
(0.2)
0.3
(0.1)
【2.2】
0.3
(0.3)
0.3
(0.3)
0.6
【1.7】
0.5
(0.2)
Ⅰ
0.4
【1.3】
0.3
(0.9)
Ⅳ
0.3
【1.5】
【 年 率 】
2016
0.4
(0.1)
0.5
(0.1)
1.4
0.8
(▲0.5)
(0.3)
(0.5)
(0.0)
(0.1)
(0.3)
(0.2)
資
(0.1)
(▲0.0)
(▲0.1)
(▲0.2)
(0.2)
(0.1)
(0.1)
内
需
(▲0.7)
(0.9)
(1.7)
(0.0)
(0.7)
(0.7)
(0.7)
外
需
(0.4)
(0.0)
(▲0.1)
(0.4)
(▲0.4)
(▲0.3)
(▲0.1)
在
庫
投
輸
出
輸
入
2.2
4.1
(0.9)
(1.8)
1.3
5.1
(2.3)
4.5
(▲0.5)
(▲1.8)
1.6
0.4
(0.7)
5.9
(0.2)
0.9
(▲2.4)
0.7
1.3
(▲0.4)
0.4
(0.3)
(0.2)
1.4
(▲0.5)
0.7
(▲0.6)
(▲0.3)
(出典)欧州委員会統計局
(前期比年率:%)
個人消費
4.0
総固定資本形成
在庫投資
政府支出
暦年
2.1
2.0
純輸出
四半期
1.7
1.6
1.6
1.1
0.7
0.9
0.5
0.8
実質GDP
2.2
1.5
1.2 1.5
1.3 1.7 2.2
0.4
0.0
▲ 0.3
▲ 2.0
確報
▲ 1.1
▲ 0.9
▲ 4.0
▲ 6.0
▲ 4.5
08
09
10
11
12
13
14
15
Ⅰ
Ⅱ
2013
(注)年率の値は筆者試算。
(出典)Eurostat
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
2014
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
2015
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
2016
15
【図表2】ユーロ圏各国の実質GDPの推移と見通し
5年平均
1997~2001年 2002~06年
2007~11年
2012年
2013年
2014年
(前期比,%)
2015年
欧州委予測(2016年5月)
2016年
2017年
2.9
1.8
0.5
▲0.9
▲0.3
0.9
1.7
1.6
1.8
ドイツ
2.1
1.0
1.2
0.4
0.3
1.6
1.7
1.6
1.6
フランス
3.0
1.7
0.7
0.2
0.7
0.2
1.2
1.3
1.7
イタリア
2.1
1.0
▲0.6
▲2.8
▲1.7
▲0.3
0.8
1.1
1.3
スペイン
4.4
3.4
0.0
▲2.6
▲1.7
1.4
3.2
2.6
2.5
オランダ
4.0
1.6
0.9
▲1.1
▲0.5
1.0
2.0
1.7
2.0
ベルギー
2.7
2.2
1.3
0.2
0.0
1.3
1.4
1.2
1.6
オーストリア
2.8
2.1
1.2
0.8
0.3
0.4
0.9
1.5
1.6
フィンランド
4.9
2.9
0.5
▲1.4
▲0.8
▲0.7
0.5
0.7
0.7
ギリシャ
3.9
4.2
▲3.3
▲7.3
▲3.2
0.7
▲0.2
▲0.3
2.7
アイルランド
9.4
5.4
0.1
0.2
1.4
5.2
7.8
4.9
3.7
ポルトガル
3.8
0.8
▲0.1
▲4.0
▲1.1
0.9
1.5
1.5
1.7
スロバキア
2.9
6.0
3.6
1.5
1.4
2.5
3.6
3.2
3.3
ルクセンブルグ
6.3
3.5
2.0
▲0.8
4.3
4.1
4.8
3.3
3.9
リトアニア
4.9
7.8
0.9
3.8
3.5
3.0
1.6
2.8
3.1
スロベニア
4.2
4.1
0.7
▲2.7
▲1.1
3.0
2.9
1.7
2.3
ラトビア
6.0
9.3
▲1.5
4.0
3.0
2.4
2.7
2.8
3.1
エストニア
6.3
7.9
▲0.9
5.2
1.6
2.9
1.1
1.9
2.4
キプロス
4.3
3.8
1.6
▲2.4
▲5.9
▲2.5
1.6
1.7
2.0
マルタ
3.9
2.3
2.0
2.8
4.1
3.7
6.3
4.1
3.5
ユーロ圏
(出典)欧州委員会「2016年春季経済見通し」
【図表3】ユーロ圏各国の消費者物価上昇率(HICP)総合の推移と見通し
5年平均
1997~2001年 2002~06年
2007~11年
2012年
2013年
2014年
2015年
(前期比,%)
欧州委予測(2016年5月)
2016年
2017年
1.7
2.2
2.0
2.5
1.3
0.4
0..0
0.2
1.4
ドイツ
1.2
1.6
1.8
2.1
1.6
0.8
0.1
0.3
1.5
フランス
1.2
2.1
1.8
2.2
1.0
0.6
0.1
0.1
1.0
イタリア
2.1
2.4
2.2
3.3
1.2
0.2
0.1
0.2
1.4
スペイン
2.4
3.3
2.4
2.4
1.5
▲0.2
▲0.6
▲0.1
1.4
オランダ
2.6
2.1
1.6
2.8
2.6
0.3
0.2
0.4
1.3
ベルギー
1.7
2.0
2.4
2.6
1.2
0.5
0.6
1.7
1.6
オーストリア
1.3
1.7
2.2
2.6
2.1
1.5
0.8
0.9
1.7
フィンランド
1.9
1.1
2.4
3.2
2.2
1.2
▲0.2
0.0
1.3
ギリシャ
3.7
3.4
3.3
1.0
▲0.9
▲1.4
▲1.1
▲0.3
0.6
アイルランド
3.0
3.2
0.8
1.9
0.5
0.3
0.0
0.3
1.3
ポルトガル
2.7
2.9
1.8
2.8
1.9
0.4
▲0.8
▲0.2
1.6
スロバキア
8.5
5.3
2.3
3.7
1.5
▲0.1
▲0.3
▲0.1
1.5
ルクセンブルグ
1.9
2.9
2.7
2.9
1.7
0.7
0.1
▲0.1
1.8
リトアニア
4.0
1.4
5.3
3.2
1.2
0.2
▲0.7
0.6
1.8
スロベニア
8.0
4.4
2.9
2.8
1.9
0.4
▲0.8
▲0.2
1.6
ラトビア
3.9
4.9
6.3
2.3
0.0
0.7
0.2
0.2
2.0
エストニア
6.1
3.3
5.1
4.2
3.2
0.5
0.1
0.8
2.9
キプロス
2.7
2.6
2.6
3.1
0.4
▲0.3
▲1.5
▲0.7
1.0
マルタ
3.1
2.5
2.4
3.2
1.0
0.8
1.2
1.4
2.2
ユーロ圏
(出典)欧州委員会「2016年春季経済見通し」 (注)HICPとは,EUにおける統一的な基準による消費者物価指数
16
【図表4】ユーロ圏各国の失業率の推移と見通し
5年平均
1997~2001年 2002~06年
2007~11年
2012年
2013年
2014年
2015年
10.9
2017年
8.9
9.0
11.4
ドイツ
8.7
10.0
7.3
5.4
5.2
5.0
4.6
4.6
4.7
フランス
9.5
8.6
8.6
9.8
10.3
10.3
10.4
10.2
10.1
イタリア
10.5
7.9
7.5
10.7
12.1
12.7
11.9
11.4
11.2
スペイン
14.2
10.3
15.7
24.8
26.1
24.5
22.1
20.0
18.1
オランダ
4.5
5.0
4.5
5.8
7.3
7.4
6.9
6.4
6.1
ベルギー
8.1
8.2
7.6
7.6
8.4
8.5
8.5
8.2
7.7
オーストリア
4.3
5.1
4.7
4.9
5.4
5.6
5.7
5.9
6.1
フィンランド
10.6
8.6
7.5
7.7
8.2
8.7
9.4
9.4
9.3
ギリシャ
11.0
9.9
11.3
24.5
27.5
26.5
24.9
24.7
23.6
6.3
4.5
10.3
14.7
13.1
11.3
9.4
8.2
7.5
アイルランド
11.6
2016年
−
ユーロ圏
12.0
(前期比,%)
欧州委予測(2016年5月)
10.3
9.9
ポルトガル
5.9
7.8
10.7
15.8
16.4
14.1
12.6
11.6
10.7
スロバキア
15.8
17.0
12.2
14.0
14.2
13.2
11.5
10.5
9.5
2.4
4.1
4.7
5.1
5.9
6.0
6.4
6.2
6.2
リトアニア
13.6
10.2
11.4
13.4
11.8
10.7
9.1
7.8
6.4
スロベニア
6.9
6.4
6.1
8.9
10.1
9.7
9.0
8.6
8.1
ラトビア
14.3
10.6
13.4
15.0
11.9
10.8
9.9
9.6
9.3
エストニア
11.5
9.1
10.5
10.0
8.6
7.4
6.2
6.5
7.7
キプロス
4.9
4.4
5.4
11.9
15.9
16.1
15.1
13.4
12.4
マルタ
6.7
7.2
6.5
6.3
6.4
5.8
5.4
5.1
5.1
ルクセンブルグ
(出典)欧州委員会「2016年春季経済見通し」
外部環境の逆風,そして輸入よりも輸出が大きく減速する
般的に,ユーロ圏のインフレ率は以前想定していたものよ
ことが経済への打撃となり,純輸出は2015年よりもわずか
りも遅いペースで,昨年の上昇率0.0%から2016年には0.2%
に下回るとみられる。全体として,2016年のユーロ圏の実
で推移し,2017年には1.4%まで回復するものと考えている。
質GDP成長率の見通しは,概ね安定しており,2016年には
⑵ ユーロ圏の財政状況
前年の1.7%をわずかに下回る1.6%,2017年は1.8%になる
予測される。労働市場は緩やかなペースで引き続き改善す
2015年の財政赤字(対GDP比)は,各国による財政再建の
ると考えられる。
取組みにより最悪の水準であった2009年の▲6.4%から▲2.1%
インフレ率は,依然として低い状況が続いている。2016
まで改善した。一方,2015年の政府債務残高(対GDP比)は
年初頭の原油価格の更なる落ち込みとユーロのわずかな上
92.9%となり,前年(94.4%)からは改善したものの,依然
昇が輸入物価圧力を弱めている。一方で,緩やかな成長軌
として高い水準にある。
道が,国内賃金,物価動向を抑制している。それ故,直近
欧州委員会が2016年5月に発表した「春季経済見通し」に
のインフレ見通しは低下しており,プラスの影響が反映さ
よると,ユーロ圏の財政赤字(対GDP比)は2016年が▲1.9%,
れるのは,予測よりも幾分遅れる見込みである。最近の金
2017年には▲1.6%と縮小すると予測されている。政府債務
融政策の決定は,ユーロ圏のインフレ率を現在よりも高く
残 高( 対 GDP 比 )に つ い て も ,2016 年 は 92.2 %,2017 年 が
させるものの,その速度は遅いものとなるはずである。全
91.1%と縮小に転じる見込みである(図表6,7)。
【図表5】主要機関によるユーロ圏経済見通し
見通し発表時期
見 通 し 期 間
欧州中央銀行(ECB)
欧州委員会
IMF
OECD
2016年6月
2016年5月
2016年4月
2016年6月
2016年
2017年
1.6
1.7
消費者物価上昇率(%)
0.2
失 業 率(%)
10.9
経 常 収 支 ( 対 GD P 比)
2.9
実質GDP成長率(%)
2016年
2017年
1.6
1.8
1.3
0.2
9.9
10.3
2.8
3.7
2016年
2017年
1.5
1.6
1.4
0.4
9.9
10.3
3.6
3.5
2016年
2017年
1.6
1.7
1.1
0.2
1.2
9.9
10.2
9.8
3.2
3.8
3.6
17
【図表6】ユーロ圏各国の財政収支対GDP比(網掛けは安定・成長協定の基準▲3%以下を満たしていない年)
(前期比,%)
5年平均
1997~2001年 2002~06年
2007~11年
2012年
2013年
2014年
2015年
欧州委予測(2016年5月)
2016年
2017年
▲1.9
▲2.6
▲3.9
▲3.7
▲3.0
▲2.6
▲2.1
▲1.9
ドイツ
▲1.9
▲3.4
▲1.7
▲0.1
▲0.1
▲0.3
0.7
0.2
0.1
フランス
▲2.1
▲3.2
▲5.0
▲4.8
▲4.0
▲4.0
▲3.5
▲3.4
▲3.2
イタリア
▲2.5
▲3.6
▲3.4
▲2.9
▲2.9
▲3.0
▲2.6
▲2.4
▲1.9
スペイン
▲2.0
0.5
▲6.5
▲10.4
▲6.9
▲5.9
▲5.1
▲3.9
▲3.1
オランダ
▲0.1
▲1.4
▲2.9
▲3.9
▲2.4
▲2.4
▲1.8
▲1.7
▲1.2
ベルギー
▲0.7
▲0.8
▲2.9
▲4.2
▲3.0
▲3.1
▲2.6
▲2.8
▲2.3
オーストリア
▲2.1
▲2.6
▲3.0
▲2.2
▲1.3
▲2.7
▲1.2
▲1.5
▲1.4
フィンランド
2.8
3.0
0.6
▲2.2
▲2.6
▲3.2
▲2.7
▲2.5
▲2.3
▲5.5
▲7.0
▲10.7
▲8.8
▲13.0
▲3.6
▲7.2
▲3.1
▲1.8
2.3
1.2
▲13.1
▲8.0
▲5.7
▲3.8
▲2.3
▲1.1
▲0.6
ポルトガル
▲3.8
▲4.9
▲7.0
▲5.7
▲4.8
▲7.2
▲4.4
▲2.7
▲2.3
スロバキア
▲7.4
▲3.9
▲4.7
▲4.3
▲2.7
▲2.7
▲3.0
▲2.4
▲1.6
4.3
0.7
1.3
0.3
0.8
1.7
1.2
1.0
0.1
リトアニア
▲4.9
▲1.0
▲5.8
▲3.1
▲2.6
▲0.7
▲0.2
▲1.1
▲0.4
スロベニア
▲3.0
▲1.9
▲3.9
▲4.1
▲15.0
▲5.0
▲2.9
▲2.4
▲2.1
ラトビア
▲1.4
▲1.2
▲5.1
▲0.8
▲0.9
▲1.6
▲1.3
▲1.0
▲1.0
エストニア
▲0.4
1.7
▲0.2
▲0.3
▲0.2
0.8
0.4
▲0.1
▲0.2
キプロス
▲3.4
▲3.4
▲2.4
▲5.8
▲4.9
▲8.9
▲1.0
▲0.4
0.0
マルタ
▲6.9
▲4.8
▲3.1
▲3.5
▲2.6
▲2.0
▲1.5
▲0.9
▲0.8
ユーロ圏
ギリシャ
アイルランド
ルクセンブルグ
▲1.6
(出典)欧州委員会「2016年春季経済見通し」
【図表7】政府債務残高対GDP比(網掛けは安定・成長協定の基準60%以下を満たしていない年)
(前期比,%)
5年平均
1997~2001年 2002~06年
2007~11年
2012年
2013年
2014年
2015年
欧州委予測(2016年5月)
2016年
2017年
69.9
67.9
76.5
91.3
93.4
94.4
92.9
92.2
91.1
ドイツ
58.9
64.0
72.0
79.6
77.2
74.7
71.2
68.6
66.3
フランス
59.8
64.3
75.7
89.6
92.4
95.4
95.8
96.4
97.0
イタリア
108.8
101.4
109.3
123.3
129.0
132.5
132.7
132.7
131.8
スペイン
60.0
45.1
51.4
85.4
93.7
99.3
99.2
100.3
99.6
オランダ
57.2
48.1
54.8
66.4
67.9
68.2
65.1
64.9
63.9
ベルギー
114.4
97.6
96.2
104.1
105.2
106.5
106.0
106.4
105.6
オーストリア
65.1
66.4
75.5
81.6
80.8
84.3
86.2
84.9
83.0
フィンランド
45.3
40.8
40.8
52.9
55.5
59.3
63.1
65.2
66.9
101.4
104.0
131.5
159.6
177.7
180.1
176.9
182.8
178.8
アイルランド
45.8
27.7
64.8
120.1
120.0
107.5
93.8
89.1
86.6
ポルトガル
52.4
62.7
86.3
126.2
129.0
130.2
129.0
126.0
124.5
スロバキア
42.4
38.0
35.6
52.4
55.0
53.9
52.9
53.4
52.7
6.9
7.3
15.6
22.0
23.3
22.9
21.4
22.5
22.8
リトアニア
20.2
19.2
26.6
39.8
38.8
40.7
42.7
41.1
42.9
スロベニア
24.1
26.6
32.7
53.9
71.0
81.0
83.2
80.2
78.0
ラトビア
11.6
12.6
30.8
39.8
38.8
40.7
42.7
41.1
42.9
ユーロ圏
ギリシャ
ルクセンブルグ
5.9
5.1
5.5
9.5
9.9
10.4
9.7
9.6
9.3
キプロス
55.0
62.1
55.0
79.3
102.5
108.2
108.9
108.9
105.4
マルタ
57.2
67.8
66.1
67.5
68.6
67.1
63.9
60.9
58.3
エストニア
(出典)欧州委員会「2016年春季経済見通し」
18
3月まで)し,買入対象に地方債を追加することを決定し
⑶ ユーロ圏の金融政策(2015年後半から2016年前半)
① 政策金利の推移
た。
また,2016年3月,原油価格の下落に伴い,今後数か月
ECBはインフレ率を2%近辺に回帰させるため,2016年
のインフレ率が極めて低水準またはマイナスになることが
3月に主要政策金利引下げ(0.05%→0.00%)を決定し,
避けられない状況である他,原油価格下落のインフレ率へ
主要政策金利は過去最低水準となっている。(図表8)
の二次的波及がさらにそれを押し下げることが懸念される
また,預金ファシリティ金利については,2015年12月
ことから,ECBは更なる政策金利等の引下げ及び量的緩和
( ▲ 0.2 % → ▲ 0.3 % )に 0.1 % 引 下 げ ,さ ら に 2016 年 3 月
策の拡充を決定し,月間買入額を600億ユーロから800億
(▲0.3%→▲0.4%)に0.1%引下げ,マイナス金利の拡大を
ユーロへ増額及び買入対象に非金融機関発行の社債を追加
図った。
した。さらに,銀行に対し長期資金を貸出に回すインセン
② 非伝統的金融緩和策
ティブが与えることを目的として,貸出支援を目的とした
2015年12月,ECBは上記の政策金利等の引下げとともに,
期間4年の新たな長期資金供給オペレーション(通称:
従来から実施している資産買入策(ユーロ圏各国の国債等
TLTROⅡ)を導入した。(図表9)
を毎月600億ユーロ買入)の期間を6か月間延長(2017年
【図表8】ECBの政策金利とHICPの推移
HICP(前年比);%
4.50
4.25
4.00
3.75
3.50
3.25
3.00
2.75
2.50
2.25
2.00
1.75
1.50
1.25
1.00
0.75
0.50
0.25
0.00
▲ 0.25
▲ 0.50
▲ 0.75
▲ 1.00
政策金利
ECBの物価安定の定義:
「消費者物価指数(総合)が
前年比2.0%未満でその近辺」
政策金利;%
4.50
4.25
消費者物価指数(総合)
前年比
4.00
3.75
4月
(速報値) 3.50
左軸:▲0.2% 3.25
3.00
2.75
現在の政策金利
2.50
右軸:0.00%
2.25
2.00
1.75
1.50
1.25
1.00
0.75
0.50
0.25
0.00
1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4
2007
2008
(出典)ECB, Eurostat
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
【図表9】過去1年間にECBが決定した,主な金融緩和政策
年月
主な金融緩和策の概要
2015年12月
○預金ファシリティ金利の引下げ(▲0.2%→▲0.3%)
○量的緩和の拡充(実施期間の6ヶ月延長等)
2016年3月
○主要政策金利の引下げ(0.05%→0.00%)
○預金ファシリティ金利の引下げ(▲0.30%→▲0.40%)
○量的緩和の拡充(月額買入額:600億ユーロ→800億ユーロ 等)
○貸出支援を目的とした期間4年の新たな長期資金供給オペレーションを開始
2016
19
【図表10】ECBのバランスシート
(資産)
3.2
(単位:兆ユーロ)
3.0
その他
2.8
2.6
2.4
外貨建債権
ユーロ建証券のうち,
金融政策目的で保有する証券
ユーロ建証券
2.2
2.0
1.8
1.6
1.4
1.2
長期リファイナンスオペ
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
金・外貨
主要リファイナンスオペ
1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 3 4
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
(出典)ECB
(負債)
3.2
(単位:兆ユーロ)
3.0
その他
2.8
ターム物預金
2.6
2.4
2.2
外貨建て負債
政府預金等
再評価益,
自己資本
2.0
1.8
1.6
預金ファシリティ
1.4
1.2
当座預金
1.0
0.8
0.6
銀行券発行残高
0.4
0.2
0.0
1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 2 3 5 6 8 9 10 12 1 3 4
2008
(出典)ECB
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
20
【図表11】ECBによる資産買入れ策の概要
国債等の買入れ策(2015年1月公表)
(2015年12月,2016年3月改訂)
既に決定された買入れ策(2014年9月公表)
ユーロ圏各国が発行する国債等(注1)
非金融機関発行の社債
カバードボンド
ABS
格付
複数の格付機関からの格付のうち,
最上の格付けがBBB-以上
同左
複数の格付機関からの格
付のうち,2番目に高い
格付がBBB-以上(注2)
残存期間
2年(社債については6か月)~30年(注2)
-
-
市場
流通市場
買入れ対象資産
発行及び流通市場
実施時期
(実施期間)
2015年3月から開始,2017年3月まで
2014年10月から開始
(少なくとも2年間)
買入れ規模
毎月800億ユーロ
買入れ方法
各国中銀が,ECBに対するユーロ加盟国の
出資比率に応じて,自国国債等を買入れ
買入れ,保有上限
1銘柄あたり33%,発行体債務の33%が上限
欧州機関債については,各々50%が上限
社債については,1銘柄あたり70%が上限
潜在的な
損失負担
・追加買入れ分の20%は,各国中銀が出資比率に応
じて損失を共有。
・残る80%は,各国中銀が損失を負担。
2014年11月から開始
(少なくとも2年間)
左記参照
-
-
-
-
(注1)欧州機関債等を含み,マイナス金利の債券も中銀預金金利(▲0.4%)まで買入れ。
(注2)具体的な残存期間は,2年(社債については6か月)~30年364日。
の項目で拡大した。
2.ドイツ
③ 経済見通し(欧州委員会「2016年5月 春季経済見通
し(抜粋・仮訳)」)
堅調な労働市場,良好な資金調達環境,低いエネルギー
⑴ 最近の経済情勢
価格,そして異例の大量の難民に対する追加的な公的支出
といった国内需要が予測以上に経済を牽引しており,実質
① 2015年のドイツ経済
GDP成長率は,2016年,2017年ともに1.6%と見込まれてい
2015年の実質GDP成長率は,国内需要が堅調であること
る。先行きに対するリスクは外部環境に更なる低迷を織り
から,前年比1.7%と前年(同1.6%)から拡大した。
需要項目別の内訳では,原油価格の低迷や改善している
込む一方で,難民流入に起因する不確実性や経済的なイン
パクトは依然として大きい。
雇用情勢を背景として,個人消費は前年比2.0%(前年:
難民が労働市場に緩やかに流入しているものと仮定する
同0.9%)と堅調に推移した。総固定資本形成は,同2.2%
と,2017年までの失業者の増加はわずかだと見込まれる。
(前年:3.5%)と伸び率は低下したものの,設備投資が前
実質賃金と家計の購買力は2016年中の低インフレによって
年比4.8%(前年:同4.5%)と拡大しており,好調な企業
後押しされるとみられる。また,名目賃金の伸びは2016年
マインドを一端がうかがえる。一方で,建設投資は前年比
にわずかに鈍化したものの,2017年には加速するものと期
0.3%(前年:2.9%)と前年から低下した。また,外需に
待される。全体として個人消費は好調な雇用情勢,移民の
ついては,輸出が前年比5.4%(前年:同4.0%),輸入が同
流入数の増加,低金利を反映して明らかに増加するものと
5.8%増(前年:同3.7%)と拡大したことから,外需の寄
与度は0.2%(前年:0.4%)とプラスに寄与した。
予測されている。
設備稼働率のゆっくりとした上昇や海外需要の緩やかな
2015年の消費者物価上昇率(HICP)総合は,エネルギー
回復を背景に,企業投資は緩やかに回復すると予測され
価格の低下を背景に,年初から概ね低水準で推移し,2015
る。住宅投資は,移民の増加により加速するものの,その
年通年では同0.1%となった。また,失業率は,2015年1
伸びは緩やかなものになると予測される。
月の4.8%から12月の4.4%まで改善し,2015年通年でも4.6%
原油価格低下の影響は,本年後半まで続くことから,
と前年(5.0%)から低下した。
HICP総合は2016年では前年比0.3%とわずかな上昇にとどま
② 2016年第1四半期のドイツ経済
るものの,2017年には1.5%と加速すると見込まれる。HICP
2016年第1四半期の実質GDP成長率は,前期比0.7%増
コア(総合からエネルギー・未加工食品を除いたもの)は力
(年率2.7%)となった。需要項目別の内訳をみると,全て
強いままであり,エネルギー価格の低迷の波及効果があるに
21
【図表1】ドイツの実質GDP
2013
実
質
G
D
2014
P
0.3
【 年 率 】
個
人
消
費
政
府
支
出
総固定資本形成
設
備
投
資
建
設
投
資
2015
1.6
0.6
0.8
1.7
▲1.3
▲2.3
4.5
4.8
▲1.1
2.9
(▲0.1)
0.3
(0.3)
0.9
0.1
1.4
1.8
1.9
(0.1)
▲0.3
2.3
(▲0.2)
(▲0.0)
(0.2)
資
(0.5)
▲0.3
(▲0.5)
(▲0.3)
(▲0.0)
(0.1)
需
(0.7)
(1.2)
(1.5)
(▲0.2)
(0.6)
(0.8)
外
需
(▲0.4)
(0.4)
(0.2)
(0.6)
(▲0.3)
(▲0.5)
庫
投
輸
出
輸
入
1.6
4.0
(0.7)
5.4
(1.9)
3.1
(2.5)
3.7
(▲1.2)
(▲1.5)
1.8
0.3
(0.9)
5.8
0.1
(0.8)
▲0.1
1.0
(▲0.3)
1.1
(▲0.2)
(0.2)
▲0.6
(0.2)
0.6
(▲2.3)
(0.1)
2.0
(0.0)
内
在
(0.4)
1.0
(0.0)
▲1.7
0.5
(0.1)
(0.3)
0.2
(0.0)
0.4
(0.2)
(0.2)
(0.0)
0.6
(0.3)
0.4
0.7
(▲0.1)
【2.7】
(0.2)
(0.1)
▲0.5
(0.4)
(0.3)
0.8
0.7
0.7
【1.1】
(0.4)
(0.1)
2.2
(0.7)
(▲0.2)
0.1
2.5
Ⅰ
0.3
【1.1】
(0.1)
(0.5)
3.5
(▲0.3)
Ⅳ
0.3
【1.6】
(1.1)
(0.3)
2016
Ⅲ
0.4
2.0
(0.5)
(0.1)
Ⅱ
1.7
0.9
(0.4)
(前期比,( )は寄与度:%)
2015
(0.5)
0.5
(▲0.5)
1.4
(▲0.2)
(▲0.6)
(出典)ドイツ連邦統計局
【図表2】主要機関によるドイツ経済見通し
連邦政府
見通し発表時期
欧州委員会
2016年4月
見 通 し 期 間
2016年
IMF
2016年5月
2017年
2016年
OECD
2016年4月
2017年
2016年
2016年6月
2017年
2016年
2017年
実質GDP成長率(%)
1.8
1.8
1.6
1.6
1.5
1.6
1.6
1.7
消費者物価上昇率(%)
−
−
0.3
1.5
0.5
1.4
0.3
1.5
失 業 率(%)
−
−
4.6
4.7
4.6
4.8
4.4
4.6
経 常 収支 ( 対 G D P 比)
−
−
8.5
8.3
8.4
8.0
9.2
8.5
もかかわらず,国内需要の増加を背景として再加速しようと
寄与度は1.5%となった(前年:1.1%)。外需については,
している。
輸出は前年比6.0%(前年:同3.4%),輸入は同6.4%(前年:
同4.8%)といずれも前年の伸びから加速したものの,輸
3.フランス
入の伸びが輸出の伸びを上回った結果,外需の寄与度は▲
0.3%となった(前年:▲0.5%)(図表1)。
HICP総合は,エネルギー価格の低下の影響により2015
⑴ 最近の経済情勢
① 2015年のフランス経済
2015年の実質GDP成長率は,個人消費や政府消費が牽引
し,前年比1.2%と前年(同0.7%)から拡大した。
需要項目別の内訳を見ると,個人消費が前年比1.5%(前
年1月の前年比▲0.4%以降,概ねゼロ近辺で推移してお
り,同年12月には同0.0%であった。2015年全体では,同
0.1%の上昇に留まった。
また,失業率については2015年1月の10.3%から同年8
月には10.6%まで上昇した後,12月には10.2%まで小幅に
低下し,2015年全体では10.4%となった。
年:同0.7%)と拡大したほか,政府支出も同1.4%増(前年:
② 2016年第1四半期のフランス経済
同1.2%)と拡大し,2015年の成長をけん引した。総固定
2016年第1四半期の実質GDP成長率は前期比0.6%と,
資本形成は,内訳項目である設備投資が同2.7%と拡大し
前期(同0.4%)から加速した。在庫投資の寄与度が▲0.1%
たものの,家計投資が同▲0.8%,政府投資が同▲3.9%と
となったものの,個人消費が前期比1.1%(前期:同0.1%)
縮小した結果,同0.9%(前年:同▲0.4%)となった。また,
総固定資本形成が同1.4%(前期:同1.0%)と加速した結
在庫投資の寄与度は0.1%(前年:0.5%)となり,内需の
果,内需の寄与度は0.9%となった。輸出は前期比▲0.0%,
22
【図表1】フランスの実質GDP
2013
実
質
G
D
2014
P
0.6
2015
0.7
Ⅱ
1.2
人
消
費
政
府
支
出
総固定資本形成
設 備 投 資
家 計 投 資
政 府 投 資
在
庫
投
0.6
0.7
1.5
(0.4)
1.5
1.4
(0.3)
▲0.7
▲0.4
(▲0.2)
0.9
(▲0.1)
0.3
1.4
(0.0)
2.7
(0.2)
▲0.5
▲3.5
(▲0.0)
(▲0.2)
▲0.6
▲0.8
▲5.8
▲3.9
(0.3)
▲0.0
(▲0.0)
▲0.2
2.1
(0.2)
▲0.1
(▲0.0)
(0.3)
1.6
(0.0)
▲0.2
(▲0.0)
1.4
(0.2)
0.4
(0.1)
(0.1)
1.0
(0.0)
0.6
(0.3)
0.5
(0.1)
0.1
(0.0)
(0.6)
0.5
(0.1)
0.2
(0.2)
1.1
(0.0)
0.3
(0.1)
【2.6】
0.1
(0.3)
0.4
(0.3)
0.6
【1.5】
0.5
(0.0)
Ⅰ
0.4
【1.5】
0.1
(0.8)
1.2
(0.4)
Ⅳ
0.4
【▲0.4】
(0.3)
2016
Ⅲ
▲0.1
【 年 率 】
個
(前期比,( )は寄与度:%)
2015
0.2
(▲0.0)
▲0.7
(0.0)
0.7
0.9
(▲0.0)
(▲0.2)
(▲0.1)
(▲0.0)
(▲0.0)
(0.0)
(0.0)
(▲0.1)
資
(0.2)
(0.5)
(0.1)
(▲0.7)
(0.7)
(0.6)
内
需
(0.7)
(1.1)
(1.5)
(▲0.5)
(1.0)
(1.0)
(0.9)
外
需
(▲0.1)
(▲0.5)
(▲0.3)
(0.4)
(▲0.7)
(▲0.6)
(▲0.3)
輸
出
輸
入
1.9
3.4
(0.5)
6.0
(1.0)
2.2
4.8
(▲0.6)
(▲1.4)
1.6
(1.7)
▲0.3
(0.5)
6.4
0.2
(▲2.0)
0.8
(▲0.1)
1.8
(▲0.1)
▲0.0
(0.3)
(▲0.0)
2.8
(▲0.6)
0.8
(▲0.9)
(▲0.3)
(出典)フランス国立統計経済研究所(INSEE)
輸入は同0.8%となったことから,外需の寄与度は▲0.3%
まれる。投資の回復には,自立的な成長経路に移行すること
となった。
が必要である。
③ 経済見通し(欧州委員会「2016年5月 春季経済見通
し(抜粋・仮訳)」)
過去のユーロの低下にかかわらず,純輸出が2016年でも
足を引っ張ると見込まれるが,輸入は増加し,輸出は例外的
2016年の実質GDPは,国内需要に牽引され1.3%増加し,
であった2015年の水準を下回るであろう。
2017年には1.7%増加すると見込まれる。財政支出は,当面,
フランス経済のリスクは,在庫投資は翌四半期において
拡大傾向にあるものの,2016年に外部環境の悪化が,成長を
想像以上にマイナス寄与する可能性があり,期待される投資
阻害すると予測される。
の回復は,企業信頼感がどの程度改善するかによる。
個人消費は2016年に若干加速する。2015年の第4四半期
エネルギー価格と商品価格の低迷を背景に,インフレは
は,温和な気温と11月のテロ攻撃による一時的な減少の後,
本年第2四半期に低下し,その後の回復もゆっくりとした
家計消費は2016年第1四半期に顕著に持ち直した。根本的
ペースになると見込まれる。つまり,インフレは2016年に平
に,原油価格の低迷と労働所得の回復に支えられた購買力を
均0.1%上昇にとどまるものの,その後生産のギャップがな
背景に,家計消費は回復が続いている。
くなり,エネルギー価格と賃金の段階的な上昇がインフレに
投資は,段階的に上昇すると予測される。設備投資は,
企業利益の改善と低金利によって加速している一方で,建設
上昇圧力をかけることから,2017年には1.0%と予測される。
(図表2)
(下津公敬,阿部桂三)
投資は,住宅許可と住宅着工の改善を背景とした回復が見込
【図表2】主要機関の経済見通し
見通し発表時期
見 通 し 期 間
連邦政府
欧州委員会
IMF
OECD
2016年4月
2016年5月
2016年4月
2016年2月
2016年
2017年
2016年
1.3
2017年
1.7
2016年
実質GDP成長率(%)
1.5
1.5
1.1
消費者物価上昇率(%)
0.1
1.0
0.1
1.0
失 業 率(%)
−
−
10.2
10.1
経 常 収支 ( 対 G D P 比)
−
−
▲1.1
▲1.0
0.6
2017年
2016年
2017年
1.3
1.4
1.5
0.4
1.1
0.1
0.8
10.1
10.0
9.8
9.7
0.3
▲0.7
▲0.8