概要 - 全国水土里ネット -新・田舎人フォーラム

み
ど
り
『とやま水土里フォーラム・農業用水小水力発電推進全国大会』を開催
~土地改良施設の維持管理活動と小水力発電の推進をPR~
み
ど
り
『 と や ま 水 土 里 フ ォ ー ラ ム・農 業 用 水 小 水 力 発 電 推 進 全 国 大 会 』
( 主 催:富 山 県 、水 土 里
ネ ッ ト 富 山 )は 、10 月 16 日 ~ 17 日 に 、富 山 県 富 山 市 の 富 山 国 際 会 議 場 を 主 会 場 に 開 催 し 、
富 山 県 外 か ら の 約 200 名( 北 海 道 か ら 沖 縄 ま で 34 都 道 府 県 )を 含 む 約 61 0 名 の 参 加 が あ
りました。土地改良施設の重要性を広く県民・国民に啓発し、維持管理活動への理解と参
画を促すとともに、農業用水を活用した小水力発電の先進県として、全国への情報発信等
を行うことを目的に今回初めて開催しました。
石井県知事
開
会
式
河合県土連会長
い し い たかかず
主 催 者 あ い さ つ で 、石 井 隆 一 県 知 事 は 、
「 全 国 的 に 小 水 力 発 電 へ の 関 心 が 高 ま る 中 、富 山
県内では農業用水を利用した小水力発電を活発に進めており、この大会で土地改良 施設が
果たしている大きな役割や小水力発電の積極的な推進に向け、新たなアクションのきっか
か わ い つねのり
け に な る こ と を 期 待 し た い 。」 と 、 さ ら に 河 合 常 則 県 土 連 会 長 は 、「 地 域 の 農 業 水 利 施 設 に
必要な電力を自らの施設で賄い、土地改良区が管理する施設全体の維持管理費の軽減につ
な が る 農 業 用 電 力 の 地 産 地 消 シ ス テ ム の 構 築 を 図 っ て い く こ と が 重 要 。」と 意 欲 を 示 さ れ ま
した。
フォーラム・大会では、土地改良施設の維持管理に功績のあった「とやま水土里賞(知
事 賞 )」の 表 彰 式 と 事 例 発 表 、小 水 力 発 電 の 取 組 状 況 に 関 す る 情 勢 報 告 や 基 調 講 演 、課 題 や
今 後 の 展 開 に つ い て 議 論 す る パ ネ ル デ ィ ス カ ッ シ ョ ン が 行 わ れ ま し た 。ま た 、ロ ビ ー で は 、
地 区 事 例 等 の パ ネ ル 展 示 や 、小 水 力 発 電 に 関 す る 県 内 企 業・団 体 の 新 技 術 展 示 コ ー ナ ー( 9
ブース)も設け大変好評でした。
さ ら に 、 翌 17 日 に は 「 発 電 所 見 学 会 」 を 行 い 、 約 210 名 の 参 加 が あ り ま し た 。
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Ⅰ.とやま水土里賞
富山県では、土地改良施設の維持管理に対する地域住民の意欲の高揚と県民への啓発を
図るため、土地改良施設の有する多面的機能の発揮等の優れた維持管理活動を実践してい
る団体などを表彰する「とやま水土里コンクール」を本年度新たに創設し ました。
4 団 体・1 個 人 が「 と や ま 水 土 里 賞( 知 事 賞 )」に 選 ば れ 、石 井 隆 一 知 事 が 表 彰 す る と と
もに、各受賞者から取組事例を発表していただきました。
表彰式
受賞者
とやま水土里賞の受賞者と取組概要は次のとおり。
◇団体の部
じゅうに か ん の
十二貫野用水地区維持管理協議会(地域が一体となって、毎年春先に急峻な山腹水路
の江浚いや補修活動を実施するほか、小学生を対象に歴史ある用水を守り伝える活
動 を 実 施 。)
ごうぐち
合口用水維持管理委員会(地域の関係者が総出で堰の上下流の堆積土砂の除去や幹線
水 路 の 草 刈 り 等 を 実 施 。 ビ オ ト ー プ 整 備 な ど 生 態 系 保 全 の 活 動 も 積 極 的 に 展 開 。)
やまかわ
山川自治会(自治会が主体となり、ため池の保全管理や周辺の森林整備等を実施。平
成 24 年 7 月 の 豪 雨 の 際 に は 、 た め 池 の 一 部 崩 落 の 早 期 発 見 と 対 処 に よ り 洪 水 被 害
を 未 然 に 防 止 。)
しょうがわ
庄 川 沿 岸 用 水 土 地 改 良 区 連 合( 県 内 外 で 先 駆 け て 小 水 力 発 電 を 整 備 し 、地 球 環 境 保 全
に 貢 献 す る と と も に 、 土 地 改 良 区 の 維 持 管 理 費 の 負 担 を 軽 減 。)
◇個人の部
よ し だ たけし
吉 田 武 氏 ( 20 年 間 昼 夜 を 問 わ ず 、 天 気 情 報 の 収 集 や 土 地 改 良 区 と の 連 絡 を 密 に し た
水 門 操 作 に よ り 、 営 農 面 の み な ら ず 防 災 ・ 減 災 に 対 し て も 尽 力 。)
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Ⅱ.小水力発電の推進
農業用水路等の土地改良施設は、営農活動のみならず、防災機能や生態系保全機能等の
多面的機能の発揮に資することから、国民全体にとって必要不可欠な施設であるものの、
農村地域の過疎化・混住化・高齢化、農産物価格の低迷などにより、その適正な維持管理
が困難な状況になっています。一方、維持管理費の負担軽減のため、農村の豊富な農業用
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水などを活かした小水力発電に対する関心が高まっています。
大会では、農業用水を活用した小水力発電について、現在の取組状況、課題や今後の展
開 等 に つ い て 情 勢 報 告 、基 調 講 演 が 行 わ れ た ほ か 、
「小水力発電を活用した農業水利施設 の
適切な保全管理・地域の活性化」をテーマにパネルディスカッションが行われ ました。
1.情勢報告
「全国農業用水小水力発電推進協議会の取組み」
なかじょう や す ろ う
中 條康朗・全国土地改良事業団体連合会専務理事
▽土地改良施設の維持管理費の増嵩や固定価格買取制度
の開始などに伴う小水力発電への関心の高まりを背景
に、土地改良区、市町村等を会員とする「全国農業用
水 小 水 力 発 電 推 進 協 議 会 」 を 平 成 24 年 4 月 に 設 立 。
会 員 は 383 団 体 。
中條全土連専務理事
▽小水力発電の導入推進のためには、電気事業法、河川
法等の各種規制・制度の緩和が必要であり、協議会では関係省庁等に要請。
▽電気事業法関係では、土地改良区は日頃から農業水利施設を適正に維持管理してい
ることから、ダム水路主任技術者の選任を不要とするよう要望。電気主任技術者の
選任については、都道府県土地改良事業団体連合会(県土連)の技術力を活用でき
るよう要望。ダム水路主任技術者については一定条件下で選任不要とするべく政府
で検討中。電気主任技術者については県土連の技術力の活用が可能。
▽河川法関係では、非かんがい期の発電水利権取得手続きの簡素化や慣行水利権下で
の 発 電 水 利 権 の 取 得 要 件 等 の 明 確 化( 登 録 制 度 の 適 用 )
・簡 素 化 を 要 望 。非 か ん が い
期については河川管理者等が有するデータの活用や一部調査の省略が可能。慣行水
利権については、登録制度を適用するに当たって、流量調査方法が簡素なものとな
るよう政府で検討中。
▽小水力発電に関する調査・設計・建設・技術力向上に対する助成を要望。農林水産
省では土地改良区等の技術力向上のための研修や専門技術者による現地指導等に係
る 支 援 制 度 に つ い て 平 成 26 年 度 予 算 を 要 求 ( 2 億 円 )。
▽小水力発電の導入が物理的に困難な地域では、太陽光発電の導入も負担軽減に向け
た有効な取り組み。
▽「電気を使う者は自ら電気を作る」を合い言葉に、土地改良区が使用する電力量の
うち小水力発電により自ら生み出す電力量の割合を現状の 1 割から 5 割に増加する
ことを目標に小水力発電を推進。
2.基調講演
「農業水利施設を活用した小水力発電の展開」
はやしだ な お き
林田直樹・前農林水産省農村振興局次長
▽従来、売電収入の使途は発電施設の上流部の維持管理費等に限られていたが、平成
23 年 10 月 よ り 土 地 改 良 区 が 管 理 す る 土 地 改 良 施 設 全 体 の 維 持 管 理 費 に も 充 当 可 能 。
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小水力発電の導入が更に進むことを期待。
▽ 明 治 44 年 の 電 気 事 業 法 制 定 以 降 、 全 国 各 地 で 水 力 発
電 の 開 発 が 推 進 。こ れ ま で は 出 力 1,000kW 以 上 の 大 規
模 発 電 が 中 心 。 今 後 は 出 力 200kW 未 満 の 小 規 模 発 電
の開発が主となる見込み。
▽ 平 成 24 年 3 月 に 閣 議 決 定 さ れ た 新 た な 土 地 改 良 長 期
計画において、小水力発電等の再生可能エネルギーの
導 入 に 向 け た 計 画 作 成 に 着 手 済 み の 地 域 を 平 成 28 年
度 ま で に 約 1,000 地 域 と す る 指 標 を 設 定 。
林田前農村振興局次長
▽ こ れ ま で 、農 業 農 村 整 備 事 業 に よ り 、全 国 31 地 区 で 小 水 力 発 電 施 設 を 整 備 。現 在 、
42 地 区 で 計 画 ・ 建 設 中 。
▽各都道府県単位等で土地改良関係者が連携し、情報・ノウハウを共有しながら、地
域全体として小水力発電の導入推進を図っていくことを期待。
3.パネルディスカッション
テーマ「小水力発電を活用した農業水利施設の適切な保全管理・地域の活性化」
み つ の とおる
コーディネーター
三野 徹 ・公立鳥取環境大学特任教授
パネリスト
印藤久喜・農林水産省農村振興局整備部水資源課長
いんどう ひ さ き
なかじょう や す ろ う
中 條康朗・全国土地改良事業団体連合会専務理事
ふ な き さとし
舟木 聡 ・北陸電力㈱土木部水力室長
じょうづか と し の り
定 司俊憲・庄川沿岸用水土地改良区連合常務理事
す ぬまひでとし
須沼英俊・富山県農林水産部長
パネルディスカッション
(1)事例・現状報告
須沼氏
▽富山県は急峻な河川、豊富な水量を活かして小水力発電を推進。
▽ 平 成 24 年 度 に 341 路 線 、 約 1 千 km の 農 業 用 水 路 で 適 地 調 査 を 実 施 。 条 件 の
良い 5 地区で基本設計を実施中。
▽土地改良区、市町村等を会員とする「富山県農業用水小水力利用推進協議会」
を 平 成 25 年 6 月 に 設 立 。 会 員 は 75 団 体 。
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定司氏
▽安川発電所は、農業農村整備事業により始めて建設された発電施設であり、昭
和 63 年 に 運 転 開 始 。落 ち 葉 等 の ご み 対 策 に 苦 慮 。雷 の 多 発 地 帯 で あ り 、電 気 系
統のトラブルも発生。
▽ 庄 川 合 口 発 電 所 は 、 経 済 産 業 省 の 補 助 に よ り 建 設 さ れ 、 平 成 23 年 8 月 に 運 転
開始。
▽売電収入を活用して、組合員の賦課金を軽減。
舟木氏
▽ 北 陸 電 力 で は 、 農 業 用 水 を 活 用 し た 水 力 発 電 所 を 富 山 県 内 で 21 箇 所 運 営 。
▽農業用水路の合口化や改修と、発電所の建設・増強を協力して実施。土地改良
区としては水路改修費用の軽減、北陸電力としては発電の実施が図られ、双方
にメリット。
(2)課題・対応策
定司氏
▽ 固 定 価 格 買 取 が 終 了 す る 20 年 後 に 売 電 単 価 が ど う な る か 心 配 。
▽主任技術者の確保が困難であり小水力発電の導入を断念する土地改良区も存在。
県土連の技術力の活用を期待。
▽小水力発電の導入により、組合員の負担軽減が実感できる方策が重要。
中條氏
▽小水力発電を魅力あるものにするには、非かんがい期の水利権確保が必要。
▽民間企業等が参入する場合は、農業用水としての利用と発電用水としての利用
の優先順位を決めることが重要。
印藤氏
▽固定価格買取制度による売電単価や売電収入の使途拡充、各種規制緩和 、基礎
調査の定額助成など土地改良区が小水力発電を推進する基礎的条件が整備。
▽農業水利施設を活用して電気を自給して維持管理費の軽減を図るという原点に
立ち返り、小水力発電を推進。
(3)今後の展望・展開
中條氏
▽各省とも規制緩和に前向きに対応。緩和された制度を活用し、各都道府県にお
いては、具体の地区で各省の出先機関に相談しつつ小水力発電の導入を推進す
ることが必要。
舟木氏
▽経済性を検討するには、落差・流量をいかに正確に把握するかがポイント。
▽故障時には地元で対応できる方法の検討が必要。
須沼氏
▽ 小 水 力 発 電 は 規 格 化 さ れ て い な い た め 技 術 力 が 必 要 。県 と し て も 研 修 等 で 支 援 。
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印藤氏
▽ か ん が い 用 水 の 新 規 の 水 利 権 を 取 得 す る 場 合 、ダ ム 等 の 水 源 を 作 る の が 一 般 的 。
一 方 、発 電 用 水 の 新 規 の 水 利 権 を 取 得 す る 場 合 は 、豊 水 取 水 が 認 め ら れ て お り 、
山田新田発電所(富山県南砺市)では発電後すぐに河川に水を戻すといった方
法 等 に よ り 新 規 の 発 電 水 利 権 を 取 得 。こ う し た 先 例 が 全 国 に 広 が る こ と を 期 待 。
▽ 平 成 26 年 度 予 算 と し て 、 土 地 改 良 区 等 の 技 術 力 向 上 の た め の 研 修 等 に 係 る 予
算を要求。
▽技術力向上やノウハウの共有、共同の取組みを図るため、各都道府県において
協議会が設置され、協議会活動の充実が図られることを期待。
(4)総括
三野氏
▽小水力発電あるいは再生可能エネルギーの問題は長期的な見方と短期的な見
方が必要。短期的には、固定価格買取制度で採算が見通せるため大いに推進する
ことが基本戦略、長期的には、農村全体としてどう活性化していくかという視点
からの戦略が必要。6次産業化は、小水力発電のみでなく再生可能エネルギー全
般をどう活用していくのか大変重要な長期的な戦略の範疇。
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Ⅲ.発電所見学会
2 日 目 の 17 日 に は 、農 業 用 水 を 活 用 し た 小 水 力 発 電 の 現 地 見 学 会 を 開 催 し 、約 21 0 名
(バス5台)の参加がありました。県西部と県東部の2コースに分かれ、 農業用水従属、
堰堤の落差利用、水路の空き容量利用、落差工設置型マイクロ発電など、様々なタイプの
施設を見学していただきました。
山田新田用水発電所
大家庄マイクロ発電所
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発電所概要
発電所名
しょうがわ ご う く ち
庄 川合口
しめ の
示野
最大
出力
(kW )
最大使
用水量
(m 3 /s)
有効
落差
(m)
水車タイプ
運転
開始
年月
運営主体(発電所所在地)
570
6.50
10.7
立軸プロペラ
H
23.8
庄川沿岸用水土地改良区連合
(砺波市)
550
8.63
8.3
立軸プロペラ
H
11.1
庄川上流用水土地改良区
(砺波市)
520
2.64
25.2
横軸フランシ
ス
H
25.3
小矢部川上流用水土地改良区
(南砺市)
5
1.00
1.2
オープンクロ
スフロー
H
24.7
朝日町土地改良区
(朝日町)
780
2.04
48.5
横軸フランシ
ス
H
24.4
黒部市
(黒部市)
530
4.26
17.9
クロスフロー
建設
中
早月川沿岸土地改良区
(滑川市)
や ま だ しんでん
山田新田
用水
おおいえのしょう
大家庄
マイクロ
み や の
宮野用水
すけがわ
鋤川用水
(仮称)
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