海洋科学技術センター試験研究報告 JAMSTECTR 11 ( 1 983) 潜水用炭酸ガス吸収剤の吸収効率試験 富 安 和 徳*1 潜水で使用さ れた 4種類 の炭酸ガ ス吸収 剤について,その吸 収効率 の比 較試験を 行 った。試料約10g を キ ャニ スタ ーに入 れ, 恒 温水槽に浸し> co2 ―空気 混合ガ ス を 送気して, キ ャニ スタ ー通 過後 の炭 酸ガ ス濃度 が,初め の50 %にな るまで の吸収 量 を計測 した。 試験は, 最大 吸収量, 水 温の影響, キ ャニ スタ ーの長さ 対内径比の影響, 流向と 充て ん具合, 等 について行い,実 際 の使用時 に有 用な データを 得た。 Test on the Efficiency of the C02 Absorbent Kazunori Tomiyasu*2 Absorption efficiency tests were carried out on the four C02 absorbents used in diving. Small cylindrical canisters and about 10 grams of absorbent samples were used, and 0.6 LPM C02 ― Air mixed gas and 5 50 °C water bath temperature made up the test conditions. The test results were evaluated by the break-through: the point which show in the use span of the canister. Improved baralyme efficiency was seen in the sample. *1潜水技術部 *2 Manned Undersea Science and Technology Department 175 1. 環境温度と吸収特性 の関係の ほかいくらかの実験 は じ め に 潜 水 す る 時 の 呼 吸 に つ い て 最 も関 心 が あ る の は 酸 素 が 十 分 に 補 給 さ れて い る かど うかで あ る が , を行 って,炭酸ガス吸収剤使用時 の参考になると 思 われる資料を得たのでここに報告する。 忘 れ て な ら ない こ と に炭 酸 ガ ス の 除 去 が あ る。 炭 2. 方 法 酸 ガ ス の発 生 源 は も ち ろ ん ダ イ バ ー当 人 で あ っ て, 一 般 の空 気 潜 水 で は通 常 , 十 分 に換 気 さ れ て い る 炭酸ガ ス吸収剤の通常使用状態は,潜水呼吸器 ので 気 にか け る こ と が ほ と ん ど な い 。 し か し , ヘ にお いて も4∼6時間以上の吸収力を持つよう設 リ ウ ム酸 素 ( He −02 計してあ るので,テスト時間 の短縮 も考え,試料 )の 混 合 ガ スを 使 用 す る 深 海 潜 水 で は炭 酸 ガ スの除 去 を お ろ そ か に す る と, 自 分 の 吐 き 出 し た 炭 酸 ガ ス に よ っ て 炭 酸 ガ ス中 毒 に 陥 る はめ に な っ て し ま う。 狭 い 閉 鎖 空 間 で あ る SDC や 減 圧 タ ン ク など の 閉鎖 式あ 9 るい は 半 閉 鎖 式 潜 水 呼 吸 器 を 使 用 し て 潜 水 す る と 10 夕を対象に試験するこ とにし た。 試験項目 は雰囲気温度 と吸収量の相関を中心に, キ ャニスタ ー条件と吸収量の関係の ほか最大吸収 量など についての項目で, 次の方式で試験した。 き に 炭 酸 ガ ス の 除 去 が 必 要 で あ る(図 1 )。 炭 酸 ガ ス の除 去 に は炭 酸 ガ ス吸 収 剤 を 用 い る の が 普 通 で , 外 科 手 術 時 に 使 用 す る麻 酔 器 用 に作 ら れ た 吸 収 剤 を 潜 水 関 係 に も使 っ て い る 。 炭 酸 ガ ス吸 収 量 の 計 測 2.1 潜 水 チ ェ ン バ ーに 長 時 間滞 在 す る と き あらかじ め混合した C02 -空気混合ガスを キャ ニスタ ーに一定流量で 流し,キ ャニ スタ ー通過後 の炭酸ガ ス濃度を赤外線式炭酸ガ ス濃度 計で分析 しペ ン書きレコ ーダ ーに記録す る。 記録線 は図2の実線 のように現 れるので,斜線 海 洋 科 学 技 術 セ ン タ ーで は バ ラ ラ イ ム を 多 用 し 部の面積が実測吸収量 となる。吸収能力の終了を て 来 た が , 最 近 で は ソ ーダ ソ ー プ も 採 用 してい る 。 観るには長時間を要 するので,通常,実効吸収量 こ れ ら は米 国 製 で あ っ て , 国 産 の ワ コ ー ラ イ ム が とされ る50 % ( 吸 収 前 濃 度 の ) 至q達 を 基 準 に なぜ 利 用 さ れ ない の か筆 者 の気 に か か る と こ ろ で とった。 あ っ た 。 ま た , バ ラ ラ イ ム と ソ ーダ ソ ープ に つ い て, ど ちら が どの よ う に 有 利 で あ る か, 潜 水 呼 吸 器 へ の 使 用 につ い て 調 査 ・ 確 認 が 必 要 で あ っ た 。 潜 水 装 置 に 使 用 さ れ る炭 酸 ガ ス 吸 収 剤 3種 (バ このとき,実測吸収量 と吸収効率 は次式で示さ れ る。 実測吸収量 Q = % C02 x V x t ・・・・(!) Q = α y1 ラ ラ イ ム, ソ ー ダ ソ ー プ , ワ コ ー ラ イ ム ) の 優劣 を み る と , ソ ー ダ ソ ープ が 吸収 効 果 が 最 も 優 れ て い る と す る も の7 )・lo )・11 )と ワコ ーライ ム の 方 が 良 ― (2) こ こ に , % C02 =送 気中 の C02濃 度 l/ : 通 気 流量( ぞ/min) い と す る も の12 )が あ る 。さ ら に ,バ ラ ラ イ ム と ソ ー ダ ソ ープ を 比 較 し た もの で も, バ ラ ラ イ ム が良 j : 時 開 ( min ) い と す る もの9 ) と 逆 の 報 告4 )が あ っ て わ れ わ れ 使 α : 単 位 面 積 当 り の 用 者 は 選択 に迷 う と こ ろ で あ る 。 C0 ( ぞc。φ 幻 2量 昭 和46 年 か ら51 年 に か け て 行 わ れ た シ ー ト ピ ア 計 画 で も炭 酸 ガ ス 吸 収 にっ い て 多 少 の 関 心 が 寄 /1 : 計 測 面 積 (clli) せ ら れ 調 査 が 行 わ れ た が1 ) ヽ2)・3)・5) , 炭 酸 ガ ス吸 収 キ ャニ ス タ ー の 能 力 確 認 と性 能 向 上 が 主 体 で あ った。 吸収効率 潜 水 装 置 に 使 用 さ れ て い る炭 酸 ガ ス 吸 収 剤 は バ ラ ラ イ ム, ソ ー ダ ソ ー プ , ワ コ ー ラ イ ムで , 表 1 に 示 す 物 性 を 持 っ て い る。 そ の 吸 収 反 応 を 表 2 に こ こ に, 皈 : 理 論 吸 収 量(2 f /gr ) =吸 収 剤 の 重 量 (q r) 示 す 。 こ れ に , シ ート ピ ア 計 画 の 海 中 居 住 基 地 に 使 用 さ れ た 水 酸 化 リ チ ウ ム ( LiOH )を 加 え て , 176 JAMSTECTR 11 (1983) 影響なし 僅かな知覚の変 化 気持を混乱させる不快感 目まい、混迷、無意識状態 図1 潜水器をC02吸収剤なしで使用した場合のC02濃度と C02中毒の症状閾値(「人 間−環境系 」下巻によ る) level and CO2 poisoningsymptoms range a diving system without an absorbent 表1 炭酸ガス吸収剤の特性 The characteristicsof CO2 absorbent バラライム ソーダソープ ワコーライム 水酸化リチウム Baralyme Sodasorb Wako Lime LiOH こ 諳 謡 回 識 路 Ca(OH)2 Ca(OH)2 78% LiOH 粒子の大きさ 4 ∼8 4∼8 4∼8 mesh size 理論吸収量 theoretical C02 230^C02/kg 236 236 407 absorption 反 応 表 示 ピンク→ 青 白 → 青紫 白 → 紫 なし color change Pink→ Blue White→VioletBlu White → Violet ( no) 水 分 含 有 量 14 moisture content JAMSTECTR 11 (1983) % 14 ∼19 16 表2 炭酸ガス吸収剤の吸収反応 Equation of CO2 absorbent 反 応 式 equations (1) Ba (OH)2 ・ 8H20 + C02 →BaC03 + 9H2O + 9C0 →9H2C03 ’ イ ム 9H20 バ ラ ラ (3) 9H2C03 + 9Ca(OH)2 →9CaC03 + I8H2O Baralyme (4) 2KOH 十H2 C03 →K2C03 + 2Ha0 (5) Ca(OH)2 + K2C03 →CaC03 + 2K0H | j (1) C02十 H2 0 才H2CO3 ソ ー ダ ソ ー プ 1 2H2CO3 + 2Na ゛+ 20H- +2K + 20HSodasorb → 2Na゛十C03=+ 2K ゛十CC>3=+ 4H2O ク Ca(OH)2 + H20 Ca++ + 2 OH" + H20 , ワ コ ラ 々 ム (3) 2Ca++ + 4 OH一+ 2Na ゛十 C03 °+2K ゛十 CO冫 Wako Lime →2CaC03 + 2Na ゛+ 20H一+2K ゛+20H水 酸・?でij ご ウ ム 2LiOH 十 C02 →Li2C03 十H2 0 (1) H2 0 十 C02 → H2co3 ソ ー ダ ラ イ ム 2NaOH 十H2C03 →Na2C03 Soda Lime Ca(OH) →CaCOs 図2 C02 + 2H2 0 + 2HzO 吸 収 量 CO2 absorption quantity JAMSTECTR 11 (1983) 2.2 試 験 方 法 炭酸 ガス吸収試験 は, キ ャニスタ ーを恒温水槽 に入 れ,最大吸収量計測を図 3の方法で,その他 を図 4の方法で行 った。 最大吸収量計測は,キャニスターの一 方 に C02 気し た。 3.4 気流方向 と吸収効率 キ ャニスタ ーを 垂直に置い て送気を上方 から行 った場合と下方 から行った場合,および横置きの 場合において・ C02 吸収剤充 てん の 粗 密 の 差 に のバ ッグを,他の一方にlOOcc シリンダ ーをチュ ついて比較を行 った。試験条件 は, 内径2.1 × 長 ーブでつないだ。 シリンダ ーは C02バ ッ グ 内 の さ3.9c・のキ ャニスタ ーにバ ラライムを充 てんし, C02を キ ャニスタ ーに導 くために使う。キャ4 ス 10℃ の水槽に設置して3.7 %C02 ター内の温度を計り,その反応温度 が周りの水 温 100 %にして0.024 £/min の送気であ った。 の ガス を 湿 度 と同温になって5分後を吸収の終りとしたo この 表 5はその結果であ る。 キ ャニスタ ーを垂 直に とき, C02 吸収量 は,吸収前後のバ ッグ 内 C02 置い た場合,上方からの送気が最 も効果があり, 容積の差か ら求められる。 下方 からの送気は粗密に影響されない。 また,横 図 4によ る試験で は,約2 % C02 ―空 気 混 合 ガスを500^ 置きの場合の粗充 てんは吸収が不良 であ った。 用ダ グラスバ ッグに作り, ポンプを 使って0.6 ^/min の割合で キ ャニスタ ーに送り, 吸収剤通過後の C02濃度を計測した。 キ ャニス 4. 考 察 炭酸ガス吸収剤 4種 について調査し,前項の結 タ ーは内径×長さがそれぞれ0.55 ×32.1 cm, 果を得 たが,全体に吸収効率 は低い値であった。 1.55 ×6. 9cm, 2.1 ×4.4 ・ g および2.1 ×3. 9 これ はキ ャニスタ ーと吸収剤顆粒の サイズの関係 c l の 4本と, LiOH 用の2.1 ×9.0 cm 2 本を用 意した。 いずれ も試料が約10 ダ入る容積であ る。 キ ャニスタ ーの端 は金網で固定し,中央 にc-c で充 てん率が小さいの が理由 と思 われる。したが って,計測結果 は,比較値として検討したい。 最大吸収量は LiOH が他を圧倒しているが, 反 熱電対を,キ ャニスター通過直後の部分に露出型 応時 に高温になることや粉末の鼻への刺激が非常 O一100 ℃ サーミスタを取り付けた。 に強 いことなどの理由で潜水装置関 係では使用さ れていない。 3。 結 果 3.1 最大吸収量 試 料10 夕を 入 れ た キ ャニ ス タ ーを 恒 温 水 槽 に 設 表 3は, LiOH とソ ータ ーソ ープ の一 部以 外 は いづ れも100 % より低い値である。 これは反応に よって生成す る水分が吸収剤の一 部を湿潤にする お よ び50 °Cで の 計 測 結 果 は 結果 によると思 われる。吸収率の比 較からワ コー 表 3の と お り で あ っ た。 急 激 な反 応 に よ っ て 水 分 ライ ムが他よりいくぶん良 くない。 吸収剤の成分 発 生 が多 く ,C02ガス送 気 は乾 燥 ガ スの み とした。 がソ ータ ーソ ープと同じであ るこ とから製法の違 置 し, 水 温5, 25 3.2 水 温 対 吸 収 効 率 吸 収 時 間 と吸 収 効 率 の 結 果 を 表 4 に示 す。 吸 収 いであろうと思 われる。写真1によれば,バ ララ イムとソ ータ ーソープの粒子間隙がほぼ同じなの 効 率 は バ ラ ラ イ ムの38 % が 最 大 で 全 般 に低 い 値 に対し,これらより遥かに小 さいこ とからすれば, を示 し, 水 温 に 対 し ての 全 般 的 傾向 は水 温 と吸 収 最適使用条件を 検討する必要 があろう。写真 2に 効 率 が 比 例 し てい る か,50 ℃ の 点 で は バ ラ ラ イ 示 すように,十分に吸収を終えたと思われて も顆 ムとLiOH 粒の内部は不完全 な吸収状態だと思われる。 は逆 に低 下 し た。 3.3 キ ャ ニ スタ ーの L/ D と吸 収 効 果 C02吸収は化学反応によるもので,個々の吸収 内 容 積 が ほぼ 同 量で , 直 径 の異 な る 4個 の キ ャ 剤は高温ほど吸収が良 い5)・13)。 このため,反応 ニ ス タ ーで 吸 収効 果 の 比 較 を 行 っ た 結 果 は図 5 の 熱を利用してキャニスターを温める方法16) など とお り で , キ ャニスタ ーの 長 さ(L)/ 直 径(D)の大き も考えられている。 い ほど 吸 収 が良 か っ た。 試 験 条 件 は, バ ラ ラ イ ム 吸収剤同士の比較では,バラライムとソーダソ 10 夕入 り の キ ャニ ス タ ーを10 °cの 水 槽 に 入 れ ,2 ープで後者が勝り,特に低温部で顕著であるとの 96 CO, ガ スを 湿 度100 % に し て0.6 £/min で 送 報告 もある4) が,今回の試験では表4にみられる JAMSTECTR 11 (1983) 179 サーミスター thermister リ ニ ヤ ラ イ ザ ー レ コ ー ダ ー linearizer r ecorder 図3 最大吸収量の計測方法 Measuring method of maximum absorption quantity 表3 最大吸収量の試験結果 (理論吸収量に対する吸収比) Test result of maximun absorption ( rate for theoreticalabsorption ) (試料 10g) 180 J AMSTECTR 11 (1983) 図4 C02 吸収剤の吸収計測ライン Shematic of C02 absorption test 表4 水温と吸収効率 Water temperature vs absorption rate 水 項 槽 の 水 温 water bath t emperature ( ゜C ) 目 Item 0 5 20 50 (1 ) 試 料 の 重 さ ( g ) 9.24 9.57 9.15 9.81 (2 )100 (3 ) 吸 収 濃 度 が50 (4 )50 (1 ) (4 )50 00 % に 達 し た 時 間 ( min ) 40'20 28'00 37・30 38・00 試 料 の 重 さ ( g ) 9.90 9.73 9.73 10.11 % の 吸 収 を 繧 繝 し た 時 間 ( min ) 吸 収 濃 度 が50 % に 達 し た 時 間 ( min ) 12' % 到 達 ま で の 吸 収 量 の 対 理 論 吸 収 量 比 ( % ) 5 0 0 0 ・ 6 9 17 % の 吸 収 を 繧 繝 し た 時 間min 20'00 58'00 88'00 64'00 吸 収 濃 度 が50 % に 達 し た 時 間 ( min ) 184'00 186'30 190'20 173'20 % 到 達 ま で の 吸 収 量 の 対 理 論 吸 収 量 比 ( % ) 17 17 19 17 (1) sample weight (2) 100% absorption period (3) (4} absorption rate to 50% period 0 20 15'40 21' 00 26'40 試 料 の 重 さ ( g ) 5.05 4.9 4.97 4.73 (2 )100 (3 ) ’面 lO'OO 14' % 到 達 ま で の 吸 収 量 の 対 理 論 吸 収 量 比 ( % ) 21 13 19 21 (4卜50 (1 ) '40 77'20 46'00 % の 吸 収 を 繧 繝 し た 時 間min 16'00 8 吸 収 濃 度 が50 (2 )100 (3 ) % に 達 し た 時 間min 38'40 41 試 料 の 重 さ ( g ) 9.50 9.50 9.40 9.08 (4 )50 (1 ) ( min ) 8'00 12'00 15'30 18'00 % 到 達 ま で の 吸 収 量 の 対 理 論 吸 収 量 比 ( % ) 19 21 38 23 (2 )100 (3 ) % の 吸 収 を 継 繝 し た 時 間 time needed for 50% absorption キャニスターの直径と長さ比 canister'sL/D 図5 キャニスターのL/Dと吸収率 Canister'slength/diameter vs absorption JAMSTECTR 11 (1983) Sodasorb (x3,000) Baralyme (x3,000) Wako Lime (x 10,000) LiOH (x 1,000) 写真1 吸収剤の顕微鏡写真 X ―raymicroscope of the CO2 absorbent JAMSTECTR 11 (1983) 写真2 C02 吸収後のバラライム粒子内部 Inside of CO2 ―absorbedBaralyme at the diving simulator 表6 CO2 吸収剤水溶液のPH pH value of CO2 absorbent solution / 吸収剤と水の重量比 absorbent : water (g ) 1:1 1: 2 1:5 ノマ ラ ラ イ ム Baralyme 13. 51 13. 38 13.07 12. 28 ソ ー ダ ソ ープ Sodasorb 13. 52 13. 29 13. 04 12. 52 ワコ ー ラ イム Woko Lime 13. 52 13. 2 5 13. 02 12.50 水 酸化 リチウ ム LiOH − 12.01 12. 32 12.61 JAMSTECTR 11 (1983) 1:20 5. ま と め よ う に 全 般 に は前 者 が 勝 っ た 。 キ ャニスタ ーの 長 さ(L)と 直径(D)は空 筒 速 度 , 接 触 時 間 に関 係 し て い る。し た がって ,最 適 なL/D 比 が あ る と思 わ れ る。 最 も 吸 収 が良 か っ た の は, 炭酸ガス吸収剤4種類について10 夕の試料を使 って吸収効率の試験を行って次の結果を得たO ①最大吸収量は理論値に対し, LiOH で100 ^ L /D が2.127) あ るい は3.27 ∼3.348) と の 報 告 前後,ソーダソープで一部を除き95 %以上,バラ が あ るが , 図 5 より L/D が 大 き い ほど 吸 収 効 果 ライムで一 部を除き80 %以上であった。 が大 き い と の 結 果 を得 た 。 これ は, キ ャニ ス タ ー ②水温と吸収効率の関係では,バラライムとソ の 直 径 が小 さ い ほど , 気 流 のよ ど み が少 な く な る ーダソ ープが全体的に20 %以上と高率で, ほぼ温 た め と思 わ れ る。 し た が っ て, 実 用 上 の キ ャニ ス 度に比例し他の報告と同様の傾向を示した。 タ ーで は , じ ゃま板6)・lo) を 許 置 し て い る が ,通 気 抵 抗 を 増 加 さ せ ない で 通 気経 路 を 長 く す る構 造 ③キ ャニスターの L/D 比と吸収率の関係では, L/D の大きいほど高い吸収率を示した。 ④キャニスターには吸収剤を十分に充てんし, に し た方 が 得 策 と思 わ れ る。 表 5 か ら , 気 流 は上 か ら下 方 へ 流 す の が 最 も 吸 収 効 果 を 挙 げ る こ と, 下 か ら上 方 へ 流 す場 合 は充 気流を垂直上方から下方へ送るのが最 も良い吸収 を示した。 て ん密 度 が 違 っ て も影 響 の ない こ と が わ か っ た 。 文 献 こ れ は C02 吸 収 器 に 利 用 す ぺ きで あ る 。 潜 水 呼 吸器 のよ うに姿勢 が不定 の場合 には,横 置 きの結 1) 金田英彦ほか, 1974, tt 炭酸ガス吸 収器の効 果 の よ う に, 十 分 に充 てん す る必 要 の あ る こ と が 率比較試験 ”, 海中作業 基地による海中実験 証 明され た。 研究昭和47 年度研 究成果 報告書, 海洋科学技 術セ ンタ ー 176-180 通 気 ガ ス の 湿 度 に つ い て は 高 湿 度 ほど 吸 収 が よ い4)・13)。 ま た, バ ラ ラ イ ムと ソ ーダ ソ ープで は 2 ) 金田英彦,岡本峰雄, 1975, * 高圧 チェンバ 高 湿 度 の と き 後 者 が 2倍 の 吸 収を 示 す4) と の 報 告 ーの C02吸収筒の効 率調査 ”,海中作業 基地 が あ る ので , 使 用 条 件 に あ った 製 品 の 使 用 を 考慮 による海中実験研究昭和49 年度研究成果 報告 すべ きで あ る。 書,海洋科学技術セ ンター, 201-207 通 気 の 速 度 は吸 収 効 率 に 影響 す る と 思 わ れ るが , 3 ) 金田英彦 ほか1976, ガス循環系 内 キ ャニ スタ ーの L/D 比 と 吸 収率 実 験 時 の 空 筒 速 C02吸収筒性能試験 ”,海中作業基地による 度 がL/D 海中実験研究昭和50年度研究成果報告書 % , L/D の キ ャニ スタ ーで2.94 c・/sec, 海洋科学技術セ ンタ ー, 160-167 の と き5.13 m/sec, L/D の と き10.60 cm/sec, L/D の と き38.31 4) Middleton, James R./A comparison of cm/sec か ら と 約 13倍 の 差 に も か か わ らずL/D the Relative Merits of Baralyme and の 大 き い 方 が 吸 収 効 果 が よ い。 こ れ は先 に も 触 れ Sodasorb ”,NEDU Report 1-78, た 通 り 気流 の よ ど み 部 分 の 影 響 と 思 われ , 同 一 キ AD/AO 52559 (1978) 20p. ャニ ス タ ーで 気 流 の 速 い ほど 吸 収 効 果 が 悪 く な る 5 ) 村井 徹 ほか,1976 , “ アクアダ イン社製八 の は , この よ ど み 部分 か流 速 の増 大 と と も に 大 き −ドハ ットとリサ ーキュレータ ーの炭酸ガ ス く な る た め と 思 わ れ る。 吸収能力 試験 ”, 海中作業基地によ る海中 実 験研究昭和50年度研究成果報告書 % ,海洋科 潜 水 呼 吸 器 で い わ れ るソ ーダ ライムカ クテル は, 学技術セ ンタ ー, 81-89 キ ャニ ス タ ーに入 った 水 が吸 気 と と もに 吸 い 込 ま れ る もので あ る 。 参 考 の た め に そ の PH を 測 定 し 6 ) 森 田明紀,大岩弘典, 1970 パ 半閉鎖式 呼吸 た。 表 6に示 す とお り 強 い アル カ リ性 溶 液 と な る 回路の特性に関 する研究 ”, 日本高気圧環境 の で 十 分 気 を つ け な け れ ば な ら な い。 計 測 に は, 医学会雑誌 5, 18 − 22 − 使用前の吸収剤およびデジタルPHメーターModel 7 HM- 20 B (東亜電 波製)とフタル酸塩(PH 4.01 ) お よび中性 リン酸塩(PH 6.86) 標準 液を用いた。 1&6 ) 1972, " 半閉鎖回路自 給気潜水器( SSUBA) の炭酸ガス吸収機構の 研究 ”, 日 本 高 気 圧 環 境 医 学 会 雑 誌, JAMSTECTR 11 (1983) 123-125 8 )1972, " 自給式半閉鎖 回路潜水呼吸器(SCUBA )の 特 性 に関 す る 研究 ”,日 本 高 気 圧 環 境 医 学 会 雑 雑,6。 − 25 − 20 9 ) 森田明紀 ほか, 1974 バ 潜水艇 などの密閉環 境におけ る非常用呼吸装置の研究”, 日本 高 気圧環境医学会 雑誌, 9, JAMSTECTR 11 (1983) 130-135 10) 海上自衛隊横病潜水医学実験部/'国産軟式 潜水器性能試験”, 潜医実報告-8, (1971), 111 p. 11) ”潜水艦救難にとう載予定の軟式 潜水具に使用する炭酸ガス吸収剤 ”,潜医 実 報告-10,(1971), 17 p. 12) ゛' 半閉式自給気潜水器の性能調査 試験”,潜医実報告- 12,(1973), 46 p. 187
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