MRI Daily Economic Points

米国:小売売上高(2016年9月)
MRI Daily Economic Points
-消費は拡大基調を維持-
October 18, 2016
評価ポイント
図表1 小売売上高 項目別 寄与度
2.0
(前月比寄与度、%)
今回の結果
自動車関連総合
1.5
建材・造園
0.5
ガソリン
0.0

内訳をみると、主要13品目のうち9品目が前月から増加した。建材・造
園(同+1.4% )、スポーツ・趣味用品(同+1.4%)、家具(同+1.0%)が
3ヶ月ぶりに増加。小売売上高の約2割を占める自動車関連(同+
1.1%)が2ヶ月ぶりに増加したほか、ガソリン(同+2.4%)も価格上昇を
背景に、全体を押し上げた。一方、家電(同▲0.9%)、大型量販店(同
▲0.4%)、衣料品(変化なし)は引き続き弱い動きとなったほか、健康・
医療品が8ヶ月ぶりに減少に転じた。

全米小売業協会(NRF)は、10/4日に年末商戦の売上高予測(11-12月
の小売売上高(自動車、ガソリン、外食を除く))を公表。雇用・賃金の安
定した伸びを背景に、16年は前年比+3.6%と金融危機以降の平均(同
+3.2%)を若干上回る伸びを予測している(図表2)。
大型量販店
-0.5
食品・外食
-1.0
ノンストア
その他
-1.5
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9
2014
2015
図表3 消費者マインド
(前年比、%)
120
金融危機以降平均
予測
総合
2016
図表2 年末商戦の売上高
6
16年9月の米小売売上高(10/14日公表)は、前月比+0.6%と2ヶ月ぶ
りの増加。基調を示す自動車、ガソリン、建材を除くコア小売売上高も、
同+0.2%の増加となった。
家具・家電
1.0
8

基調判断と今後の流れ
(指数、1985年=100)
110

消費は、拡大基調を維持している。7-9月期の小売売上高は前期比+
0.7%と、4-6月期(同+1.5%)に比べて伸びが低下したものの、消費の
推移は底堅い。先行きも、①良好な雇用・所得環境や、②消費者マイン
ドの改善(図表3)に支えられ、消費の拡大基調を見込む。

ただし、①失業率が5%前後にまで低下する中、雇用の拡大ペースは緩
やかになるとみられることや、②銀行の自動車ローン向け貸出基準の
厳格化に伴い新車販売台数が頭打ちになっていることなどから、先行き
の消費の伸び率は15年に比べてやや鈍化する可能性が高い。

また、今後のリスクとして、ドル高や企業収益の減少が続く中、企業のマ
インド低下が雇用環境の悪化につながった場合、消費が押し下げられ
る可能性には注意が必要である。
100
4
90
80
2
70
0
-2
-4
60
11-12月の小売売上高
(自動車、ガソリン、外食
を除く)
-6
50
40
消費者信頼感指数
30
20
05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
資料:米国商務省、全米小売業協会(NRF)、コンファレンス・ボード
Copyright (c) Mitsubishi Research Institute, Inc.
担当: 政策・経済研究センター 田中康就
TEL 03-6705-6087