消費は拡大基調を維持

米国:小売売上高(2016年5月)
MRI Daily Economic Points
-消費は拡大基調を維持-
June 16, 2016
評価ポイント
図表1 小売売上高 項目別 寄与度
2.0
(前月比寄与度、%)
今回の結果
自動車関連総合
1.5

16年5月の米小売売上高(6/14日公表)は、前月比+0.5%と、2ヶ月連
続で増加。基調を示す自動車、ガソリン、建材を除くコア小売売上高も、
同+0.4%の増加となった。

内訳をみると、主要13品目のうち9品目が前月から増加した。ネット
ショッピングなどの増加を背景に通信販売(前月比+1.3%)が高い伸び
を続けているほか、健康医療(同+0.6%)も拡大基調を維持。スポー
ツ・趣味用品(同+1.3%)、外食(同+0.8%)、衣料品(同+0.8%)も増
加となった。一方、建材・造園(同▲1.8%)は3ヶ月連続で減少した。

ガソリン(同+2.1%)も、ガソリン小売価格の上昇により、3ヶ月連続で前
月比+2.0%を上回って増加し、全体を押し上げている。
家具・家電
1.0
建材・造園
0.5
ガソリン
0.0
大型量販店
-0.5
食品・外食
-1.0
その他
-1.5
1
3
5
7
9 11 1
3
5
2014
7
9 11 1
2015
3
総合
5
注)小売売上高は名目値で公表されるため、価格の上昇は売上高の増加につながる。
2016
基調判断と今後の流れ
図表2 コア小売売上高 図表3 小売売上高の実績とトレンド
(前月比、%)
2.0
460
(10億ドル)
(10億ドル)
1.5

小売売上高は大幅な増加となった4月に引き続き、高い伸びを維持。16
年1~3月に金融市場の動揺によって消費が押し下げられたことの反動
増はすでに4月に解消したとみられるため、5月の小売売上高の伸びは
消費が基調として堅調であることを示している。

先行きの消費は、緩やかな拡大基調を維持すると見込む。①原油安や
雇用・所得環境の回復により、実質可処分所得は堅調な伸びを維持し
ているほか、②住宅価格の上昇が消費を下支えしている。消費者を取り
巻く環境は比較的良好である。

ただし、企業利益の減少が続く中、このところ雇用者数の増加ペースは
大幅に鈍化している。5月の雇用者数は失業率の悪化を避けるのに必
要な増加幅を下回っている。今後、雇用市場の回復がさらに鈍れば、消
費も鈍化しかねない点は気がかりだ。
6
4
450
1.0
2
0.5
440
0
0.0
-0.5
トレンド(左軸)
小売売上高(自動車、ガソリン、建材を除く)
-1.0
1
3
5
7
2015
9
11
1
3
5
-2
実績値-トレンド(右軸)
430
小売売上高(総合)
-4
実績値(左軸)
420
-6
1
2016
3
5
7
9
11
1
2015
注:トレンドは、小売売上高を名目可処分所得と株価、年次ダミーで回帰して推計。
資料:米国商務省
Copyright (c) Mitsubishi Research Institute, Inc.
3
2016
5
担当: 政策・経済研究センター 田中康就
TEL 03-6705-6087