足元の米国優先リート市場について

足元の米国優先リート市場について
2016年10月17日
※当資料は、コーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネジメント・インクのコメントを参考にして大和投資信託が作成したものです。
<足元のマーケット環境>
年初来の米国優先リート市場の動向を回顧すると、世界の金融市場の変動性が高まる中でも、普通リート市場と比較
すると安定的に推移してきたと言えます。
2016年1月には中国経済の減速懸念に伴うリスク回避の動きから普通リート市場などが下押しする局面もあったものの、
優先リート市場については全般的には世界的な低金利環境下で投資家が利回り資産を物色する動きが強まったことを
背景に、緩やかな上昇局面が続いてきました。また、6月23日(現地)には英国のEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民
投票で、僅差であるもののEU離脱派が多数となり、世界的に株価調整が進みましたが、米国リートに与える影響は僅少
であるとの見方から、普通リート市場や優先リート市場に大きな混乱は見られませんでした。
ただし、2016年9月以降はFRB(米国連邦準備制度理事会)一部高官の発言を受け、利上げ前倒しの思惑が強まった
ことや、ドイツの大手銀行に対する経営不安に端を発する市場のリスク回避姿勢の強まり、ならびにECB(欧州中央銀
行)の緩和策縮小をめぐる思惑などが相場の重しとなり、普通リート市場は若干調整ムードを強めているものと思われま
す。優先リート市場についても、やや上値の重い値動きとなっていますが、普通リート市場と比較すると安定的な動きと
なっている傾向が見て取れます。
年初来の普通リートおよび優先リート市場の動き
( 2015年12月31日~2016年10月13日 )
120
普通リート
115
優先リート
110
105
100
95
90
85
15/12
16/1
16/2
16/3
16/4
16/5
16/6
※2015年12月31日時点を100として、指数化しています。
※各市場の推移には、それぞれ以下の指数を用いています。
優先リート:FTSE NAREIT® Preferred Stock Total Return Index (米ドルベース)
普通リート:FTSE NAREIT® Equity REITs Total Return Index (米ドルベース)
16/7
16/8
16/9
(出所)ブルームバーグ
※FTSE®は、London Stock Exchange Groupの会社が所有する商標であり、ライセンス契約に基づき、FTSE International Limited(以下「FTSE」)が使用します。
NAREIT®はNational Association of Real Estate Investment Trusts (以下「NAREIT」)が所有する商標です。FTSE NAREIT® Preferred Stock Total Return Index、
FTSE NAREIT® Equity REITs Total Return Indexは、FTSEが算出を行います。インデックスの価格および構成リストにおける全ての知的所有権はFTSEとNAREIT
に帰属します。
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<過去の相場変調時のマーケット環境>
より長期の値動きを見ても、優先リートの値動きは普通リートと比較すると、絶対リターンでは劣後するものの、より安定
した推移となっていることが見て取れます。
普通リートは、米国商業用不動産のファンダメンタルズ、金利動向、米国マクロ景気動向などの影響を相対的に強く受
け、リターンの絶対水準は異なるものの、より株式に近い変動を示す傾向があります。一方、優先リートは、四半期ごとの
配当支払いが普通リートに優先して支払われることや、配当額が固定されていることから、むしろ債券的な値動きを示す
傾向があります。
2000年以降の普通リートおよび優先リート市場の動き
( 2000年1月末~2016年9月末 )
800
普通リート
700
欧州債務危機
優先リート
600
リーマン・ショック
500
400
300
200
100
0
00/1
02/1
04/1
06/1
08/1
10/1
12/1
※2000年1月末時点を100として、指数化しています。
※各市場の推移には、それぞれ以下の指数を用いています。
優先リート:FTSE NAREIT® Preferred Stock Total Return Index (米ドルベース)
普通リート:FTSE NAREIT® Equity REITs Total Return Index (米ドルベース)
14/1
16/1
(出所)ブルームバーグ
上記のチャートをご覧いただければ、リーマン・ショック(2008年9月~)に対して普通リート市場が大きく反応した一方
で、優先リート市場の下落幅は普通リートとの比較では小幅となっていたことが見て取れます。
また双方の市場とも、欧州債務危機(2009年10月~)の影響は比較的小さかったことがわかります。これは米国リート
の保有物件の大半が同国内にあることから、欧州の政治的イベントが米国リート市場に与える影響は僅少であるという
投資家の冷静な判断を反映した相場展開となったものとみられます。
<今後の米国優先リート市場の見通し>
米国経済は、今後も過熱感のない緩やかな成長が続くものとみられます。一方で米国金利については、米ドル高によ
る経済への悪影響などを勘案すると、利上げのペースは緩やかなものにとどまるとみており、低金利環境は継続しやす
いと考えます。また11月には大統領選挙を控えており、選挙結果への思惑が相場を動かす要因になることも考えられま
す。
米国リートに目を転じると、テナントからの需要が堅調である一方で新規物件の供給水準は低い環境下で、保有物件
の稼働率ならびに賃料成長率は過去のトレンドを上回って推移してきています。その結果、バランスシートの改善を背
景に、大半のリートのクレジット環境が改善傾向にあることが注目されています。そういった環境において優先リート市場
は引き続き、相対的に高い配当利回りやクレジットの改善期待、ならびに対国債利回りでの高い配当利回りスプレッド
(利回り格差)や、利回りを求める投資家の強い需要を背景に、選好される展開を予想しています。
以上
※1ページ目の「当資料のお取り扱いにおけるご注意」をよくお読みください。
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