EU離脱に関する英国国民投票後の 米国優先リート市場

EU離脱に関する英国国民投票後の
米国優先リート市場について
2016年7月7日
<足元のマーケット環境>
リートを含む世界の金融市場は、6月23日(現地)の英国のEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票を控える中で、
直前の世論調査などから残留濃厚との楽観的な見方を背景に堅調な値動きが続いていましたが、実際の投票では、僅
差であるもののEU離脱派の勝利となったことから、急速に調整色を強めました。
特にこれまで欧州の不動産市場の中核とみなされていた英国から、首都ロンドンを中心に主要金融機関や多国籍企
業がオフィスの移転を進める動きが加速するとの見方を背景に、同国を中心とした欧州のリートや不動産株の下げが大
きくなりました。
一方で、米国のリート市場については落ち着いた値動きが続いており、英国の国民投票実施後、米国株式市場がマ
イナスとなっているのにもかかわらず、足元でプラスのリターンを確保しています。背景としては、米国リートの保有物件
の大半が同国内にあることから、今回のイベントが米国リート市場に与える影響は僅少であるとの見方があるものと思わ
れます。また、追加利上げ観測の後退などによる長期金利の低下を背景に、同国の不動産市場のさらなる好転を期待
する向きが優勢となったことから、利回り資産としてのリートの相対的な魅力の高まりを反映した展開となっているものと
みられます。
年初来のマーケットの推移
( 2015年12月末~2016年7月5日 )
120
英国国民投票実施日
110
米国優先リート
米国普通リート
100
欧州不動産
米国株式
90
80
15/12
16/1
16/2
16/3
16/4
16/5
※2015年12月31日の終値を100として、指数化しています。
※各市場の推移には、それぞれ以下の指数を用いています。
米国優先リート:FTSE NAREIT® Preferred Stock Total Return Index (米ドルベース)
米国普通リート:FTSE NAREIT® Equity REITs Total Return Index (米ドルベース)
欧州不動産:FTSE EPRA指数
米国株式:S&P 500種
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(出所)ブルームバーグ
※FTSE®は、London Stock Exchange Groupの会社が所有する商標であり、ライセンス契約に基づき、FTSE International Limited(以下「FTSE」)が使用します。
NAREIT®はNational Association of Real Estate Investment Trusts (以下「NAREIT」)が所有する商標です。FTSE NAREIT® Preferred Stock Total Return Index、
FTSE NAREIT® Equity REITs Total Return Indexは、FTSEが算出を行います。FTSEとNAREITのいずれも本商品のスポンサー、保証、販売促進を行っておらず、
さらにいかなる形においても本商品に関わっておらず、一切の責務を負うものではありません。インデックスの価格および構成リストにおける全ての知的所有権
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<過去の相場変調時のマーケット環境>
短期的には、優先リートのリターンは普通リートと比べて劣後する場合がありますが、過去10年程度で見ると、優先リー
トのリターンは普通リートに遜色なく、また安定した値動きとなっていることが分かります。
普通リートは米国商業用不動産のファンダメンタルズ、金利動向、米国の景気動向などの影響を相対的に強く受ける
ため、配当収益よりもリート価格変動の影響が大きく、リターンはより株式に近い変動を示す傾向があります。一方、優先
リートは配当が普通リートに優先して支払われることや、配当額が固定されていることから、むしろ債券的な、安定した値
動きを示す傾向があります。
優先リートと普通リートの収益性比較
( 2006年1月末~2016年6月末 )
米国優先リートの配当収益と
価格変動等による損益の推移
(%)
200
200
配当収益
配当収益+価格変動等
150
100
50
50
0
0
-50
-50
-100
06/1
08/1
10/1
(%)
配当収益
配当収益+価格変動等
150
100
12/1
14/1
16/1
米国普通リートの配当収益と
価格変動等による損益の推移
-100
06/1
08/1
10/1
※それぞれ、以下の指数を基に算出しています。
米国優先リート:FTSE NAREIT® Preferred Stock Index (米ドルベース)
米国普通リート:FTSE NAREIT® Equity REITs Index (米ドルベース)
※上記は、リートの変動要因の傾向を把握するために大和投資信託が簡便法に
より概算したものであり、実際の指数の変動を正確に説明するものではありません。
12/1
14/1
16/1
(出所)
バンクオブアメリカ・メリルリンチ、
ブルームバーグ
上記のチャートからは、米国優先リートの長期的なリターンの大半を配当収益が占めていることが分かります。また、普
通リートの値動きが大きくなるような時期でも、優先リートは比較的安定した推移となっていることが見てとれます。
また、2009年10月から始まった欧州債務危機は、相場のトレンドに著しい影響を与えませんでした。これは前述の通り、
米国リートの保有物件の大半が同国内にあることから、欧州のイベントが米国リート市場に与える影響は僅少であるとい
う投資家の冷静な判断を反映した相場展開となったものと考えられます。
<今後の見通し>
米国経済は、海外景気の減速が同国産業全体の雇用情勢に影を落としていることなどを背景に、今後も過熱感のな
い緩やかな成長が続くものとみられます。
一方で米国の金利については、英国のEU離脱の動きが他のEU加盟国に広がる可能性など、世界経済への先行き不
透明感が残っているほか、米国内では雇用改善基調の減速や米ドル高による経済への悪影響から、早急な利上げは
見込みづらく、低金利環境が続くと見込んでいます。
米国リート市場については、テナントからの需要が堅調である一方で新規物件の供給水準は低い環境にあり、リート各
社の保有する物件の空室率低下や賃料上昇が続くものとみられます。そういった状況の中で優先リート市場は引き続き、
相対的に高い配当利回りやクレジットの改善期待から選好される展開を予想しています。
以上
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