英国では税務戦略の開示が義務化 税務情報の開示をめぐる 国内外の動向 る。 また、投資家の視点からも税の透 明 性 の 確 保 が 求 め ら れ て き て い る。 CSRを実践しているかどうかと い う 視 点 か ら 企 業 を 評 価・ 選 定 し、 投資活動を通じてこれを支援する 社 会 的 責 任 投 資( S R I: Socially )は、 欧 米 responsible investment における年金基金等の機関投資家を 中 心 に 盛 ん に 行 わ れ て い る。 近 年、 た。こうした米系多国籍企業による の透明性を評価するものが増えてき 目として、税務情報の開示による税 SRIにおける評価基準の1つの項 ホルダーに対する説明責任を果たし 過度な節税行為は、各国のメディア 白崎 亨 中原 拓也 近年、企業グループによるグロー ていくことが今後の重要な課題に ており、企業にとって、CSR・サ PwC税理士法人 公認会計士・税理士 PwC税理士法人 税理士 バルでの税務行動に対して、投資家 で大きく報道され、英国では一般消 て合法ではあるが、関係各国間の税 くの場合、関係各国の税制度につい したタックス・プランニングは、多 多国籍企業によるBEPSを利用 念に基づき企業グループの税務行動 に対して、たとえば、どのような理 民・社会といったステークホルダー は、税務当局だけでなく投資家や市 このように、今後、企業の経営者 ステナビリティの観点から非財務情 制度の相違や不整合を利用したもの が実践されているのか、事業展開を 費者による不買運動にまで発展する 海外において企業グループの税務 であることが特徴的である。 しかし、 している国・地域において事業実態 報として税務情報を開示する動機づ めに企業グループの税に関する透明 行動に対する市民・社会の反応が変 米系多国籍企業による過度な節税行 に応じた適切な納税が行われている など政治的・社会的に大きな問題と なってくる。 いいかえれば、企業グループの税務 行動が投資家による投資活動や一般 性を向上させる取組みが進められて 化 し て き て い る。 2 0 1 2 年 か ら 為が、合法にもかかわらず政治・社 か等の問に、開示等を通じて透明性 けの1つとなっている。 いる。 2013年にかけて米国および英国 会問題にまで発展したことは、もは を適切に確保し、説明責任をきちん なった。 グローバルに事業展開する企業グ それぞれの議会で行われた公聴会 や企業は税制度を遵守しさえすれば 消費者の消費活動にまで影響を及ぼ ループにおいては、こうした潮流を に お い て、 複 数 の 米 系 多 国 籍 企 業 と果たしていくことが求められるこ す要因になり得る時代が到来してい 的確に把握し、財務情報としてだけ 問題ないということではなく、企業 とになるものと考えられる。 て、企業グループの税に関する透明 報を適切に開示すること等によっ が行われていることが明らかとなっ :税源浸食と利 and Profit Shifting 益 移 転 )を 利 用 し た 過 度 な 節 税 行 為 を活用した過度な節税を抑止するた ンスの強化や、クロスボーダー取引 る。また、各国で税務コンプライア ではなく非財務情報としても税務情 に よ っ て、 B E P S( Base Erosion 性を高め、各国のあらゆるステーク )という視点も social responsibility 考慮することの必要性を示唆してい の 社 会 的 責 任( C S R: Corporate 税務に関する透明 性の確保およびス テークホルダーに 対する説明責任の 高まり や市民・社会の関心が高まっている。 Ⅱ 14 経理情報●2016.10.20(No.1460)
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