資料6 第1回利用促進策ワーキング・グループ用 地域における 利用の促進に係る方策等 品川成年後見センター所長 齋藤修一 1 地域ぐるみの後見が求められる地域の課題 ○ 徘徊死・行方不明者 認知症高齢者が目立つ。 ○ 孤立死・孤独死 高齢者、単身者、慢性疾患を持つ者 ○ 虐待 地域において潜在化している。被害者自らの訴えが ない(セルフネグレクト)。 ○ 消費者被害 認知症高齢者・障害者の被害が急増 ○ 医療・介護のリスク 適正な支援や契約をする者の不存在 ○ 空き家・ゴミ屋敷 税金、私的所有権等の問題の他に、認知症高齢者 や障害者に係る未相続、入院、入所等による影響 個人の困り事に当事者性を持って共に考え、地域の困り事と捉える! 日常的な生活課題となっているから 後見ニーズが多く内在し、「後見」による支援も必要となる。 1 2 地域の課題の背景と新たなコミュニティ 地域の課題が深刻化する背景:地域社会が変化している! 急速な少子高齢化社会・核家族化→ 人口減少社会 ↓ ↓ 家族の支援力の低下 地域コミュニティの変質 特に地縁団体(町会・自治会)の弱体化傾向⇔従来型のコミュニティ組織 連動↑ ↓高齢化・住民意識の変化・人材不足等 新たな地域コミュニティづくりの担い手:市民・NPO等が期待される。 ≪個別のテーマに特化して支援活動を展開⇔新型のコミュニティ組織≫ 通常の見守りの他に 「支え合い」活動:住民(市民)同士の相互扶助という「共助」の活動 認知症高齢者・障害者への必要な支援に繋がる!(地域後見の基盤) 2 3 現在の日本の高齢者世帯の実情 独居世帯 552 夫婦のみ 世帯 584 万世帯 万世帯 308 298 万世帯 平成12年度 平成25年度 万世帯 平成12度 平成25年度 現在、日本の65歳以上独居世帯は552万世帯、夫婦のみ584万世帯を数える(平成 25年度『総務省統計局』)。平成12年数値が、独居世帯308万世帯、夫婦のみ世帯 298万世帯なのに比すと、独居世帯は約1.8倍、独居世帯予備軍ともいえる夫婦の み世帯では約2倍の伸張である。 3 4 成年後見制度に係る行政の役割と社協の役割等 <障害者関係> 相談窓口 対象者 ○地域生活支援事業(障害者総合支援法) 相談支援、早期発見等の権利擁護事業等 ○障害者虐待防止法(平成24年10月1日施行) <成年後見制度> ○市区町村長申立 ○成年後見制度利用支援事業 ○市民後見人の養成・活用(平成24年4月1日施行) 社会福祉協議会〔地域福祉の推進を図ることを目的とする団体〕 ○日常生活自立支援事業 ○成年後見制度を利用できる支援事業 ○小地域ネットワークによる見守り 支 援 開 始 ○地域包括支援センター(介護保険法) 高齢者や家族に対する相談支援、虐待の防止、早期発見等 の権利擁護事業等 ○高齢者虐待防止法 成年後見制度の利用促進 ケース会議等による情報の共有・ 支援方針の決定 市区町村行政 <高齢者関係> 4 5 現状と課題「市区町村長申立」 『成年後見関係事件の概況』より 市区町村長申立件数 (対前年増加率) 申立件数 ※関係別個数 申立件数に占める 市区町村長申立の割合 平成21年度 2,471(△31.7%) 27,397 9.0% 平成22年 3,108(△25.8%) 30,079 10.3% 平成23年 3,680(△18.4%) 31,402 11.7% 平成24年 4,543(△23.5%) 34,689 13.2% 平成25年 5,046(△13.2%) 34,548 14.7% 平成26年 5,592(△14,7%) 34,373 16,4% 平成27年 5,993(△ 7,2%) 34,782 17,3% 5 6 親族後見人と第三者後見人の比率 ◎過去7年間における成年後見人等と本人との関係 (家裁選任時の親族後見人と第三者後見人との全体比率) 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 親族後見 人 63.5% 58.6% 48.5% 42.2% 35.0% 29.9% 第三者後 見人 36.5% 41.4% 44.4% 51.5% 57.8% 65.0% 70.1% 前年比増 加率 5.0% 5.1% 55.6% 3.0% 6.1% 6.3% 7.2% 5.1% 6 7 市民後見人を活用した取組例のイメージ 市区町村 本人 認(知症高齢者 ) 知(的・ 精神障害者 ) 後見等支援 ⑤市民後見 人の選任 市民後見人 ④推薦(候補者の推薦) ①委託 ③登録(研 修修了者の 名簿送付) 家庭裁判所 実施機関 ②研修(市民後見人養 ⑥支援(専門等による相談等の支援) 成研修の実施) 見守り・相談から後見(サービス)までを一貫して担うワンストップセンターを、 行政の責任において設置・運営する、というのがその要締である。(必置機関) 7 8 地域後見を推進するための主な方策 (1) 後見と介護・医療・福祉との実効的連動 ・介護認定審査・障害支援区分に後見審査の付与 市区町村長申立、成年後見制度利用支援事業、市民後見人等の適用・活用等の有無 ・情報の共有と本人の状態に応じたカンファレンスの実施 (2) 後見実施機関の安定的運営の確立:必置の機関 ・行政による恒久的な補助スキームの確立 ・後見報酬・監督報酬による自主財源の確保 ・寄付金・遺贈等の活用を踏まえた後見用のファンドシステムの構築 ☆社会福祉法人の余裕財産(いわゆる内部留保)→地域後見活動への再投下 (3) 行政の保有する個人情報活用と保護のルール 個人情報保護条例の範囲内で ・情報提供を受けることができる者・団体 後見実施機関、市民後見人 ・提供できる情報 (例)市区町村長申立ての資料、後見活動に必要な情報等 ・手続きの制度化・簡素化 要綱の制定や覚書(協定書)の締結 (4) 自治体間の広域連携協約による市民後見推進事業の共同実施 地方自治法252条の2:自治体間で事務分担だけでなく、政策面での 役割分担等について自由に協約できる。 8 9 後見実施機関と地域後見体制の仕組みづくり (1) 後見実施機関の役割 ① 見守りから後見までを担うワンストップセンター(法人後見の実践重視) 法人後見に取り組む社協の増加:77社協(平成21年)→236 社協(平成25年) ② 市民後見人の養成・育成・活用への関与 ③ 市民後見人や親族後見人に対する継続的・安定的なバックアップ(相談・監督) (2) 後見実施機関の地域後見体制づくりへの関与 ① 市民後見人に身上監護を重視した後見サービスをどのように提供してもらうか (特に、意思決定支援の運用拡大や一定の事実行為) ② 市民後見人・親族後見人に対するバックアップ(監督・支援)をどのように行うか 行政との連携と家庭裁判所との調整 ③ 成年後見に関する地域資源( 地域包括支援センター、障害者相談員、 消費生 活センター、民生委員、医者、弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士、関係 団体、NPO等)とどのように連携するか→ネットワーク形成 ④ 地域における多様な後見的支援の担い手像を想定し、創出するか 例:一般社団しんきん成年後見サポート(信用金庫の後見支援組織) 民間企業の社員・OB・OG→社会的課題の解決に役立ちたいとの声が多い。 9 10 地域後見の主役・市民後見人の長所等 (1) 市民後見人(個人受任型・法人後見受任型)の長所 ① 見守りときめ細かい身上監護(職業的後見人以上の能力の発揮が期待できる。) ② 特に、団塊世代の生きがいを期待(時間のゆとりも活かせる。) ③ 福祉の街づくりの社会資源(人材) 市民後見人の長所が発揮できる前提:行政の関与とバックアップ組織(後見実施機関)の必置 (2) 本人の尊厳がこれまで以上に保持できる。 市民感覚を活かして、本人の目線で考える力を身につけている人が多いことへの期待 (3) 身上監護が後見職務の中心となる社会的条件・環境が整う。 地域単位で展開される介護・医療・福祉サービスの関係者との連携が重要 (4) 地域後見の実現:地域における連携・支援のネットワークが形成され、地 域ぐるみの後見活動が実現する。 様々な地域の資源(法律・福祉専門職や企業・団体等)の活用も必要 10 11 地域後見の実践 地域社会では、支え合いの理念に基づく「地域後見」実現が求められている。 社会的に孤立する人の増加 ↑↓ 福祉は地域住民の全体の問題となっている。 地域が変わらなければならない。(排除しない地域、無関心でない地域等であること) < 地域内連携の前提としての市区町村の役割 > (1) 地域に、どれくらい成年後見制度を必要とする人がいるかの実態的把握 (2) 上記の把握をふまえた権利擁護システムの再構築 ①市区町村長申立ての活発化 最後のセーフティネット ②成年後見制度利用支援事業の拡充 ③(ワンストップ型)後見実施機関の設置 ④市民後見人の養成・活用の徹底 など ○上記(1)(2)のすべてを包括して行えるのは市区町村のみ! ○社協、市民、NPO等は、地域での「後見の担い手」として期待される! 注)特に、社協は、エージェント(代理人)型社協へ (行政ができない法人後見の実践で公的役割を果たす) 11 参考 ケース発見から成年後見制度利用までの流れ(品川)資料6 ●後見人等候補の適否 ●任意後見契約の適否 ●運営の重要事項の審議 0
© Copyright 2024 ExpyDoc