凝縮器用区分法伝熱計算プログラムの検証 H.28.08.19 水戸市 齋藤正之 1.はじめに Excel VBAで作成した“区分法による凝縮器の伝熱計算プログラム”の使用可能性について検証する。 2.検証の方法 物質データ、計算方法が比較的詳細に分かる”JACEデザイン.マニュアルシリーズ熱交換器[第Ⅱ巻上] のp156表3.20区分計算法によるクーラーコンデンサの計算例”と本プログラムの計算結果を比較する。 3.凝縮器の伝熱計算条件 3.1プロセス条件 JACE デザイン・マニュアル シリーズ 熱交換器[第Ⅱ巻上]の表3.20 区分計算法によるクーラー コンデンサの計算例を”基準値”とし、今回の計算結果を”検証値”とする。 なお、“検証値”のプロセス条件は流体物性の密度以外は基準値と同じとした。 表3.1プロセス条件-基準値 項目 胴側 入口 ガス流体 NO O2 N2 H2O kg/hr kg/hr kg/hr kg/hr 冷却水 kg/hr 操作温度 ℃ 操作圧力 kg/cm2 abs 汚れ係数 m2.h.℃/kcal 許容圧損 kg/cm2 流体物性値 分子量M 比熱Cp kcal/kg.℃ 密度ρs kg/m3 粘度μs kg/m.h 熱伝導率ks kcal/m.h.℃ シュミット数Sc プラントル数Pr 物質移動係数Kg kmol/m2.h 管側 出口 685 740 5625 850 入口 出口 464 41410 137 1.033 0.0001 不明 45 26.86 27.56 0.243 0.912 0.031 0.024 30 3 0.0001 不明 40 検証値は胴側0.1、 管側0.5 検証値は0.928 0.250 0.314 27.0 3.2構造条件 “基準値”を以下に示す。 表3.2構造条件 項目 胴内径 管束外径 伝熱管 配列形式 本数 外径 内径 長さ ピッチ 材質 基準値 0.45 m 0.4 m 本 m m m m 固定管板 三角配列 216 0.019 0.0158 検証値は余裕率が20%になるように設定 2.5 0.025 SUS27 1 ページ 3.3伝熱面積他の計算結果 “検証値”の所要伝熱面積は“基準値”より1.78m2大きく、31.48m2であった。 偏差の主要な要因は図3.1に示したように“検証値”のガス温度と凝縮液の界面温度tiが“基準値”より 小さく(基準値のプロットカーブは検証値のように滑らかに低下していない)、図3.2に示すように [U(tg-tc)]avの基準値と検証値との差がマイナス側に大きくなり、熱交換効率が悪くなったためであ り、その原因は界面温度tiの計算に使用した凝縮境膜伝熱係数の計算方法の相違によるものと 推定される。 表3.3伝熱面積他の計算結果 項目 伝熱量 kcal/hr 胴内径 m パス数 伝熱管本数 本 伝熱管束径 m 所要伝熱面積 m2 実際伝熱面積 m2 余裕率 % 基準値a 検証値b 414100 413958 0.45 0.45 4 4 216 216 0.44 0.4 29.7 31.5 32.2 32.20 8.4 2.3 b-a -141.9 0.0 0.0 0.0 -0.04 1.78 0.0 -6.10 (b-a)/a -0.034 0.0 0 0 -9.1 6.0 0.0 -72.6 図3.1 ガス温度と凝縮液の界面温度ti 界面温度℃ 55 50 45 ti検証値 40 ti基準値 35 0 50 100 150 胴側ガス温度℃ 図3.2 基準値と検証値のU(tg-tc)]avの差 偏差% 0 -10 0 50 100 150 -20 -30 ガス温度℃ 4.纏め “検証値”の所要伝熱面積は“基準値”より6%大きいが、余裕率を適切にとることで本プログラムは 使用可能である。 2 ページ 5.追記 3.1プロセス条件において基準値の流体物性の粘度μsは0.031kg/m.hであるが、当方の計算では 0.0735kg/m.hと倍以上となっているためその影響について計算してみると表5.1の通りガス粘度が 増加すると所要伝熱面積も上昇することが分かった。これは粘度の上昇によりの物質移動係数 が低下し、すなわち蒸気が移動しづらくなったためと考えられる。 表5.1ガス粘度等と所要伝熱面積 粘度μs kg/m.h シュミット数Sc プラントル数Pr 物質移動係数Kg kmol/m2.h 所要伝熱面積Areq m2 0.010 0.068 0.101 44.7 25.7 基準値 0.031 0.250 0.314 27.0 31.5 0.0735 0.502 0.744 25.9 38.0 0.100 0.683 1.01 23.9 54.0 6.参考文献 (1)熱交換器、矢野武夫および佐野司朗監修、ジェイス・リサーチセンター、昭和55年 (2)化学工学便覧、化学工学会、丸善、平成7年 (3)機械工学便覧、日本機械学会、昭和57年 (4)化学装置便覧、藤田重文監修、丸善、1969年 3 ページ
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