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凝縮器用区分法伝熱計算における邪魔板間隔の効果
H.28.08.30
水戸市 齋藤正之
1.はじめに
凝縮器では凝縮性ガスの凝縮によりガス流速が徐々に遅くなり熱交換効率が低下するので、これ
を防止するため邪魔板間隔を狭めることが考えられる。その効果を確認する。
2.確認の方法
先に開発した区分法による凝縮器の伝熱計算プログラムを使用して区分計算の領域数を1とする
場合、2とする場合、3とする場合においてそれぞれの領域のガス流速を変えないようにして伝熱
計算を実施する。
3.凝縮器の伝熱計算条件
3.1プロセス条件
ガス流量等のプロセス基本条件を表3.1.1に、領域数によって変化する平均分子量等の胴側ガス
物性値を表3.1.2から表3.1.4に示す。これらから蒸気が凝縮して平均分子量が減少すること、比熱等
の物性値が変化することが分かる。なお、ガス流速は平均で3.1m/sとしている。
表3.1.1プロセス基本条件
項目
胴側 入口
ガス流量
H2
CO2
H2O
kg/hr
kg/hr
kg/hr
冷却水
kg/hr
操作温度
℃
kg/cm2
abs
操作圧力
m2.h.℃/kcal
汚れ係数
許容圧損
kg/cm2
管側
出口
24.7
138.4
91.6
入口
24.7
138.4
2.3
15278
200
9.033
0.0002
0.05
40
表3.1.2 胴側ガス物性値-1領域
項目
1領域目
管束の直行ガス流速 m/s
3.1
平均分子量
11.54
比熱 kcal/kg.℃
0.681
密度 kg/m3
3.22
粘度 kg/m.h
0.0508
熱伝導率 kcal/m.h.℃
0.0928
シュミット数
プラントル数
物質移動係数 kmol/m2.
物質移動係数 kmol/m2
0.360
0.394
37.4
25
3
0.002
0.3
15278
30
表3.1.3 胴側ガス物性値-2領域
項目
1領域目 2領域目
管束の直行ガス流速 m
3.1
3.1
平均分子量
12.35
11.32
比熱 kcal/kg.℃
0.659
0.691
密度 kg/m3
3.07
3.45
粘度 kg/m.h
0.0516
0.0468
熱伝導率 kcal/m.h.℃
0.0864
0.973
0.392
0.372
36.5
表3.1.4 胴側ガス物性値-3領域
項目
1領域目
管束の直行ガス流速 m/s
3.1
平均分子量
12.35
比熱 kcal/kg.℃
0.659
密度 kg/m3
3.07
粘度 kg/m.h
0.0516
熱伝導率 kcal/m.h.℃
0.0864
シュミット数
プラントル数
出口
シュミット数
プラントル数
物質移動係数 kmol/m
2領域目 3領域目
3.1
3.1
11.14
11.00
0.682
0.700
3.13
3.47
0.0488
0.0452
0.0968
0.100
0.421
0.344
36.1
1 ページ
0.426
0.361
34.6
0.360
0.394
37.4
0.414
0.332
35.6
3.2構造条件
下記の構造条件はすべての領域において同じとしている。
表3.2.1構造条件
胴内径
管束外径
伝熱管
配列形式
本数
本
外径
m
内径
m
長さ
m
ピッチ
m
材質
0.1584 m
0.129 m
固定管板 三角配列
105
0.0096
0.00712
必要長さを計算する
0.012
SUS27
3.3伝熱面積他の計算結果
伝熱計算の結果を表3.3.1にまとめた。、邪魔板枚数は領域数により1領域の5区分では28枚、
10区分では21枚、2領域の5区分では20枚、3領域の5区分では19枚になった。邪魔板枚数が
減ったのはガス流速3.1m/secが維持され熱交換率が適正化されたためと考えられる。
邪魔板間隔はそれぞれの流域で3.1m/secとなるように1領域で0.104m、2領域の領域1では
0.129m、領域2では0.094mとなり、3領域でもどうような傾向となった。なお、邪魔板間隔はガス
流速が指定した数値になるよう自動的に計算している。
所要伝熱面積は1領域の5区分では8.63m2、10区分では6.62m2となった。所要伝熱面積の減少は
平均の総括伝熱係数[U]avの低下によって説明できるが、今回は平均の総括伝熱係数[U]avが低下
しているので説明ができない。考えられる要因としては境膜伝熱係数を出入口物性値の平均として
計算したことで、5区分の出口蒸気圧pvがその前区間より僅かに増加する結果となったが、10区分
ではこの逆転現象は起こっていないことれらから区分数を増すことで誤差が減少したためと考えら
れる。また、2領域の5区分の所要伝熱面積は7.16m2、3領域では6.65m2(1領域の5区分に対して
77%)と減少した。これは邪魔板間隔が狭まることにより平均の総括伝熱係数[U]avが大きくなった
ためと考えられる。
表3.3.1 邪魔板間隔間隔を狭める効果
1
領域数
区分数
5
10
邪魔板枚数
領域1
枚
28
21
領域2
枚
領域3
枚
邪魔板間隔 領域1
m
領域2
m
領域3
m
0.104
-
0.104
-
[U]av
領域1
領域2
領域3
212.2
-
208.9
-
8.63
6.62
kcal/m2hr℃
kcal/m2hr℃
kcal/m2hr℃
所要伝熱面積 m2
2
5
3
5
0
20
2
2
15
0.129
0.094
0.129
0.106
0.087
202.1
234.4
2 ページ
7.16
204.6
251.4
221.5
6.65
4.纏め
(1)邪魔板間隔を狭めると平均の総括伝熱係数[U]avが大きくなり所要伝熱面積を小さくなる。その
効果は1領域に対して3領域では約-20%であった。したがってフラッデングを考慮しながら邪魔板
間隔を狭めることは所要伝熱面積を小さくする効果がある。
(2)1領域の5区分では出口蒸気圧pvがその前区間より僅かに増加する逆転現象が起こったが
区分数を10区分と増やすと出口蒸気圧pvの逆転現象はなくなった。これは10区分とすることで
伝熱計算の誤差が小さくなったためと考えられる。
(3)10区分で計算すると所要伝熱面積は3領域で計算した場合とほぼ同じとなった。
5.参考文献
(1)熱交換器、矢野武夫および佐野司朗監修、ジェイス・リサーチセンター、昭和55年
(2)化学工学便覧、化学工学会、丸善、平成7年
(3)機械工学便覧、日本機械学会、昭和57年
(4)化学装置便覧、藤田重文監修、丸善、1969年
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