プロダクトインフォメーション: CANoe .CANopen

CANoe .CANopen
プロダクトインフォメーション
プロダクトインフォメーション: CANoe .CANopen
目 次
1
概要 ..............................................................................................................................................................................................3
1.1
主な特長........................................................................................................................................................................................3
1.2
機能 ..............................................................................................................................................................................................3
1.3
ハードウェアインターフェイス ...........................................................................................................................................................4
1.4
詳細情報 .......................................................................................................................................................................................4
2
提供されるコンポーネントおよび機能...............................................................................................................................................5
3
EDS フォーマット............................................................................................................................................................................5
4
ProCANopen を使用したプロジェクトプランニング ..........................................................................................................................5
4.1
グラフィック表示 .............................................................................................................................................................................5
4.2
通信パラメーターの定義 .................................................................................................................................................................5
4.3
Object Dictionary .......................................................................................................................................................................6
4.4
インタラクティブ (対話的) なデバイスへのアクセス ...........................................................................................................................7
4.5
CANoe. CANopen での使用を目的とした CAN Database の生成 ............................................................................................... 7
4.6
ネットワークマネージメント ..............................................................................................................................................................7
4.7
プロジェクトデータのダウンロードおよび立ち上げ .............................................................................................................................7
5
ネットワークモデルの生成 ...............................................................................................................................................................8
6
パネルのサポート ...........................................................................................................................................................................8
7
通信モニター ..................................................................................................................................................................................9
8
解析 ..............................................................................................................................................................................................9
9
CANopen のインタラクティブジェネレーターブロック ........................................................................................................................9
V1.0 - 08/2016
CANoe .CANopen のバージョン 9.0 以降を対象としています。
この資料では、CANoe オプション.CANopen の応用分野とそれぞれの機能について説明します。
CANoe .CANopen は、CANoe のオプション機能です。CANoe の基本機能については、別途「プロダクトインフォメーション」をご用意してお
ります。
発行元: ベクター・ジャパン株式会社
※記述されている内容は予告無く変更されることがあります。(発行日:2016 年 10 月 12 日)
2
プロダクトインフォメーション: CANoe .CANopen
1
概要
CANopen®は、CAN ベースのオープンな通信プロトコルです。CANopen は、商用車および各種制御装置、測定システム、医療機器、鉄道、船
舶などのさまざまな分野、つまり、高い柔軟性と高速のデータ伝送が求められるあらゆる分野に応用されています。その通信仕様は、多くのデバイ
スメーカーおよびユーザーの経験を基に作成され、CiA® (CAN in Automation) で管理される標準規格となっています。
ネットワークの複雑化が進む現在、CANopen システム開発は、最適なツールなしに行うことはできません。CANoe は、プランニング、開発、テス
ト、そして最終的な立ち上げまで、ネットワークシステムの全開発プロセスをサポートしています。CANoe の機能説明については、CANoe 製品情
報を参照してください。
CANoe. CANopen はプロジェクト関係者すべてに対し、以下のように CANopen デバイスおよびシステム開発のための機能を提供します。
> CANopen デバイスのシミュレーション
> 開発中のテストツールとしてインタラクティブ (対話的) なパラメーター設定とデバイスのテスト機能
> デバイスの起動
> デバイスの初期設定
> CANopen ネットワークの起動
> 診断
> 量産時の検証
オプション J1939 および CANopen を同時に使用すると、CANoe は CiA DS-413 CANopen Truck Gateway に最適な開発環境となります。
1.1
主な特長
> シングルソースで提供される、統合型の構成/解析/シミュレーション/テストツール
> 一般的に使用されている CANopen 標準をサポート
> CANopen デバイスのモデル用に CAPL インターフェイスを拡張
> EDS ファイルに基づく、拡張可能なデバイスモデルのシミュレーション
> プロトコルの説明と CANopen サービスの色分けにより、容易にバストラフィックを解釈
> EDS ファイルを使用して CAN データベースを自動生成
> プロセスデータをグラフィカルにリンクし、PDO の構成を抽象化
> CANopen デバイスパラメーターにダイアログから手軽にアクセス
1.2
機能
CANoe. CANopen は、プロジェクトプランニングツールである ProCANopen (CANoe. CANopen に同梱) とともに、CANopen®ネットワーク
の効率的なプランニング、マネージメント、シミュレーションおよびスタートアップを可能にします。システム設計の段階から、システム全体の動作シ
ミュレーション、バス負荷の測定、そして必要なハードウェアのパフォーマンスの決定を行うことができます。
CANoe.CANopen は、豊富な CANopen 固有の機能によりお客様をサポートします。CANopen プロトコルに関する専門知識を詳細まで把握
している必要はありません。CANoe. CANopen を使用することで、ネットワークを構築した際の品質を向上させ、同時に大幅なコスト削減も実現
できます。各デバイスのコンフィギュレーション結果をシミュレーション環境で確認しておくことで、実ネットワークを使った最終的なコンフィギュレー
ション作業で手間取ることもありません。これにより、作業の労力やエラーの恐れが大幅に少なくなります。
3
プロダクトインフォメーション: CANoe .CANopen
図1: デモコンフィギュレーションの例:複数の I/O を制御するシンプルな CANopen ネットワークのシミュレーション
1.3
ハードウェアインターフェイス
CANoe. CANopen は、ベクターが提供する CAN ネットワークインターフェースすべてに対応しています。
1.4
詳細情報
> ベクターダウンロードセンター
CANoe に関する各種ドキュメントはベクターの Web サイトに掲載しています。デモ版には、さまざまな応用分野に応じたサンプル用コンフィ
ギュレーションと、CANoe の全機能を説明した詳しいオンラインヘルプが付属しています。また、CANopen プロファイル用の無料アドオンを
ダウンロードセンターから入手できます。さらに、テクニカルアーティクルや各種製品資料で、ベクターの貴重なノウハウを利用できます。
> CANoe の機能マトリクス
CANoe のグレード、チャンネル、サポートされるバスシステムの詳細については、別途、データシート「CANoe/CANalyzer の機能マトリク
ス」をご参照ください。
4
プロダクトインフォメーション: CANoe .CANopen
2
提供されるコンポーネントおよび機能
CANoe .CANopen には、基本ツールである CANoe のほかに、コンフィギュレーションツールの ProCANopen と EDS エディターの CANeds
が付属します。付属ツールも含めて CANoe. CANopen は、標準の CANoe に対して以下の機能を追加しています。
> CANopen デバイスのコンフィギュレーション
> CANopen デバイスへのインタラクティブなアクセス
> CANopen メッセージの解釈
> シミュレーションモデルの生成
> CANopen 固有のテスト機能を備えた、テストインターフェイスの拡張
> CANopen メッセージのインタラクティブな生成
> パネルの生成
> トレース Window にプロトコル固有情報の表示
> プロトコルのモニター
> EDS ファイルの作成とテスト
3
EDS フォーマット
CANoe. CANopen は、標準ファイル形式である EDS とコンフィギュレーション結果となる DCF をサポートし、標準に則ったこれらのファイルを
利用したツール間の情報交換にも利用できます。また、従来の INI フォーマットと、CiA 311 規格で定義されている XML フォーマットの両方をサ
ポートします。
4
ProCANopen を使用したプロジェクトプランニング
CANoe. CANopen には CANopen のネットワークおよびデバイスのプランニングを効率的かつ迅速に行うことのできる ProCANopen が付属
しています。これは、プランニング、開発、立ち上げ、保守などすべてのプロジェクトフェーズで利用できます。さまざまな機能や直観的なユーザーイ
ンターフェイスを組み合せて使用することで、システムパラメーターの定義に即専念できます。ProCANopen は、具体的かつ CANopen に準拠
したプロジェクトの実装を自動的に行えるため、複雑なシステムの設定作業を大幅に削減できます。こうして作成されたコンフィギュレーションはよ
り質の高いものとなり、システムのセキュリティも向上します。
4.1
グラフィック表示
CANopen ネットワークの各デバイスは、各デバイスの名前、ノード ID、ビットマップを伴ってグラフィカルに表示されます。デバイスは、グループに
分けて、それぞれの機能の関係を示すこともできます。
既存のネットワークの情報を読み込むのは簡単で、これは Object Dictionary からオブジェクトを読み出し、それらと既存の EDS ファイルとを対
比するという流れで行われます。ネットワークの実デバイスには、EDS ファイルが自動的に割り当てられます。EDS を使用できない場合、Object
Dictionary に存在するオブジェクトは、デバイスの種類によって検索および表示されます。
4.2
通信パラメーターの定義
ProCANopen の主要な機能の一つに、ノード間の通信チャンネルの容易な生成とわかりやすい表示があります。ネットワークノードはダイアログ
で制御したり、グラフィカルにリンクしたりすることができます。グラフィカルにリンクする場合、対象となるノードをマウスで選択します。そうすると、こ
れらのデバイスのすべてのプロセスデータがグラフィカルに表示されます。各デバイス間をマウスで直接結びつけることができます。(図を参照)。
ProCANopen は、これらのリンクを対応する CANopen マッピングテーブルに自動的に実装します。これらのテーブルの複雑な相互関係や詳細
を気にする必要はありません。ProCANopen は一般的に、優先度や送信タイプなどのアトリビュートや接続に広く使われる標準的な設定を行い
ます。これらの設定は必要に応じて変更できます。
5
プロダクトインフォメーション: CANoe .CANopen
図2: ドラッグ&ドロップによるプロセス変数のリンク:ProCANopen は必要な通信パラメーターを自動的に計算することができます。
4.3
Object Dictionary
各デバイスの Object Dictionary は、構成のツリー形式で表示されます。表示されるオブジェクトは、ターゲットデバイスの EDS ファイルから取
得されます。各オブジェクトのアトリビュートは読みやすい形式で表示されます。Object Dictionary のエントリーでデバイスにマップされたデバイ
スパラメーターは、容易に読み出したり変更したりできます。このようにして、デバイスへ必要なコンフィギュレーションを行うことができます。アクセ
スダイアログで PDO パラメーターを変更する場合は、DS-301 CANopen 通信プロファイルで定められているアクセス順/シーケンスが考慮され
ます。
EDS ファイルが存在しないデバイスの場合でも、特別なダイアログで Object Dictionary にアクセスできます。デバイスパラメーターに行った変
更は、デバイスごとの DCF (Device Configuration File) として個別に保存されます。実際には、デバイスの既存の EDS ファイルが不完全な
ことはよくあります。ProCANopen では、製品に付属する CANeds EDS エディターを使用して、新しいオブジェクトを作成したり、既存のオブジェ
クトに正しい属性を割り当てたりできます。EDS ファイルは、統合された EDS Checker でテストできます。同じテストプログラムが CANopen デ
バイスのコンフォーマンステストにも使用できます。
6
プロダクトインフォメーション: CANoe .CANopen
4.4
インタラクティブ (対話的) なデバイスへのアクセス
図3: インタラクティブなデバイスアクセスを使用する、手軽でわかりやすいモジュール設定
プロジェクトプランニングツールの ProCANopen により、シミュレーションデバイスおよび実際のデバイスとのインタラクティブ (対話的) な通信が
可能になります。デバイスの Object Dictionary を読み込み、コンフィギュレーションすることもできます。Initialize、Stop、Reset および PreOperational 状態への遷移など CANopen デバイスのスタートアップ時に、これらのサービスを利用できます。
4.5
CANoe. CANopen での使用を目的とした CAN Database の生成
ProCANopen を使用すると、標準の EDS ファイルが自動的に CAN データベースに変換されます。必要な EDS ファイルを ProCANopen の
プロジェクトに追加してボタンをクリックするだけで、CAN データベースが生成され、CANoe. CANopen のコンフィギュレーションにリンクされます。
これによって CANoe. CANopen からメッセージやプロセスデータに、シンボリックにアクセスできるようになります。
4.6
ネットワークマネージメント
NMT コマンドを実行して、接続されているデバイスの状態を制御することができます。Heartbeat や Guarding メカニズムのようなノードモニ
ター機能は、いつでも開始/停止することができます。複数のノードを同時に開始/停止することも可能です。
4.7
プロジェクトデータのダウンロードおよび立ち上げ
ProCANopen は、すべてのプロジェクトプランニングデータを標準化されたファイル形式 (DCF) で保存します。これにより、他のソフトウェアパッ
ケージとの互換性が確保されます。さらに ProCANopen では、すべてのデータをネットワーク上の個々のデバイスに直接ダウンロードすることが
できます。個々のノードのスタートアップやネットワーク全体のブートなど、ProCANopen に組み込まれているマスター機能により、システムをすば
やく確実に立ち上げることができます。
ProCANopen では、すべてのコンフィギュレーションデータを CANopen Manager に一元的に保存できます。そのため、各 DCF から
CANopen Manager の Object Dictionary にコンフィギュレーションデータが送信されます。これには、CiA で定義されている「Concise
Format」が使用されます。CANopen システムが起動すると、CANopen Manager はこのコンフィギュレーションデータを基に、個々に接続され
ているノードの設定を行います。
Object Dictionary の内部に変更内容を保存する CANopen デバイスの場合、事前定義されたメモリーコマンド「Store」および「Restore」を使
用して作業できます。これらのコマンドを使用すると、CANopen デバイスでは個々に設定を保存したりデフォルト値を復元したりできます。
7
プロダクトインフォメーション: CANoe .CANopen
5
ネットワークモデルの生成
CANoe. CANopen の主要機能の 1 つに、標準の EDS ファイルに基づいた ProCANopen のシミュレーションコードの自動生成があります。生
成されたモデルは、シミュレーション設定 Window に組み込まれ、そのまま実行可能です。C 言語ベースのプログラミング言語 CAPL
(Communication Access Programming Language) が 、 CANopen 用 に 拡 張 さ れ て い ま す 。 生 成 に 必 要 な す べ て の 情 報 は 、
ProCANopen を使用して設定したデバイスプロファイルに含まれます。CAPL プログラムは、シミュレーションする ECU ごとに 1 つ生成されます。
このプログラムには ECU の機能の基本的なフレームワークが含まれます。これらはそのアプリケーションに関わる動作を実現するためのイベント
関数です。アプリケーションコードのインターフェイスは、通信に変更が加えられても、その影響を受けないコーディングができるように作られていま
す。ProCANopen で通信のプロパティーを変更した場合、CANopen 通信に関連する部分のプログラムのみが変更されるため、CAPL の再生
成によってユーザーが作成したアプリケーション部分は変更されません。
ECU が持つ CANopen 固有の機能全体が、専用の CAPL 関数によって実装されます。これにより、CAPL プログラムから別デバイスへの
SDO アクセスが非常に容易に扱えます。ノードレイヤーDLL を利用した多くのイベント関数がシミュレーション環境生成時に作成され、実行中に
呼び出されます。また、ノードレイヤーDLL では次の CANopen 固有機能をシミュレーションできます。
> SDO クライアント/サーバー
> NMT ステートマシン
> Heartbeat コンシューマー/プロデューサー
> シミュレーションされるノードの Object Dictionary のマッピング
> コンフィギュレーションの保存
> DSP302 準拠の NMT マスター機能
> コンフィギュレーションマネージャー (CMT)
> PDO 通信
デバイスモデルに加えて、デバイス固有のパネルも生成されます。パネルにはプロセスデータをビジュアルに表示できます。また、関連するスイッ
チやスライダーなどの入力エレメントや、簡単な入力ボックスを使用して、プロセスデータの定数値を変更する場合にも利用できます。
6
パネルのサポート
パネルの自動生成は、シミュレーションを根本からシンプルにします。PDO にマッピングされているプロセスデータが、パネル上に生成されます。
これらのパネルを使用すると、オブジェクトの通信特性の詳細な知識がなくても、直接容易にオブジェクト にアクセスできます。これらにより、プロセ
スデータをユーザーフレンドリーに表示して、コンフィギュレーションしたとおりにシミュレーションが動作しているのかの確認ができます。
図4: はしご車での CANopen 応用例:CANoe 上に仮想ノードとして構築した、はしご車機能としての CANopen ネットワーク部分と、トラック (車両) へのゲートウェイ。
CANopen のサービスごとにハイライト表示するトレース Window の解析例
8
プロダクトインフォメーション: CANoe .CANopen
7
通信モニター
トレース Window では、CAN メッセージのトラフィックを表示しながら、同時にプロトコル情報の分析を行います。現在実行中のサービスが表示さ
れるだけでなく、該当するサービスパラメーターをすべて確認することもできます。この情報は、テキスト情報として表示されます。CANopen サー
ビスに関わるメッセージは、フォント色と背景色が変更され、より簡単に解析できます。また、CANopen サービスの個々のプロトコルシーケンスを
時系列にすばやく参照できます。これにより、リアルネットワークでのエラーの場所を非常に簡単に特定できます。多種多様なメッセージの中でも
全容を明確に把握できるよう、検索機能とフィルターオプションが改良されています。
CANoe. CANopen では、各プロトコルのシーケンスが正しいかどうかのモニターも行います。この監視では、CAN メッセージが CANopen プロ
トコルに従って作成されているかの監視も行います。ProCANopen project で自動的に生成される CAN データベースを追加するだけで、記述
されているデバイス情報が CANoe. CANopen でも利用できるようになります。これによって CANoe. CANopen からメッセージやプロセスデー
タに、シンボリックにアクセスできるようになります。
8
解析
トレース Window だけでなく、CANoe 標準バージョンでおなじみのデータ Window や統計 Window も、CANopen データの解析に使用する
ことができます。また、CANopen Scanner で CAN メッセージを評価し、アクティブな CANopen ノードをリストに表示します。その他、ノードの状
態やデバイス名などのノード固有の情報も表示されます。
図5: CANopen のサービスごとにハイライト表示するトレース Window の解析例
9
CANopen のインタラクティブジェネレーターブロック
CANopen 固有のメッセージシーケンスをダイアログ上で作成できます。プロジェクト固有の既存のメッセージ一覧から、必要なメッセージ (PDO
や SDO など) を選択して設定し、シーケンスを組み立てます。このシーケンスは、1 度または繰返しリプレイできます。つまり、メッセージシーケン
スは接続されたデバイスに必要な回数だけ送信できます。
9
www.vector-japan.co.jp