ミリ波回路用薄型基板の 複素誘電率評価技術 研究責任者: 清水隆志(宇都宮大学 大学院工学研究科 助教) コーディネータ: 桑江良昇(宇都宮大学 産学官連携・知的財産本部 客員教授) 1 Utsunomiya University Kogami・Shimizu Lab. 研究背景 ミリ波帯の応用研究 • ギガビット超級無線通信 • 自動車衝突防止用レーダ • セキュリティ イメージング ミリ波回路基板に対する要求 低コスト, 低損失, 低誘電率, 薄型 備考: ミリ波とは、波長1~10mm, 周波数30~300GHzの電磁波である。 2 Utsunomiya University Kogami・Shimizu Lab. 研究開発成果 • 本技術 空洞共振器法 60GHz帯 低誘電率, 薄型特化 • 測定原理の説明 自動測定システム 薄型試料の測定例 3 1.0 0.8 60GHz帯実現済 (遮断円筒導波管法) 試料厚さ (mm) • 従来技術 遮断円筒導波管 30-100GHz帯 0.6 0.4 本技術 開発成果 0.2 0.0 1 2 3 4 比誘電率 5 6 Utsunomiya University Kogami・Shimizu Lab. 空洞共振器法の測定原理 TE011 mode 誘電体試料 導体空洞 E H 比誘電率 εr det H (ε r : f 0 , D , H , t , d ) = 0 H+t t (1) 誘電正接 tanδ 励振孔 + 先端微小ループ 同軸励振線 D tan δ = A Qu − BRs 縮退分離用溝 (2) ただし、A、Bは式(1) より求まる定数である。 また、 −7 Rs = πf 0 µ 0 σ (Ω ) µ 0 = 4π ×10 (H m ) 誘電体試料を装荷した共振器 4 σ = σ 0σ r σ 0 = 58 ×106 (S m ) Utsunomiya University Kogami・Shimizu Lab. 導体空洞 開発した自動測定システム 固定用ピン ネットワークアナライザ 制御&計算用PC 温度計 調整機構付同軸励振線 導体空洞 測定システム外観 5 1mm Fコネクタ Utsunomiya University Kogami・Shimizu Lab. PTFEフィルムの測定結果 (a) 共振周波数f0 6 (c) 比誘電率εr (27±2°C) (b) 無負荷Q Qu Utsunomiya University (d) 誘電正接tanδ Kogami・Shimizu Lab. 新技術の特徴 • 従来技術の問題点であった、薄型試料測定時の 測定精度劣化問題の改善に成功した。 – 低εr・誘電体フィルムの誘電率評価が可能 • 本技術の適用により、 – 60GHz帯における高精度測定が可能 • 新規材料開発コストの削減が期待できる。 – 比誘電率・誘電正接の高分解能測定が可能 • ミリ波回路の高精度設計により、 試作回数削減が期待できる。 7 Utsunomiya University Kogami・Shimizu Lab. 従来技術・競合技術との比較 複素誘電率のミリ波評価技術 従来技術1 従来技術2 遮断円筒 導波管法 空洞 共振器法 50~110GHz 30~110GHz 50~60GHz WGモード 共振器法 周波数帯 測定範囲 8 εr : 2~15 εr : 2~30 本技術 εr : 2~5 tanδ: 10-3~10-6 tanδ: 10-2~10-6 tanδ: 10-2~10-6 ∆εr : < ±2.0% ∆εr : < ±1.0% ∆εr : < ±1.2% 測定精度 ∆tanδ: < ±15% ∆tanδ: < ±15% ∆tanδ: < ±30% 温度特性 △ (装置大) ◎ (<100°C) △ (未検討) 周波数特性 ◎ (1試料) ○ (複数治具) △ (高周波化) 薄型試料 X (不可) △ (条件有) ◎ (可能) 測定時間 30分/試料 10~15分/試料 15~20分/試料 Utsunomiya University Kogami・Shimizu Lab. 想定される用途 • 本技術を生かすためには、 ミリ波回路用新規材料開発 基板材料の品質管理 に適用することで開発速度向上や品質安定等の メリットが得られると考えられる。 • 回路設計用の基礎データ習得という観点から、 超高速大容量無線 自動車衝突防止用レーダ セキュリティ用イメージング といった分野に用いるデバイスやシステム開発用途 にも展開することも可能と考えられる。 9 Utsunomiya University Kogami・Shimizu Lab. 実用化に向けた課題 • 60GHz帯において、薄型試料評価が可能なところ まで開発済みである。 しかし、さらなる高周波への対応(特に76GHz帯) が未解決である。 • 今後、薄型試料の温度依存性測定システム についても検討を行なっていく。 • 高周波専門家以外が用いることを考慮し、 取り扱いの簡便化・高能率化の向上を進める 必要もあり。 10 Utsunomiya University Kogami・Shimizu Lab. 想定される技術移転 ◎本評価技術により、薄型基板の高精度測定が 可能となった。今後、基板メーカーと連携し、 ミリ波回路用新材料の開発を目指したい。 ◎本評価技術の想定ユーザー例は以下のとおりである。 (1)ミリ波測定機器メーカー (2)ミリ波測定機器ユーザー ①ミリ波基板メーカー ②ミリ波基板ユーザー ・通信機器メーカー ・自動車部品メーカー Utsunomiya University Kogami・Shimizu Lab. お問い合わせ先 • 〒321-8585 栃木県宇都宮市陽東7-1-2 • 宇都宮大学 大学院工学研究科 助教 清水 隆志 • TEL/FAX: 028-689-6132 • E-mail: [email protected] 12 Utsunomiya University Kogami・Shimizu Lab.
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