書評『「対話」から生まれる乳幼児の学びの物語』

書 評
育の特徴や見どころが、わかりやすく
る大豆生田啓友氏により、その園の保
などが記載され、最後に、編著者であ
・保育と保育の間に行われたこと
・その時の保育者の葛藤
・その実践をする時に大事にしたこと
・実際の活動が行われた日付
されています。各事例には、
前書同様、保育園・認定こども園・
幼稚園の実践例が、写真とともに掲載
弾として出版されたものです。
『
「子ども主体の協同的な学
本書は、
び」が生まれる保育』
(学研)の第2
す。
している姿の重要性を指摘されていま
と、子どもが自然物や道具と「対話」
モノとの対話が生まれているのです」
アリ)や道具(ペットボトル)などの
ることによって、自然物(水・葉っぱ・
びを行う自由な時間と環境が保障され
しながら、
「子どもがじっくり水あそ
トルでの水あそび」という事例を紹介
豊かな学び」では「2歳児のペットボ
序章「
『対話』から生まれる乳幼児の
うような視点で考えてしまいますが、
保育者と子ども、保護者と子どもとい
とつながっていくものと考えます。
通じて保育者や保護者などの学びが深
さらには、子どもの「学びの物語」を
「対話」が子どもの「学び」を深め、
でも繰り返し語られるように、様々な
まれていくことを願っています。本書
多様な関係の中に多様な「対話」が生
子どもと保護者、保育者どうしなど、
メンテーションを通して保護者どうし、
に知らせるだけのものではく、ドキュ
しかし、本書の中でも述べられてい
るように、単に保育を可視化し保護者
いきます。
保育を可視化していくことを目指して
0歳児からの「学び」が浮き彫りにさ
ましたが、本書では、事例を通して、
歳児からというようなイメージがあり
とです。従来、
「学び」といえば、3
の「学びの物語」が掲載されているこ
とに対し、本書は0歳児〜5歳児まで
前書との一番の違いは、前書が3歳
児〜5歳児の事例が掲載されていたこ
どもの育ちを支える運動ブロック研修
編著者である大豆生田氏は、
本年度
「子
「子どもの育ちを支
全私保連では、
える運動」を展開しています。本書の
いく姿が示されています。
中で「対話」を通して保育が展開して
本書の各章にわたって、様々な事例の
歳児 」
、第3章「3・4・5歳児」の
どもの心の育ちを支えていく保育」が
様な対話が生まれ、
そして広がり、
「子
保護者と子ども、職員どうしなど、多
また、それぞれの園で、子どもの「学
びの物語」を通して、子どもどうし、
います。
話」を、ぜひ感じていただきたいと思
最後に、本書の中で取り上げられて
いる様々なヒト・モノ・コトとの「対
まり、この深まりが、子どもの育ちへ
解説されています。
また、第1章「カラーで見る乳幼児
の学びの物語 」
、第2章「0・1・2
れています。
会」の講師として、全国6ブロックで
広がっていくことを願っています。
(伊藤唯道/広島・順正寺保育園園長)
講演をしていただきます。この研修会
では、ドキュメンテーションを作成し、
本書の重要なテーマは、タイトルに
もあるように「対話」です。
「対話」というと、子どもどうし、
保育通信■No. 739 2016. 10. 1.
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大豆生田啓友・編著
A4判・並製・143 ページ
本体 2800 円+税
(株)学研教育みらい
TEL 03-6431-1002
http://hon.gakken.jp/
豊富な事例を通して
0歳児からの「学び」が
浮き彫りに
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B
「対話」から生まれる
乳幼児の学びの物語
子ども主体の保育の実践と環境