2016年10月号 Vol.38 (2016年10月5日発行) RSウイルス感染症とマイコプラズマ肺炎 RSウイルス感染症は今年も9月に急増し、既に本格的な流行となっています。2016年第37週(9月12~18日)までの 感染症発生動向調査からのRSウイルス感染症の週別推移(図)を示したグラフをみると、2016年のRSウイルス感染症 の患者報告数は、2004年の本サーベイランス開始以降で最も立ち上がりが早くなっています。流行は今がピークとい うわけではなく、今後更に患者数が増加してくるものと予想されますし、例年と同様12月いっぱいまでは要注意の状態 が長く続いていくと思われます。いうまでもなく、RSウイルス感染症は非常に感染力が強い感染症ですから、乳幼児に 対する医療や保育、育児に携わっている中津医療センターの関係者の方々は十分にご注意下さい。 RSウイルス感染症の報告数年次別週別推移(2004年~2016年第37週) 9000 8000 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2010年 図.小児科定点からのRSウイルス感染症の報告数年次別週別推移(2004年~ 2016年第37週;感染症発生動向調査データより) 次に、マイコプラズマ肺炎についてのお話 です。肺炎マイコプラズマを病原微生物とし、 飛沫感染や接触感染を感染経路とする感染 症です。最初に発熱する場合が多いですが、 解熱後も1か月近くに渡って咳が続き、喘息 様気管支炎となることも少なくありません。以 前は比較的軽度の肺炎と考えられていまし たが、中にはARDSや脳炎、ギラン・バレー症 候群等を発症して重篤化する場合もあります。 2016年はこのマイコプラズマ肺炎が2012年 以来4年ぶりの大きな流行となっています。 今後12月に向けて更に患者数が増加してく る可能性が高いですから、小児科や小児施 設あるいは呼吸器内科の関係者はもちろん、 外来診療に携わっている方々はご注意いた だきますようお願いします。 (感染管理室 安井良則) 平成28年度 全職員対象感染対策研修会を開催しました~ 今年度の感染対策研修会は9月27日(火)に行われました。 今年は東北大学病院の具芳明(ぐ よしあき)先生を講師にお招きし、 「感染症から未来を守る~薬剤耐性菌と抗菌薬適正使用~」 をテーマに約1時間、ご講演いただきました。 参加者数459名(医療Ⅰ部:19名、医療Ⅱ部:104名、看護部226名、事務部63名、施設: 39名、外部:8名)と過去最多の方々にご参加いただき、大盛況におわりました。 参加者数が多かったため、座席が足りず、立ち見で参加された方も多数おられ、ご迷惑 をおかけしました。次年度以降は改善できるようにしたいと思います。ご参加いただいた皆 さん、ありがとうございました。 <ICT主催勉強会のご案内> ICT主催の勉強会を行います。 「抗菌薬の正しい使い方」 について、感染症専門医でも ある、田中敬雄 腎臓内科部 長にお話いただきます。 10月5日(水) 10月7日(金) 両日とも17:30~18:30 (同じ内容です) 南棟2階講堂で行います。 抗菌薬に興味のある方、どな たでもご参加いただけます。 特に医師の皆さん!奮ってご 参加ください!
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