74 再検査にて確定した感染性心内膜炎による脳塞栓症の一例 ◎松隈 有悟 1)、山﨑 幸乃 1)、林 真希 1)、川上 保浩 1)、田實 敏郎 1) 出水総合医療センター 1) <はじめに> <経過> 感染性心内膜炎(IE)は弁尖や心内膜、大血管 高熱,呼吸状態悪化,血圧低下を認め敗血 内膜に細菌集簇を含む疣腫(Vegetation)を形成 症ショックとして、血液培養提出後、抗生剤 し、菌血症・血管塞栓・心障害など多彩な臨 (MEPM)が投与された。血液培養からグラム陽 床症状を呈する全身性敗血症疾患である。 性球菌が検出され、MRSA の可能性も考え抗 今回我々は脳梗塞の原因検索にて心エコーを 生剤(VCM)が追加された。また follow の CT に 行い、一度目の心エコーは疑うのみで確定で て新規の点状病変が出現した。再検した心エ きなかったものの、一週間後の再検査にて感 コーにより IE と診断されたが、状態の改善な 染性心内膜炎と確定した症例を経験したので く、翌日に呼吸状態が悪化し永眠された。 報告する。 <結語> <症例> 本症例は一度目のエコーから IE を疑ってい 86 歳男性。既往歴にリウマチ/腹部大動脈瘤 たが、確定はできなかった。一度目で疑わし あり。一ヶ月前までは歩行できていたが、歩 い所見があった為、経食道心エコーを施行し けなくなり救急車にて来院された。このとき 速く診断すべきであったと考える。また、大 は明らかな神経逸脱症なく、著名な脱水を認 動脈の弁尖肥厚は Vegetarian であったと推察す めた為、同日補正目的にて入院となった。脱 る。 水補正を行い、若干の改善を認めた為、転院 <連絡先> 予定であったが、意識障害・失語が出現し頭 0996-67-1611(内線 11171) 部 CT ・ MRI を施行したところ新規脳梗塞を 認めた。脳梗塞入院患者は全例にクリニカル パスが適応され、クリニカルパスにより心エ コーを施行した。 <心エコー検査> 一回目:LVDd41mm,LVDs31mm, EF48%(diffuse mild Hypo),壁肥厚なし, MR/AR/TRⅡ度,大動脈弁弁尖肥厚あり,明ら かな Vegetarian は認めないが否定できないため、 再検査をお願いした。 一週間後再検:LVDd43mm,LVDs31mm, EF52%,MRⅠ度 ARⅣ度 TRⅡ度,AR は偏移 JET 出現,PHT=175msec と severeAR を呈した。 弁尖肥厚あるも明らかな Vegetarian は認めない が、上記間接所見より感染性心内膜炎と確定 した。
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