海外安全対策情報(平成28年7月~9月期) 1 社会・治安情勢 (1)反

海外安全対策情報(平成28年7月~9月期)
1 社会・治安情勢
(1)反政府デモ活動等
8月19日、独立大通り沿いのタウンホール前付近において、反政府団体(A
FP)が政府の政策、マダガスカルの現状等に抗議するためデモの実施を予定
していましたが、事前に情報を得ていた治安部隊が現場周辺を立ち入り禁止に
するなど厳重な警戒態勢を強いたため、AFPはデモを実施できませんでした。
また治安機関は、AFPのリーダーが自宅で武器を不法に所持している疑いが
あるとし、リーダー宅の家宅捜索を実施しました。
(2)治安情勢等
7月2日、イバト国際空港近辺の道路上で爆発物らしき物体が発見される事
案が発生しましたが、その後の警察官による検査で偽の爆発物だと判明しまし
た。
その他、今期もマダガスカル全土において複数の武装強盗団による店舗、住
居、車両等への襲撃事案が多発しています。
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)不安定な社会・治安情勢を背景に、一般犯罪は引き続き高い発生率で推移
しており、2009年から数年間続いた暫定政権時代に国軍や憲兵隊などか
ら流出した銃火器、手榴弾、密造銃器、手製爆弾等を用いた事件に加え、拳
銃や自動小銃等で武装した武装強盗団による凶悪な押し入り強盗事案が多発
しています。また、引き続きインド・パキスタン系富裕層をターゲットとし
た誘拐事件も多発しています。
(2)邦人被害
観光客の多い首都アンタナナリボ市内の独立大通り、アナラケリー・マー
ケット及び独立広場へと続く長い階段では、昼夜を問わず、外国人観光客目
当てのスリ、ひったくり、集団強盗等が多発しており、日本人観光客の被害
者も急増しています。
また、夜間に複数の警察官や憲兵隊員が検問と称して邦人観光客を車やタ
クシーから降ろし、パスポートの不携帯、予防接種の不備等の理由で金銭を
要求、支払うまで執拗に要求を繰り返し、進路を阻んだり警察署に連行する
といった事案が発生しています。たとえ要求額が少額であっても毅然とした
態度で断ることが重要ですが、逆に金銭の支払いを拒み続けることで状況が
悪化し、危険な状況に陥るケースもありますので、状況に応じて臨機応変に
対応する必要があります。特に夜間に少人数で行動する際には十分に注意し
て行動するとともに、日中でも目立たないように十分注意する必要がありま
す。
(3)邦人以外の被害事案
スリ、ひったくり、集団強盗等の一般犯罪は依然として多発しています。
また、以前から一部のマダガスカル人富裕層及びインド・パキスタン系など
の実業家(フランス国籍者を含む)が財を成していると目されてきており、
これら外国人を標的とした強盗、身代金目的の誘拐事件が引き続き発生して
います。
3
テロ・爆弾事件発生状況
当地ではイスラム過激派等のテロ組織の存在や活動はこれまで確認されてい
ません。ただし、本年6月26日にアンタナナリボ市内のマハマシナ競技場で,
手榴弾によるものとみられる爆発事件(爆発は1回,3名死亡,約90名が重
軽傷)が発生しました。特に大規模イベントや多くの人々が集まる場所を訪れ
る際は、十分に注意するとともに、人混みには不用意に近づかないようにして
ください。
4
誘拐・脅迫事件発生状況
主にマダガスカル人富裕層及びインド・パキスタン系富裕層をターゲットと
した誘拐事件も依然頻発しており、今期は24件(前期比1件の増加)の誘拐
事件が発生しています。治安情勢には引き続き十分な注意が必要です。
(1)邦人被害事案
邦人が標的となる誘拐・脅迫事件は発生していません。当地では一般的に
マダガスカル国民の対日感情は良好であり、日本人が特定の標的となる背景
はありません。ただし、貧困問題を背景に金銭目当ての犯罪が多く発生して
おり、常に身辺に対する注意を怠らないよう留意する必要があります。
(2)邦人以外の被害事案
当地における外国人誘拐事件の被害者は、インド・パキスタン系実業家(フ
ランス国籍者を含む)及び中国系人で、身代金の支払い要求に応じて人質が
解放されるケースがほとんどです。
5
ダハロ「牛強盗団」による犯罪多発地域
特に南部の Andranovory(アンドラノボリ:首都中心部より南南西約 600km)
から Ampanihy(アンパニ)に至る国道 10 号線、IHOSY(イフシ)から Ambovombe(ア
ンブヴォンベ)に至る国道 13 号線付近は、特にダハロによる襲撃事案が多発し
ている地域です。上記国道の通行は昼夜を問わず控えてください。
6 航空機を利用する際の注意点
(1)国内航空便
マダガスカルの国内航空便にて、何者かに預け入れ荷物を開けられ、現金、
貴金属類等の貴重品を抜き盗られる被害が報告されています。鍵を掛けてい
ても、何らかの手段によって鍵を開け、中身を窃取後に元どおりの状態に戻
しているため、被害に気が付くのが遅れる上、出発地から遠く離れている場
合が多く、被害届を出しても十分な対応が行われないことがあります。貴重
品は決して預け入れ荷物の中に入れないなどの注意が必要です。
(2)イバト国際空港
本年11月後半に当地で開催される予定の「仏語圏諸国会議(フランコフ
ォニーサミット)」のため、現在イバト国際空港のセキュリティ体制が大幅に
強化されていますので注意してください。また、空港内セキュリティカウン
ター、空港建物入口、空港駐車場ゲート付近の検問所等において警察官、憲
兵隊員、空港職員等が邦人渡航者に対し不当に金銭を要求する、又は荷物検
査と称して荷物の中から金品を窃盗する等の事案が発生しています。荷物検
査を受ける際は手荷物や検査員等から決して目を離さないよう注意するとと
もに、荷物検査が所持人の目の前で実施されない場合は、強く抗議する等の
対応が必要です。また、たとえ要求額が少額であっても決して金銭を渡すこ
となく毅然とした態度で断ることが重要です。
7
日本企業の安全に関わる諸問題
従前より、一般的にマダガスカル国民の対日感情は良好と言われており、日
本企業の安全に関して特段問題となる事案は見られません。(了)