海外安全対策情報(平成27年7月~9月期) 1 社会・治安情勢 ラジャ

海外安全対策情報(平成27年7月~9月期)
1
社会・治安情勢
ラジャオナリマンピアニナ大統領が就任して1年半以上が経過しましたが、
未だ経済状況・貧困問題・国民生活の改善等目に見える成果は乏しく、マダガ
ス カ ル 国 民及 び 国 際 社会 は現 政権 が推 進 する 各種 施策 の進 展 を 注 視し て い ま
す。
7月31日にマダガスカル全土で行われた地方選挙は、平和裡に大きな混乱
もなく実施され、政治的背景による治安の悪化(大規模な反政府デモ等)は発
生していません。一方、7月中旬にアンタナナリボ大学にて、長引く教職員の
ストライキに不満を持った多数の学生がデモを実施し、治安当局との間で投石
と催涙弾の応酬となり、逮捕者が出る騒ぎに発展しました。また、電気・水道
公社(JIRAMA)労働組合によるストライキや、同社が保有する火力発電
機を稼働するための燃料不足等により、アンタナナリボ市内では昼夜を問わず
停電が頻発しています。
さらに、牛の強奪を目的とした武装強盗団ダハロによる村落襲撃事案が南西
部地域で数多く報告されています。また、これまで南西部が中心と考えられて
いたダハロの活動地域が、最近他の地域にも広がっていると思われる事例もみ
られています。現在、マダガスカル全土において治安当局が掃討作戦を実施し
ており、一定の成果が挙がっているとされていますが、ダハロによる村の襲撃
事案や治安当局との銃撃戦は引き続き発生しています。
今後これらを背景とした治安情勢の悪化には引き続き注意が必要です。
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)上記社会・治安情勢を背景に、一般犯罪は引き続き高い発生率で推移して
います。暫定政権時代に国軍などから流出した火器、密造銃器や手製爆弾を
用いた事件に加え、引き続きインド・パキスタン系富裕層をターゲットとし
た誘拐事件が多発しています。
(2)邦人被害
観光客の多い首都アンタナナリボ市内の独立大通り周辺において、夜間、
複数の警察官が検問と称して邦人観光客を車から降ろし、パスポート等を確
認するとしつつ、金銭を要求、支払うまで執拗に要求を繰り返し、進路を阻
むといった事案が発生しています。たとえ要求額が少額であっても毅然とし
た態度で断ることが重要ですが、逆に金銭の支払いを拒み続けることで状況
が悪化し、危険な状況に陥るケースもありますので、状況に応じて臨機応変
に対応する必要があります。特に深夜に少人数で行動する際には十分に注意
して行動してください。
(3)邦人以外の被害事案
スリ・ひったくり等の一般犯罪は引き続き多発しています。又、当国では、
以前から一部のマダガスカル人富裕層及びインド・パキスタン系などの実業
家(フランス国籍者を含む)が財を成していると目されてきており、これら
外国人を標的とした強盗、身代金目的の誘拐事件が引き続き発生しています。
3
テロ・爆弾事件発生状況
当地ではイスラム過激派等のテロ組織の存在は確認されていません。
ただし、一般犯罪の手口として、手製爆弾や手榴弾を用いる事件が時折発生
しています。
4 誘拐・脅迫事件発生状況
(1)邦人被害事案
邦人が標的となる誘拐・脅迫事件は発生していません。当地では一般的に
マダガスカル国民の対日感情は良好であり、日本人が特定の標的となる背景
はありません。ただし、貧困問題を背景に金銭目当ての犯罪が多く発生して
おり、常に身辺に対する注意を怠らないよう留意する必要があります。
(2)邦人以外の被害事案
当地における外国人誘拐事件の被害者は、インド・パキスタン系実業家(フ
ランス国籍者を含む)及び中国系人で、身代金の支払い要求に応じて人質が
解放されるケースがほとんどです。
5
ダハロ「牛強盗団」による犯罪多発地域
特に南部の Andranovory(アンドラノボリ:首都中心部より南南西約 600km)
から Ampanihy(アンパニ)に至る国道 10 号線、IHOSY(イフシ)から Ambovombe(ア
ンブヴォンベ)に至る国道 13 号線付近は、ダハロによる襲撃事案が多発してい
る地域です。上記国道の通行は昼夜を問わず控えてください。
6
国内航空便を利用する際の注意点
マダガスカルの国内航空便にて、何者かに預け入れ荷物を開けられ、現金、
貴金属類等の貴重品を抜き盗られる被害が報告されています。鍵を掛けていて
も、何らかの手段によって鍵を開け、中身を窃取後に元どおりの状態に戻して
いるため、被害に気が付くのが遅れる上、出発地から遠く離れている場合が多
く、被害届を出しても十分な対応が行われないことがあります。貴重品は決し
て預け入れ荷物の中に入れないなどの注意が必要です。
また、国内の飛行場内において、空港職員が邦人渡航者に対して不当に金銭
を要求する事案が発生しています。たとえ要求額が少額であっても決して金銭
を渡すことなく、毅然とした態度で断ることが重要です。
7
日本企業の安全に関わる諸問題
従前より、一般的にマダガスカル国民の対日感情は良好と言われており、日
本企業の安全に関して特段問題となる事案は見られません。(了)