57 腎生検における蛍光抗体法院内導入後の現状 ◎竹田 真子 1)、谷口 康郎 1)、稲田 千文 1)、木田 裕子 1)、稲田 佑太朗 1) 宮崎県立宮崎病院 1) 【はじめに】当院では 2010 年より,腎生検の蛍 ルスライドシステムを利用し,複数の標本をコ 光抗体染色を院内で施行している.それにより、 ンピュータ上で同時に比較検討を行っている. 臨床側の治療方針の決定に貢献することが可能 【結果・考察】検体到着後 2 日以内に全ての染 となった.今回,院内導入の現状についてまと 色標本を病理医に提出する事で,迅速な診断確 めたので報告する. 定が可能となった.更に,院内で得られる情報 【背景】2010 年以前は、院内ではヘマトキシリ が以前より増加した事で,患者一人ひとりに適 ン・エオジン染色(HE 染色)と特殊染色のみを した治療法選択の架け橋となっている.また, 施行し,蛍光抗体染色を他施設へ依頼していた. 蛍光抗体染色の院内導入前と比較し,診断の精 しかし,臨床医より依頼検査の標本画像を直接 度が上昇した事から今後も需要が増えていくと 確認できないことによる診断の曖昧さが問題と 考えられる. して提起され,蛍光抗体染色の院内導入が要望 【今後の展望】現在,凍結切片用検体とパラフ された. ィン切片用検体の 2 種類が提出されているが, 【手順】臨床医より未固定検体と,Dubosq- 凍結切片用の検体はパラフィン切片用検体と比 Brazil 液固定された検体が提出される. べ,大きさも小さく含まれる糸球体数も少ない. (1)蛍光抗体法用標本作製手順; 未固定検体によ 今後,パラフィン切片用検体での蛍光抗体染色 μm 凍結切片を作製後,自動免疫染色装置 が可能となれば,全ての染色標本において同じ る2 (ライカ BONDⅢ)を用い,間接抗体法を原理と 糸球体での比較検討ができると考えられる. した蛍光抗体染色を行う.一次抗体は IgG, 【まとめ】蛍光抗体染色の院内導入は,病理医 IgA,IgM,C1q,C3c,C4c,Fibrinogen,Kappa- の診断確定に向けての高精度な情報の提供を可 chain,lambda-chain の 9 種類を用いる. 能にすると共に,臨床医における治療方針の決 (2)光学顕微鏡用標本作製手順; Dubosq-Brazil 液固 定に貢献することができた. 定検体をパラフィン浸透及び包埋後,2 μm 5 枚 連続切片を 2 セット作製する.各セットの切片 を HE,PAS,PAM,Masson-T 染色を行う(1 枚 は予備として保存する).連続切片作製後,更 に深切りを行った切片を 1 枚作製し,HE 染色を 行う. (3)標本完成後手順; 病理医に提出後,バーチャ 連絡先 0985-24-4181 (内線 2070)
© Copyright 2025 ExpyDoc