ひねり技が利いた 郊外型『ツイストハウス』

デ イト ナ が 提 案 す る 新 し い 建 築 の カ タ チ
新感覚のコミュニティスペースを備える
ひねり技が利いた
郊外型『ツイストハウス』
ツイストハウスの平面プランです。
このプランにはソファ
の前に壁掛けテレビがあるような、ステレオタイプのリ
ビングルームは設定していません。
家族が集まる空間は、
むしろ大きなテーブルがあるふたつのダイニングにして
います。
プライベートな2階のダイニングと、1階にある
仲間が集まる半屋外ダイニングです。
建物 2 階の一部分を、1 階に対して 90 度回転させたら、
半屋外のコミュニティスペース『ワイルドピロティー』が出来上がり、
住宅はグッと楽しくなります。LGS システムならではの、
G 難度の“ひねり技”をご覧ください。
90度
回転
ツイストハウスの立体図
(骨組みアクソメ図)
。
2階だけを90度回転し、
レイアウトしている様子がよくわかります。LGSシステムは最大ス
パンが2.5間なので、その範囲内にパネルを設置して2階の床や屋
根を支えてやる必要があり、そのルールに従って最初に軸組を決め
ていきます。
これが計画段階で最も大切なプロセスとなります。
デイトナハウスを構成するのは、LGS と呼ばれる軽量鉄骨のパネ
ルで、厚さ 3.2㎜、幅 12.5㎝、厚み 5㎝の『C チャンネル』と呼ばれ
る部材を、横幅 180㎝、縦 270㎝の長方形に溶接して製作していま
す。
対角線のクロスしたパーツは、
『ブレース』と呼ばれる筋違いで、
力の伝達を受け持つ大切な役割を持っています。
“柱”と“梁”と
呼ばれる縦と横の部材を使って軸組を作っていく一般的な建築と
は違って、デイトナハウスはこの LGS パネルを連結することで住
宅、ガレージ、別荘、店舗、マンションなどの様々な建築を可能とす
る、全く新しいカタチのシステムなのです。
つまりこの LGS パネル
を使った建物全てがデイトナハウスと言う訳です。パネルの枚数を
数えるだけで、建築の広さ、およその予算がイメージできる分かり
やすさと、パウダーコーティングが施されたその鉄の素材感が醸し
出すハードボイルドな空間のテイストも持ち味です。
となります。
例えば、玄関脇に設けた
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正規の導線であるらせん階段以外
に、ルーフバルコニーから 階に降り
どにアクセスしやすく、外部空間を
る 別 の 導 線 を 設 定。こ れ に よ り 庭 な
立体的に使うことができますし、
ルー
の 眺 め も 最 高 で す。さ ら に 特 徴 的 な
フバルコニー横に設けたお風呂から
て使った野外スペース『ワイルド・ピ
Text/Atsushi TAMADA CG/Shin MATSUMOTO Illustration/Minori BAN(QuhanCO.LTD)
のが、2階構造体の底面を屋根とし
ン
2
ロティー』
。クルマ や バイク を 格 納 し
のダイニング=『第
2
た二方向開放のガレージに連続した、
グ』とも言える存在です。
煉瓦で囲っ
いわ ば 第
おけば、ここで食事なんてこともで
た炉を作ってツーバーナーを設置して
巷では最近、立方体のような箱型
の住宅が流行っていて、色々なハウ
間を巻き込めば、さながら毎日がグ
き て し まい ま す。家 族 や 気 の 合 う 仲
スメーカーが ど れ も 同 じ よ う な 四 角
さっと炒めて冷えたビールを煽れば、
これに勝る爽快感はないでしょう。
ランピング 気 分。家 庭 菜 園 の 野 菜 を
ため、一辺の距離が短い小さな立方
い 家 を 提 案 し て い ま す。建 築 は そ の
体の家ではコーナーとコーナーの中央
積は変わらないってことです。
つまり
ひ
そしてこの建物が魅力的なのは、
ねっているだけで、そもそもの居住面
4つの角を構造体にする必要がある
のワンスパンしか開口部にできませ
それは建築価格にも大きな変化がな
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ん。
したがって、その開口部の連続性
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も表現しにくく、開放的な空間を構
× スパンで 坪、
2階が 坪の合
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いということ。
因みにこの家は1階が
3
築するのが難しいのです。
となると、
結局必然的に旧来のリビングルーム
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坪で す。ご予 算 は 設 計 費 別で 坪
当たり ~ 万を想定しています。
75
計
65
中心主義に留まってしまいます。
階を積み上げた普通の
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そこで外部に対する解放感を最大
限発揮するために、今回のプランで
階”の家ではなく、“直方体”に
101
1
階と
デイトナをはじめ、カーマガジン
での長期連載、ムック本である
CAR&HOME にて、常にクルマ
と住宅の関係について提案し続
けてきた建築プロデュース会社
LDK inc。建築設計はもちろん
のこと、建築システムの開発や
商品開発も行う。
は
度
90
“総
階部分を
回転したレイアウトにしてみました。
プラスαした構造の
名付けて『ツイストハウス』です。
な楽しい要素を創り出すことが可能
家の2階部分を直角に回転させる
ことで導線に奥行きが生まれ、様々
2
2
コチラはツイストハウスの実例。鉄骨
構造ならではの突き出した部分(キャ
ンティーレーバー)がいつまでも飽きの
こない建物の顔を形成します。
内観も
魅力的。
鉄骨の艶消し黒の素材感が空
間のアクセントに昇華します。庭のグ
リーンとの相性も絶妙なのです。
90度回転させた2階突
出部分の下にある半外
部のコミュニティ-ス
ペースがワイルドピロ
ティーです。昔の土間
のような位置付けの二
方向開放のガレージに
隣接して、仲間との時
間をさらに豊かにする
ボーナススペース。
雨に
あたる心配がなく直射
日光を遮るので、イス
やテーブル、
そしてツー
バーナーなどを常設す
れば、ココを第二のダ
イニングとして活用す
ることが可能です!
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