デ イト ナ が 提 案 す る 新 し い 建 築 の カ タ チ 階段を上ると、 そこには視界に広がる海と水平線と、余分なものが視界 に入らない BBQ スペースが設けられた木製デッキがあります。まるで 航空母艦の飛行甲板のように、 イメージはそこまでも飛翔します。 かつて LDK の連載企画「クルマ居住学」のなかで 2000 年カーマガジン 269 号に掲載されたフロー ティングハウス。 当時も反響が大きかったのですが、今回高床工法の進化で実現可能になりました。 左の写真は鋼管杭の上にまわした鉄骨土台。 まるでトラックのシャシーのような考え方です。 フローティングハウ ス の 骨 格 アクソメ 図。鋼管杭と鉄骨土 台 に 着 陸 し た サン ダーバード2号のよ うなボディの様子が よくわかります。大 きなガラス開口はこ のフレームを利用し たスチールサッシで 設定したい。アルミ サッシのチープな素 材感は出したくない ですからね。 長い歳月をかけてついに実現可能となった 浮かぶ家『フローティングハウス』 平面プランはいたってシンプル、使い方によってどん なふうにでも設定可能。キッチンと一体になった大 テーブルを空間の中心にしています。夜は波の音を 聞きながらここで仲間と語らうのもいいですね。地 上から上昇した不思議な浮遊感をどうぞ。 績と開発プロセスを重ねてきたもの 全てのデイトナハウスで使用して いるLGSシステムは 年の施工実 載企画『クルマ居住学』の中でも、L です。かつて、カーマガジン誌での連 を 取 り 上 げ てい ま し た。な かで も 特 GSシステムを使用した仮想プラン ド 号の様な形状の『フローティング 2 に好評であったのが、 このサンダーバー ハウス』 。 しかし、 その当時はまだ実現 可能性が実証されていない仮想プラ ン、 いわゆる夢のカタチでありました。 しかし前号でもご紹介した先端羽 根付きの鋼管杭を使用した高床式平 屋 『スパイキー LGS』 を使用すれば、 この夢のプランが実現できるという ことが明らかになってきたのです。 そこで今回のプランでは、海沿い のウィークエンドハウスをイメージし 海がある。 日本列島は、このような海 てみました。 後ろが山、道路を挟んで 岸線に囲まれている形状の立地が多 うか。 プランはいたってシンプルです。 いので想像しやすいのではないでしょ ると、そこには広いスペースが。道路 Text/Atsushi TAMADA CG/Shin MATSUMOTO Illustration/Minori BAN(QuhanCO.LTD) 1FにLDKと水まわり、階段を上 沿いの敷地なので、仲間が集まってB ら約4・5m上がった空中に設定しま BQをするデッキスペースは、地面か 眺めながらの仲間との語らいは、都 す。 余分なものが視界に入らず、海を 会生活で忘れかけていた時間の流れ を思い出させてくれるでしょう。 高 床 式は独 特のフォルムに愛 着 が 湧くだけでなく、コスト面でも大きな メリットを生み出します。なにしろ基 礎工事がないのですから。 つまりコン ということです。 延べ床面積 坪(3 21 クリートを一切使わないで建築できる 65 スパン×6スパン+3坪) 。 なるべくシ 当たり ~ 万で建設可能です。 60 キーワードは前回連載と同じ、高床式工法『Spiky-LGS』です。 ンプルに設計していけば、おおむね坪 83 仲間と共有で 個人所有だけでなく、 作ってもいいですね。 デイトナをはじめ、カーマガジン での長期連載、ムック本である CAR&HOME にて、常にクルマ と住宅の関係について提案し続 けてきた建築プロデュース会社 LDK inc。建築設計はもちろん のこと、建築システムの開発や 商品開発も行う。 まるでサンダーバード 2 号のような家、フローティングハウスがついに実現可能なカタチとなりました。 18 デイトナハウスを構成するのは、LGS と呼ばれる軽量鉄骨のパネルで、 厚さ 3.2㎜、幅 12.5㎝、厚み 5㎝の『C チャンネル』と呼ばれる部材を、 横幅 180㎝、 縦 270㎝の長方形に溶接して製作しています。 対角線のク ロスしたパーツは、 『ブレース』と呼ばれる筋違いで、力の伝達を受け持 つ大切な役割を持っています。 “柱”と“梁”と呼ばれる縦と横の部材 を使って軸組を作っていく一般的な建築とは違って、デイトナハウスは この LGS パネルを連結することで住宅、ガレージ、別荘、店舗、マンショ ンなどの様々な建築を可能とする、全く新しいカタチのシステムなの です。つまりこの LGS パネルを使った建物全てがデイトナハウスと言 う訳です。 パネルの枚数を数えるだけで、建築の広さ、およその予算が イメージできる分かりやすさと、パウダーコーティングが施されたその 鉄の素材感が醸し出すハードボイルドな空間のテイストも持ち味です。
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